Biometric risk factors for angle closure progression after laser peripheral iridotomy.
Bao YK et al(CA USA)
JAMA Ophthalmol 141(6): 516-524, 2023
・レーザー周辺虹彩切開(LPI)は原発閉塞隅角疾患(PACD)に対する最も一般的な治療である。
・LPI後のPACや急性隅角閉塞(AAC)を予防する形態要因について、50歳から70歳以上のPACSのある中国人で、ランダムに選択した1眼のみLPIを受けた者を対象として検討した。
・隅角検査と前眼部OCT検査をLPIの2週間後に行った。
・PACへの進展あるいはAAC発作が発生したものを[進行]と判定した。
・仮説として考えられる要因を持つ集団と持たない集団を追跡するコホート研究Aでは、LPI治療を受けたものと受けていないものの混合の878例878眼(58.9±5.0才、女性82.7%)を対象とし、コホート研究Bでは、LPI治療を受けた片眼のみを対象とした869例869眼(58.9±5.0才、女性82.5%)である。
・イベントが発生するまでの期間を分析する生存時間分析である単変量と多変量のCox回帰分析を行い、進行のriskファクタを評価した。
・コホートAでは878眼中44眼に進行がみられた。
・多変量回帰では、年齢や隅角の開放度で補正すると、LPI治療は進行に関与していなかった(HR=0.67 95%CI=0.34-1.33 p=0.25)。
・コホート研究Bでは869眼中19眼に進行がみられた。
・多変量回帰では、TISA(trabecular iris space area) at 500μmが0.01mm2小さいとHR=1.33 (95%CI=1.12-1.56 p=0.001)、隅角開放の合計スコア(0-4 x4象限)が1スコア小さいとHR=1.25 (95%CI=1.03-1.52 p=0.02)で進行がみられた。
・前眼部OCTでTISA at 500が0.05mm2以下であるとHR=9.41 95%CI=3.39-26.08 p<0.001)で、隅角の合計スコアが6以下であるとHR=2.80 95%CI=1.13-6.93 p=0.04で、進行リスクが高くなっていた。
・LPI治療を行なった後に、隅角鏡、前眼部OCT検査を行なうことは重要である。(TY)
Evaluaton and follow-up of myopia prevalence among school-aged children subsequent to the COVID-19 home confinement in Feicheng, China.
Wang J et al(China)
JAMA Ophthalmol 141(4): 333-340, 2023
・2020年1月から5月にかけて、COVID19による小児達の家庭内幽閉があり、その時期に近視進行がみられた6歳から8歳の小児の近視進行は、1年後には止まったかどうかを検討した。
・測定はSpot Vision Photoscreenerを使用した。
・対象は325,443名の小児で51.4%が男児である。
・2020年の幽閉時に比較して2021年の屈折度は有意に+化した。
・6歳児は+0.42D、7歳児は+0.41D、8歳児は+0.33Dとなり、近視児の割合は2019年と2021年で同定度となった。
・6歳児は5.7%:7.9%、7歳児は13.6%:13.9%、8歳児は26.29.5%であって、家庭内幽閉による近視化は一過性のものであった。(TY)
An outbreak of fungal endophthalmitis after cataract surgery in South Korea.
Kim SW et al(Korea)
JAMA Ophthalmol 141(3): 226-233, 2023
・韓国における汚染された粘弾物質による2020/9-2021/6にかけての全国的な白内障術後の真菌性眼内炎について報告する。粘弾物質:Unial(Unimed Pharmaceutical Inc)。
・256例281眼(65.4±10.8歳)が真菌性眼内炎と診断された。
・白内障手術から真菌性眼内炎と診断されるまでの期間は、24.7±17.3日であった。
・症状は、硝子体混濁が75.4%、眼内レンズへの浸潤が50.9%、毛様体浸潤が19.6%。
・260眼で培養が行われ、103眼(39.65)で真菌が検出され、Fusariumが89眼(86.4%)であった。
・経過を追った228眼での視力はlogMARで0.78±0.74(小数点視力20/120)から6ヶ月後に0.36±0.49(小数点視力 20/45)に改善した。
・術後眼内炎軽快後に、術後眼内炎の所見が全く消失した症例は214眼(93.9%)であった。(TY)
Incidence and progression of chorioretinal folds during long-duration spaceflight.
