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American Journal of Ophthalmology

2019
205巻

緑内障眼の白内障手術後の眼圧上昇を防ぐための局所的降圧薬の効果

American Journal of Ophthalmology 205巻(9号)2019

Effect of Topical Hypotensive Medications for Preventing Intraocular Pressure Increase after Cataract Surgery in Eyes with Glaucoma
KEN HAYASHI, et al. (林眼病院)
Am J Ophthalmol 2019(9);205:91–98.
・開放隅角緑内障(POAG)または偽落屑症候群(PE)を伴う眼の水晶体超音波乳化吸引術後早期のIOP上昇を防ぐために、3つの緑内障点眼、トラボプロスト(プロスタグランジンF2a)、チモロール(β-ブロッカー)、およびブリンゾラミド(炭酸脱水素酵素阻害剤)の効果を比較した。
・水晶体超音波乳化吸引術を予定しているPOAGまたはPEの患者165人の合計165の眼を3つのグループに無作為に割り当てて、術後すぐに各薬剤を投与した。
・眼圧(IOP)は、接触型眼圧計(iCare眼圧計)を使用して、術前1時間、手術終了時、術後2、4、6、8、および24時間後に測定した。25mmHgを超えるIOP上昇の発生率をグループ間で比較した。
・術前に処方された緑内障点眼薬は、手術前日に中止された。
・手術が完了すると、IOPは15〜25 mm Hgに調整されたiCare眼圧計で測定。
・165人の患者のうち、2人の患者(1.2%)が分析から除外された。
・163人の患者(98.8%)、平均年齢72.0±8.0歳、男性52人女性111人。
・平均年齢、性別、左右眼の比率、術前の等価球面値、術前視力、緑内障の種類、核硬化度、手術時間、およびその他のベースライン特性と手術因子は、3群間で有意差はなかった。
・術前1時間および手術終了時に、グループ間で平均IOPに有意差は認められなかった。平均IOPは、術後4〜8時間で有意に増加し、その後すべての群で術後24時間で減少した(P <.0001)。平均IOPは、術後4、6、および8時間で、トラボプロストまたはチモロール群よりもブリンゾラミド群で有意に低く(P < 0.0374)、術後2および24時間で群間で有意な差はなかった。術前IOP、年齢、および性別を調整した後、術後2時間の平均IOPは3群間で有意差はなかった。術後4、6、および8時間で、平均IOPは、トラボプロストまたはチモロール群よりもブリンゾラミド群で有意に低く(P < 0.0374)、トラボプロストとチモロール群の間に有意差はなかった。術後24時間で、平均IOPは3群間で有意差はなかった。
・IOPの増加が25 mm Hgを超える眼の数(割合)は、ブリンゾラミド群で6眼(11.1%)、チモロール群で15眼(27.8%)、トラボプロストで22眼(40.0%)だった。25 mm Hgを超えるIOPスパイクの発生率は、トラボプロストおよびチモロール群よりもブリンゾラミド群で有意に低いことが明らかになった。
・POAGまたはPE眼の平均IOPが、合併症のない水晶体超音波乳化吸引術手術の4〜8時間後に著しく増加し、術後24時間で術前IOPレベルに戻ったことを示した。
・ブリンゾラミドは、緑内障の眼白内障手術後早期IOP増加を、トラボプロストまたはチモロールよりも効果的に減少させる。(CH)

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