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その他のジャーナル

2022
39巻

細菌性眼瞼炎に対するアジスロマイシン点眼液を用いた治療プロトコールの検討 第一報:臨床経過の検討

その他のジャーナル 39巻(7号)2022

子島良平 他(宮田眼科病院)
あたらしい眼科39 (7) : 999-1004. 2022

・目的:細菌性眼瞼炎に対する抗菌薬の投与期間と症状,再発状況を評価し、細菌性眼険炎の治療プロトコールを検討する。
・対象と方法:2019年12月から2021年3月細菌性眼瞼炎と診断され、治療目的で1%アジスロマイシン(1% AZM)点眼液を投与した患者のうち、14日間の点眼期間内に1回以上受診した患者を対象とした。眼瞼炎を前部眼瞼炎(睫毛根部を中心とした部位の炎症)と後部眼瞼炎(マイボーム腺開口部周囲の炎症)に分類し、初診時、点眼7日後、14日後、点眼終了1カ月後の転帰、点眼期間、再発率、症状スコア、治癒に影響を与える因子を検討した。
・結果:対象は46例46眼(男性10 例、女性36例)、平均年齢72.2歳。治癒率は41.3%、治癒・改善率は93.5%、点眼期間は11.3日、点眼終了1カ月後の再発率は6.5%であった。治癒に影響を与える因子は病型で、後部眼瞼炎が前部眼瞼炎よりも治癒しやすかった(オッズ比38.462. 95%信頼区間6.944-200.000, p<0.0001)。
・点眼14日後までの治癒率は、前部眼瞼炎で11.1 % (3/27)、後部眼瞼炎で84.2%(16/19)、治癒・改善率はそれぞれ88.9% (24/27). 100 %(19/19)だった。自覚症状および他覚的所見のスコアはすべての項目で、前部眼瞼炎では点眼14日後以降、後部眼瞼炎では点眼7日後以降で初診時から有意に減少した。
・副作用は6眼で認められ、べたつく2件、霧視、異物感、乾燥感、刺激感がそれぞれ1件。
・結論: 前部眼瞼炎より後部眼瞼炎の治癒率が高かった理由として、主成分であるAZMの抗菌作用や抗炎症作用、マイボーム腺上皮細胞への直接作用などさまざまな機序が関与したと推測される。1% AZM点眼液を使用すると90%以上の症例で14日以内に治癒もしくは改善するため、最長でも14日間で投与を終了することが重要である。(CH)

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