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Retina

2012
32巻

内境界膜剥離後の弓状神経線維層の腫脹

Retina 32巻(8号)2012

Swelling of the arcuate nerve fiber layer after internal limiting membrane peeling
Augustino clark et al (Bologna, Italy)
Retina 32: 1608-1613, 2012
・特発性黄斑円孔とERM手術でILM剥離術後早期の網膜神経線維層の変化を調べる
・ERM55人56眼、MH31人33眼に対し、pars plana vitrectomyとILM peelingを施行。赤外線写真(IR)、自発蛍光写真(AF)、SD-OCTを、術前、術後1週、1ヶ月、3ヶ月で検査した。89眼のうち28眼(31.46%)で術後1週から1ヶ月で弓状網膜神経線維層の腫脹(SARNFL)を示したが、平均2ヶ月後には消退した。この特徴はAFで最も良く描写され、3~5本の視神経乳頭から延びる線で黄斑に向かって弓状に延びている。視力の回復には影響しない。
・SANFLの病因として考えられること
ILM剥離の時につかむ鑷子による網膜内層の直接的な外傷。これが神経に沿った軸索原形質の流れを破壊して視神経から放射状に延びる弓状の線を作る。
ILMにくっついているミューラー細胞の終末端へのダメージで、SANFLは外傷の早期の反応である可能性。
この他の原因として、光、色素、術中使用する液体、ガスの網膜への毒性も考えられるが、これらであれば影響は限局性ではなく、網膜全体に及ぶはずである。(YM)

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