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British Journal of Ophthalmology

2017
101巻

前房水中サイトカイン濃度が示す糖尿病黄斑浮腫に対するラニビズマブ治療の反応

British Journal of Ophthalmology 101巻(11号)2017

Aqueous cytokine and growth factor levels indicate response to ranibizumab for diabetic macular oedema
Shimura M,et al.(東京医科大学)
Br J Ophthslmol.2017 Nov;101(11):1518-1523.
・目的:糖尿病性黄斑浮腫(DME)に対するサイトカイン/ケモカインおよび成長因子の房水水準とラニビズマブ硝子体内注射(IVR)の治療反応の関係を調べる
・対象と方法:未治療のDMEを有する68眼、平均糖尿病期間は9.6 ± 2.9ヶ月、年齢は67.2 ± 5.5(57〜79歳)、HbA1c8.0%を超えない。
・中心窩網膜厚(CMT)が400μm以上、視力は0.3 logMARより悪かった。
・重度の増殖糖尿病網膜症または重度の白内障を有する眼は除外した。
・各患者は、CMTが300μm未満に低下するまで毎月IVR注射(0.5mg / 0.05mL)を受けた。
・最初のIVR注射の直前に得られた試​​料を用いて、サイトカイン/ケモカインおよび成長因子の前房内濃度を測定した。
・結果:24眼では単回投与で浮腫が300μm以下になり(反応良好群)、12眼では6回連続投与しても浮腫が消退しなかった(治療抵抗群)。
・反応良好群は治療抵抗群に比べ、治療前の前房水中のVEGF、placenta growth factor(PlGF)、soluble VEGF receptor-1(sVEGFR1)濃度だけでなく、monocyte chemoattractant protein-1(MCP-1)、intercellular adhesion molecule-1(ICAM-1)、interleukin 6(IL-6)、interferon-γ inducible protein-10(IP-10)濃度も有意に上昇していた。
・6か月の経過中、350μm以下に維持されるようにラニビズマブを投与すると、視力は平均0.14 logMAR(ETDRS 7文字換算)に改善し、平均投与回数は3.23回と少なくて済み、この治療法での短期有効性を示した。
・結論:VEGFR1関連および炎症関連の活動性の上昇とラニビズマブ治療感受性の相関が示唆された。(CH)

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