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American Journal of Ophthalmology

2019
203巻

緑内障点眼群と手術群の眼圧日内変動

American Journal of Ophthalmology 203巻 (7号) 2019

Fluctuations of the intraocular pressure in medically versus surgically treated glaucoma patients by a contact lens sensor.
Muniesa MJ et al(Spain)
Amer J Ophthalmol 203(7): 1-11, 2019
・隅角が開放している緑内障77名91眼を点眼加療中の59眼(66.6±8.5歳)と緑内障手術眼32眼(68.3±12.5歳)に分け、眼圧の24時間変動をcontact lens sensor(CLS)で測定した。
・緑内障手術眼32眼の内、11眼(34.3%)は点眼加療中である。
・手術群のCLS値は100±41mV eqであったが、点眼群では131±69であり有意差があった(p=0.010)。
・最高値は手術群で160±187、点眼群で303±176で有意差があった(p=0.001)。
・夜間のピークがなくなっているものは、手術群で12眼(42.9%)、点眼群で8眼(13.8%)(p=0.011)であり、CLSの最高値、最低値は点眼群では手術群よりも有意に大きかった(p=0.001とp=0.006)。(TY)

2019
201巻

POAGにおける白内障手術と視野障害進行率の関係

American Journal of Ophthalmology 201巻 (5号) 2019

Cataract Surgery and Rate of Visual Field Progression in Primary Open-Angle Glaucoma
Ji H Kim et al (USA)
Am J Ophthalmol 201(5): 19-30, 2019
POAGにおいて白内障手術の前後でIOPと視野障害の変化を調査
対象:99名134眼のPOAG患者をレトロスペクティブに検討
コントロール:IOL術後10年以上10回以上の視野検査を行った症例29例36眼の経過を前半5年、後半5年で分けて視野障害進行率を検討
平均観察期間:術前6.5(4.7-8.1)年、術後5.3(4.0-7.3)年
IOPのパラメータ(平均眼圧、標準偏差、ピークIOP)はすべて低下したものの、視野関連の指標(MD,VFI, pointwise linear regression(PLR), pointwise rate of change(PRC),Glaucoma Rate Index(GRI))は術後進行していた。
術前にレクトミーがしてある群は白内障手術前後の進行率に有意差はなかった(Table 5)
Baseline MDと術後のピークIOPが悪いことが術後の視野障害進行率と相関あり(Table6)
コントロールでは前半と比べて後半の進行が早い
GRI: -0.36(±10.85) : -9.71(±14.78)
MD slope: -0.29(±1.63) : -1.27(±1.79) dB/year
VFI slope: -0.66(±1.19): -0.77(±1.07) %/year
緑内障の経過として直線的に視野障害が進行するのではなく、後半に加速していく(図)
結論:白内障手術で眼圧は術後下がるが、術前と比べて視野障害の進行を遅くしているとはいえない(MM)

