Report of a cluster of cases of toxic anterior-segment syndrome after implantation of a specific intraocular lens model.
Imamachi K et al(島根大)
Amer J Ophthalmol 228(8): 1-7, 2021
・2020年7月から11月にかけて島根大学と松江赤十字病院で発生した白内障術後のTASSの4例7眼について報告する。
・Lentis Comfort/LS-313 MF15 IOL(1.5D加入)を使用した162眼の内、7眼(4.3%)にTASSを発生した。
・この内、4眼は白内障単独手術、2眼はiStent併用、1眼はマイクロフック併用白内障手術であった。
・1例2眼はステロイド点眼のみで軽快、1例2眼はフィブリン膜除去で軽快、1例2眼は前房洗浄+ステロイド結膜下注射で軽快、1例1眼はYAGフィブリン膜切開+ステロイド結膜下注射で軽快した。(TY)
Venous air embolus: a rare but serious complication of fluid-gas exchange during pars plana vitrectomy.
Iyer PG et al(FL USA)
Amer J Ophthalmol 227(7): A3-A4, 2021
・強膜にカニューラを縫合しなくなり、スピードは上昇したが、鋭角に挿入した管の先端の位置がずれて、上脈絡膜腔に灌流してしまうことが起こり始めた。
・これは稀ではあるが、致命的な静脈空気塞栓(VAE)を発症することがある。
・上脈絡膜腔から渦静脈、眼静脈を経由して右心房に入りうる。
・2010年に最初に報告されて以来、13例が報告され、そのうち9名は死亡している。
・液空気置換を開始する前にカニューラを確認する事が大切である。
・発生したらTrendelenburg position(頭を下げる)が大切である(TY)
Risk of retinal artery occlusion in patients with migraine.
Al-Moujahed A et al(CA USA)
Amer J Ophthalmol 225(5): 157-165, 2021
・頭痛が網膜動脈閉塞と関連するかについて、2007-2016の保険データベースを基に調査した。
・網膜動脈閉塞は、全てのRAO、CRAO、BRAO、その他のRAO(一過性あるいは局所的なもの)について調査した。
・調査基準に合致した頭痛患者を418,965名抽出し、年齢等を合致させたコントロール者と比較した。
・頭痛患者418,965名のうち、1060名(0.25%)がRAOと診断されたが、同数のコントロール者の中では、335名(0.08%)がRAOと診断されただけであり、危険率HR=3.48(95%CI= 3.07-3.94 p<0.0001)で有意差があった。
・RAOの全タイプで同じ様な傾向があり、CRAOではHR=1.62(1.15-2.28)、BRAOではHR=2.09(1.60-2.72)、他のCRAOではHR=4.61(3.94-5.38)であった。
・前駆症を伴った頭痛では前駆症を伴わないものに比較してHR=1.58(1.40-1.79 p<0.001)であった。
・BRAOではHR=1.43(1.04-1.97)、他のCRAOではHR=1.67(1.45-1.91)であったが、CRAOではその傾向はなかったHR=1.18(0.75-1.87)。
・この傾向は加齢、男性、急性冠不全、高血圧、SLEなどで強かった。(TY)
Refractive and Visual Outcome of Misaligned Toric Intraocular Lens After Operative Realignment
ANNIKA MULLER-KASSNER, et al. (Germany)
Am J OphthaLmol 2021(4) ;224:150-157
・トーリック眼内レンズの症例では0.65%から7.41%で軸ずれのため再調整が必要となる。
・再調整手術の屈折および臨床結果を調査し、最初に計算された軸との位置合わせを再計算によって決定された軸と比較する。
・2013年8月から2019年12月の間にトーリック眼内レンズを挿入した1209例のうち、大きな軸ずれを起こし再調整するために2回目の手術を受けた39人39眼 (3.2%)。トーリックIOLは、術後25.69±26.06°のずれを示していた。
IOL計算はlOL Master 500/700に基づくBarrett式を使用した。レンズ交換は、フェムトレーザーの乱視軸ガイド使用して行った。
・患者は術後7日目に散瞳下細隙灯検査で乱視軸の評価が行われた。
・再計算によるトーリック軸は、astigmatismfix.comを使用した。
・最高矯正視力(BCVA)は0.28±0.22 logMAR(20/40)から0.15±0.14 logMAR(20/32)に改善し、裸眼遠方視力(UDVA)は、0.39±0.29logMARから0.27±0.18logMARに改善した。
・17眼(44%)は時計回り(30.12±28.95°)に、22眼(56%)は反時計回り(22.27±23.72°)に回転させた。
・再手術は平均86.54±157.99日後に実施された。
・最初に計算された軸に位置合わせをした20眼(51%)の術後のUDVAは0.24±0.16logMAR、cylinder 0.90±0.90D
・再計算された軸に位置合わせた19眼(49%)では、UDVAは0.32±0.20 logMARで、cylinder 0.76±0.72 Dだった。
・高シリンダーパワーIOL(≥2D)は、再計算すると残存乱視がより減少した。
・トーリックIOLの再調整により、視力が向上し、屈折異常が減少する。特に高シリンダーパワーIOLの場合、再調整の前に再計算するとより良い結果が得られる。(CH)
Exposure to secondhand smoke in children is associated with a thinner retinal nerve fiber layer: The Hong Kong Children Eye Study.
