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Retina

2018
38巻

増殖糖尿病網膜症からの硝子体出血に対するラニビズマブ硝子体内注射の有効性

Retina 38巻(6号)2018

EFFICACY OF INTRA VITREAL RANIBIZUMAB INJECTIONS IN THE TREATMENT OF VITREOUS HEMORRHAGE RELATED TO PROLIFERATIVE DIABETIC RETINOPATHY
ELIAS CHELALA, et al. (Lebanon)
RETINA 38(6):1127-1133, 2018
目的:増殖糖尿病網膜症からの硝子体出血(VH)に対するラニビズマブ硝子体内注射(IVR)の有効性を調べる。経過観察期間16週間での硝子体切除術の割合、VHの再発率および視力の変化を検討した。
対象と方法:増殖糖尿病網膜症の患者で2週間以上VHが続いた患者。硝子体出血は軽度、中等度および重度に等級分けした。
軽度のVH:網膜血管がぼんやりまたはクリアに見える。視神経乳頭はクリアに見える。
中程度のVH:視神経乳頭と網膜血管がぼんやり見える。
重度のVH:視神経乳頭がかろうじてぼんやり見えるが、網膜血管は見えない、または全く見えない。
IVR群70眼、平均年齢は67.9±10.2歳、対照群62眼、平均年齢は69.4±8.5歳。
性別、糖尿病の期間、重症度、重要な合併症(特に高血圧症)、および治療に関して、2つの群の間に統計的に有意な差はなかった。ベースラインの視力、水晶体の状態、PRP、および硝子体出血の程度に関して有意差はなかった。
IVRはVH消失が不完全である場合(最大4回)、4週間間隔で繰り返した。
両方の群において、十分な眼底の可視化が得られたときはいつでも網膜光凝固が行われた。
硝子体手術は、VHの増加、または中等度および重度のVH患者において16週間までにVHの改善がなかった場合に施行した。
結果: IVR群で合併症(牽引性網膜剥離および眼内炎)はなかった。平均注射回数は3.65±0.89回であった。
軽度から中等度のVH患者における硝子体切除術率はIVR群7.04 %(5眼)、対照群19.35 %(12眼)で有意差を認めた。(P = 0.04)。しかし、重度のVHではIVR群16.90 %(12眼) 、対照群16.13 %(10眼)で有意差はなかった(P = 0.83)。
VHの再発はIVR群22眼、対照群29眼で発生した(P = 0.06)。
IVR群のすべての受診時でより良好な視力が得られた(P≦0.04)。
フォローアップ期間の終わりに、IVR群の56眼の患者(77.7%)、対照群の患者(74.2%)はPRPが完成していた(P = 0.54)。
結論: IVR群では、対照群と比較して硝子体切除術率が低く、再出血発率が低かったが、統計的に有意差はなかった。しかし、VH程度を考慮すると、軽度および中等度のVH患者は、IVR群により多くの利益があり、対照群と比較して硝子体切除術の割合が有意に低かった。
軽度から中等度のVH患者に対するIVRは有効と思われた。(CH)

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