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その他のジャーナル

2016
120巻

黄斑疾患に対する硝子体内注射ガイドライン

その他のジャーナル 120巻(2号)2016

小椋祐一郎、高橋寛二、飯田知弘、日本網膜硝子体学会硝子体注射ガイドライン委員会
日眼会誌 120(2): 87-90, 2016

 

米国ガイドライン

本邦ガイドライン

周術期の抗菌薬使用

注射前・中・後ともルーチン使用が眼内炎を減らすエビデンス不十分

添付文書上は必要だが個別に判断

消毒薬

ポピドンヨード

「ヨウ素系消毒薬」

マスク着用

患者 and/orスタッフ

術者および介助者

ドレープやテガダームなど

記載なし

記載なし

開瞼器

記載なし

滅菌開瞼器

*どちらもヨウ素系消毒薬の使用、注射部位や注射針が眼瞼縁や睫毛に触れないよう注意することが重要

【ガイドライン本文より抜粋】
Ⅲ 方法
 我が国において推奨される硝子体内注射方法は以下のとおりである。なお、この方法については欧米のガイドラインおよび我が国における研究を参考にした。なお、欧米のガイドラインでは、周術期(術前・術中・術後)における広域抗菌薬の常用については十分なエビデンスは存在しないと報告されている。以下に述べる方法はあくまでも推奨レベルであり、個々の対応については施設または施術者が責任を負うものである。臨床的判断のもと、個々の患者にとって最適と思われる方法を選択すべきである。
硝子体内注射の全般的注意事項
1)物品準備から投与に至るまで無菌操作を遵守する。
2)硝子体内注射に関する十分な経験のある眼科医が投与を行う。
3)各薬剤の添付文書を参考にする。
4)各施設の投与プロトコールに基づいて投与を行う。
硝子体注射前の注意点
1)硝子体内注射薬の薬剤添付文書では、投与3日前から広域抗菌薬を点眼することとされている。患者への抗菌薬の術前点眼の必要性については施設または施術者が個別に判断すべきである。
2)硝子体内注射に使用する薬剤(消毒液、局所麻酔薬、広域抗菌点眼薬および散瞳薬など)への過敏症、緑内障・高眼圧、脳梗塞の既往、妊婦または妊娠の可能性などについて事前に十分な問診を行う。小児に対する安全性は確立されていない。
3)注射当日は、直前のチェックとして、眼症状の変化(見え方の変化、眼または眼周囲に感染あるいは感染の疑いがないか)、全身状態の問診などを行う。
硝子体内注射手順
 硝子体内注射のための必要物品を表2(略)に示す。手順は以下のとおりである。
 1)治療前点眼:散瞳薬、局所麻酔薬を投与する。
 2)術者、介助者はマスクを着用する。
 3)術者は手指の消毒を行い、滅菌手袋を着用する。
 4)術前の最終チェックとして、投与眼(左右)と投与する薬剤の確認を行う。
 5)眼周囲皮膚、眼瞼縁、睫毛にヨウ素系消毒液を塗布する。塗布する順序は、眼瞼縁、睫毛、眼周囲皮膚の順とし、眼瞼縁および睫毛は鼻側から耳側に塗布する。余分な液は滅菌ガーゼで拭い取り、眼周囲の皮膚を乾燥させる。
6)結膜嚢内に希釈したヨウ素系消毒用洗浄液を投与し、しばらく放置する。
7)滅菌開瞼器で開瞼する。開瞼にあたっては、睫毛が術野から十分に除去されるような方法を画策する。
8)注射用シリンジを準備し、過量投与を防ぐため投与量の確認を行う。
9)硝子体内注射には30ゲージ注射針を用いる。滅菌鑷子で結膜組織を把持固定後、角膜輪部から3.5~4.0mm後方において注射針の刺入を行う。なお、注射針の刺入にあたっては、注射針が睫毛に接触しないよう注意し、水晶体、水平筋付着部近傍を避け、硝子体腔中心部に向けて注射針を刺入する。2回目以降の投与では、同一部位に繰り返し注射しないように、注射部位をずらして注射を行う。
10)薬液を硝子体内に緩徐に注入する。
11)注意深く注射針の抜針を行ったあと、薬液および液化硝子体の逆流を防ぐため、数秒間注射部位の結膜を鑷子で把持するか、滅菌綿棒にて圧迫する。
12)滅菌ガーゼで眼帯を行う。
硝子体内注射後の注意
1)抜針直後、患者の眼前において指数弁の有無をチェックする。光覚弁がない場合、視神経乳頭血流を確認して完全な血流途絶がみられれば、直ちに眼圧上昇の管理(前房穿刺など)を適切に行う。
2)硝子体内注射薬の薬剤添付文書では、投与2~3日後まで広域抗菌薬を点眼することとされている。患者への術後点眼の必要性については施設または施術者が個別に判断すべきである。
3)一過性霧視などが現れることがあるため、症状があれば、回復するまで機械類の操作や自動車などの運転に従事しないように指導する。
4)眼痛、眼の不快感、充血の悪化、羞明、飛蚊または見え方の変化など、眼内炎や感染の兆候が現れたら直ちに連絡するように患者指導を行う。また、万一感染症が発症しても早期治療ができるように、注射後1週間程度は上記のような症状に注意するように指導を行う。
5)注射後は、各施設で決められた規定の観察日に眼内炎のチェックを行う。(MK)

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