Li J et al(China): Amer J Ophthalmol 223(3): 91-99, 2021
・6-8才の3,103名を対象としたHong Kong Children Eye Studyである。
・受動喫煙者は1,097名(35.4%)であり、非受動喫煙者と比較すると、年齢、性、BMI、体重、眼軸長には有意差はなかったが、家族の収入(p<0.001)、両親の教育レベル(p<0.001)に有意差がみられた。
・受動喫煙者は視神経乳頭周囲の神経線維層(p-RNFL)の厚みが4.4μm薄く(p<0.001)、家族内の喫煙者数に比例してより薄くなっていた(p<0.001)。(TY)
Digital Screen Time During th COVID-19 Pandemic: Risk for a Further Myopia Boom?
Chee W Wong, et al(Singapore)
Am J Ophthalmol. 223(3):333-337, 2021
・デジタルスクリーンタイム、近業、屋外活動の減少は近視の発症、進行と関連している。
COVID-19のパンデミック期間だけでなく、その後においても悪化すると思われる。学校の閉鎖期間は短くても、その間にデジタルデバイスへのアクセスの増加や新たな採用、依存は長期的には子供の発達に悪影響を及ぼす可能性がある。
・親、子供、行政機関の間で認識を高めることが、パンデミック下で定着する可能性のある、近視化をきたす行動を抑える鍵となる。(MM)
Longitudinal Macular Ganglion Cell-Inner Plexiform Layer Measurements to Detect Glaucoma Progression in High Myopia
Joong W Shin, et al (South Korea)
Am J Ophthalmol 223(3): 9-20, 2021
・104眼の高度近視のあるPOAGと104眼の年齢と視野障害をマッチさせた高度近視のないPOAGを平均5.4年フォローしてGC-IPL測定と乳頭周囲RNFL測定と視野障害進行のリスクについて検討した。
・高度近視は-6.0Dより多い近視もしくは26.5mmより長い眼軸
・両群とも、ベースライン眼圧とピーク眼圧が高いほど、視野障害進行が早い
・高度近視眼ではGC-IPL菲薄化の進行はVF進行の非常に強いリスクであるが、乳頭周囲RNFLはそうではなかった。
・進行群と非進行群のGC-IPL -0.80±0.81μm/y vs -0.26±0.41μm/y
・GC-IPL菲薄化進行があると、ない群と比較してHR3.11-4.00倍VF進行のリスクが高い
・高度近視でないPOAGではGC-IPL/乳頭周囲RNFL進行ともにVF進行の強いリスク因子であった。
・進行群と非進行群のGC-IPL -0.87±0.54μm/y vs -0.37±0.48μm/y
・高度近視にかかわらず、黄斑部のGC-IPLの変化をしっかりとモニターすることが重要(MM)
Exposure to Secondhand Smoke in Children is Associated with a Thinner Retinal Nerve Fiber Layer: The Hong Kong Children Eye Study
Jian Li, et al (Hong Kong)
Am J Ophthalmol 223(3)91-99, 2021
・Hong Kong Children Eye Studyから6-8歳の子供達を調査。SDOCTで乳頭周囲RNFLを調べ、受動喫煙の状況、家族内の喫煙者の数と喫煙量 との関係を調査した。
・3103名の対象者のうち、約3分の1(35.4%,n=1097)が受動喫煙にあった。
・非受動喫煙の子供と比較すると、年齢、性別、BMI、体重、眼軸に差はなかったが、世帯収入と親の教育レベルが低かった。
・上記因子を調整後の比較で、受動喫煙の子供は4.4μm乳頭部RNFLが薄く(P<0.001)、家族内の喫煙者数、受動喫煙量と相関していた。
・受動喫煙のある子供は乳頭周囲RNFLが薄い。これは将来不可逆的な視機能障害をきたすことがあり得るため、子供の受動喫煙を回避するよう推奨するものである。(MM)
