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American Journal of Ophthalmology

2020
209巻

悪性緑内障に有効な治療と回復までの時間

American Journal of Ophthalmology 209巻 (1号) 2020

Atalie C et al (USA)
Am J Ophthalmolo 209(1):141-150, 2020
・2007-2017年にDuke Glaucoma Serviceにて悪性緑内障(MG)と診断された55名64眼をレトロスペクティブに調査し、どのような因子が有効であるかを調査
・過去の手術内容と回数、MGの既往、緑内障病歴の有無、ある場合は緑内障の病型、レンズの状態、術前眼圧、点眼・内服状態、MGに対する治療内容、術後の前眼部所見、視力、眼圧を調査
・Anatomic resolution(AR) : 散瞳薬を用いずに中央、周辺部の前房が深くなった状態
・Complete resolution(CR) : anatomic resolutionに加えて、IOP<22mmHg
・およそ3/4の症例がACGであり、MGを生じた手術は緑内障手術であったが、2例はVitrectomy術後であった(1例はRD,もう1例は角膜移植+Tubeインプラント硝子体挿入)
・60.94%(n=39/64)は手術後30日以内にMGと診断
・1例を除くすべてで最初は保存治療(1例は術中診断のためその場でPPVを実施)
・YAGを含めた保存治療は12.5%(8/64)で有効だったが、87.5%(56/64)は手術治療が必要であった
・98.4%(63/64)で最終的にCRとなったが1例は眼球摘出となった
・Vitを行ってもMGを発症した症例があり、またVitを行っても追加手術が必要となる症例があった
・影響する因子
・3回未満の術前手術、3剤未満の術前点眼、30mmHg以下の術前眼圧の場合、VitrectomyがCRとなりやすかった
・レンズの状態、以前のYAG治療歴は有意差なし
・診断から30日以内のVitではCRとなりやすいようだが有意差は出なかった
・外来でのYAG治療、CAIの内服は有効
・Vitrectomy治療:30日以内の手術;視力改善は有意差ありだが、眼圧、点眼数は有意差なし(改善までの期間は有意差あり:後述)
・PPVでもCore Vitでも視力、眼圧、点眼数に有意差なし
・回復までの期間
・解剖学的構造(12.7±22.9週)、IOP(23.8±66.5週)、最終視力(28.8±45.8週) 有意差あり
・治療方法での差は無し
・術後炎症によるものや、前眼部の構造回復とTMの機能回復に差があるためか。
・クリニックでのHealonによる前房形成、YAGによる前部硝子体膜切除、点眼と散瞳薬に加えてCAIの内服はMGの回復を速めた
・CAI内服は房水産生とともに、硝子体腔の脱水効果によってMGに対して有効であったと考えられる
・前房形成は硝子体のレクトミーWindowへの嵌頓や浅前房によりTM閉塞し機能低下をきたすのを予防するためか?
・解剖学的構造は3剤未満の点眼群、CAIの内服が有意に短期間に改善した
・閉塞隅角緑内障はリスク高い
・レクトミー術後は構造、眼圧、視力ともに回復が遅い
・30日以内のVit:視力、眼圧、構造変化ともに有意に短縮したがCRへの影響は少ない(MM)

2019
206巻

プロスタグランジン点眼で瞳孔間距離が狭くなる

American Journal of Ophthalmology 206巻 (22号) 2019

Shortening of Interpupillary Distance after Instillation of Topical Prostaglandin Analog Eye Drops
Ichiya Sano, et.al.(自治医大)
Am J Ophthalmol 2019; 206:11-16
・2004-2017、両眼にプロスタグランジン(PGA)点眼を開始した152例をretrospectiveに解析
・コントロール群としてPGA点眼未使用の緑内障患者61例
・PGA点眼は2-24M継続、瞳孔間距離(IPD)は点眼開始0-2M前および開始後3-24Mにオートレフラクトメーターを用いて測定
・IPDは治療後に有意に短縮;PGA群 -0.80±2.1mm(P<0.001)、コントロール群 0.05±0.96mm(P=0.69)