2019
200巻

ドライアイを伴う糖尿病および非糖尿病における涙液の炎症性サイトカインの分析および臨床的相関

American Journal of Ophthalmology 200巻 (4号) 2019

Tear Inflammatory Cytokines Analysis and Clinical Correlations in Diabetes and Nondiabetes With Dry Eye
RONGJUN
LIU, et al. (China)
Am J Ophthalmol 2019(4);200: 10-15.
目的:糖尿病におけるドライアイの病因は主に、涙腺の微小血管の損傷および角膜知覚の障害による涙の刺激性分泌減少であると考えられている。
眼球表面の特徴と涙の炎症性サイトカインのレベルを評価することによって、糖尿病におけるドライアイ(DE)の理解を深めること。
対象と方法:DM(+)DE(+)群 32人、DM(+)DE(-)群 24人、DM(-)DE(+)群 29人、DM(-)DE(-)の対照群 29人。(表1)
眼表面疾患指数(OSDI)、涙液層破壊時間(BUT)、シルマー試験I法、角膜フルオレセイン染色(CFS)および角膜感受性を含む眼表面特性を評価した。
さらに涙液中のEGF、IL-17A、IL-Iβ、およびTNF-αの分析、それらの臨床相関関係を調査した。
結果:DM(-)DE(+)群のOSDIスコアが他の3群のそれよりも有意に高いことを示した(それぞれP = 0.001、P <.0001、P <.0001)。また、DM(+)DE(+)群のOSDIスコアは正常群よりも高かった(P = 0.033)
BUT値は対照群と比較して他の3群は 有意に低かった(それぞれP <.0001、P = .019、およびP <.0001)。
DM(+)DE(+)群およびDM(-)DE(+)群のCFSスコアは他の2群より有意に高かった(全てP <0.0001)。
DM(+)DE(+)群およびDM(-)DE(+)群は、対照群と比較して低いシルマー試験I法スコアを示した(P = 0.001およびP = 0.01)。また、より低い角膜感受性を示した(P = 0.007およびP = 0.042)。
涙液中のEGFレベルはDM(+)DE(+)群で有意に増加した。
DM(+)DE(+)群では、EGFのレベルはCFSスコアと正の相関があり、シルマー試験I法とEGFに負の相関があった。
DM(-)DE(+)群では、涙液中のIL-1βおよびTNF-αのレベルは、CFSスコアと正の相関が見られた。
結論:DM(+)DE(+)群およびDM(-)DE(+)群は対照群と比較して角膜感受性が有意に減少していた。また、涙液中のEGFのレベルは、DM(+)DE(+)群における眼球表面パラメータと相関していた。これは、糖尿病におけるDEの診断のバイオマーカーとなる可能性がある。(CH)

2019
200巻

傍乳頭深層微小血管脱落と視野障害進行の関係

American Journal of Ophthalmology 200巻 (4号) 2019

Parapapillary Deep-Layer Microvasculature Dropout and Visual Field Progression in Glaucoma
Ji Min Kwon, et al (Korea and USA)
Am J Ophthalmol 200(4): 65-75, 2019
138名138眼のPOAG患者を平均5.5年観察 OCTAと過去5回以上のVFを比較
55眼(39.9%)がVF進行 SD IOP、ベースラインMDとPSD,DH、βPPA+BMが大きい、LC欠損が有意に進行群に多かった。
上記で調整してもDropoutがある群の方が進行の割合が高かった:50/84(59.5%) vs 5/54(9.3%) P<0.001 OR 3.64-5.68
微小血管脱落群のうち、34/84例40.48%、脱落なし群の49/54例(90.74%)は進行していない:微小血管脱落がないことは病態が落ち着いている状態を示すが、血管脱落があることは直ちに視野進行を示すものではないOCTAによる傍乳頭深層血管脱落は以前の視野障害進行と関係している(MM)

2019
199巻

緑内障ドレナージ装置を用いた眼における角膜移内皮移植術の臨床結果

American Journal of Ophthalmology 199巻 (3号) 2019

Clinical Outcomes of Descemet Membrane Endothelial Keratoplasty in Eyes With a Glaucoma Drainage Device
RENUKA S. BIRBAL, et al. (Netherlands)
Am J Ophthalmol 2019(3);199:150-158.
目的:ドレナージ装置(GDD)を用いた緑内障手術を受けた症例に対する角膜移内皮移植術(DMEK)の結果を評価する。
対象と方法:19人20眼でトータル23回のDMEKを施行した。平均年齢63.8 ±12.7歳。
Express 13眼、チューブシャント 1個 17眼、2 個 3眼(重複あり)。
水疱性角膜症(52%)、DSAEKまたはDMEKの移植片不全(39%)、Fuchs角膜内皮ジストロフィー(9%)
矯正視力、内皮細胞密度(ECD)、術後合併症、および移植片生存率を検討した。
結果:平均経過観察期間19(±17)ヶ月。
術後1年での生存率は89%、術後2年で67%に減少した。生存率の急速な低下はGDDを用いた目の中のPKおよびDSAEK後にも報告されている。(図1)
術後1年(n = 15眼)で、BCVAは11眼(73%)でスネレン視力2ライン以上改善し、4眼(27%)で維持していた。
ドナーECDは術後1、6および12ヶ月でそれぞれ37%(n = 14)、60%(n = 11)、および71%(n = 11)と減少した。
術後12ヵ月で71%というECDの減少は標準DMEKより高かった。
術後2年までの術後合併症は、瞳孔ブロック1眼、空気再注入を必要とする移植片剥離5眼(22%)、ステロイド点眼使用で治癒できた拒絶反応は2眼(9%) 、移植片不全(9%)、再移植は2眼で必要とされた(9%)。(表3)
移植片不全発生率も標準DMEK後よりも高かった。しかし、GDDを有する眼に対するDSAEK(26%〜50%)およびPK(30%〜70%)と比較すると低かった。
結論:GDDは移植片の生存期間を短縮し、そして再移植の危険をもたらす。
その原因は、第一にチューブシャントによる房水循環パターンの変化は内皮細胞の生存率に悪影響を及ぼす可能性がある。第二に、GDD自体が断続的なブドウ膜への接触により血液房水関門の破綻を引き起こしたり、眼を擦ったり、強く瞬きすることによりGDDが角膜に接触する慢性外傷によりアポトーシス、および炎症性タンパク質が増加し、角膜内皮障害を引き起こす可能性がある。(CH)

