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Ophthalmology

2018
125巻

DMEKとDSEKの5年移植片生存率とドナーの性別の影響

Ophthalmology 125巻(10号)2018

Five-Year Graft Survival of Descemet Membrane Endothelial Keratoplasty (EK) versus Descemet Stripping EK and the Effect of Donor Sex Matching
David A. Price, BS et al. (IN USA)
Ophthalmology 2018(10);125:1508-1514
目的: Fuchs角膜内皮変性症(FECD)対してDSEKおよびDMEKを行い、5年移植片生存率、角膜内皮細胞密度(ECD)損失率および拒絶反応率を比較する。また、ドナーとレシピエントの性別が拒絶反応や生存率に影響を与えるかどうかを調べる。
対象と方法:2003年から2012年の間にFECDに対し手術を行った2017例(DSEK 1312例(65%)、DMEK 705例(35%))。
ドナーの性別に関する情報は、1920例(95%)で入手可能であった。
術後、1%プレドニゾロン点眼は、1日4回3〜4ヶ月間、その後1ヶ月に1回ずつ減らし、1日1回無期限に続けた。
DMEKの内、115例 (16%)は術後1ヶ月で0.1%フルオロメトロン点眼に切り替え、106例 (15%)は術後1年でステロイド点眼を中止した。
結果:術後 5年間での拒絶反応率は、DMEK 2.6%、DSEK 7.9%で、DMEKの方がより低かった。(P<0.0001)(図1)。
DSEKと同じステロイド点眼回数で治療したDMEK症例では、5年間での拒絶反応率は2.0%であったのに対し、早期にステロイド減らしたDMEK症例では3.9%(P=0.29)だった。
また、アフリカ系アメリカ人は他の人種よりも拒絶反応率が有意に高かった。(P=0.0006)
DSEKとDMEKの両方で、5年生存率は93%であった(P=0.85)。
DMEK 44例とDSEK 69例で移植片不全になったか、5年以内に再移植を要した。拒絶反応はECD損失を増やしたが(P=0.004)、5年以内の移植片不全の重要なリスク要因ではなかった。(P=0.09)
術後5年のECD損失率は、DSEK 47%、DMEK 48%であった。(P = 0.22)
ドナーとレシピエントの性別の影響は認められなかった。
(拒絶反応率:女性レシピエントP=0.07、男性レシピエントP=0.33;移植片生存率:女性レシピエントP=0.67、男性レシピエントP=0.17)
結論: DMEKはDSEKより拒絶反応率が有意に低いリスクにもかかわらず、5年移植片生存率、および角膜内皮細胞喪失は同等であった。
ドナーとレシピエントの性別の拒絶反応率、移植片生存率への影響は認められなかった。(CH)

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