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Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology

2011
249巻

糖尿病網膜症における網膜保護機構

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 249巻(3号)2011

Differential diameter responses in macular and peripheral retinal arterioles may contribute to the regional distribution of diabetic retinopathy lesions.
Jensen PS et al(Denmark)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 249(3): 407-12, 2011
・糖尿病網膜症は網膜の自動制御機構(圧と代謝)が破綻したと考えられている。
・糖尿病網膜症には部位的な差があり、黄斑部では過灌流があり、周辺部では網膜虚血を伴った毛細管の閉塞が見られる。
・このような網膜症の差は網膜動脈径の自動制御機構に差があるためであろうと考えている。
・正常者、糖尿病黄斑症(DM)、増殖性糖尿病網膜症(PDR)、それぞれ17名づつで検討した。
・2Kgの錘を腕で持ち上げた刺激による動脈血圧の上昇、あるいは、8Hzのフリッカー光を与えた時の網膜代謝の増加、あるいは両方で刺激している時の黄斑部と網膜周辺部網膜動脈径の変化を、dynamic vessel analyzer(DVA)を用いて測定した。
・網膜動脈圧の上昇%は、3群で有意差はなく、運動時は18.8-19.77%、光刺激では0.7-1.6%、両刺激では17.3-19.8%であった。
・運動刺激では、正常者とDMでは黄斑部、周辺部ともに網膜動脈径は減少したが、PDRではやや増加しており(N:-2~-3%、DM:-1%、PDR:+1%)、PDRは他の2群と有意に異なっていた(p=0.03)。
・光刺激での網膜動脈径の増加は正常者、DMに比して、PDRでは有意に少なかった(p=0.01)(N:+3~+4%、DM:+2%、DMR:+0.5~+1.0%)。これらは黄斑部と周辺部に有意差はなかった。
・両刺激では、黄斑部では3群間に有意差はなかったが(N:+1.3%、DM:1.5%、PDR:+2.9%)、周辺部ではN:+3.3%、DM:+0.5%、DMR:+0.5%とDM、DMRでは正常者よりも有意に少なく(p=0.01)、黄斑部と周辺部を比較すると、正常者では有意に周辺部で大きく(p=0.02)、PDRでは有意に黄斑部で大きかった(p=0.049)。
・これらのことは、黄斑部では虚血から守るような自動制御機構が働いているが、周辺部では働いていないと考えられる。
・これらの検討は、DMの病態を考える上で有益である。

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