2019
198巻

白内障術後のIOL偏位の長期経過

American Journal of Ophthalmology 198巻 (2号) 2019

Frequency of intraocular lens dislocation and pseudophacodonesis, 20 years after cataract suregry-A prospective study.
Mönestam E(Sweden)
Amer J Ophthalmol 198(2): 215-222, 2019
・1997-1998に白内障手術を行った800例(11名にCTR)のうち、20年後には666名が死亡。
・このうち660名(10名のCTR)で追加手術なし、6名(1名のCTR)で偏位手術を行なっていた。
・20年後に34名の生存者では検査できなかったが、32名は追加手術なし、2名で偏位手術施行していた。
・残りの100名に検査を行い、そのうち2名は偏位手術を行っており、残りの98名には手術は施行していない。
・この98名のうち中等度以上のIOL動揺は5名で見られ、そのうち3名はPXFであった。
・軽度のIOL動揺は2名でみられ、残りの91名ではIOLはみられなかった。
・結果として、800名のうち10名(68.3歳58-80歳)でIOL偏位の手術をうけたことになった。
・白内障手術前に39%の患者はPXFであった。
・白内障手術後から偏位手術前の平均は12年6ヶ月(3年9カ月から19年3か月)であった。
・20年間の累積の偏位手術はPXF患者では6%、PXF以外では2%(p=0.035)。(TY)

2019
198巻

水疱性角膜症の角膜厚と前房内サイトカイン濃度の関連

American Journal of Ophthalmology 198巻 (2号) 2019

Cytokine Levels in the Aqueous Humor Are Associated With Corneal Thickness in Eyes With Bullous Keratopathy
NATSUME SUZUKI, et al. (東京歯科大学)
Am J Ophthalmol 2019(2);198:174-180.
目的:水疱性角膜症(PBK)の重症度と前房水の炎症性サイトカインレベルの関連を調査した。
対象と方法:角膜移植を施行された偽水晶体性水疱性角膜症(PBK)62眼と、対照群(白内障手術施行例)33眼で、前眼部OCTによる角膜厚、角膜体積と前房水中のサイトカイン濃度の相関を検討した。
手術開始時に合計95眼の前房水サンプルを採取した。
結果:PBK眼は対照群に比べ、前房水中の炎症性蛋白質およびサイトカイン濃度が有意に高かった。PBK眼においてinterleukin(IL)-13およびsoluble intercellular adhesion molecule(sICAM)-1と角膜厚は正の相関を認めた。(図1)
PBK群のDescemet膜の電子顕微鏡像は、角膜内皮細胞の消失とDescemet膜コラーゲンの変性を示した。
結論:水疱性角膜症は単純な角膜内皮細胞減少と浮腫だけでなく、前房水中の炎症性サイトカインが上昇し、角膜内皮細胞のバリア機能破綻から高濃度炎症性サイトカインが角膜実質に浸潤、角膜実質への炎症細胞の遊走や変性、浮腫の増悪など、一連の変化が生じている可能性が示唆された。(CH)

