眼科JOURNALトップ > Ophthalmology > 抗VEGF剤の母乳中への影響

Ophthalmology

2020
127巻

抗VEGF剤の母乳中への影響

Ophthalmology 127巻(2号)2020

Ranibizumab and Aflibercept Levels in Breast Milk after Intravitreal Injection
Verena R. Juncal et al. (Canada)
Ophthalmology 127(2):278-280, 2020
・母乳中にはVEGFが含まれており、乳児の消化系の発達に重要な役割を果たしている。抗VEGF薬を硝子体投与した際、母乳中にどの程度移行するかを調査
・2017年10月から2018年10月に網膜疾患で抗VEGF薬を投与した授乳婦3名を調査した
・症例1:37歳 近視性CNV 初回 Ranibizumab 授乳は中止した
・ベースライン(注射1時間前)、1~7日目,14,21,28日目に母乳中濃度測定
・症例2:37歳 近視性CNV 4週前に1回Ranibizumab投与あり 授乳は継続
・症例3:24歳 DME 初回 1週間前に出産 授乳は中止決断 Aflibercept 初回投与
・ベースライン、1日目から4日目、その後は母乳が出なくなり検査不能
・検出限界はranibizumab 1.6ng/ml, aflibercept 5ng/ml
・症例1:3日目にranibizumab検出(34.7ng/ml)、その後徐々に増加
・VEGF-Aレベルは1日目の22.8ng/mlから28日目の4.9ng/mlまで低下
・症例2:常に検出限界以下でVEGF-A濃度も変化なし
・症例3:4日目にaflibercept検出(10.9ng/ml)したが、VEGF-A濃度はベースライン10.9ng/mlから1日目に4.9ng/mlに低下した
・症例1と3は本研究以外では搾乳もしておらず、抗VEGF薬が蓄積した可能性がある
・症例2では授乳も続けており、症例1,3のようにVEGF-A濃度は減少することはなかった。授乳により母乳中に抗VEGF薬が蓄積しなかったためか。
・本研究ではVEGFを必要とする乳児に対してどのような影響があるかはわからない(MM)

過去のアーカイブ