・ビマトプロスト点眼群(-2.20±0.97mm)が他のPGA群(-0.65±2.09mm)よりも有意に短縮量が大きい(P<0.001)
・IPD≧2mm短縮;ビマトプロスト85.7%、トラボプロスト20.0%、ラタノプロスト18.2%、タフルプロスト17.2%
・IPD≧3mm短縮;ビマトプロスト35.7%、トラボプロスト12.0%、ラタノプロスト14.5%、タフルプロスト12.1%
・PGA点眼で24M以内にIPDが有意に減少する。その効果はビマトプロストが他のPGAより大きい。オートレフラクトメーターは非侵襲的で迅速にプロスタグランジン関連眼窩周囲症(PAP)を数値化してくれる。(MK)

2019
205巻

角結膜化学熱傷を前眼部OCTAで評価

American Journal of Ophthalmology 205巻 (21号) 2019

Anterior Segment Optical Coherence Tomographic Angiography Assessment of Acute Chemical Injury
Simon S.M. Fung, et al. (UK)
Am J Ophthalmol 2019;205:165-174
・化学熱傷に続く輪部結膜の虚血を通常所見と前眼部OCTAで比較
・急性化学熱傷10例15眼
・前眼部写真で輪部結膜の上皮欠損と虚血を判定
・OCTA(Optovue社のAngio Vueに前眼部用アダプター装着)で撮影した結膜輪部の虚血と比較
・輪部虚血の範囲;臨床所見 2.3±3.6時間、OCTA 5.1±4.2時間(P=0.03)ともに結膜上皮欠損の範囲(7.3±5.1時間)より狭い
・OCTA縦断解析にて血管エリアは0.2±0.1%回復
・受傷3M後の視力は、輪部結膜フルオ染色(r=0.67, P=0.006)およびOCTAによる輪部結膜虚血(r=0.76, P=0.001)と有意に相関
・OCTAは急性化学熱傷に伴う輪部結膜虚血の範囲および改善を他覚的に明らかにすることが出来る。OCTAにり、臨床所見で予想されたより広範囲に輪部虚血があることが明らかになり、それは視力改善と高く相関した。OCTAは眼の化学熱傷のマネージメントに有用である。(MK)

2019
204巻

眼表面症状のある患者のニキビダニの影響

American Journal of Ophthalmology 204巻 (20号) 2019

Demodex mite infestation and its associations with tear film and ocular surface parameters in patients with ocular discomfort
DF Rabensteiner, et al. (Austria)
Am J Ophthalmol 2019;204:7-12
【対象と方法】
・オーストリアのドライアイ眼科クリニックで眼表面の不調を訴えた連続229例
・睫毛を採取(眼瞼あたり4本、計16本)しデモデックスの存在を検索、ドライアイ症状および眼瞼パラメータとの関連を調査
【結果】
・92例(40.2%)の患者にデモデックスが存在、睫毛16本あたり平均3.3匹
・デモデックスに荒らされた患者は、’sleeves’(円柱状のフケ)の増加、Marxラインスコアの増加、マイボーム分泌物の質の低下が、健常者と比べて有意にみられた
・ドライアイのパラメータは有意差なし
【結論】
・デモデックスは眼表面の不快感を自覚する患者に頻度が高い
・本論分の患者あたりのデモデックスの数は、アジア発の既報のそれより低い
・デモデックスは瞼縁の変化と関連しており、眼瞼炎およびマイボーム腺機能不全の病態に関わっていることが示唆される(MK)

