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Journal of Cataract & Refractive Surgery

2016
42巻

スピードオートとTASS発生の危険性

Journal of Cataract & Refractive Surgery 42巻(11号)2016

Toxic anterior segment syndrome caused by autoclave resorvoir wall biofilms and their residual toxins.
Sorenson AL et al(CA USA)
J Cataract Refract Surg 42(11): 1602-1614, 2016
・2014/1~2015/1に行った3,003例の内、10例にTASSが発生した。
・TASSはスピードオートが市販された後の1992年に最初に報告されている。
・2つのStatim 2000オートクレブの水タンク壁からBacillus類、Williamsia類、Mycobacterium、Candidaが培養された。
・ポリタンクの壁面を切り取り、走査電顕検査を行った所、biofilmが見つかった。
・この構造物は0.08mm四方に約460個で、タンク1個当たり90億個の微生物である。
・この水タンクを交換後、TASS発生はなくなった。
・この地区の23個の水タンクを調べたところ、18個から細菌biofilmの汚染が見つかった。
・微生物のbiofilmは耐久性があり、滅菌後も残存しうる熱に耐性のある炎症前抗原を形成する。
・オートクレブのガイドラインに沿った清掃やメンテナンスを行っても水タンク壁には、細菌biofilmが付着していることが多く、TASSの発生に関与しているだろう。
・化学物質や清浄薬品は障害を生む可能性があり、推奨できないので、われわれは以下の方法を推奨している。
1)水タンクを空にする。
2)沸騰した滅菌水で満たす。
3)135度10分で空焚きする。
4)水タンクを空にする。
5)再度、沸騰した滅菌水で満たし、10分間放置。
6)水タンクを空にし、乾燥させて一晩置く。
7)翌日、通常使用。
8)週に1回タンク壁の培養をし、2か月間培養陰性であれば、培養を月1回とする。
・Statim 7000では水タンクは取り外してオートクレブに掛けることができるようになった。(TY)

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