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Retina

2015
35巻

糖尿病網膜症からの牽引性または非牽引性黄斑浮腫に対する内境界膜剝離を併用した硝子体手術

Retina 35巻(5号)2015

VITRECTOMY WITH INTERNAL LIMITING MEMBRANE PEELING FOR TRACTIONAL AND NONTRACTIONAL DIABETIC MACULAR EDEMA
SOPHIE BONNIN, et al. (France)
RETINA 35(5):921-928,2015
目的:レーザー治療やトリアムシノロン硝子体内注射の効果がないDMRからの牽引性と非牽引性のMEに対する硝子体手術の長期経過を検討した。
対象と方法:55人73眼(男性38人、女性17人、平均年齢63.05歳)、視力20/40、0.3 logMARより悪い症例、
1型DM 11眼、2型DM 62眼
グループ1、OCTで牽引の見つかったME 20眼、平均経過観察期間 5.3 ± 2.4年
グループ2、OCTで牽引のないびまん性のME 53眼、平均経過観察期間 4.4 ± 1.7年
全例、硝子体手術施行(トリアムシノロン使用、ILM peelingにICGかBBG使用、術中にレーザーやcryo追加)。
結果:CMTグループ1 術前528.7 ± 119.1μm、 術後1年309.2 ± 109.9μm、最終受診日285.3 ± 123.4μm
グループ2   術前539.0 ± 126.6μm、 術後1年307.1 ± 109.9μm、最終受診日308.3 ± 124.0μm
視力 BCVA  グループ1  術前0.75 ± 0.35 logMAR、3年後 0.45 ± 0.27 logMAR
グループ2  術前0.78 ± 0.38 logMAR、3年後  0.58 ± 0.32 logMAR
グループ間でCMT、視力とも統計学的な有意差はなかった。
最終受診日の視力もベースラインと比較して、グループ1は87.5%、グループ2では95.6%が改善もしくは維持していた。
術中、術後合併症は認めなかった。
結論:糖尿病網膜症からの牽引性または非牽引性黄斑浮腫に対する内境界膜剝離を併用した硝子体手術は、大きな合併症なしで、機能的、解剖学的に有効であることを示した。
今後、DMR増加、レーザー治療やトリアムシノロン硝子体内注射、抗VEGF硝子体注射の効果がない症例に手術は良い治療かもしれない。(CH)

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