2019
197巻

角膜内皮移植DMEK後の遠視化について

American Journal of Ophthalmology 197巻 (1号) 2019

Avoiding hyperopic surprises after Descemet Membrane Endothelial Keratoplasty in Fuchs dystrophy eyes by assessing corneal shape.
Fritz M et al(Germany)
Amer J Ophthalmol 197(1): 1-6, 2019
・Descemet Membrane Endothelial Keratoplasty(DMEK)と白内障手術(triple DMEK)を行った患者で予想外の遠視化が起こることがあるので、その要因を検討した。
・Fuchs角膜内皮ジストロフィ(FECD)でtriple DMEKを行った112眼で術前のScheimplfug検査を行って検討した。
・術後屈折度の予測は-0.43D(4分位値は-0.47D~-0.17D)であったが、得られた値は-0.63D~+0.56Dであり、誤差は+0.34D(-0.22D~+0.81D)であり、遠視化が46%に発生していた。
・Scheimplfug cameraで求められるQ値で検討した。
・Q値:表面の輪郭と中心ずれから求められるもので、偏円形oblate角膜では+、篇長形prolate角膜では-、球状speric角膜では0となる
・術前の角膜後面屈折のQ値が正の場合は、Q値が0あるいは負の場合より3.0倍(95%CI=1.3-7.0 p=0.011)遠視化が起こっていた。
・通常、角膜内面は中心が周辺よりsteepであるのでprolateであり、円錐角膜などの突出した角膜ではさらにprolateである。角膜浮腫があると中心がflatになるのでoblateとなりQ値は+となる。
・角膜厚に関係なく、角膜後面Q値が正の場合は平均+0.50D遠視化が起こっていた(95%CI=0.19-0.82 p=0.002)。
・角膜周辺部よりも中心部の曲率が平坦な場合には浮腫の影響により遠視化が起こりやすい。
・術後+0.5D以上遠視化、-0.5~+0.5D未満、-0.5D以上近視化の症例は眼数は52:42:18、術前角膜後面Q値平均値は0.33:-0.13:-0.38、屈折誤差は1.04±0.60D、0.03±0.27D、-0.95±0.54Dであった。
・>+2.0Dが5眼、>+1.0~+2.0が14眼、+0.5~+1.0が33眼、-0.5~-1.0が14眼、>-1.0~-2.0が3眼、>-2.0が1眼であった(TY)

2018
196巻

角膜強膜の前眼部OCTA所見

American Journal of Ophthalmology 196巻 (12号) 2018

Conjunctival and intrascleral vasculatures assessed using anterior segment optical coherence tomography angiography in normal eyes.
Akagi T et al(京大)
Amer J Ophthalmol 196(12): 1-9, 2018
・前眼部OCTA (Zeiss PLEX Elite 9000に+10Dのアダプターレンズを装着)を用いて正常者の結膜、強膜の血管構築を検討した。
・表層(結膜表層から200μm迄)と深層(200μmから1000μm迄)に分けて検討。
・同時に強膜のFAやICG像とも比較した。
・表層は輪部からの遠心性形状であったが、深層は分節状であった。
・血管形状を血管密度、血管長、血管径、分裂形状で検討すると、表層では場所によって血管径だけが違っていたが(p=0.003)、深層ではこれら全てが異なっていた(p<0001~p=0.003) (TY)

2018
196巻

CRAO患者の脳梗塞リスク

American Journal of Ophthalmology 196巻 (12号) 2018

Stroke Risk and Risk Factors in Patients With Central Retinal Artery Occlusion
Patric Lavin et al (USA)
Am J Ophthalmol 196(12): 96-100, 2018
103例のCRAOと診断された患者の血液検査、心臓・頸動脈・脳の機能評価
23%で炎症反応(ESR・CRP)亢進、33%で高血圧(収縮期血圧>180mmHg、拡張期血圧>100mmHg)、66%が頭部MRIを撮影し、37.3%で脳梗塞あり(ほとんどは小さいもの)があり、多くはCRAOと同側であった。
36.7%で同側の頸動脈病変、20%で心エコー異常(重篤な弁疾患、EF低下、AMI、感染性心内膜炎を含む)
10.6%でAf:退院後の長期検査でAfが見つかった症例3例
全体で79%が何らかの入院治療を要するような急性疾患を認めた:25.2%で外科的処置、93%で処方変更
退院後90日以上経過観察できた75例で、6例(8%)死亡、8例(11%)脳梗塞、13例(17%)心筋梗塞であり、複合して起きたものは24例32%であり、TIA後の発症頻度よりも高い
CRAOはTIAと同様、発症した場合は血圧や脳/頸動脈/心臓のリスク評価を行うのが良い(MM)