Ferguson CR et al(TX USA)
JAMA Ophthalmol 141(2): 168-175, 2023
・6か月から12ヶ月の間、国際宇宙ステーションに滞在した乗組員について、神経眼症候群のひとつとしての脈絡膜網膜趨壁について検討した。
・視神経乳頭浮腫の指標としての視神経乳頭周囲の網膜厚も同時に検討した。
・36名の乗組員の年齢は46±6才で、女性が7名(19%)。
・脈絡膜網膜趨壁は12/72眼(17%、6名の乗組員)にみられた。
・視神経乳頭浮腫の所見のあった症例では、10/42眼(24%)に脈絡膜雛壁があり、4/42眼(10%)に網膜内層の趨壁、2/42眼(5%)に傍乳頭の趨壁がみられた。
・網膜趨壁のみられた眼や傍乳頭趨壁がみられた眼は全眼、脈絡膜趨壁が見られた。
・脈絡膜雛壁症例の内、黄斑部の脈絡膜雛壁は7/12眼(4/6名の乗組員)でみられ、宇宙滞在中に進行し、6眼では中心窩に掛かっていた。
・傍乳頭脈絡膜雛壁は視神経乳頭の主に上方、鼻側、下方にみられ、宇宙滞在中に広がり、重症化した。
・脈絡膜雛壁は特発性頭蓋内高血圧によるものとは異なっている。
・体重減少中に進展していることなども考慮し、宇宙滞在中の神経眼症候群の防衛策が立てられる可能性もある(TY)
Identification of factors associated with the development of optic disc edema during spaceflight.
Pardon LP et al(TX USA)
JAMA Ophthalmol 140(12): 1193-1200, 2022
・長期間の宇宙滞在をした乗組員のほぼ70%で視神経乳頭浮腫を発症することが分かってきており、宇宙滞在関連の神経眼症候群の特徴となっている。
・この所見には個人差があるが、その理由はまだ不明である。
・この視神経乳頭浮腫は月とか火星とか、宇宙滞在時間が長くなってくると不可逆性の視機能障害を引き起こす可能性のある重大な問題である。
・この点につき2021/8~2022/6までの31名(46.9±6.0才:25名(80.6%)が男性)で解析した。
・宇宙滞在中、視神経乳頭周囲の網膜厚は392.0±5.8から430.2±9.2μm(p<0.001)に増加し、陥凹容積は減少し(p=0.002)、陥凹は浅くなり(p=0.03)、陥凹幅は狭くなったが(p=0.03)、個人差が大きかった。
・視神経乳頭周囲の網膜厚とその他のものとの関連は見つからなかった。
・視神経の小乳頭が視神経乳頭浮腫に関連していたが、理由は分からなかった(TY)
Changes in optic nerve head and retinal morphology during spaceflight and acute fluid shift reversal.
Pardon LP et al(TX USA)
JAMA Ophthalmol 140(8): 763-770, 2022
・無重力状態で頭の方に体液が移動する事を予防する下半身陰圧治療対策は無重力に付随した神経眼科の症候を緩和できるか検討した。
・短時間の飛行中の25mmHg下半身陰圧治療の効果についても検討した。
・視神経乳頭と黄斑部のOCTを、飛行前、飛行中、地上に戻ってから180日までの間、測定した。
・各BMO点からONHを中心として、4mmのBMの基準点に引いた直線までの最短距離をBMO hightとし、BMO基準線から200μ前方の水平線との交点を乳頭カップ縁として、その囲まれた部位をカップ容積とした。
・飛行中は、通常の状態と10分から20分の下半身減圧中に行った。
・飛行士の年齢は45±6歳、飛行期間は11名(79%)の男性飛行士は214±72日。
・150日目の眼所見では、視神経の最小リム幅が増加:33.8μm(95%CI=27.9-39.7μm p<0.001)、陥凹容積が減少:0.038mm3(95%CI=0.030-0.046mm3 p<0.001)、ブルッフ膜開口部が後方移動:-9.0μm(95%CI=-15.7~-2.2μm p=0.009)、視神経乳頭周囲の網膜厚は増加し、黄斑厚は減少した。
・短時間の下半身減圧治療はこれらの変化に影響していなかった。(TY)
Efficacy of Marine ω-3 Fatty Acid Supplementation vs Placebo in Reducing Incidence of Dry Eye Disease in Healthy US Adults: A Randomized Clinical Trial
William G. Christen, et al. (MA USA)
JAMA Ophthalmol. 2022;140(7):707-714.
