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British Journal of Ophthalmology

2020
104巻

ドライアイ患者における組換えヒト神経成長因子点眼薬の効果

British Journal of Ophthalmology 104巻(1号)2020

Effect of recombinant human nerve growth factor eye drops in patients with dry eye
Marta Sacchetti, et al. (Italy)
Br J Ophthalmol 2020(1);104:127-135.
・神経成長因子(NGF)は、中枢および末梢神経系、内分泌、免疫および視覚系の機能の調節に重要な役割を果たす。臨床研究により、神経栄養性角膜炎および自己免疫性角膜潰瘍の患者におけるマウスNGF(mNGF)点眼薬による点眼治療の安全性と有効性が証明されている。
・さらに、ヒトと動物の両方の研究からのデータは、NGFが眼表面の創傷治癒と感受性を刺激し、涙液産生と結膜杯細胞密度を増加させることを示している。
・最近、眼疾患の治療のために大腸菌で生産された新しい組換えヒトNGF(rhNGF)が導入された。2017年7月、ヨーロッパで中等度から重度の神経栄養性角膜炎に対するrhNGFの点眼製剤治験が行われ、安全性と有効性を証明した。
・この研究ではドライアイ(DED)患者における組換えヒト神経成長因子(rhNGF)点眼薬の安全性と有効性を評価する。
・対象と方法:中等度から重度のDEDと診断された成人患者グループ1(G1)20人(女性16人、男性4人、平均年齢48.4±12.0歳))はrhNGF点眼薬1日2回、20μg/ mL、28日間使用した。
・グループ2(G2)20人女性17人、男性3人、平均年齢55.9±14.8歳)はrhNGF点眼薬1日2回、4μg/ mL、28日間使用した。(図1)
・rhNGF点眼液の両方の濃度は、治療期間の終わりにDEDの徴候と症状の有意な改善を誘発し、それはフォローアップの終わりまで部分的に続いた。OSDIスコアは、終了時に有意な改善を示した(G1ベースライン55.5±21.8、4週間32.6±16.2、p <0.001、G2ベースライン:52.4±21.8、4週間:35.7±22.8、p = 0.0035)。
・眼表面損傷も改善した(NEI角膜合計スコア:G1ベースライン:5.2±2.0、4週間:1.3±2.2、p <0.001; NEI結膜トータルスコアベースライン:8.1±3.5、4週間2.5±1.4、p <0.001)およびG2ベースライン:5.9±2.7、4週間:3.0±3.3、p <0.001;結膜トータルスコアベースライン6.8 ±2.7 、 4週間4.5±2.1、p <0.001)。
・涙液層パラメーターの有意な増加がグループ1で観察された(シルマーテストI:ベースライン4.1±3.3 mm / 5分、4週間9.4±7.8 mm / 5分、p = 0.0006; TFBUTベースライン3.4±2 秒、4週間6±2.5 秒、p = 0.0015、グループ2では有意差はなかった(シルマー試験タイプI:ベースライン5.2±3.7 mm / 5分、4週間8.2±6.8 mm / 5分、p = 0.0734、TFBUTベースライン3±2.4 秒、4週間2.5±1.3 秒、p = 0.4087
・全身、局所の大きな合併症は認められなかった。
・結論: 4μg/ mLと20μg/ mLの両方でのrhNGF点眼薬は、局所または全身の安全性を認めた。中等度から重度のDEDの患者で良好な結果を示した。(CH)

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