2019
207巻

水晶体超音波乳化吸引術中の角膜内皮損傷の予防における水素の影響:前向き無作為化臨床試験

American Journal of Ophthalmology 207巻 (11号) 2019

Effects of Hydrogen in Prevention of Corneal Endothelial Damage During Phacoemulsification: A Prospective Randomized Clinical Trial
Tsutomu Igarashi, et al. (日本医科大学)
Am J Ophthalmol 207(11):10-17, 2019.
・水素(H2)は、フリーラジカル、特にヒドロキシルラジカル(・OH)を除去することが報告されている。水溶液中での超音波振動は、・OHを生成する。この研究では、灌流液にH2を溶解し、水晶体超音波乳化吸引術中の角膜内皮細胞に対する影響を調べた。
・対象と方法:両眼に同レベルの白内障(グレード3以上)がある32人(年齢:75.4±7.68歳、男性17人、女性15人)。
・水晶体超音波乳化吸引術は、片眼にH2の溶液を使用し、反対眼には従来の溶液を使用して行った。角膜の中心部の内皮細胞密度(ECD)は、術前および術後1日、1週間、3週間に非接触鏡面鏡を使用して測定された。ECDは、特に手術直後に自動測定が不正確になる可能性があるため、撮影された角膜内皮細胞(最低50個の細胞)の中心を手動でクリックする中心法を使用して測定された。
・表1の様に総手術時間、AVE、APT、EPT、使用した灌流液の量は2つのグループ間で有意差はなかった。深刻な術中合併症もなかった。
・手術前の2つのグループのECD(平均値±SD)は、対照グループでは2743±331 cells / mm2、H2グループでは2713±351 cells / mm2(P = 0.31)だった。
・ECDの減少率(平均±標準偏差)は、対照グループでは術後1日目16.0%±15.7%、1週間15.4%±16.1%、3週間18.4%±14.9%だった。 H2グループでは、術後1日目6.5%±8.7(P = .003)、1週目9.3%±11.0%(P = .039)、3週目8.5%±10.5%(P = .004)。すべての時点でH2グループで有意に小さかった。
・結論:灌流液に溶解したH2は、水晶体超音波乳化吸引中の角膜内皮損傷を軽減した。これは、水晶体超音波乳化吸引中の角膜内皮損傷のかなりの部分が酸化ストレスによって引き起こされること、およびH2が臨床的水晶体超音波乳化吸引術に有用であることを示唆している。(CH)

2019
206巻

プロスタグランディン点眼薬と瞳孔間距離

American Journal of Ophthalmology 206巻 (10号) 2019

Shortening of interpupillary distance after instillation of topical prostaglandin analog eye drops.
Sano I et al(自治医大)
Amer J Ophthalmol 206(10): 11-16, 2019
・Prostaglandin analogs(PGAs)点眼薬の持続的な使用後に発生するprostaglandin-associated periorbitopathy(PAP)の客観的な視標として瞳孔間距離(IPD)の変化を調査した。
・視力が両眼とも0.5以上で、観察期間中に手術を受けなかった152名を対象とし、61名のCtrl眼と比較した。
・Bimatoprost, travoprost, latanoprost, tafluprostの両眼使用の前と後(2-24ヶ月)で自動屈折計で瞳孔間距離を測定した。
・IPDは使用前の63.1±3.0から62.3±3.2mmとなり、-0.80±2.1mm有意に短縮した(p<0.001)が、Ctrl眼では変化がなかった。
・Bimatoprost点眼(-2.20±0.97)では他のPGAs(-0.65±2.09)より有意に短縮度が大きかった(p<0.001)。
・2mm以上、あるいは3mm以上短縮した比率はbimatoprost: 85.7%と35.7%, travoprost: 20.0%と12.0%, latanoprost: 18.2%と14.5%, tafluprost: 17.2%と12.1%であった。 (TY)

2019
206巻

PEA後の持続する前眼部ぶどう膜炎

American Journal of Ophthalmology 206巻 (10号) 2019

Risk factors associated with persistent anterior uveitis after cataract surgery.
Reddy AK et al(CO USA)
Amer J Ophthalmol 206(10): 82-86, 2019
・ぶどう膜炎や自己免疫疾患の既往のない人で合併症のない超音波白内障手術後に持続的な前眼部ぶどう膜炎(persistent anterior uveitis:PAU)を発生するリスクファクターを検索した。
・2019例3013眼のうち、48例61眼(2.0%)でPAUを発生していたが、African Americansが白色人種よりもPAUを発生しやすかった(RR=11.3 95%CI=6.4-20.2 p<0.0001)。
・視力や眼圧には影響はなかったが、61眼中18眼(29.5%)でCMEを発生していた。(TY)

2019
206巻

緑内障手術既往眼での角膜内皮移植

American Journal of Ophthalmology 206巻 (10号) 2019

Comparison of endothelial keratoplasty techniques in patients with prior glaucoma surgery: A case-matched study.
Lin SR et al(CA USA)
Amer J Ophthalmol 206(10): 94-101, 2019
・緑内障手術の既往のある眼でDescemet membrane endothelial keratoplasty (DMEK)46眼とDescemet’s stripping endothelial keratoplasty (DSEK)46眼の術後成績を比較した。
・術前のBCVA最高矯正視力は両群でほぼ同じであったが、術後の最高矯正視力の改善速度はDMEKの方がDSEKより早く、1年後に20/20以上の視力がでたのはDMEKでは3眼(7%)であったがDSEKでは0眼、1年後に20/40以上の視力が得られたのはDMEKでは22眼(47%)であったがDSEKでは7眼(15%)で有意差があった(p=0.002)。
・Graft failureはDMEKが0%、DSEKが17%で、有意差があった(P=0.006)。(TY)