・目的: 海洋性ω-3 脂肪酸の長期にわたる毎日の摂取が DED の発症を予防するかどうかを評価すること。
・対象と方法:23,523 人の米国成人 (男性は 50 歳以上、女性は 55 歳以上) で、研究登録以前に DED と診断さたことがなく、強いドライアイ症状を経験していなかった。
・海洋性ω-3 脂肪酸(fish oil、EPA、DHA)1 日1 g摂取(治療グループ)またはプラセボを摂取した(プラセボグループ)グループに分けた。
・第一エンドポイントは、医療記録によって確認され、臨床的に診断された DED。第二エンドポイントは、臨床的に確認されたDED+強いDED 症状とした。
・結果:追跡期間5.3 (3.8-6.1) 年の間に、23,523 人中 472 人 (2.0%) が診療記録でDED の診断を受けたと確認された。
・第一エンドポイントでは、治療グループ11,757人のうち232人[2.0%]、プラセボグループ11,766人のうち240人[2.0%]がDED の診断を受けた。両グループ間に有意差はなかった。(hazard ratio, 0.97; 95% CI, 0.81-1.16).
・同様に、第二エンドポイントでもグループ間に差はなかった(治療グループ1044人 [8.9%]、プラセボグループ1074人[9.1%]; hazard ratio, 0.97; 95% CI, 0.89-1.06).
・結論:1 日あたり 1 g の海洋性ω-3 脂肪酸を長期的に補給しても、DEDの発生率は減らなかった。(CH)
Serious adverse events of oral and topical carbonic anhydrase inhibitors.
Propovic MM et al(Canada): JAMA Ophthalmol 140(3): 235-242, 2022
・内服と点眼の炭酸脱水素酵素阻害剤の安全性を検討した。
・1995/1から2020/1までの25年間にカナダのOntarioで、65歳以上の128,942例を対象(年齢75±6.6才、女性が55.8%、DMが19.4%)として、炭酸脱水素酵素阻害剤の使用開始後120日以内のものを調査した。
・症例は眼科医が診察していなくても、緑内障の病名がついていないものも対象となっている。
・内服はアセタゾラミドとmethazoramideであり、点眼はドルゾラミド、ブリンゾラミドとこの合剤
・Stevens-Johnson症候群、Toxic epidermal necrolysis、再生不良性貧血を対象とすると、内服では2.9例/1000例、点眼では2.08例/1000例に発生していた(TY)
Efficacy of a Web App–Based Music Intervention During Cataract Surgery
A Randomized Clinical Trial
Gilles Guerrier, MD, PhD; Hendy Abdoul, MD, PhD; Lea Jilet, MsC; et al(France)
JAMA Ophthalmol. 2021;139(9):1007-1013. doi:10.1001/jamaophthalmol.2021.2767
【目的】
白内障手術中の不安と高血圧イベントに対するウェブアプリを用いた音楽介入の効果を検証
【対象と方法】
・白内障手術予定310名を前向き無作為に割り付け、309名が解析
・平均(SD)年齢68.9(10.8)歳、女性176名(57%)
・手術前の20分間、音楽群(ウェブアプリの音楽をヘッドフォンで聴く)または対照群(音楽を流さないノイズキャンセリングヘッドフォン)のいずれかに無作為に割り当て
・U-sequenceテクニックを用いた不安軽減専用の音楽を患者がアプリから選択
https://www.music.care/en/index.html
【結果】
・高血圧の発生率:
音楽群(21人[13.6%])が対照群(82人[52.9%])より有意に低く、
2群間の差は39.3%(95%CI, 21.4-48.9%; P < .001)であった
・不安の視覚的尺度の平均(SD):
音楽群(1.4[2.0])で対照群(3.1[2.4])より有意に低く、
その差は1.5(95%CI、1.0~2.1;P = 0.005)であった
・手術中に必要な鎮静剤注射の平均(SD)回数:
音楽群 vs 対照群でそれぞれ 0.04(0.24) vs 0.54(0.74)、
その差は0.50(95% CI,0.43-0.57;P<0.001)
【結論】
白内障手術の前にウェブアプリでの音楽介入を行うことは、患者の不安レベルや血圧上昇の頻度を下げ、鎮静剤の必要性を減らすことができる可能性が示唆された。(MK)
Changes in the optic nerve head and choroid over 1 year of spaceflight.
