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Journal of Cataract & Refractive Surgery

2018
44巻

眼科用器具の洗浄ガイドライン

Journal of Cataract & Refractive Surgery 44巻(6号)2018

Guidlines for the cleaning and sterilization of intraocular surgical instruments.
Chang DF et al(UT USA)
J Cataract Ref Surg 44(6): 765-773, 2018
・ASCRS、AAO、外来眼科手術組織の要請で、Ophthalmic Instrument Cleaning & Sterilizatio (OICS) Task Forceが記載したガイドラインである。
・OICS Task Forceは同日の連続する手術での器具の使いまわしの安全性を2007年に報告しているが、他の報告では通常の酵素洗浄でもTASSを引き起こす微細な残留物を取り除けないとされている。
・実際の安全面での利益のない、費用や労力がかかり、2酸化炭素排出量を増やす手術室の手続きの多様性についての将来の検討が必要である。
・眼科手術では他科手術では問題にならないようなほんの僅かな洗浄剤や汚染化学物質がTASSを引き起こすことがある。
・TASSは2006年に大発生し、その後、2007‐2009年と、2009‐2012年のTASSの1454症例(69000眼の連続する白内障手術)の検討から、TASSの原因はハンドピースの不十分な洗浄とすすぎ、酵素洗剤の使用、超音波洗浄だとされた。
・2014年の調査では、前年の1年間で行われた608,117眼の手術で感染は0.02%に発生し、TASSは0.01%で発生していた。
・酵素洗浄は全ての場合に行うべきではないと考えている。
・その理由は、酵素洗剤はsubtilisinあるいはαアミラーゼ外毒素を含んでおり、いずれもオートクレブでは変性されない事、酵素洗剤で角膜内皮が痛むことが報告されていることなどであるり、酵素洗剤の不十分なすすぎがTASSの大量発生に関連したと考えられている。
・超音波チップの再使用については製造会社によって差がある。
・全チップの使い捨てはAlconであり、50回の再使用を認めているのはMicroSurgical Technology、20回の再使用チップを出しているのはAMO、Johnson & Johnsonである。
・これらの8種類のチップを10回再使用した報告では電顕でもX線検査EDSでも形態的な変化は見られなかったとの報告があり、チタン製のチップをディスポにするかどうかは任意で、臨床的な判断で決めればよいと考えられる。
・滅菌については、全ての使用説明書IFUを忠実に守ることは難しい。なぜなら、滅菌時にIFUに従って滅菌物を分けることは実際的ではないからである。
・同日の短時間サイクルでの器具使用をやっている施設は52.3%で、そのうち、49.7%がSTERISのAMSCOを使用し、44.3%がSciCanのSTATIMを使用していた。
・2酸化炭素排出量は英国では白内障手術1件当たり180KgCO2排出に相当し、これは米国車が430マイル走行と同じである。この過半数の要因はディスポ製品の使用である。
・インドではこの排出量は10分の1以下であるが、この理由は器具の再使用にある。
・ここに記したガイドラインは、科学的ならびに教育的な観点からのものであり、法的、規制的なものを順守したものではないので、個々の医師が正当性を独自で判断してほしい。(TY)

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