眼科JOURNALトップ > British Journal of Ophthalmology > 白内障手術における前房内散瞳剤の評価

British Journal of Ophthalmology

2018
102巻

白内障手術における前房内散瞳剤の評価

British Journal of Ophthalmology 102巻(6号)2018

An evaluation of intracameral mydriasis for routine cataract surgery
Christopher B Schulz, et al. (UK)
Br J Ophthalmal 2018(6);102:784-789.
目的:術中のMydrane(トロピカミド0.02%、フェニレフリン0.31%、リドカイン1%)の使用は、現在の散瞳方法を置き換えるための1つの可能性のある選択肢である。
(1)満足度、術前不安および術後視力(2)時間、コストおよび人員への影響(3)瞳孔の大きさ、機械的瞳孔拡張の必要性、術中虹彩緊張低下症候群(IFIS)の発生率および合併症について検討した。
対象と方法:今まで通りの術前散瞳薬点眼使用群(シクロペントレート1%およびフェニレフリン2.5%の各3回投与)(1群; n = 60)
Mydrane使用群(2群; n = 60)0.2mLのMydrane前房内に注入した。CCCを行う前に十分な瞳孔拡張する為に45-60秒を要した。
結果:術後VAは群間で同等であった(2群0.09±0.16対1群0.08±0.15、 p = 0.59)。
2群の瞳孔の大きさは、CCCの前は7.0±1.0mmで、皮質吸引後に6.5±0.29mmだった。α1ブロッカー使用者ではより小さかった(4.7±1.1mm、 p = 0.004)。2群と1群を比較すると、2群で術前待機時間は短く(2群87分、1群146分、p <0.0001)、満足度はより高かった。(2群76.0±11.2対1群66.3±8.6 、p <0.0001)。
1群では3.3%がIFLSを発症し、α1ブロッカー使用者では14.3%と上昇した。2群のIFISの率は6.7%(であり、α1ブロッカー使用者では37.5%に上昇した。
術前待機時間と満足度の間には弱い負の相関が認められた。
術前待機時間と術前不安との間には、さらに弱い負の相関が認められた。
この施設では費用効果がなかった。
結論:Mydraneは、白内障手術を受けているほとんどの患者において臨床的に有効であった。(CH)

過去のアーカイブ