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American Journal of Ophthalmology

2013
155巻

ドライアイ治療のための2種類のシリコン涙点プラグの維持率と合併症の比較

American Journal of Ophthalmology 155巻(4号)2013

Comparison of Retention Rates and Complications of 2 Different Types of Silicon Lacrimal Punctal Plugs in the Treatment of Dry Eye Disease
Minako Kaido, et al. (慶応大)
Am J Ophthalmol 155(4): 155:648-653, 2013
・Punctal Plug FとSuper flex plugの維持率と合併症と涙点の大きさの関係について調べた。
中〜高年のドライアイ、シルマー試験5mm以下、BUT 5 sec以下、人工涙液を使っても症状改善しないもの
・グループA:Punctal Plug F:30人(男性4人、女性26人)平均年齢58.2±13.7歳
 グループB:Super flex plug:44人(男性10人、女性34人)平均年齢64.4±18.3歳
脱落は来院時自然に取れていた時、流涙または不快のためプラグをとった時とした。
重症ドライアイには上下涙点に、中等度ドライアイには上涙点のみにプラグを挿入した。
表1のようにAもBも110個ずつプラグを挿入した。涙点の大きさはAB間で相違なし。
プラグの維持率は6ヶ月後でA 57個(70.4%)、B 25個(30.1%)(表2)
6ヶ月での自然脱落率A 25.9%、B 63.9%
涙点の大きさでの比較:Aは涙点のサイズが大きくなると脱落が多い。Bでは差はなかった。(表3)
両グループとも涙点の上下では脱落率の相違はなかった。
A:プラグ維持した人の年齢 66.0±16.6歳、脱落した人の年齢 58.2±22.3歳
B:プラグ維持した人の年齢 53.1±14.8歳、脱落した人の年齢 62.8±11.1歳
年齢とプラグの脱落に関して、Bでは維持した患者より脱落した患者の年齢が際立って高かった。(P<0.05)
プラグ脱落後、再挿入時の涙点のサイズ 0.59±1.3mm→0.73±1.2mmときわだって拡大していた。
Super flex plugに比べ、Punctal Plug Fのほうが維持率がよかった。
短い維持期間の原因は自然脱落で、自然脱落はPunctal Plug Fでは大きい涙点で多い。しかし、Super flex plugでは涙点の大きさは関係なかった。
Punctal Plug Fは涙点の大きさが0.8より大きいと自然脱落レートは63.2%、0.8より小さいと11.3%だった。
・この結果から、Punctal Plug Fは0.8より小さい涙点に使用するのが良いと思われる。Punctal Plug Fはサイズが1つなので、よりいろいろなサイズがあると、一層維持率が上がるかもしれない。
自然脱落率と年齢の関係は、年齢が高くなるほど脱落率は高くなった。
これは、瞼のたるみや眼周囲の構造の変化が関係していると考えられた。
適切なプラグを選ぶためには、涙点のサイズと年齢は重要な要因である。(CH)

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