2019
205巻

網膜静脈閉塞とHDL-Cコレステロール(善玉)との関連

American Journal of Ophthalmology 205巻 (9号) 2019

Retinal vein occlusion is associated with low blood high-density lipoprotein cholesterol:  A nationwide cohort study.
Kim J et al(Korea)
Amer J Ophthalmol 205(9): 35-42, 2019
・網膜静脈閉塞RVOと血液のHDL-Cコレステロール(善玉)との関連を調べた。
・韓国のNational Health Screenig Programで検査した20歳以上の23,149,403名を対象とし、RVO群は2009-2015で最初に診断された117,639名である。
・RVO群は非RVO群に比較して、年配者が多く、body mass indexが高く、ウエストが太く、空腹時血糖値や血圧が高く、総-CとLDL-C(悪玉)、脂質が高く、糸球体濾過機能とHDL-Cが低く、糖尿病や高血圧者が多かった。
・HDL-Cの上位1/4群に比較して、HDL-Cの下位1/4群はRVOのhazard ratioは1.12 (95%CI= 1.10-1.14)であった。RVO発症とHDL-Cとの相関は若年者、男性、喫煙者、DM者、高コレステロール血症者で強かった。
・また、HDL-Cの低値は肥満あるいは高血圧と有意に相乗効果があった。(TY)

2019
205巻

角膜移植と眼内炎

American Journal of Ophthalmology 205巻 (9号) 2019

Endophthalmitis rates and clinical outcomes following penetrating and endothelial keratoplasty.
Borkar DS et al(PA USA)
Amer J Ophthalmol 205(9): 82-90, 2019
・全層角膜移植(PK)と内皮移植(EK)後の眼内炎の頻度を、Philadelphiaの数か所の病院の病歴を2012年から2018年にかけて調査し、感染性と思われる眼内炎を調査した。
・3069症例で、PKは1676眼、EKは2292眼で、66.4±17.5歳であり、そのうち16例で眼内炎が発症し、PK後が12/1676例(0.7%)、EK後が4/2292例(0.2%)で、EK後が有意に少なかった(p=0.01)。
・14例で培養結果が判明しており、4例(29%)は培養陰性、7例は細菌性(表皮ブ菌、MRSA、連鎖球菌、インフルエンザ菌、大腸菌、セラチア)であり、3例が真菌であった。
・また、PKあるいはEK単独手術よりも、PK/EK手術時に前部硝子体切除を行った群で有意に眼内炎が多かった(OR=8.66 95%CI=2.98-25.18 p<0.01)。
・PK後の眼内炎の方がEK後の眼内炎よりも最終視力は悪く(p=0.01)、graft failureも多かった(p=0.02)。(TY)

2019
205巻

糖尿病と視神経周囲の神経線維層厚cpRNFLT

American Journal of Ophthalmology 205巻 (9号) 2019

Glucose tolerance levels and circumpapillary retinal nerve fiber layer thickness in a general Japanese population: The Hisayama Study.
Fujiwara K et al(九州大)
Amer J Ophthalmol 205(9): 140-146, 2019
・耐糖能と視神経周囲の神経線維層厚cpRNFLTとの関連を調べた。
・久山スタディでの2809名(40-79歳)のうち、1324名を対象とした。
・耐糖能は75g経口ぶどう糖負荷試験で求めた。
・年齢や性で調整した平均xpRNFLT値は、負荷試験が正常であったものに比して、前糖尿病(p=0.04)あるいはDM者(p=0.004)で有意に薄かった。
・年齢や性で調整したcpRNFLTは空腹時血糖が高いほど、負荷2時間値が高いほど薄かった(いずれもp<0.05)。
・耐糖能が低いことが有意にcpRNFLTの菲薄化に関連していた事から、前糖尿病期から神経線維は欠損し始め、高血糖がcpRNFLTの菲薄化に影響していることが示唆された。(TY)

