眼科JOURNALトップ > Retina > 黄斑部を横切るぶどう腫における脈絡膜異常

Retina

2012
32巻

黄斑部を横切るぶどう腫における脈絡膜異常

Retina 32巻(7号)2012

Choroidal thickness in inferior staphyloma associated with posterior serous retinal detachment.
Yamagishi T et al(京大)
Retina-32(7): 1237-42, 2012
・黄斑部下方にぶどう腫があり、後極部の漿液性網膜剥離を伴った5例5眼についてEDI-OCT、蛍光眼底検査などで検討した。
・全例でぶどう腫の上縁は黄斑部を横切っており、その部分はRPEの脱色素があり、脈絡膜厚は最も薄く(37.4±13.5μm, 23-53μm)、FAではwindow defects像を示し、ICGでは全経過で低蛍光であった。
・ちなみに、中心窩の脈絡膜厚は172.1±44.7μm(110-219μm)であった。
・このようなぶどう腫上縁の脈絡膜の異常が漿液性網膜剥離を発症する大きな要因となっていると考えた。
・傾斜乳頭症候群では、ぶどう腫の進行が、RPE、ブルッフ膜や脈絡膜毛細血管層のぶどう腫の上縁から上方への牽引を引き起こすと考えられており、今回の症例でも、ぶどう腫上縁への上方への牽引が解剖学的な変化をもたらす可能性もある。
・漿液性網膜剥離の原因としては、RPEの機能不全、脈絡膜血行の障害が関与しているのであろう。

過去のアーカイブ