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その他のジャーナル

2022
39巻

ドライアイ患者における長時間作用型ジクアホソル点眼液(DE-089C)の有効性と安全性

その他のジャーナル 39巻(8号)2022

Efficacy and Safety of the Long-Acting Diquafosol Ophthalmic Solution DE-089C in Patients with Dry Eye
Advances in Therapy 2022 Aug;39(8):3654-3667. 
Yuichi Hori, et al. (東邦大学)
・目的:ドライアイ患者における 長時間作用型ジクアホソル点眼液(DE-089C)の有効性と安全性を評価する。
・対象と方法:(1) フルオレセイン角膜染色スコア≧1 (2)DEQSアンケートで乾燥スコア≥ 1 (3) シルマー試験 I の結果 ≤ 5 mm/5 分 (4) BUT ≤ 5 秒 全ての条件を満たしているドライアイの患者330 人をDE-089C点眼 またはプラセボ点眼液に無作為に割り当て(DE-089C 群166 人、プラセボ群164 人)、2 週間のウォッシュアウト後、1 日 3 回、4 週間使用した。
・ベースラインから 4 週目までのBUT の変化、シルマーテスト I の結果、フルオレセイン角膜染色スコア、ドライアイQOLアンケート(DEQS )のスコアで評価した。
・結果:DE-089C群での 4 週目のフルオレセイン角膜染色スコアとリサミングリーン染色スコアの改善は、プラセボ群よりも有意に大きかった。 (それぞれP < 0.0001)。
・DEQSアンケートの乾燥スコア、シルマーテストⅠでは有意差はなかった。
・DE-089C群では、試験開始直前まで従来のジクアホソル点眼液(DQS)を使用していた患者の89.4%が、「点眼薬の使用感はDQSよりもDE-089Cの方が優れている、または 2つの点眼液の間で同等である」と回答し、ヒアルロン酸点眼、レバミピド点眼、人工涙液点眼を使用した患者のうち、DE-089Cが「以前の点眼薬よりも優れている、または同等である」と回答した患者の割合は、80.0%、91.7%、69.2%だった。
・DE-089C群で(発生率1%以上)報告された副作用は、軽度の眼刺激感(3.6%)および眼脂(1.8%)だった。
・視力、前眼部検査、眼圧に関しては、両群でベースラインからの臨床的に有意な変化は認められなかった。
・結論: DE-089C の薬剤効果が DQS よりも長いのは、DE-089C の点眼液にポリビニルピロリドンを添加することにより達成されると考えられている。
・ポリビニルピロリドンは、そのポリマー構造に水を保持し、ムチンに親和性があると報告されている。
・ したがって、DE-089C の点眼後、ジクアホソルの薬理作用により患者から分泌された涙液とムチンは、点眼液中のポリビニルピロリドンと結合し、より長く滞留すると考えられる。
・ドライアイは長期の治療が必要な慢性疾患であり、点眼薬の使用感は重要である。この研究では多くの患者は以前使用していたドライアイ点眼より同等またはそれよりも優れていると報告した。
・DE-089C は、ドライアイ患者の治療アドヒアランスの改善に貢献する可能性があり、それがより良い治療効果につながると思われる。(CH)

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