2019
205巻

緑内障眼の白内障手術後の眼圧上昇を防ぐための局所的降圧薬の効果

American Journal of Ophthalmology 205巻 (9号) 2019

Effect of Topical Hypotensive Medications for Preventing Intraocular Pressure Increase after Cataract Surgery in Eyes with Glaucoma
KEN HAYASHI, et al. (林眼病院)
Am J Ophthalmol 2019(9);205:91–98.
・開放隅角緑内障(POAG)または偽落屑症候群(PE)を伴う眼の水晶体超音波乳化吸引術後早期のIOP上昇を防ぐために、3つの緑内障点眼、トラボプロスト(プロスタグランジンF2a)、チモロール(β-ブロッカー)、およびブリンゾラミド(炭酸脱水素酵素阻害剤)の効果を比較した。
・水晶体超音波乳化吸引術を予定しているPOAGまたはPEの患者165人の合計165の眼を3つのグループに無作為に割り当てて、術後すぐに各薬剤を投与した。
・眼圧(IOP)は、接触型眼圧計(iCare眼圧計)を使用して、術前1時間、手術終了時、術後2、4、6、8、および24時間後に測定した。25mmHgを超えるIOP上昇の発生率をグループ間で比較した。
・術前に処方された緑内障点眼薬は、手術前日に中止された。
・手術が完了すると、IOPは15〜25 mm Hgに調整されたiCare眼圧計で測定。
・165人の患者のうち、2人の患者(1.2%)が分析から除外された。
・163人の患者(98.8%)、平均年齢72.0±8.0歳、男性52人女性111人。
・平均年齢、性別、左右眼の比率、術前の等価球面値、術前視力、緑内障の種類、核硬化度、手術時間、およびその他のベースライン特性と手術因子は、3群間で有意差はなかった。
・術前1時間および手術終了時に、グループ間で平均IOPに有意差は認められなかった。平均IOPは、術後4〜8時間で有意に増加し、その後すべての群で術後24時間で減少した(P <.0001)。平均IOPは、術後4、6、および8時間で、トラボプロストまたはチモロール群よりもブリンゾラミド群で有意に低く(P < 0.0374)、術後2および24時間で群間で有意な差はなかった。術前IOP、年齢、および性別を調整した後、術後2時間の平均IOPは3群間で有意差はなかった。術後4、6、および8時間で、平均IOPは、トラボプロストまたはチモロール群よりもブリンゾラミド群で有意に低く(P < 0.0374)、トラボプロストとチモロール群の間に有意差はなかった。術後24時間で、平均IOPは3群間で有意差はなかった。
・IOPの増加が25 mm Hgを超える眼の数(割合)は、ブリンゾラミド群で6眼(11.1%)、チモロール群で15眼(27.8%)、トラボプロストで22眼(40.0%)だった。25 mm Hgを超えるIOPスパイクの発生率は、トラボプロストおよびチモロール群よりもブリンゾラミド群で有意に低いことが明らかになった。
・POAGまたはPE眼の平均IOPが、合併症のない水晶体超音波乳化吸引術手術の4〜8時間後に著しく増加し、術後24時間で術前IOPレベルに戻ったことを示した。
・ブリンゾラミドは、緑内障の眼白内障手術後早期IOP増加を、トラボプロストまたはチモロールよりも効果的に減少させる。(CH)

2019
203巻

緑内障点眼群と手術群の眼圧日内変動

American Journal of Ophthalmology 203巻 (7号) 2019

Fluctuations of the intraocular pressure in medically versus surgically treated glaucoma patients by a contact lens sensor.
Muniesa MJ et al(Spain)
Amer J Ophthalmol 203(7): 1-11, 2019
・隅角が開放している緑内障77名91眼を点眼加療中の59眼(66.6±8.5歳)と緑内障手術眼32眼(68.3±12.5歳)に分け、眼圧の24時間変動をcontact lens sensor(CLS)で測定した。
・緑内障手術眼32眼の内、11眼(34.3%)は点眼加療中である。
・手術群のCLS値は100±41mV eqであったが、点眼群では131±69であり有意差があった(p=0.010)。
・最高値は手術群で160±187、点眼群で303±176で有意差があった(p=0.001)。
・夜間のピークがなくなっているものは、手術群で12眼(42.9%)、点眼群で8眼(13.8%)(p=0.011)であり、CLSの最高値、最低値は点眼群では手術群よりも有意に大きかった(p=0.001とp=0.006)。(TY)

