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その他のジャーナル

2014
58巻

眼内環境を守る:眼内酸素勾配維持の重要性

その他のジャーナル 58巻(3号)2014

Preserve the (intraocular) environment: the importance of maintaining normal oxygen gradients in the eye
David C. Beebe et al (Washington Univ. MO)
Jpn J Ophthalmol 58(3): 225-231, 2014
・眼内酸素は網膜動脈と角膜からの拡散によって供給され、硝子体ゲルと水晶体で消費される。酸素分圧が高くなると酸素毒性で白内障やPOAGのリスクが上がる。
・毛様体の動脈からも供給されるが、毛様体の部位では酸素分圧は低い。可能性としてミトコンドリアの活動が盛んで、毛様体上皮での消費が多いことと、水晶体での消費が多いことが考えられる。
・硝子体手術後に硝子体の酸素分圧は上昇し、白内障の進行がみられる。しかし水晶体があるため前房や隅角の酸素分圧上昇は抑えられる。
・糖尿病網膜症患者では虚血のため、硝子体手術後でも白内障の進行は少ない。
・白内障単独手術では水晶体(IOL)前面の酸素分圧上昇は生じるが、隅角はそれほど上昇しない。
・硝子体と白内障同時手術では隅角の酸素飽和度が上昇し、それによってTMのダメージが引き起こされ、POAG発症のリスクとなると考えられる。
・残せるものであるなら硝子体手術で可能な限り水晶体温存が望ましいのではないか。(MM)

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