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Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology

2020
258巻

ERMと不等像視

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 258巻(74号)2020

Preoperative aniseikonia is a prognostic factor for postoperative stereopsis in patients with unilateral epiretinal membrane
Okamoto F, Morikawa S, Sugiura Y, Hoshi S, Hiraoka T, Oshika T(筑波大) 
Graefe’s Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology 2020; 258, 743–749
DOI https://doi.org/10.1007/s00417-020-04625-8

【目的】
片眼性網膜上膜(ERM)患者における立体視とその他の視覚機能を調査し、立体視に影響を与える視覚関連パラメータを同定
【対象と方法】
・片側の特発性ERMに対して硝子体手術が予定された、連続63名を前向きに調査
・術前と術後6か月に、チトマスステレオテスト(TST)および TNOステレオテスト(TNO)による立体視、最高矯正視力(BCVA)、コントラスト感度、変視の重症度、不等像視の程度を調査
【結果】
・術前は、TSTスコアと変視症以外の視力関連パラメータの間、TNOスコアとすべての視力関連パラメータとの間に有意な相関が認められた
・重回帰分析では、術前のTSTスコアとTNOスコアは不等像視の程度と有意に関連(いずれもP<0.01)
・手術にて、立体視・BCVA・コントラスト感度・変視症は有意に改善したが、不等像視は改善せず
・術後、TSTはBCVAと有意に関連し、TNOはBCVAおよび不等像視と関連を示した
・術後のTSTおよびTNOスコアは、術前の不等像視と有意な相関(それぞれP < 0.005, P < 0.001)
【結論】
片側 ERM 患者の立体視障害は、網膜に起因する不等像視によるものであると考えられた。また、不等像視は手術では改善せず、術前の不等像視は術後立体視の予後因子となりうる.(MK)

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