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Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology

2016
254巻

シリコンオイルによる視力低下

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 254巻(8号)2016

Vision loss under silicone oil tamponade.
Tode J et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 254(8): 1465-1471, 2016
・2006~2014年に、裂孔原性網膜剥離の硝子体手術を行った約5,400例の内、約900例に5000centistokeのシリコンオイル注入を行った。
・手術法はperfluorocarbon液(PFCL)による網膜復位後、PFCLを直接、SO置換をおこなった。
・SOの適応は再発性網膜剥離47%、部分的に増殖のある黄斑を含んだ網膜剥離28%、高度近視性網膜剥離6%、その他19%である。
・その内、黄斑剥離のなかった15例について検討した。
・SO注入方法は15例の内、8例(53%)に中心暗点を伴った視力低下を発生した。
・15例の術前logMAR中央値は0.15(0.5-0、小数点では0.3-1.0)、SO抜去前は 0.7(1.0-0.5、小数点0.1-0.3)、SO抜去6週後は 1.0(1.5-0.2、小数点003-0.6)であった。
・8眼中5眼は1年以上の最終診察時の視力は中央値logMARは0.15(0.5-0.1、小数点0.7-0.8)と改善したが、8眼中3眼(20%)では1.0(小数点0.1)のままで改善しなかった。
・術後6週以内に視力低下が発生した4例は全例が視力は改善したが、術後3か月以内に視力低下を来した残りの4例では、3例が改善しなかった。
・視力低下は全例、SO抜去前に発生している。
・OCT上では中心窩と傍中心窩の神経線維層、節細胞、内網状層の有意な菲薄化がみられた。
・水平断で500μ部の厚みは58.3±13で、健常眼の84.5±12.3μとは有意差があった(p<0.01)。
・網膜神経節細胞障害が主体であると考えているが、詳細は不明である(図)(TY)

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