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Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology

2013
251巻

網膜動脈瘤由来の新鮮な網膜下出血の位置移動に対する遺伝子組み替え組織プラスミノーゲン活性剤、硝子体注射とガス

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 251巻(3号)2013

Recombinant tissue plasminogen activator, vitrectomy, and gas for recent submacular hemorrhage displacement due to retinal macroaneurysm
Elsbeth J. T. van Zeeburg et al (The Rotterdam Ophthalmic Institute, The Netherlands)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 251(3): 733-740, 2013
・RAM(網膜動脈瘤)は、網膜動脈の局所の拡張であり、高血圧と心疾患を有する高齢者に多くみられる。視力障害は漿液、脂質の血管外漏出か出血が原因であり、出血は硝子体、内境界膜下、網膜内、網膜下におこりうる。RAM患者の視力予後は不良で、半数が0.2以下となるが、最終視力は出血の位置による。網膜下出血はすぐに上層細胞に障害をきたすため網膜下出血のタイプでは視力不良であり、最終的に0.1以下となる。
・ARMD患者の中心窩から網膜下出血を移動させる手段をRAM患者に施行した。RAMによる黄斑出血の患者11名。PVD完成後、PPV(経毛様体扁平部硝子体手術)を施行。rtPA(recombinant tissue plasminogen activator)を満たしたツベルクリンシリンジにつなげた41Gチップ付きの23Gカニューラを使用。41Gチップを網膜に刺入後、助手が0.1ml(20㎍/0.1ml, Actilyse)を網膜下又は血餅に注入し、部分的にRDの空間を作る。刺入部は出血の上方端とする。刺入方向からILMを剥離。このILMpeelは、術後のmacular puckerとPVR予防が目的である。fluid air exchangeで硝子体腔は15%SF6で満たす。術後患者は直立又は側臥位又はうつぶせを維持する。術後に硬性白斑、黄斑浮腫、網膜下液、新しい出血などの活動性がみられたら、RAM上か近傍にアルゴンレーザー光凝固を行なう。
・手術後1ヶ月で出血は11人中10人で移動した。この10名では、1ヶ月後に平均1.2logMAR、最新で1.5logMAR視力が改善した。
・ARMDでは、同手術で完全に出血が移動しても、必ずしも視力は改善しないが、RAM患者では良い機能改善が期待できる。RD、硝子体出血、前房出血等の合併症もありうるが、自然経過で観察するよりも良好な視力を保てる。(YM)

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