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Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology

2019
257巻

培養陽性ドナー角膜の症状と臨床結果への影響

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 257巻(1号)2019

A presentation of culture-positive corneal donors and the effect on clinical outcomes
Aida Hajjar Sese, et al. (UK)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol (2019)(1) 257:135-141.
目的:ドナー角膜強膜縁の細菌汚染率は12〜39%、真菌汚染率0〜12%と言われている。培養陽性ドナー角膜で細菌性角膜炎および眼内炎を引き起こすことはめったにないが、真菌汚染はその後の真菌感染症の発症リスクを有意に増加させると報告されている。
汚染されたドナー組織を使用して角膜移植を受けた11眼の報告。
対象と方法:2013年1月から2014年4月の間に実施されたPKまたはDSAEK を受けた360眼。
ドナー角強膜縁および保存液の培養は全ての症例で行った。
結果:PK 3眼、DSAEK 8眼の全11眼が培養陽性であった。
A群:真菌6眼(Candida 6眼、PK 1眼、DSAEK 5眼)、B群:グラム陽性菌3眼(Enterococcus faecium 2眼、MRSA 1眼、PK 2眼、DSAEK 1眼)、C群:グラム陰性菌2眼(E.coli、PK 0眼、DSAEK 2眼)。
A群では5%ナタマイシン点眼液で治療したが、6眼のうち3眼は角膜炎を発症し再DSAEKを施行した。2眼ではグラフト – ホスト接続部に浸潤物が存在し、1眼では重度の持続性前部ブドウ膜炎が認められた。
B群ではクロラムフェニコール点眼薬1日6回で治療し、全例角膜炎は発症しなかった。
C群では0.3%シプロフロキサシン軟膏および1時間毎の0.3%シプロフロキサシン点眼で治療した。早期追跡調査中に感染の臨床徴候は発症しなかった。
結論:11人の患者のうち3眼(27%)が感染性角膜炎の臨床徴候を示した。これらの症例のうちの3つすべてCandida陽性でDSAEKの症例だった。
ドナー組織の追加の操作を必要とするDSAEKが感染の危険性の増加と関連しているかもしれない。(CH)

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