Bacterial Dispersion Associated With Various Patient Face Mask Designs During Simulated Intravitreal Injections
Samir N. Patel et al (USA)
Am J Ophthalmol 223(3):178-183, 2021
・15名の被験者に硝子体注射の姿勢でマスク無し、ルーズフィッティングのサージカルマスク、テープ無しのタイトフィッティングサージカルマスク、テープありのタイトフィッティングサージカルマスク、N95マスク、布マスクの5種類で、no-talkingとtalkingの状況で額に置いた培地で培養検査を行った。
・患者が会話をする状況ではサージカルマスクの上部をテープで塞いだものとN95マスクは同等であった。
・会話をしないと言うことが非常に重要であるが、患者のマスクの上部をテープで塞ぐことで術野の汚染を抑制できる(MM)
Clinicopathologic Correlations of Retrocorneal Membranes Associated With Endothelial Corneal Graft Failure
ANDREA NARANJO, et al. (FL USA)
Am J Ophthalmol 2021(2);222:24-33
・角膜後膜は、1901年Fuchsによって角膜移植(PKP)の合併症として最初に記述され、ブドウ膜炎に続発すると仮定されていた。その後の組織病理学的研究では、不全となったPKPの最大50%がデスメ膜の後ろに組織を持っており、ほとんどの場合、線維細胞性であることを示した。DSAEKおよびDMEKの角膜後膜についていくつかの研究が報告されている。これらの膜の臨床病理学的評価と特性評価を行って、それらの原因を特定する。
・2015年10月から2020年3月の間、DSAEK移植片不全になり、その原因が角膜後膜と診断された7人(男性3、女性4人)、平均年齢は70歳(55-85歳)。
・5人は原発性開放隅角緑内障(POAG)、1人は血管新生緑内障、1人は慢性閉塞隅角緑内障だった。すべての患者は緑内障チューブシャント手術の既往があった。
・DSAEK手術後0〜47か月の間に、さまざまな厚さの角膜後線維膜が観察され、増殖して最終的に移植片不全になった。
・移植片不全後、4人の患者が全層角膜移植を受け、3人が再DSAEKを受けた。膜は手術中に除去された。
・組織病理学的評価では、色素沈着した線維細胞組織が、全例でDSAEK移植片とその辺縁にそって認められた。膜はパンサイトケラチンに対して陰性だったので、上皮成分は含まれていなかった。線維芽細胞に分布するタンパク質(α-SMA、ビメンチン、CK7)、内皮から間葉への移行のマーカー(N-カドヘリン、ROCK1、RhoA)に対して陽性であることが示された。
・角膜後膜の増殖は、以前に緑内障ドレナージ装置の手術を受けた患者のDSAEK移植片不全と関連している可能性がある。今回の結果は、筋線維芽細胞の分化と上皮分化の欠如を示している。内皮から間葉への移行のマーカーの陽性は、内皮起源の可能性を示しており、将来の標的薬物療法の特徴となる可能性がある。(CH)
Retinal noperfusion in proliferative diabetic retinopathy before and after panretinal photocoagulation assessed by widefield OCT angiography.
Russell JF et al(FL USA)
Amer J Ophthalmol 213(5): 177-185, 2020
・増殖性糖尿病網膜症PDRの15例20眼に対して初回のPRP前後を広角OCTAで検査した。
・検査は12x12mmのOCTAをPRP前と1W、1M、3M後、5眼は6M、1年後も測定し、網膜無潅流領域RNPをチェックした。
・OCTA画像ではPRPの3M後では、RNPはほとんど変化はなく、強い虚血のあった眼でも1回のPRPにより、1年後の網膜虚血RNPの悪化はなかった。(TY)
Morning myopic shift and glare in advanced Fuchs endotherial corneal dystrophy.