Macias BR et al(TX USA)
JAMA Ophthalmol 139(6): 663-667, 2021
・1年間のSpaceflightを行った2名の乗組員を6か月の乗務を行った11名と比較して検討した。
・1名の乗組員では軽度の視神経乳頭浮腫、もう1名の乗組員では進行性の脈絡膜雛壁と視神経乳頭浮腫が1年後もみられた。
・6か月以上の乗務については眼の健康について、もう少し検討が必要である(TY)
Postoperative Photoreceptor Integrity Following Pneumatic Retinopexy vs Pars Plana Vitrectomy for Retinal Detachment Repair: A Post Hoc Optical Coherence Tomography Analysis From the Pneumatic Retinopexy Versus Vitrectomy for the Management of Primary Rhegmatogenous Retinal Detachment Outcomes Randomized Trial .
Muni RH, Felfeli T, Sadda SR, et al. (England)
JAMA Ophthalmol. 2021;139(6):620–627. doi:10.1001/jamaophthalmol.2021.0803
【目的】
気体網膜復位術(PnR)と硝子体手術(PPV)の術後12か月における視細胞の健常さをSD-OCTで比較
【対象と方法】
St Michael’s Hospitalで2012年8月~2017年5月に実施されたPneumatic Retinopexy Versus Vitrectomy for the Management of Primary Rhegmatogenous Retinal Detachment Outcomes Randomized Trial(PIVOT)のpost hoc解析
網膜剥離患者をPnRまたはPPVへ無作為に振り分け、黄斑の状態により層別化
ellipsoid zone(EZ)と外境界膜(ELM)の不連続性を有する患者の割合を、外部のマスクされた画像読影センターでマスクされた2人のグレーダーが独立して評価
【結果】
計150人が12か月のフォローアップを完了
うち計145人(PPV 72人、PnR 73人)が12か月後にSD-OCTを受けた
中心3mmスキャン解析では、PPV群とPnR群ではそれぞれ、
24%(17/72眼)対7%(5/73眼)にEZの不連続性が認められ(OR 4.204 ; p=0.005)、
20%(14/71眼)対6%(4/73眼)にELMの不連続性が認められた(OR 4.237;p=0.01)
中心6mmスキャンの解析でも、EZおよびELMの不連続性はPPV群で有意に大きかった
EZ断裂;32% [23/72眼] vs 11% [8/73眼]; OR, 3. 814;P = 0.002
ELM断裂;32%[23/71眼] vs 18%[13/73眼];OR、2.211; P = 0.04
【結論】
EZおよびELMの不連続は、網膜剥離の復位術後12か月の時点において、PnRに比べてPPVでより頻度が高かった。この結果は、EZとELMの不連続性が少ないことが、以前に報告されたPnRによる優れた機能的転帰の解剖学的根拠となっている可能性を示唆しているが、因果関係を証明するものではない。(MK)
Assessment of Cumulative Incidence and Severity of Primary Open-Angle Glaucoma Among Participants in the Ocular Hypertension Treatment Study After 20 Years of Follow-up
Michael A. Kass, et al(UK)
JAMA Ophthalmology, 139(5):558-566, 2021
・OHTS Study: 視野と視神経の正常、少なくとも1眼が24mmHg以上32mmHg以下。他眼が21mmHg以上32mmHg以下、40-80歳(ベースラインの平均年齢55歳)
・OHTS1 1994.2.28-2002.6.2
