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Ophthalmology

2012
119巻

単純ヘルペス角膜炎における角膜上皮と細胞膜の変化:生体内での共焦点顕微鏡(IVCM)による調査

Ophthalmology 119巻(9号)2012

Cellular Changes of the Corneal Epithelium and Stroma in Herpes Simplex Keratitis :An In Vivo Confocal Microscopy Study
Pedram Hamrah et al (Harvard Medical School)
Ophthalmology 2012 ;119 :1791-1797
・単純ヘルペス角膜炎の患者を角膜神経支配も含め、生体内共焦点顕微鏡検査にて角膜上皮細胞と角膜細胞の形態学的特徴を分析する。
・31名の単純ヘルペス角膜炎患者の所見の無い片眼も含め、15名の正常眼と比較した。
・重症の感覚欠損の患者では1㎟あたり852個と、HSKでの表層上皮細胞の密度は、対照群の2,435個と比し、明らかに減少した(P=0.008)。上皮細胞の面積は、HSK眼ではその反対側又は対照群の407.4μ㎡と比し、835.3μ㎡と、2.5倍に拡大していた(P=0.003)。落屑し、高反射の角膜上皮細胞が、明らかにHSK眼の角膜上皮にみられたが、対照群にはみられなかった。基底上皮細胞などには両者で差がみられず、表層上皮細胞密度と形態的な特徴が、神経の長さ、数、角膜知覚に強く関連していた。
・感覚神経は角膜上皮の保存に重要な役割をはたす。生体内で神経ペプタイドは角膜細胞の増殖に影響する。一部又は完全な角膜知覚の欠損は角膜上皮の恒常性に障害をもたらし、原因はサブスタンスP、神経成長因子、グルカゴン様ペプタイドなどの神経ペプタイドの欠損である。神経の欠損は角膜上皮細胞の消滅に有害で、細胞分裂の減少をひきおこす。神経欠損後は炎症反応が原因で上皮の恒常性が欠如する結果となる。(YM)

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