2019
201巻

POAGにおける白内障手術と視野障害進行率の関係

American Journal of Ophthalmology 201巻 (5号) 2019

Cataract Surgery and Rate of Visual Field Progression in Primary Open-Angle Glaucoma
Ji H Kim et al (USA)
Am J Ophthalmol 201(5): 19-30, 2019
POAGにおいて白内障手術の前後でIOPと視野障害の変化を調査
対象:99名134眼のPOAG患者をレトロスペクティブに検討
コントロール:IOL術後10年以上10回以上の視野検査を行った症例29例36眼の経過を前半5年、後半5年で分けて視野障害進行率を検討
平均観察期間:術前6.5(4.7-8.1)年、術後5.3(4.0-7.3)年
IOPのパラメータ(平均眼圧、標準偏差、ピークIOP)はすべて低下したものの、視野関連の指標(MD,VFI, pointwise linear regression(PLR), pointwise rate of change(PRC),Glaucoma Rate Index(GRI))は術後進行していた。
術前にレクトミーがしてある群は白内障手術前後の進行率に有意差はなかった(Table 5)
Baseline MDと術後のピークIOPが悪いことが術後の視野障害進行率と相関あり(Table6)
コントロールでは前半と比べて後半の進行が早い
GRI: -0.36(±10.85) : -9.71(±14.78)
MD slope: -0.29(±1.63) : -1.27(±1.79) dB/year
VFI slope: -0.66(±1.19): -0.77(±1.07) %/year
緑内障の経過として直線的に視野障害が進行するのではなく、後半に加速していく(図)
結論:白内障手術で眼圧は術後下がるが、術前と比べて視野障害の進行を遅くしているとはいえない(MM)

2019
200巻

ドライアイを伴う糖尿病および非糖尿病における涙液の炎症性サイトカインの分析および臨床的相関

American Journal of Ophthalmology 200巻 (4号) 2019

Tear Inflammatory Cytokines Analysis and Clinical Correlations in Diabetes and Nondiabetes With Dry Eye
RONGJUN
LIU, et al. (China)
Am J Ophthalmol 2019(4);200: 10-15.
目的:糖尿病におけるドライアイの病因は主に、涙腺の微小血管の損傷および角膜知覚の障害による涙の刺激性分泌減少であると考えられている。
眼球表面の特徴と涙の炎症性サイトカインのレベルを評価することによって、糖尿病におけるドライアイ(DE)の理解を深めること。
対象と方法:DM(+)DE(+)群 32人、DM(+)DE(-)群 24人、DM(-)DE(+)群 29人、DM(-)DE(-)の対照群 29人。(表1)
眼表面疾患指数(OSDI)、涙液層破壊時間(BUT)、シルマー試験I法、角膜フルオレセイン染色(CFS)および角膜感受性を含む眼表面特性を評価した。
さらに涙液中のEGF、IL-17A、IL-Iβ、およびTNF-αの分析、それらの臨床相関関係を調査した。
結果:DM(-)DE(+)群のOSDIスコアが他の3群のそれよりも有意に高いことを示した(それぞれP = 0.001、P <.0001、P <.0001)。また、DM(+)DE(+)群のOSDIスコアは正常群よりも高かった(P = 0.033)
BUT値は対照群と比較して他の3群は 有意に低かった(それぞれP <.0001、P = .019、およびP <.0001)。
DM(+)DE(+)群およびDM(-)DE(+)群のCFSスコアは他の2群より有意に高かった(全てP <0.0001)。
DM(+)DE(+)群およびDM(-)DE(+)群は、対照群と比較して低いシルマー試験I法スコアを示した(P = 0.001およびP = 0.01)。また、より低い角膜感受性を示した(P = 0.007およびP = 0.042)。
涙液中のEGFレベルはDM(+)DE(+)群で有意に増加した。
DM(+)DE(+)群では、EGFのレベルはCFSスコアと正の相関があり、シルマー試験I法とEGFに負の相関があった。
DM(-)DE(+)群では、涙液中のIL-1βおよびTNF-αのレベルは、CFSスコアと正の相関が見られた。
結論:DM(+)DE(+)群およびDM(-)DE(+)群は対照群と比較して角膜感受性が有意に減少していた。また、涙液中のEGFのレベルは、DM(+)DE(+)群における眼球表面パラメータと相関していた。これは、糖尿病におけるDEの診断のバイオマーカーとなる可能性がある。(CH)