・1994.2月から1996年10月まで22のクリニックで1636名を点眼治療群と経過観察群に分けて、5年後のPOAG発症リスクを比較
・経過観察群 9.5%→ 治療群 4.4%
・年齢・眼圧、角膜厚、垂直C/D比、PSDがPOAG発症のリスク
・OHTS2 2002.6.3-2008.12.30
・OHTS1での治療の遅れが有害であったか確認するため、両群に治療を行う
・結果 治療開始によってPOAG発症率は抑えられ、治療の遅れによる影響は見いだせなかった
・2009年からは両群の治療プロトコルの規定はなくなった。点眼継続・中断は医師の裁量
・OHTS3 2016.1.7-2019.4.15 <今回の報告>
・対象者の20年後もしくは死亡前2年以内のPOAGの発症頻度の調査
・1636名のうち 515名は死亡(31.5%)
・OHTS Phase3で評価できたのは971名(718名は生存)
・483名(29.5%)にPOAGを少なくとも1眼に発症、199名(12.2%)に視神経変化(視野異常なし)、284名(17.4%)に視野異常(視神経の変化無し)
・観察人年で調整した累積発症率は全体で45.6%、OHTS1での治療群41.9%、観察群49.3%であった
・20年の視野障害を伴うPOAGは25.2%であった。
・20年目のリスク別の累積発症率:Low 31.7%、Medium 47.6%, High 59.8%
・1636名のうち11名が経過観察中にPEを認め、うち5名がPEGとなった
・89名にLIが行われているが、3名がACG,3名がcombined-mechanism glaucomaで残りの83名は狭隅角の診断、1例がPigmentary glaucomaとなった。
・視力0.5未満になったものは11.0%(片眼8.6%、両眼2.3%)、0.1未満 1.2%
・視野が-22dB以下になったものは3.2%(片眼2.5%、両眼0.7%)
・OHTS2以降72.0%は眼圧下降薬の治療を受けていた
・18.1%で緑内障手術を受けている(LTP:9.6%、LI:5.4%、TLE:3.4%、Cat+TLE:3.4%、Tube:1.0%)(MM)
Hand sanitizer-induced ocular injury: A COVID-19 hazard in children.
Yagzes S et al(India)
JAMA Ophthalmol 139(3): 362-364, 2021
・COVID-19対応で手指に使用するアルコール消毒で角膜を障害された2例の小児を報告する。
・症例1は4歳の女児で、店先にあったスタンド式のアルコール消毒器具を使用しようとして角膜外傷を発症したが、2週間で完治。
・症例2は5歳の男児で、角結膜障害を発症したが、5日で完治した。
・アルコールは角膜辺縁部の幹細胞に対する毒性が強く,角膜上皮細胞に対して細胞毒性がある。
・小児用の消毒装置も設置することが必要である。(TY)
Progression of Myopia in School-Aged Children After COVID-19 Home Confinement
Jiaxing Wang, et al (China)
JAMA Ophthalmol. 39(3): 293-300, 2021
・COVID-19で自宅隔離となった学童期の屈折変化と近視の分布を調査する。
・2015-2020年にかけて行われている、10の小学校の6-13歳123535名にスポットヴィジョンスクリーナーで調査
・通常9月に実施する検査であるが、2020年は1月から5月前学校が閉鎖されていたため、6月に実施した。
・6-8歳では2019年までと比べて-0.3Dの進行を認め、2015-2019年までの最も高い近視の割合と比較しても2020年の近視割合は高かった。(6歳21.5% vs 5.7%、7歳26.2% vs 16.2%、8歳37.2% vs 27.7%)
・9-13歳では過去のデータと比べて屈折、近視の割合の変化はわずかであった。
・無散瞳での評価、過去のオルソケラトロジーの利用歴の欠如、他の眼科バイオメトリーデータの欠如などの制限はあるが、より若年児童では高学年の児童よりも環境の変化を受けやすく、近視進行の重要な時期であるかもしれない。(MM
Risk factors and disease course for blood-brain barrier disruption-associated maculopathy.
