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Retina

2025
45巻

緑内障眼における黄斑前膜手術後の視力低下の可能性

Retina 45巻(2号)2025

Visual acuity loss after vitrectomy for epiretinal membrane in eyes with glaucoma.
Higashide T et al(金沢大)
Retina 45(2): 247-256, 2025
・緑内障眼における黄斑前膜手術後の視力低下の発生率を調査した。
・緑内障群(43人47眼)および対照群(46人46眼)において、黄斑前膜に対する硝子体手術(内境界膜剥離)の前後で、視力、中心視野(Humphrey 10-2)を測定した(手術前、術後3、6、12カ月)。
・緑内障群では、術後1.5年以上にも実施した。
・術前からの0.2 logMAR以上の低下を「有意な視力低下」と定義し、関連因子を検討した。
・術後1年間では、両群ともに有意な視力低下は認められず、手術後の視力は両群で同程度に有意に改善した(両群間の比較:P > 0.15)。
・しかし、緑内障群の8眼(17%)において、術後1.5年以上経過してから有意な視力低下が認められた。
・これは、手術前の中心視野のMDが悪かったこと、および術後1年間の中心視野のMDの低下量が大きいことと関連していた(HR= 0.83–0.72、それぞれP = 0.018、P < 0.001)。
・緑内障眼では、黄斑前膜手術後に長期間を経て有意な視力低下が生じる可能性があり、そのリスクは術前の中心視野障害の程度および術後1年間の中心視野の悪化と関連していた。
・緑内障患者ではERM手術時のRGCに障害を与えない術式の改善が必要と考えられる。(TY)

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