2018
196巻

HFA10-2と24-2緑内障の中心視野感度低下の検出能

American Journal of Ophthalmology 196巻 (12号) 2018

Performance of the 10-2 and 24-2 Visual Field Tests for Detecting Central Visual Field Abnormalities in Glacoma
Zhichao Wu et al (USA)
Am J Ophthalmol 196(12): 10-17, 2018
HFAの24-2の中心12点と10-2の測定で中心視野異常の検出に差があるかPSDを用いて検討した。PSDは正常からの偏差に重み付けされて計算されているが、24-2と10-2では重み付けの値が異なるので、C24-2用のPSDを算出して比較した
300名523眼の緑内障または緑内障疑い患者、67名107眼の正常コントロール 同一日にHFA SITA standard 24-2と10-2を測定して信頼性のあるものを採用
10-2とC24-2の検出感度 有意差なし(35.9%vs35.4%)
リサーチでの利用では両群での差はないが、臨床的に10-2が必要でないと言うことではない(C24-2で検出できず10-2で検出できたもの、またその逆もあり)
中心10-2プログラムを適切に利用する必要がある(MM)

2018
196巻

拒絶反応と関連する因子

American Journal of Ophthalmology 196巻 (12号) 2018

Factors Associated With Graft Rejection in the Cornea Preservation Time Study
DOYlE STULTING, et al. (GO,USA)
Am J Ophthalmol 2018(12); 196: 197-207.
目的:角膜内皮移植術(DSAEK)後の拒絶反応に関連する要因を特定する。
対象と方法:DSAEKを受けた1090人1330眼。平均年齢70±9歳、男性39%、女性61%、3年間経過観察した。フックス角膜内皮ジストロフィー1015人(93%)、原発性内皮機能不全75人(7%)。
また。無作為に角膜保存期間(PT)0〜7日(n = 675)または8〜14日(n = 655)のドナー角膜を受けるようにした。
追跡調査は術後1日、1週間、1、6、12、24、および36か月後に行われた。
結果:術後3年間で拒絶反応率は44眼(3.6%)だった。22眼(50%)が軽度、20眼(45%)が重度、残りの2眼(5%)については重症度は決定されていない。しかし、これらの2眼の移植片はその後移植片不全になった。
44眼のうち22眼(50%)が術後1年以内に発症し、16眼(36%)が術後1年から2年の間、6眼(14%)術後2年から3年の間に発症した。
拒絶反応のリスクは2つのPTグループ間で有意差はなかった(P=0.85)。
レシピエントの年齢が10歳増加する毎に、ハザード比0.53であり、これは若年者に比べて高齢者の拒絶反応の危険性が低いことを示している。
より長いPT、レシピエントとドナーの間の性別の不一致、レシピエントの疾患、移植片のサイズ、およびレシピエントの人種はすべて拒絶反応と関連していないことがわかった。
拒絶反応がなく3年以上経過観察できたのは445眼で、術後4年目以降に拒絶反応を認めたものはなかた。
術後3年で角膜透明性を保っている角膜の内皮細胞損失率は、拒絶反応を経験した症例では48%減少、拒絶反応を認めなかった症例では38%だった(P=0.03)。
結論:拒絶反応3.6%で認められた。そのために移植片不全になったのは1%のみだった。
若いレシピエントが高齢のレシピエントより拒絶反応を示す可能性が高いことがわかった。より若いDSAEK患者は長期のステロイド点眼治療と経過観察が必要である。(CH)