Simonett JM et al(Portland)
JAMA Ophthalmol 139(2): 143-149, 2021
・悪性中枢神経腫瘍(CNS腫瘍)に対する血液脳関門破壊(BBBD)治療と関連している色素性黄斑症について2006/2~2019/12の283症例のうち、眼科検査を行った68例について検討した。
・年齢は46.0±17.9才で25例(38.5%)が女性。硝子体混濁の強かった3例を除いた65例のうち32例(49.2%)に色素性黄斑症が発症していた。
・発症はBBBD治療の回数と相関していたが、年齢、腫瘍や治療薬の種類には関連がなかった。
・BBBD治療の終了後も地図状萎縮が拡大した症例は3例5眼にみられ、脈絡膜新生血管は1眼で発症していた。
・黄斑症の発症は容量依存性のものであると考えられた。(TY)
Real-Time Imaging of Incision-Related Descemet Membrane Detachment During Cataract Surgery
Ye Dai, et al. (China)
JAMA Ophthalmol. 2021;139(2): 150-155.
・水晶体超音波乳化吸引術の各ステップで切開関連のデスメ膜剥離(DMD)の発生をリアルタイムで検出し、関連する要因を分析した。
・2.2 mm角膜切開で白内障手術を行い、各ステップでDMDの発生をリアルタイムで手術顕微鏡に接続したiOCTシステム(Zeiss Rescan 700; Carl Zeiss Meditec)を使用し、5ラインのスキャンモード(0.75 mm間隔、6mm幅)でリアルタイムの術中スキャン結果を検討した。
・白内障手術を受けた133人133眼(平均[SD]年齢、72.3 [8.1]歳)の中で、DMDは125眼(94.0%)で発生した。前嚢切開(2 [1.6% ])、hydrodissection(7 [5.6%])、U/S(69 [55.2%])、I/A(44 [35.2%])、およびIOL挿入(3 [2.4%])。 DMDの範囲は、手術中に増加した。
・DMDの範囲大きさには、超音波時間(β= 0.34; 95%CI、0.17-0.50; P <.001)、超音波出力(β= 87.8; 95%CI、19.1-156.4; P =0.01)が関連していた。
・DMDは94.0%で認められ、主にU/S中に発生し手術中に増加した。手術器具の摩擦が関連し、その重症度は超音波出力の高さと時間の長さに関連していることを示唆している。(CH)
Eye protection for patients with COVID-19 undergoing prolonged prone-position ventilation.
Sun L et al(NY USA)
JAMA Ophthalmol 139(1): 109-112, 2021
・重症のコロナウイルス病(COVID-19)で最高の換気設定を行なっても効果のない患者には1日最低16時間のうつ伏せでの吸気管理を行なうことがある。
・このうつ伏せは、適切な処置が行なわれていなければ眼窩隔壁症候群を引き起こす可能性がある。
・ここでは2例のOrbital compartment症候群での視神経乳頭浮腫、網膜出血などについて述べる。
・2020/4-5月で、COVID-19のために16例がICUに入っており、そのうち4名がうつ伏せ換気が必要となり、そのうち2名で発症していた。
・視神経乳頭浮腫、網膜出血、眼圧上昇である。
・この症候群を防ぐには眼球の廻りにクッションを置いたり、頭位を心臓より高く保つことが重要である(TY)
Characteristics of ocular findings of patients with Coronavisus disease 2019 (COVID-19) in Hubei Province, China.