2019
200巻

傍乳頭深層微小血管脱落と視野障害進行の関係

American Journal of Ophthalmology 200巻 (4号) 2019

Parapapillary Deep-Layer Microvasculature Dropout and Visual Field Progression in Glaucoma
Ji Min Kwon, et al (Korea and USA)
Am J Ophthalmol 200(4): 65-75, 2019
138名138眼のPOAG患者を平均5.5年観察 OCTAと過去5回以上のVFを比較
55眼(39.9%)がVF進行 SD IOP、ベースラインMDとPSD,DH、βPPA+BMが大きい、LC欠損が有意に進行群に多かった。
上記で調整してもDropoutがある群の方が進行の割合が高かった:50/84(59.5%) vs 5/54(9.3%) P<0.001 OR 3.64-5.68
微小血管脱落群のうち、34/84例40.48%、脱落なし群の49/54例(90.74%)は進行していない:微小血管脱落がないことは病態が落ち着いている状態を示すが、血管脱落があることは直ちに視野進行を示すものではないOCTAによる傍乳頭深層血管脱落は以前の視野障害進行と関係している(MM)

2019
199巻

緑内障ドレナージ装置を用いた眼における角膜移内皮移植術の臨床結果

American Journal of Ophthalmology 199巻 (3号) 2019

Clinical Outcomes of Descemet Membrane Endothelial Keratoplasty in Eyes With a Glaucoma Drainage Device
RENUKA S. BIRBAL, et al. (Netherlands)
Am J Ophthalmol 2019(3);199:150-158.
目的:ドレナージ装置(GDD)を用いた緑内障手術を受けた症例に対する角膜移内皮移植術(DMEK)の結果を評価する。
対象と方法:19人20眼でトータル23回のDMEKを施行した。平均年齢63.8 ±12.7歳。
Express 13眼、チューブシャント 1個 17眼、2 個 3眼(重複あり)。
水疱性角膜症(52%)、DSAEKまたはDMEKの移植片不全(39%)、Fuchs角膜内皮ジストロフィー(9%)
矯正視力、内皮細胞密度(ECD)、術後合併症、および移植片生存率を検討した。
結果:平均経過観察期間19(±17)ヶ月。
術後1年での生存率は89%、術後2年で67%に減少した。生存率の急速な低下はGDDを用いた目の中のPKおよびDSAEK後にも報告されている。(図1)
術後1年(n = 15眼)で、BCVAは11眼(73%)でスネレン視力2ライン以上改善し、4眼(27%)で維持していた。
ドナーECDは術後1、6および12ヶ月でそれぞれ37%(n = 14)、60%(n = 11)、および71%(n = 11)と減少した。
術後12ヵ月で71%というECDの減少は標準DMEKより高かった。
術後2年までの術後合併症は、瞳孔ブロック1眼、空気再注入を必要とする移植片剥離5眼(22%)、ステロイド点眼使用で治癒できた拒絶反応は2眼(9%) 、移植片不全(9%)、再移植は2眼で必要とされた(9%)。(表3)
移植片不全発生率も標準DMEK後よりも高かった。しかし、GDDを有する眼に対するDSAEK(26%〜50%)およびPK(30%〜70%)と比較すると低かった。
結論:GDDは移植片の生存期間を短縮し、そして再移植の危険をもたらす。
その原因は、第一にチューブシャントによる房水循環パターンの変化は内皮細胞の生存率に悪影響を及ぼす可能性がある。第二に、GDD自体が断続的なブドウ膜への接触により血液房水関門の破綻を引き起こしたり、眼を擦ったり、強く瞬きすることによりGDDが角膜に接触する慢性外傷によりアポトーシス、および炎症性タンパク質が増加し、角膜内皮障害を引き起こす可能性がある。(CH)

2019
198巻

白内障術後のIOL偏位の長期経過

American Journal of Ophthalmology 198巻 (2号) 2019

Frequency of intraocular lens dislocation and pseudophacodonesis, 20 years after cataract suregry-A prospective study.
Mönestam E(Sweden)
Amer J Ophthalmol 198(2): 215-222, 2019
・1997-1998に白内障手術を行った800例(11名にCTR)のうち、20年後には666名が死亡。
・このうち660名(10名のCTR)で追加手術なし、6名(1名のCTR)で偏位手術を行なっていた。
・20年後に34名の生存者では検査できなかったが、32名は追加手術なし、2名で偏位手術施行していた。
・残りの100名に検査を行い、そのうち2名は偏位手術を行っており、残りの98名には手術は施行していない。
・この98名のうち中等度以上のIOL動揺は5名で見られ、そのうち3名はPXFであった。
・軽度のIOL動揺は2名でみられ、残りの91名ではIOLはみられなかった。
・結果として、800名のうち10名(68.3歳58-80歳)でIOL偏位の手術をうけたことになった。
・白内障手術前に39%の患者はPXFであった。
・白内障手術後から偏位手術前の平均は12年6ヶ月(3年9カ月から19年3か月)であった。
・20年間の累積の偏位手術はPXF患者では6%、PXF以外では2%(p=0.035)。(TY)

