眼科JOURNALトップ > JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) > カフェイン・βブロッカーと硝子体手術パフォーマンスとの関係

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology)

2020
138巻

カフェイン・βブロッカーと硝子体手術パフォーマンスとの関係

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 138巻(8号)2020

Association of Weight-Adjusted Caffeine and β-Blocker Use With Ophthalmology Fellow Performance During Simulated Vitreoretinal Microsurgery. 
Roizenblatt M, Dias Gomes Barrios Marin V, Grupenmacher AT, et al.(Brazil)
JAMA Ophthalmol. 2020;138(8):819–825. doi:10.1001/jamaophthalmol.2020.1971
【目的】
・カフェインおよびβ遮断薬(プロプラノロール)の摂取量の体重調整カットオフを確立し、初心者の網膜硝子体の手術成績との相互作用を決定
【対象と方法】
・手術経験が2年未満の網膜硝子体外科医15名
・ドライラボ施設で2日間、毎日5回のシミュレーション
1日目、プラセボ、低用量カフェイン(2.5mg/kg)、高用量カフェイン(5.0mg/kg)、および高用量プロプラノロール(0.6mg/kg)に順次曝露した後、パフォーマンスを評価
2日目、プラセボ、低用量プロプラノロール(0.2mg/kg)、高用量プロプラノロール(0.6mg/kg)、および高用量カフェイン(5.0mg/kg)に順次暴露した後、パフォーマンスを評価
・Eyesi手術シミュレータを使用して、手術スコア(範囲:0 [最悪]~700 [最高])、タスク完了時間、眼内軌跡、および振戦率(範囲:0 [最悪]~100 [最高])を評価
【結果】
・網膜硝子体外科医15名中、9名(60%)が男性、平均年齢29.6±1.4歳、平均BMI 23.15±2.9であった
・低用量プロプラノロールと比較して、低用量カフェインは、総手術スコアの悪化(557.0 vs 617.0;差、-53.0;95%CI、-99.3~-6.7;P = 0.009)、振戦率スコアの低下(55.0 vs 75.0;差、-12.0;95%CI、-21.2~-2.8;P = 0.009)、眼内軌跡の長さ(2298.6対2080.7mm;差、179.3mm;95%CI、1.2~357.3mm;P=0.048)、タスク完了時間の増加(14.9分対12.7分;差、2.3分;95%CI、0.8~3.8分;P=0.048)と有意に関連していた
・カフェイン摂取後にプロプラノロールを服用した場合、パフォーマンスの改善と関連していたが、手術成績は低用量プロプラノロール単独の場合と比較して劣ったままであった
総手術スコア(570.0 vs 617.0;差、-51.0。 0;95%CI、-77.6~-24.4;P = 0.01)、振戦率スコア(50.0 vs 75.0;差、-16.0;95%CI、-31.8~-0.2;P = 0.03)、眼内軌跡の長さ(2265.9mm vs 2080.7mm;差、166.8mm;95%CI、64.1~269.6mm;P = 0.03)
【結論】
・初心者の網膜硝子体外科医のパフォーマンスは、低用量カフェイン単独投与後には悪化したが、低用量プロプラノロール単独投与後には改善したことを示唆している。
・プロプラノロール単独投与後の成績は、プロプラノロールとカフェインの併用投与後よりも良好であった。
これらの結果は、初心者の網膜硝子体外科医にとって、マイクロ手術のパフォーマンスを向上させるために役立つかもしれない。(MK)

過去のアーカイブ