眼科JOURNALトップ > Ophthalmology > 急性眼圧上昇による視神経乳頭部の変化

Ophthalmology

2011
118巻

急性眼圧上昇による視神経乳頭部の変化

Ophthalmology 118巻(1号)2011

Laminar and prelaminar tissue displacement during intraocular pressure elevation in glaucoma patients and healthy controls.
Agoumi Y et al(Canada)
Ophthalmology 118(1): 52-9, 2011
・前部篩状板と篩状板前の組織をOCTで描出し、緑内障眼と正常者での眼圧の急激な上昇による変化を調べた。
・12例のPOAG(年齢66.8±6.0歳)、12例の年齢を合わせた正常者(67.1±6.2歳)、12例の若年正常者(36.1±11.7歳)で比較した。
・視神経乳頭の中央部の12枚の垂直切断面を、下眼瞼の上から眼球に垂直に眼底血圧計を押しつけて眼圧を約10mmHg上昇させる前後で測定した。
・眼圧はトノペンで測定した。
・視神経乳頭陥凹両端のBruch膜の開口部を結んだ線を基線として、前部篩状板と篩状板前の組織までの垂直距離を求めた。
・眼球圧迫前後の直線距離の差を篩板移動距離(laminar displacement:LD)、篩板前組織移動距離(prelaminar tissue displacemet:PTD)とした。
・3群での眼圧上昇量は12.4±2.3mmHgでほぼ同じであった。
・全群の平均LDは0.5±3.3μmで0からの有意な差がなく、POAG:-0.5±3.7、高齢者:0.2±2.0、若年者:2.0±3.6μm(p=0.366)。
・平均PTDは15.7±15.5μmで、全例でLDよりもPTDが大きかった。
・PTD値は、POAG:6.8±13.7、若年者20.8±17.5、若年者:19.6±11.8μmで有意差があった(p=0.045)。
・多変量解析では、LDは乳頭径に負の相関があり(p=0.007)、PTDはIOP上昇程度と相関があった(p=0.013)。
・緑内障者でも正常者でも前部篩板は急性眼圧上昇で動かなかった。
・急性の乳頭表面の変化は篩板前組織の圧縮であり、篩板の移動ではないことが分かった

過去のアーカイブ