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British Journal of Ophthalmology

2014
98巻

小眼球患者のEDI-OCTで測定した中心窩下脈絡膜厚(SFCT)

British Journal of Ophthalmology 98巻(3号)2014

Subfoveal choroidal thickness measurements with enhanced depth imaging optical coherence tomography in patients with nanophthalmos
Ali Demircan et al. (Turkey)
Br J Ophthalmol  98(3): 345-349, 2014
小眼球とは他に特別な奇形が無いのに先天的に眼球容積の小さい物を言う。小眼球では遠視、浅前房、水晶体・眼球容積比の高値、短眼軸、厚い強膜、閉塞隅角緑内障、uveal effusionのような病変の合併がある。加えて後極では黄斑低形成、嚢胞、偽乳頭浮腫、色素性網膜ジストロフィー、脈絡膜肥厚がありうる。
眼血流の約85%を受け取り、網膜外層に酸素を供給する脈絡膜の機能不全は光受容体の機能低下となり、AMD,CSC等の病変に関与しうる。これまで脈絡膜の評価はIA,Bモードであったが最近はEDI-OCTで評価が可能となった。
対象は62名62眼、2群に分類し、研究群は小眼球で基準は眼軸(20㎜以下)浅前房(3.0㎜未満)中等度から高度遠視(+3.5D以上)。対照群は健常な正視眼。
結論:SFCTは小眼球では明らかに高値であった。組織科学的には異常な強膜膠原繊維とグリコサミノグリカンの代謝の変化、強膜細胞により生産されたフィブロネクチンの増加を示す。
<小眼球で脈絡膜が肥厚する理由>
①小眼球の強膜は異常に厚く、そのため蛋白への脈絡膜血管透過性を減弱させ、渦静脈を圧縮する。蛋白分子は脈絡膜内で一定の水の体積を有するため、脈絡膜血管が充血する。この説は小眼球でのuveal effusionの説明となる。
②脈絡膜の肥厚は異常な強膜の結果として起こるのではなく、これこそが異常強膜の原因と把える説。脈絡膜が厚いほど色素上皮や網膜からの異常のバリアとなる。(YM)

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