2018
196巻

フックス角膜内皮ジストロフィー患者に対するフェムトセカンドレーザーを使用した白内障手術の結果

American Journal of Ophthalmology 196巻 (12号) 2018

Comparing Outcomes of Phacoemulsification With Femtosecond Laser-Assisted Cataract Surgery in Patients With Fuchs Endothelial Dystrophy
WEI WEI DAYNA YONG, et al. (Singapore)
Am J Ophthalmol 2018(12);196:173-180.
目的:フックス角膜内皮ジストロフィー(FED)患者の白内障手術において、標準的な水晶体超音波乳化吸引術(Phaco)とフェムトセカンドレーザー(FLACS)を使用した手術結果を比較した。
対象と方法:2013年4月から2016年12月の間に、白内障手術を受けたFED 140眼。Phaco群 72眼、FLACS 群68眼。
角膜厚、内皮細胞密度(ECD)、および視力を比較した。
両群間で、年齢、性別、人種、および白内障の程度に有意差はなかった。
結果:Phaco群の術前中央ECD(2260.0 cells/mm2)とFLACS群(1960.5 cells/mm2)との間には有意差があった(P=0.004)。これは、より重症のFED患者はFLACSを受けることを選択する可能性が高かったためと思われる。
術後、両群間の中央ECDに有意差はなかった(P=0.790)。Phaco群1834.0 cells/mm2、FLACS群1768.5 cells/mm2
ECDの平均損失率は、Phaco群15.3±17.5%、FLACS群4.4±25.0%(P = 0.006)。
Phaco群の平均ECD喪失は軽度白内障群では10.7±15.4%、中等度〜高度白内障群では19.5±18.0%(P = 0.045)だった。 FLACS群の軽度白内障群0.9±22.5%、中等度〜高度白内障群において8.2±26.3%だった(P =0.219)。中等度〜高度白内障では有意差を認めた(P = 0.043)。
術前中央角膜厚はPhaco群0.524 mm、FLACS群0.531 mmで、有意差はなかった(P =0 .608)。
術後中央角膜厚は、Phaco群0.553mm、FLACS群0.563mmであった(P =0.463)。術後角膜厚中央値の増加は、Phaco群0.019 mm(3.7%)、FLACS群(4.7%)で0.024 mm(4.7%)(P = 0.207)。
術前平均BCVAは、Phaco群およびFLACS群でそれぞれ0.358±0.1771og MARおよび0.351±0.244 1ogMARであった(P = 0.292)。術後3ヶ月で、平均BCVAは、Phaco群0.125±0.1461ogMAR、FLACS群0.119±0.1211ogMAR(P = 0.787)。
結論:FLACSは、FED患者における術後の内皮細胞損失においてPhacoより優れていると思われる。特に中等度から高度の白内障患者において角膜代謝不全のリスクが低いことを意味する。(CH)

2018
195巻

van Herick検査による隅角閉塞の診断

American Journal of Ophthalmology 195巻 (11号) 2018

Low sensitivity of the van Herick Method for detecting gonioscopic angle closure independet of observer expertise.
Johnson TV et al(MD USA)
Amer J Ophthalmol 195(11): 63-71, 2018
・狭隅角眼に対するvan Herick assessment(VHA)と隅角鏡との一致率を調べた。
・50歳以上の手術を受けていない狭隅角眼131名の片眼について、経験ある眼科検査員によってVHAを行い、同時に、眼科研修医、緑内障専門医がVHAと隅角検査を行った。
・隅角鏡での隅角閉鎖に対するVHAの感受性sensitivity(実際に陽性であると正しく識別された真の陽性率)と特異性specificity(隅角閉塞ではないと正しく識別された真のネガティブ率)を求めた。
・隅角鏡で実際に閉塞していた症例は14.5%であったが、VHAによる感受性は眼科検査員では57.9%、研修医では78.9%、専門医では68.4%であった。
・一方、VHAによる特異性はそれぞれ88.5%、88.2%、87.5%であった。
・このことから、VHAは例え緑内障専門医が判定しても隅角閉塞を見逃すし、開放隅角の8人に1人は閉塞隅角だと診断してしまい、余りあてにならない検査であるため、やはり隅角鏡検査が必要である。(TY)

