眼科JOURNALトップ > British Journal of Ophthalmology > 網膜色素変性症における嚢胞様黄斑浮腫、網膜上膜および白内障の有病率

British Journal of Ophthalmology

2019
103巻

網膜色素変性症における嚢胞様黄斑浮腫、網膜上膜および白内障の有病率

British Journal of Ophthalmology 103巻(8号)2019

Prevalence of cystoid macular oedema, epiretinal membrane and cataract in retinitis pigmentosa
Gerald Liew, et al. (UK)
Br J Ophthalmol 2019(8);103: 1163-1166
目的:網膜色素変性症(RP)患者における治療可能な合併症(嚢胞様黄斑浮腫、CME、網膜上膜、ERMおよび白内障)の有病率の報告。
対象と方法:169人338眼、平均年齢47.1歳(±18.4)、男性46.8%、女性53.2% 。
大半は常染色体劣性、孤発例だった。
結果:CMEは172眼50.9%に存在した。これらの患者のうち、73.7%は両眼だった。CME患者のうち、31.3%が軽度で治療されず、37.4%がアセタゾラミド内服で治療中、29.3%がドルゾラミド点眼で治療され、2%が治療後だった。
ERMは77眼22.8%に存在し、79.1%は両眼だった。
白内障は79眼23.4%、その内71.7%は両眼だった。眼内レンズ挿入眼は38眼11.2%。
多変量解析では、CMEは若い年齢(OR 0.81、95%CI 0.67〜0.98)に関連していたが、性別には関連していなかった。 ERMおよび白内障/眼内レンズ挿入眼の患者は、CMEを発症する可能性が低かった(OR 0.19、95%CI 0.09〜0.40およびOR 0.37、95%CI 0.16〜0.84)。 CMEは常染色体優性遺伝(71.4%)の患者で最も一般的であり、常染色体劣性/孤発例(58.9%)が続き、X連鎖遺伝(12.5%、p <0.001)で最も少なかった。
結論: RP合併症の有病率は高く、多くの症例が両眼性である事がわかった。若年、常染色体優性遺伝、ERMおよび白内障を発症していない事はCMEのリスク増加と関連していた。RPの患者を定期的にスクリーニングすることが臨床的に有益であることを示唆する。(CH)
————–
日本での網膜静脈分枝閉塞症の現在の治療:日本の網膜専門医の調査結果
Current practice in the management of branch retinal vein occlusion in Japan: Survey results of retina specialists in Japan.
Yuichiro Ogura, et al. (名古屋市立大学)
Japanese Journal of Ophthalmology (2019) 63(5):365-373
目的:日本の網膜専門家による現在の網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)管理と臨床治療パターンを解明する。
方法:2017年5月28日に、BRVO管理と臨床診療について41人の網膜専門家に調査した。多肢選択式の回答を含む37の質問。
結果:ほとんどの専門家31/40(77.5%)は、BRVOに続発する黄斑浮腫(ME)の診断に眼底検査とOCTを使用している。24/40(60.0%)は、中心窩の浮腫と傍中心窩の浮腫の両方を治療目的と考えているが、27/41(65.9%)は前者のタイプの浮腫のみが視力に影響すると考えている。また、11/41(26.8%)が中心網膜厚(CRT)が300μm以上の場合、治療が必要な浮腫を判断している。
浮腫が3〜6か月間持続していると、視細胞への不可逆的な損傷につながると予想しており、大多数(31/41、75.6%)は黄斑浮腫が2か月またはそれ以下だと不可逆的な視細胞の損傷を引き起こさないと考えている。
39 / 41(95.1%)は網膜出血が視細胞の損傷を引き起こし、40 / 41(97.6%)は抗VEGF療法が新たな出血を抑制し、血液の消失を加速させると考えている。
全員がellipsoid zone(EZ)および外境界膜(ELM)の状態を評価し、これを視覚的予後因子と見なしている。
無灌流域(NPA)については、19/39(48.7%)がFAとOCTAの両方を使用して存在と範囲を評価している。
31/40(77.5%)は、抗VEGF療法がNPAを減少または維持できると考えている。BRVOに続発するMEの場合、抗VEGF療法が最初の選択肢であり、ほとんどの専門家(82.4%)が初回注射に続いてPRN治療を選択する。ME再発を繰り返す患者の場合、16/41(39.0%)が抗VEGF単剤療法を最大1年間継続し、患者が希望する限り39.0%)継続する。
治療を変更する場合、14/39(35.9%)は抗VEGF治療とレーザー療法の併用治療を選択し、10/39(25.6%)は硝子体手術を行い、6/39(15.4%)は抗VEGF剤とステロイド注射を併用する。
結論:この調査は、日本の網膜専門医によるBRVOの診断と治療に関する現在の意見を示し、予後不良の要因としてのEZ / ELMの損傷と、第一選択治療としての抗VEGF療法に関する一般的な見解を明らかにした。将来的には、BRVO治療、特に抗VEGF療法の臨床データを蓄積し広めることにより、個々の患者の病状や状況に合わせて治療計画が改善されることが期待されている。(CH)

過去のアーカイブ