Wu P et al(China)
JAMA Ophthalmol 138(5): 575-578, 2020
・湖北省の中心病院で、2020/2/9から2/15の間に治療したCOVID-19患者の眼所見について報告する。
・このsevere acute respiratory syndrome coronavirus 2(SRRS-CoV-2)の逆転写酵素PCR (RT-PCR)結果についても報告する。
・COVID-19と確定された38名(男性25名 65.8±16.6歳)のうち、微咽頭からRT-CCRでCOVID-19の陽性所見者は28名(73.7%)で、そのうち2名(5.2%)では結膜ならびに微咽頭からSARS-CoV-2の陽性所見がでた。
・12/38名(31.6%)で結膜充血、浮腫、流涙、眼脂増加などの結膜炎所見があった。
・単相関では眼所見のある患者は白血球(10900:5730 p<0.01)や好中球値(9510:4260 p=0.01)が高く、蛋白質PCT、C反応性蛋白CRP(8.55:3.61 p=0.04)、乳酸脱水素酵素値LDH(381.7:234.7 p=0.03)が、眼所見のない患者より高かった。
・眼所見のあった12名中11名(91.7%)では鼻咽頭からRT-PCRでSARS-CoV-2の陽性所見があり、このうち2/12名(16.7%)では鼻咽頭と結膜の両方からRT-PCRでSARS-CoV-2の陽性所見があった。
・涙液にSARS-CoV-2陽性所見のでる有病率は低いが,眼から感染した可能性もある。(TY)
Effects of cataract surgery on melatonin secretion in adults 60 years and older. A randomized clinical trial.
Nishi T et al(奈良医大)
JAMA Ophthalmol 138(4): 405-411, 2020
・白内障手術により光が多く網膜に吸収され、メラトニン分泌が増加すると考えられている。
・メラトニン分泌は抑鬱、糖尿病、認知障害、乳癌などと関連することが分かっており、今回、白内障手術との関連について検討した。
・2014年から2017年にかけて169例(75.7±6.7歳)で臨床研究を行い、2018年から2019年にかけて結果を解析した。
・60歳以上でGrade2以上の核白内障のある患者を対象とした。
・G1は透明IOL移植、G2は黄色IOL移植、G3はメラトニン検査後に透明IOL移植、G4はメラトニン検査後に黄色IOL移植群とし、G3とG4をCtrl群とした。
・尿中のメラトニン分泌をG1とG2では術後3か月後に、Ctrl群であるG3とG4では術前に測定した。
・尿中メラトニン分泌はG1,G2ではCtrl群よりも有意に高かった(p=0.007)。
・透明IOL移植群での尿中メラトニン分泌量はG1ではG3よりも有意に高かった(p=0.008)が、黄色IOL移植群ではG2はG4と比較して高かったが有意差はなかった(p=0.33)。
・透明IOLのG1と黄色IOLのG2との間には有意差はなかった(p=0.48)。
・白内障手術はメラトニン分泌を増加させるが、透明IOLと黄色IOLとの間の関連は不明確であった。
・参照:Chellappa SL et al.: Association of intraocular cataract lens replacement with circadian rhythms, congnitive function, and sleep in older adults. JAMA 137: 878, 2019(TY)
Association of federal regulations in the United States and Canada with potential corneal donation by men who have sex with men.
Puente MA et al(LA USA)
JAMA Ophthalmol 138(11): 1143-1149, 2020
・米国連邦の方針として、過去5年間(カナダでは1年間)に同性愛関係のあった男性(MSM)の角膜提供を禁止している。
・角膜提供についてのこの潜在的な重要性について評価した。
・米国とカナダにある全65のアイバンクに電話で問い合わせ、このMSM制限の為に2018年(全使用角膜は138,621眼)に不適格とみなされた提供角膜数を調べた。
・その他、2019/5~2020/2に公表されたデータも含めた。
・54/65(83%)のアイバンクから回答が得られた。
・30のアイバンクはMSMの記録を保存しておらず、24のアイバンクでは2018年に360例720眼の角膜を不適格としていた。
・この24のアイバンクでは2018年の米国ならびにカナダにおける全提供角膜の46.2%を提供していたため、2018年には1558眼(全提供角膜の1.1%)の提供角膜が不適格となっていたと推測される。
・他のデータも含めると、2018年には3217眼(全提供角膜の2.3%)の提供角膜が不適格となっていたと考えられる。
・HIVの検査は数日で判明し、角膜が不足していることからもこのMSM制限は再評価されるべきであろう(TY)