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その他のジャーナル

2019
257巻

白内障術後1日目の診察は必要か?

その他のジャーナル 257巻(5号)2019

Do we need day-q postoperative follow-up after cataract surgery?
Andrzej Grzybowski, et al (Poland)Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(5): 855-861, 2019

AAOでは術翌日診察は片眼患者、術中合併症患者、IOP上昇など術後合併症に対するハイリスク患者は推奨し、それ以外の患者は48時間以内の術後診察を推奨している。UKでは翌日診察はあまり一般的でなく、合併症があった患者や緑内障・ぶどう膜炎などの併存する疾患のある患者に対して推奨されている。現在の小切開白内障手術術翌日診察での異常を評価し、どのような患者に対して必要か検討する。
白内障術後に関する1994年から2017年の45文献を解析
術後合併症の頻度(参照:Table1)
IOP: 術後眼圧上昇の頻度は0.31-2.57%、ハイリスク群で28mmHg以上に上昇したのは最大46.4%でリスクファクターはOVDの残存、レジデントの手術、緑内障、PE、25mm以上の眼軸、タムスロシンの内服、ステロイドレスポンダーに対するステロイド投与、術後炎症であった。
眼圧上昇は3-7時間後に上昇し、24時間ほど上昇する。視神経障害の患者や網膜の動脈硬化に伴う虚血のある患者はリスクがある。一過性眼圧上昇を抑えるため様々な点眼が評価されているが、ドルゾラミド/チモロール合剤、ブリンゾラミド点眼がこれらのハイリスク患者には敵していると思われる。
切開創閉鎖不全:小切開になり発生頻度は0.02-1.1%。タムスロシン内服はコントロールと比べ3.81倍発生率が高かった。術後低眼圧はリークによるものではなく術直後の房水の酸性と流出の不均衡によるものと考えられる。
術後炎症反応:術前3ヶ月は炎症がない状態での白内障手術が望ましいが、慢性あるいは再発性の炎症の患者は術前術後のステロイド内服、ステロイド注射が推奨され、翌日診察が望ましい
IOL偏位:Complete CCCができていればほとんどが術後3ヶ月以上経過してからの偏位
術中合併症:頻度は少ないが、どのような合併症であっても24時間以内に診察すべき
結論:翌日に問題があることはほとんどない。しかし術中合併症・経験の少ない術者、慢性/再発性のぶどう膜炎や虹彩後癒着患者は翌日診察をすべき。視神経障害のある患者は手術時に点眼を使うと良い。ほとんどの場合は翌日診察がなくても大きな問題なし。(MM)

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