2019
198巻

水疱性角膜症の角膜厚と前房内サイトカイン濃度の関連

American Journal of Ophthalmology 198巻 (2号) 2019

Cytokine Levels in the Aqueous Humor Are Associated With Corneal Thickness in Eyes With Bullous Keratopathy
NATSUME SUZUKI, et al. (東京歯科大学)
Am J Ophthalmol 2019(2);198:174-180.
目的:水疱性角膜症(PBK)の重症度と前房水の炎症性サイトカインレベルの関連を調査した。
対象と方法:角膜移植を施行された偽水晶体性水疱性角膜症(PBK)62眼と、対照群(白内障手術施行例)33眼で、前眼部OCTによる角膜厚、角膜体積と前房水中のサイトカイン濃度の相関を検討した。
手術開始時に合計95眼の前房水サンプルを採取した。
結果:PBK眼は対照群に比べ、前房水中の炎症性蛋白質およびサイトカイン濃度が有意に高かった。PBK眼においてinterleukin(IL)-13およびsoluble intercellular adhesion molecule(sICAM)-1と角膜厚は正の相関を認めた。(図1)
PBK群のDescemet膜の電子顕微鏡像は、角膜内皮細胞の消失とDescemet膜コラーゲンの変性を示した。
結論:水疱性角膜症は単純な角膜内皮細胞減少と浮腫だけでなく、前房水中の炎症性サイトカインが上昇し、角膜内皮細胞のバリア機能破綻から高濃度炎症性サイトカインが角膜実質に浸潤、角膜実質への炎症細胞の遊走や変性、浮腫の増悪など、一連の変化が生じている可能性が示唆された。(CH)

2019
197巻

角膜内皮移植DMEK後の遠視化について

American Journal of Ophthalmology 197巻 (1号) 2019

Avoiding hyperopic surprises after Descemet Membrane Endothelial Keratoplasty in Fuchs dystrophy eyes by assessing corneal shape.
Fritz M et al(Germany)
Amer J Ophthalmol 197(1): 1-6, 2019
・Descemet Membrane Endothelial Keratoplasty(DMEK)と白内障手術(triple DMEK)を行った患者で予想外の遠視化が起こることがあるので、その要因を検討した。
・Fuchs角膜内皮ジストロフィ(FECD)でtriple DMEKを行った112眼で術前のScheimplfug検査を行って検討した。
・術後屈折度の予測は-0.43D(4分位値は-0.47D~-0.17D)であったが、得られた値は-0.63D~+0.56Dであり、誤差は+0.34D(-0.22D~+0.81D)であり、遠視化が46%に発生していた。
・Scheimplfug cameraで求められるQ値で検討した。
・Q値:表面の輪郭と中心ずれから求められるもので、偏円形oblate角膜では+、篇長形prolate角膜では-、球状speric角膜では0となる
・術前の角膜後面屈折のQ値が正の場合は、Q値が0あるいは負の場合より3.0倍(95%CI=1.3-7.0 p=0.011)遠視化が起こっていた。
・通常、角膜内面は中心が周辺よりsteepであるのでprolateであり、円錐角膜などの突出した角膜ではさらにprolateである。角膜浮腫があると中心がflatになるのでoblateとなりQ値は+となる。
・角膜厚に関係なく、角膜後面Q値が正の場合は平均+0.50D遠視化が起こっていた(95%CI=0.19-0.82 p=0.002)。
・角膜周辺部よりも中心部の曲率が平坦な場合には浮腫の影響により遠視化が起こりやすい。
・術後+0.5D以上遠視化、-0.5~+0.5D未満、-0.5D以上近視化の症例は眼数は52:42:18、術前角膜後面Q値平均値は0.33:-0.13:-0.38、屈折誤差は1.04±0.60D、0.03±0.27D、-0.95±0.54Dであった。
・>+2.0Dが5眼、>+1.0~+2.0が14眼、+0.5~+1.0が33眼、-0.5~-1.0が14眼、>-1.0~-2.0が3眼、>-2.0が1眼であった(TY)

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