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American Journal of Ophthalmology

2012
154巻

眼球に化学熱傷を受けた患者の緑内障

American Journal of Ophthalmology 154巻(3号)2012

Glaucoma in Patients With Ocular Chemical Burns
MICHELLE P. LIN et al (Seattle ,Washington)
Am J Ophthalmol 2012 ;154 :481-485
・ワシントン大学眼科での18名29眼。
・化学熱傷で角膜が不透明になり精査困難なため、眼圧21㎜Hg以上を緑内障とした。
・化学熱傷は、Roper-Hall分類を使用。
              グレードⅠ:輪部虚血の無い、角膜上皮の損傷
                  Ⅱ:虹彩の詳細は透見できる角膜混濁で、輪部1/3以下の虚血
                  Ⅲ:全上皮の欠損。虹彩は透見できない。1/3~1/2の輪部虚血
                  Ⅳ:角膜混濁が強い。虹彩も瞳孔も透見できない。1/2周以上の輪部虚血
・男性(83%)、白人(83%)、アルカリ外傷(83%)平均pH9.38。アルカリの中で68%は視力0.1以下。R-H分類でⅠ(17.2%)、Ⅱ(13.8%)、Ⅲ(31.0%)、Ⅳ(37.9%)。1眼は眼球破裂のため10日後に摘出。
・眼表面に化学薬品を受けると、初期の直接的なケガというのは、繊維柱帯と流出路の組織の収縮と破壊をおこす。その後、慢性的な炎症により、癒着と隅角の閉塞に移行する。それ以外、長期ステロイド投与を続ければ遅れて眼圧の上昇につながる。
・眼球化学熱傷でRoper-Hall分類ⅢかⅣの眼は、眼圧が上昇しやすく(35.9vs16.4㎜Hg; P=.001)、長期の緑内障薬の投与(P=.003)と手術(P=.016)が必要となりうる。最終的な視力は、一般的に眼圧コントロールが良好となっても、角膜混濁のため、不良となりやすい。(YM)

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