2018
194巻

急性アデノウィルス結膜炎の治療効果の比較

American Journal of Ophthalmology 194巻 (10号) 2018

Randomized, controlled, phase 2 trial of povidone-iodine/dexamethasone ophthalmic suspesion for treatment of adenoviral conjunctivitis.
Pepose JS et al(MO USA)
Amer J Ophthalmol 194(10): 7-15, 2018
・急性アデノウィルス結膜炎に対する、0.6%ポビドンヨ-ド(PVPI)と0.1%デキサメタゾン(DX)の懸濁液の効果を144例で調べた。
・通常使用するイソジン点眼は10%の液を16倍にしており、0.625%である。
・PVPI+DX(n=48)、PVPI単独(n=50)、基質単独(n=46)の3群に分け、1日4回を5日間使用し、臨床的な改善とウイルスの消滅を調べた。
・6病日での症状改善率はPVPI+DXでは31.3%で、基質単独 10.9%(p<0.016)、PVPI単独 18.0%(有意差なし)よりも多かった。
・ウイルス検出率は3日目でPVPI+DX:基質単独:PVPIでは35.4%:8.7%(p=0.0019):32.0%(有意差なし)、6日目でも79.2%:56.5%(p=0.019):62.0%(有意差なし)であった。
・角膜浸潤、点状角膜症や眼瞼浮腫などの副作用はそれぞれ53.4%:69.0%:62.7%で発症し、薬剤を中止した例はそれぞれ9例:16例:12例であった。
・PVPI+DX治療は有効な方法である。(TY)

2018
194巻

RP患者の進行モニターに関する、近赤外光自発蛍光と短波長自発蛍光との比較

American Journal of Ophthalmology 194巻 (10号) 2018

Quantitative Comparison of Near-infrared Versus Short-wave Autofluorescence Imaging in Monitoring Progression of Retinitis Pigmentosa

Ruben Jauregui, Karen Sophia Park, Jimmy K. Duong, Janet R. Sparrow, Stephen H. Tsang(USA)

Am J Ophthalmol 2018;194:120-125

【目的】

網膜色素変性(RP)患者の病状進行モニターに関して、近赤外光での自発蛍光(NIR-AF)と短波長自発蛍光(SW-AF)とを定量的に比較

【対象と方法】

22例44眼のRP患者、NIR-AFおよびSW-AFを撮影し高蛍光リングの垂直径・水平径・面積を測定、2年間での数値の進行を評価

【結果】

・NIR-AFと比べ、SW-AFの高蛍光リングは垂直径・水平径・面積ともに有意に数値が高かった

・一年あたりの数値減少;SW-AFでは垂直径168±204μm・水平径131±159μm・面積0.7±1.1mm2、NIR-AFでは垂直径151±156μm・水平径135±190μm・面積0.7±1.0mm2 →両群の減少度に有意差なし

【結論】

・RP患者の病状進行において、NIR-AFとSW-AFとは同程度の指標を呈した

・日常的に使われているSW-AFと比べて、NIR-AFは患者の快適性を向上させるうえで利点があると考えられる(MK)

2018
194巻

台湾のプールで発生した、微胞子虫による角結膜炎

American Journal of Ophthalmology 194巻 (10号) 2018

Outbreak of Microsporidial Keratoconjunctivitis Associated With Water Contamination in Swimming Pools in Taiwan

Wen-Yi Wang, Hsiao-Sang Chu , Pei-Chun Lin, Tai-Fen Lee, Kuan-Ting Kuo, Po-Ren Hsueh, Fung-Rong Hu, I-Jong Wang(Taiwan)

Am J Ophthalmol 2018;194:101-109

・10代の患者13例15眼、台湾のプールで泳いだのちに微胞子虫による角結膜炎を発症

・角膜掻爬、グラム染色、キニヨン染色(Ziehl-Neelsen法と類似、原虫の染色に用いる)、PCRで診断

・発症:水暴露後1-12日

・初診時すべての症例で、非化膿性の結膜炎およびプラーク状角膜上皮病変(周辺部6眼、中心部3眼、周辺・中心両方5眼、SPK併存1眼)

・経過観察期間中、10眼で中心部SPK、または上皮下にヘイズ・浸潤

・PCRにて全症例でVittaforma corneaeが同定

・レボフロキサシン点眼とベタメサゾン点眼にて後遺症なく治癒(MK)

2018
194巻

隅角解離による低眼圧黄斑症に対する治療法

American Journal of Ophthalmology 194巻 (10号) 2018

Case report
A simple lens-sparing technique to treat hypotonic maculopathy secondary to large cyclodialysis
Masayo Kimura et al. (名市大)
Am J Opthhalmol Case Rep (10), 300-303, 2018
外傷による隅角解離後の低眼圧黄斑症に対する廃液。
30G針にBSSをつけ、硝子体腔に注入し眼圧をあげる
25Gまたは27GのInfusion portをまっすぐにさして先端を確認し灌流。灌流圧を60mmHgまであげる
輪部から2mmの位置で2x4mmのフラップ作成
その下に切開を入れて廃液
フラップの下をジアテルミー凝固
排液した切開部を縫合
フラップ縫合(MM)

