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British Journal of Ophthalmology

2019
103巻

重症ドライアイ治療のための多血小板血漿注射の無作為化前向き臨床試験

British Journal of Ophthalmology 103巻(5号)2019

Randomised, prospective clinical trial of platelet-rich plasma injection in the management of severe dry eye
Marcel Y Avila, et al. (Colombia)
Br J Ophthalmol 2019(5);103 :648-653.
目的:多血小板血漿(PRP)療法とは、自分の血液中に含まれる血小板の成長因子が持つ組織修復能力を利用し、本来備わっている「治る力」を高め、治癒を目指す再生医療である。
涙腺に対するPRP注射の有効性と現在の標準治療とを比較した。
対象と方法:シェーグレン症候群と診断された重症ドライアイ患者。PRP群15眼(59.2±3.4歳)に0、30、60および90日目にPRP注射と1日に5回ヒアルロン酸点眼を行った。対象群15 眼(52.7±3.5歳)は1日5回ヒアルロン酸点眼を行った。角膜染色の変化、シルマー試験、涙液層破砕時間(TBUT)、眼表面疾患指数(OSDI)の変化を調査した。
眼窩外縁の外側の3分の1、上縁部から4mmの深さにPRP注射(1mL)を行った。これは涙腺の位置に相当する(図2)。
結果:シルマー試験ではPRP群はベースライン時5.4±0.7 mmから90日目受診時9.2±1.0 mmまで増加したが、対照群はそれぞれ5.6±0.40 mmから5.3±0.7 mmと増加しなかった(p <0.002)。(図3)
ベースライン時のTBUTはPRP群4.0±0.4秒、対照群4.2±0.3秒であり、この差は有意ではなかった(p = 0.655)。 90日目受診時ではPRP群6.4±0.4秒、対照群で4.4±0.3秒で、PRP群で有意に改善でした(p = 0.0055)(図4)。
ベースライン時の眼表面染色の値は、PRP群2.5±0.15、対照群2.6±0.16であった。これらの値は、90日目受診時にPRP群1.2±0.18、対照群2.4±0.18に減少し、群間で有意差を認めた(p <0.001)。(図5)
OSDIスコアはPRP群と対照群はベースラインで同様で、群間に有意差はなかった。 90日目受診時にPRP群は59±4.0から34±4.0、対照群54±3.5から55±2.5に減少し、群間で有意差を認めた(p<0.001)。
結論:PRP注射は、涙腺機能を改善するための安全で効果的な治療法であり、重症ドライアイ患者の管理においてヒアルロン酸点眼治療より優れていることがわかった。これは重度のドライアイに対する新しい代替治療法である。(CH)

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