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British Journal of Ophthalmology

2022
106巻

重度のドライアイ疾患の治療のための小唾液腺自家移植における唾液流量

British Journal of Ophthalmology 106巻(5号)2022

Use of saliva flow rate measurement in minor salivary glands autotransplantation for treatment of severe dry eye disease
Jia-Zeng Su,et al.(China)
Br J Ophthalmol 2022(5);106:902–907

・目的:重度のドライアイ疾患 (DED) の治療のための小唾液腺 (MSG) 自家移植の小唾液腺の流量 (MSGFR) を測定し、治療効果を検討する。
・対象と方法:重度のDED18眼(17人)。DED の病因は、スティーブンス-ジョンソン症候群15 眼と移植片対宿主病3 眼だった。平均病歴は6年。
・手術前にMSGFRを測定し、より多いMSGFRがある上唇または下唇がドナー部位として選択された。(頬粘膜は、唇のMSGFRが著しく減少している場合のバックアップ)粘膜で覆われた唾液小葉を含む移植片を 2 片採取し、上眼瞼と下眼瞼の両方に用意したレシピエント ベッドに移植した。ドナー片の大きさはレシピエント床の約 1.5 倍のサイズにした。
・口唇の傷は、異種無細胞真皮マトリックスまたは局所粘膜回転フラップ法で修復された。
・レシピエントの上下眼球結膜から円蓋部まで解放し、可能な限りベッドを大きくし、移植片を8-0吸収糸で縫合した。
・患者は 術後3 ヶ月、1 年、その後は毎年追跡調査され、眼科検査とアンケートが再評価された。
・結果:ドナー部位は、下唇12眼、上唇5眼、頬粘膜1眼、ドナー片の平均サイズは 8.1 cm2 (6.8–10.4 cm2) だった。
・移植片の平均術前 MSGFR は 1.7 (範囲: 0.9–3.3) µL/min/cm2で平均涙液流量 0.6 ~ 1.4 µL/minと同等だった。術前 MSGFR >1.785 µL/min/cm2 の症例は、MSGFR ≤1.785 µL/min/cm2 の症例よりも手術後のシルマー試験値の大幅な改善を示した (p<0.05)。
・DED 症状のアンケートで、症状軽減率は 58.8%、シルマー テスト値は 術前0 mm から 術後3ヶ月4 mm に増加した (p<0.05)。平均蛍光染色スコアは、術前12 から術後3ヶ月10 に減少し、その後は安定していた。 TBUT スコアと BCVA は、手術前後で有意差を示さなかった。
・ドナー部位は、結果に影響しなかった。
・合併症 移植片の部分的な壊死が術後5 日目に 1 眼、下唇の局所的な一過性知覚低下が7眼、下眼瞼の移植片の一部が見えてしまう美容上の問題2眼。
・結論:MSG 移植は、重度の DED の治療に有用であることが証明された。術後の治療効果は、術前のMSGFRと正の相関があった。 MSGFR の測定とドナー移植片の部位の選択は重要である。(CH)

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