Loreck N et al(Germany)
Amer J Ophthalmol 213(5): 69-75, 2020
・進行したFuchs角膜内皮ジストロフィFECDの特徴として、主観的な視力が朝悪く、昼になると軽快することが知られている。
・角膜の厚さ、屈折度、グレア視力の日内変動をFECDの29眼とCtrl22眼で調査した。
・Scheimpflug(Pantacam)を含めた検査を午後4時と翌朝8時に行った。
・角膜頂点厚はFCEDでは朝が41.45±34.1μ厚く(p<0.001)、Ctrlでは朝が5.50±6.72μ厚かった(p=0.001)。
・朝の屈折度の近視化は、FECDでは-0.64±0.6D(p<0.001)、Ctrlでは-0.01±0.50D(p=0.46)。
・朝の矯正視力の悪化はFECDでは0.15±0.18logMAR(p<0.01)、Ctrlでは0.02±0.04logMAR (p=0.17)。
・朝のグレア視力の悪化はFECDでは0.34±0.25logMAR(p<0.001)、Ctrlでは0.05±0.11 logMAR (p=0.11)であった。
・FECDでは起床後1時間程見にくい要因は角膜浮腫のためである。(TY)
Distinctive mechanisms and patterns of exudative versus tractional intraretinal cystoid spaces as seen with multimodal imaging.
Govetto A et al(Italy)
Amer J Ophthalmol 212(4): 43-56, 2020
・牽引性と滲出性の嚢腫状黄斑浮腫の形態を分類した。
・OCT、FA、短波長自発蛍光BFAF、en face OCT、OCT-Aを用いて69例72眼を調査した。
・滲出性の36眼がen face OCT、FA、BFAFで花弁状CMEを示した。
・滲出性では、内顆粒層、外顆粒層ーヘンレ層に多数の嚢胞があり癒合しており、外境界膜までつながっている。
・滲出性では、毛細血管の破綻が浸出液を増やし、表層と深層の血管網から内顆粒層→外顆粒層やヘンレ層への流入を来し、Müller細胞の偏位を来す。
・牽引性の24眼が放射状の車軸状CMEを示し、FAでの漏出はなかった。
・牽引性では、嚢胞が癒合することはなく、ヘンレ層を乗り越えることもない。
・牽引性では、網膜前膜が網膜に機械的なストレスを与え、Müller細胞の偏位を来す。
・牽引性では、生理的な硝子体から脈絡膜への水分移動が途中で止まり、Müller細胞周囲に浮腫を来す。
・全層黄斑円孔FTMHの12眼がひまわり状CMEを示した。
・全層円孔では円孔壁の割れ目から液が細胞内に流入するが、RPEポンプで脈絡膜側へ流出しないために嚢腫状となる。(TY)
Association of age-related macular degeneration on Alzheimer or Parkinson disease: a retrospective cohort study.
Choi S et al(Korea)
Amer J Ophthalmol 210(2): 41-47, 2020
・加齢黄斑変性症とアルツハイマー病ADあるいはパーキンソン病PDとの関連を調べた。
・韓国の50歳以上の308,340名について、2002年までにAMDであった人を除き、2003-2005年にAMDを発症した人について、2006/1から2013/12までにADあるいはPDを発症した人を調査した。
・AMD発症しなかった人と比較して、AMD者ではADの調整HR=1.48(95%CI=1.25-1.74)、PDの調整HR=1.46(95%CI=1.14-1.88)と高かった。
・非喫煙者でアルコールを飲まず定期的に運動している人で、ADの調整HR=2.25 (95%CI= 1.39-3.66)、PDの調整HR=2.02 (95%CI=1.00-4.08)と上昇していた。
・AMD者では健康的な生活をしている人たちでもADやPDのリスクが高いことが分かった。(TY)
Evaluation of hydroxychloroquine retinopathy using ultrawidefield fundus autofluorescence: peripheral findings in the retinopathy.