2018
193巻

網膜硝子体手術はPOAG発症リスクを高めるか

American Journal of Ophthalmology 193巻 (9号) 2018

The risk of primary open angle glaucoma following vitreoretinal surgery. A population based study.
Mansukhani SA et al(MI USA)
Amer J Ophthalmol 193(9): 143-155, 2018
・網膜硝子体手術後にPOAGを発症するリスクをretrospectiveに検討した。
・2004/1~2015/12に強膜バックル and/or 硝子体手術を行った688眼の内、続発緑内障などの344眼を除外し、残った344眼とCtrlの277眼を検討し、POAGの発症頻度を調べた。
・年齢64.7±11.1歳で、経過観察の中間値は4.9年である。
・強膜内嵌SBが58眼、強膜内嵌+硝子体手術SBVが57眼、硝子体手術のみPPVが229眼である。
・10年間でPOAGを発症した頻度は手術眼で8.9%(95%CI=3.8-14%)、非手術眼で1.0%(95%CI=0-2.4%)であり、有意差があった(P=0.02)。
・SB眼でPOAGを発症した例はなかった。
・10年間でPOAGを発症する予想頻度は、SBVでは17.5%(95%CI=0-34.9%)、PPVでは10.0%(95%CI=3.0-17.0%)であり、これらはいずれも、Olmsted CountyでのPOAGの頻度(1.0%)よりも有意に高かった(p<0.001)。
・患眼と健眼との比較では、患眼が15眼(8.9%)、健眼が2眼(1.0%)でPOAGを発症し(p=0.02)、患眼15眼のうち4眼(26.7%)がNTGであり、発症までの期間は中間値40.2ヶ月(46.1±28.3か月)であった。
・硝子体手術後の線維柱帯の酸化ストレスも一因か。(TY)

2018
192巻

角膜移植手術後の緑内障手術のリスク

American Journal of Ophthalmology 192巻 (8号) 2018

Risk of Glaucoma Surgery After Corneal Transplant Surgery in Medicare Patients
CHENGJIE ZHENG et al. (CA USA)
Am J Ophthalmol 2018(8);192:104-112.
目的:角膜移植手術後の緑内障手術の割合を決定する。
対象と方法:2010年から2013年に角膜移植を施行した3098眼。全層角膜移植(PK)1012眼、角膜内皮移植術(EK)1919眼、表層角膜移植(ALK)46眼、人工角膜移植術(KPro)32眼、PK + EK 89眼。
角膜移植の前に緑内障と診断されていたのは532眼。
結果:角膜移植手術後の緑内障手術の割合は、手術方法別で6.1%から9.4%の範囲であり、有意差はなかった(P =0 .93)。
PK7.7%、EK7.1%、ALK8.7%、KPro 9.4%、PK + EK 6.1% 。
患者の年齢別差はなかった。65-69歳群で8.2%、70-74歳群で7.5%、75-79歳群で7.4%、80-84歳で7.3% 85-89歳群では5.3%、90歳以上群では8.1%(P =0.63)。地域別では、東部地域の患者の8.1%、西部は7.0%、中西部は8.1%、南部は4.9%であった。南部の割合は他の地域よりも多少低いが、全体的な差は統計的に有意ではなかった(P = 0.072)。
性別による差が認められた。女性患者の6.6%に対し男性患者の8.6%。(P = 0.045)。さらに、黒人患者は白人患者と比較してそれぞれ11.4%、6.5%(P =0.030)と有意差を認めた。
角膜移植の前に緑内障と診断されていたのは532眼で、その内10.0 %で緑内障手術が必要になったが、緑内障既往無しでは5.3%で有意差を認めた。(P < 0.01)
特に緑内障既往ありPK 12.4%、緑内障既往無しPK 2.8%。(P < 0.01)。
結論:角膜移植の術式を変更することにより、リスクが高まることを示唆している文献があるにもかかわらず、様々なタイプの角膜移植で有意差は認められなかった。しかし、緑内障既往患者は、特にPK群で顕著に緑内障手術のリスクが高かった。これらの患者は移植後、長期間注意が必要である。(CH)

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