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American Journal of Ophthalmology

2012
154巻

顔面への美容的な詰め物注射によって引き起こされた医原性網膜動脈閉塞

American Journal of Ophthalmology 154巻(4号)2012

Iatrogenic Retinal Artery Occlusion Caused by Cosmetic Facial Filler Injections
Park SW, Woo SJ, et al.(Korea)
Am J Ophthalmol 154(10):653–662, 2012
・2003年1月~2012年1月、顔面への美容的な詰め物注射の後に発症した網膜動脈閉塞12例、全ての症例で注射直後に急激な視力低下を自覚・
・眼動脈閉塞(7例)、網膜中心動脈閉塞(2例)、網膜動脈分枝閉塞(3例)
・詰め物:脂肪の自家移植(7例)、ヒアルロン酸(4例)、コラーゲン(1例)。自家脂肪が最も視力予後不良
・注射部位:眉間(7例)、鼻唇溝(4例)、両方(1例)
・眼動脈閉塞:すべての症例で眼痛を自覚、すべて光覚喪失、SD-OCT(enhance depth image)にて脈絡膜の菲薄化【Fig.2】
・眼動脈閉塞およびCRAOの1例ずつで脳梗塞を合併、眼動脈閉塞の1例で眼球癆に
【結論】顔面への美容的な詰め物注射にて網膜動脈の閉塞が起こりうる。眼痛とSD-OCTによる脈絡膜血管の狭細化は(悲惨な視機能障害につながる)医原性の眼動脈閉塞の良い指標となる。眉間と鼻唇溝はハイリスクの場所であり、医原性網膜動脈閉塞や関連する眼徴候のみならず脳梗塞や眼球癆などの重篤な合併症を引き起こす。したがってこれらの治療を受ける患者にはこのような危険性の情報を伝える必要があり、注射も注意深く行う必要がある。さらにはこれらの治療を受けた患者が眼痛を訴えた場合は、眼科的検査と全身的なMRI検査を行うことが必要である。(MK)

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