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British Journal of Ophthalmology

2012
96巻

NTGにおける視神経クモ膜下腔灌流

British Journal of Ophthalmology 96巻(4号)2012

Cerebrospinal fluid exchange in the optic nerve in normal-tension glaucoma.
Killer HE et al(MD USA)
Brit J Ophthalmol 96(4): 544-8, 2012
・正常眼圧緑内障(NTG)では脳脊髄液(CSF)圧が低く、眼圧と視神経ONのクモ膜下腔(SAS)との篩板前後圧勾配が大きい事が軸索の死亡に関与すると考えられており、NTGではPOAGよりも頭蓋内圧(ICP)が低く、高眼圧症ではICPが正常者よりも高いことも報告されている。
・今回は、頭蓋内と視神経のクモ膜下腔(SAS)との間でのCSFの交換について、NTGとコントロールとの間に差があるかどうかを検討した。
・18名のNTG(男11、女7、64.9±8.9歳)と4名の正常者(62.8±18.4歳)で脳、眼窩のCT撮影を大槽造影法cisternographyと一緒に行った。
・脊髄穿刺を行い、圧が20cm水柱以下であることを確認後、10mlの造影剤を髄腔内に注入し、頭蓋内腔とON周囲のSAS内の造影剤濃度を測定した(単位はHU)。
・正常者ではON周囲のSAS内の濃度は529±286HU、視交差部の槽内濃度は531±208HUであったが、NTGではON周囲のSAS内濃度は144±88HUと有意に低かったが、槽内濃度は566±166HUで有意差がなかった。
・このことは、NTGでは基底槽とON周囲のSAS間のCSFの交換が低下しており、ON周囲のCSFのturnoverが減少していると考えられる。
・これは髄膜上皮細胞MECの数や体積が増え、ON周囲のSASを狭くし、CSFの流れに対する抵抗を増やしていることによるかもしれない。

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