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British Journal of Ophthalmology

2017
101巻

網膜静脈閉塞症に続発する黄斑浮腫の抗VEGF硝子体内注射治療成績に対する初期視力の影響

British Journal of Ophthalmology 101巻(5号)2017

 Impact of initial visual acuity on anti-VEGF treatment outcomes in patients with macular oedema secondary to retinal vein occlusions in routine clinical practice
Karen M Wai,et al,(OH, USA)
Br J Ophthalmol 2017(5);101 :574-579
目的:抗VEGF硝子体内注射で治療されているBRVOまたはCRVO患者のベースライン時視力が治療結果に影響するか調べた。
対象と方法:未治療のBRVOまたはCRVO 177眼、平均年齢67.9±13.4年。
患者はベースライン時の視力によって3グループに分け、網膜厚と視力の経過を検討した。グループ①20/40またはそれ以上、グループ②20/50 – 20/300、グループ③20/320またはそれ以下
結果:BRVOと診断された患者は84人84眼、平均年齢は67.9±13.4歳
ベースライン時の平均ETDRSスコアは58.2±17.9文字(Snellen  20/70)
平均CST(central subfield thickness)399.6±134.0μm。83%ベバシズマブ、17%ラニビズマブ。
ベースライン時VAが20/320またはそれより悪い患者は少なすぎたため(n = 4)除外した。
6カ月後平均10.5文字増加(p <0.001)、平均CST 72.48μmの減少を示した。(p <0.001)
12カ月後平均11.6文字増加(p <0.001)、平均CST 78.55μmの減少を示した。(p <0.001)
注射回数は6ヶ月間で平均3.6回、12ヶ月で5.7回だった。
6カ月後 グループ① 3.3文字増加、平均CST 28.54μm減少 グループ② 11.8文字増加、平均CST 102.87μm減少
12カ月後 グループ① 2.6文字増加、平均CST 48.94μm減少 グループ② 13.2文字増加、平均CST 98.20μm減少
グループ①では平均ETDRSスコア、CSTとも6、12ヶ月後でベースライン時と比較し有意な改善は認められなかったが、グループ②では有意に改善した。
CRVO / HRVOと診断された患者は93人93眼。平均年齢は69.9±12.3歳。
ベースライン時の平均ETDRSスコアは50.8±25.6文字(Snellen 20/96)
平均CSTは483.S±179.1μm。77%ベバシズマブ、18%ラニビズマブ、4%がアフリベルセプト。
6ヵ月後平均9.6文字増加(p <0.001)、平均CST 155.58μmの減少を示した。(p <0.001)
12ヵ月後平均9.1文字(p = 0.003)および平均CST 136.56μの減少を示した。(p <0.001)
注射回数は6ヶ月間で平均3.7回、12ヶ月で6.0回だった。
6カ月後 グループ① 6.7文字増加、平均CST 90.95μm減少 グループ② 10.1文字増加、平均CST 172.69μm減少、
          グループ③ 33.8文字増加、平均CST 192.67μm減少
12カ月後 グループ① 9.6文字減少、平均CST 47.92μm減少 グループ② 9.4文字増加、平均CST 160.87μm減少、
         グループ③ 42.2文字増加、平均CST 180.84μm減少
グループ①では平均ETDRSスコア、CSTとも6、12ヶ月後でベースライン時と比較し有意な改善は認められなかったが、グループ②③、特に③で最も改善した。
BRVOまたはCRVO / HRVOの患者では、より良好なベースライン時視力の患者は、12ヶ月にわたって視力、CSTに有意な変化はなかった。逆にベースライン時悪いVAの患者は、視力およびCSTにおいて劇的な改善を示した。
結論:網膜静脈閉塞に続発する黄斑浮腫では、抗VEGF治療は、より良好な初期VAの患者と比較して、初期VAが不十分な患者の平均視力およびCSTのより大きな改善をもたらす。(CH)

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