Ahn SJ et al(Korea)
Amer J Ophthalmol 209(1): 35-44, 2020
・広角眼底自発蛍光像(UWF-FAF)が網膜症の評価に有用かどうかを検討した。
・29例58眼(55.5±11.2歳)で、広角眼底自発蛍光と通常の自発蛍光検査を行ない、Humphrey 30-2と全視野120(FF-120)の結果と比較した。
・41/58眼(70.7%)で、通常のFAFで撮影できない周辺部でUWF-FAFでは低自発蛍光(23眼39.7%)、あるいは高自発蛍光(38眼65.5%)が確認できた。
・また5眼8.6%で、通常FAFとUWF-FAFとで網膜症の検出に違いがあった。
・重症の網膜症の多くでは鼻側周辺部に強い低自発蛍光がみられた。
・異常FAFの部位はFF120で見えなかった点の数や、30-2テストでのMDあるいはPSD結果と有意に相関していた(いずれもp<0.001)(TY)
Biomicroscopic findings and management of anterior stromal necrosis after long-term impolantation of Intacs.
Abad JC et al(Peru)
Amer J Ophthalmol 220(12): 170-176, 2020
・Intacs角膜内リング(ICRS)を挿入し、角膜前実質の壊死(ASN)を発症した症例を検討した。
・2006-2011年に84例127眼に215個のICRSを移植し、5年以上の経過観察のできた98/127眼(77.16%)を対象とした。
・このうち7例9眼(9.18% 95%CI=4.29-16.72%)にASNを発症した。
・移植からASN発現迄の期間は10.5±1.3年であった(TY)
Paracentral and cecocentral scotomas after pars plana vitrectomy for rhegmatogenous retinal detachment.
Khurana RN et al(CA USA)
Amer J Ophthalmol 219(11): 163-169, 2020
・裂孔原性網膜剥離RRDに対する硝子体手術後の傍中心ならびに中心暗点について検討した。
・2013/1から2018/12に一人の術者が23Gあるいは25GでPPVを行った140例の内、視野欠損を来した9症例(6.4% 平均61歳)をretrospectiveに検討した。
・9例全例が右眼の発症で、そのうち6例は黄斑剥離は発症していなかった。
・9例中7例は術後1週間で中心暗点を自覚しており、9例全例が耳下側視野の欠損が含まれており、OCT上では上鼻側神経節細胞の欠損がみられ、網膜外傷の可能性が示唆された。
・9例中2例は中心暗点による視力低下がみられた。
・原因として空気ガス置換中の還流針からの空気流による外傷が考えられ、空気置換後はゆっくりしたガス注入を心がけるべきだと考えた。(TY)
Ocular Manifestations and Burden Related to Sjögren Syndrome: Results of a Patient Survey
American J Ophthal 219(11): 40-48, 2020
https://doi.org/10.1016/j.ajo.2020.05.043.
シェーグレン症候群患者のほとんどは人口涙液等使用していて継続率も高い
QOL への影響は全身症状が最も強くドライアイは2 番目
米国のシェーグレン症候群患者2961 名を調査
女性96%、男性4%
⚫ Table2. 1 年間の重症感のある症状
➢ ドライアイ 53%
➢ ドライマウス 48%
➢ 倦怠感 45%
➢ 睡眠障害 19%
➢ 皮膚乾燥・掻痒感 17%
➢ 朝のこわばり 15%
⚫ Table3. ドライアイに対する治療
➢ 人工涙液 91%使用中、97%使用歴あり
➢ 自己血清点眼 6%使用中、21%使用歴あり
➢ 涙点プラグ等 29%使用中、55%使用歴あり
➢ 抗菌薬軟膏 10%使用中、54%使用歴あり
➢ その他補助治療 25%使用中、50%使用歴あり
⚫ Table4― 自覚症状による生活困難度
➢ 倦怠感が最も影響強い
➢ 次にドライアイ
人口涙液点眼は導入率、継続率ともに非常に高かった。
診断基準に含まれていないが、倦怠感が最もつらい症状であるよう。
眼科症状のみで受診した場合でも、シェーグレン症候群は全身合併症もあるので内科への受診勧奨が重要。
全身症状に対してヒドロキシクロロキンが使用される可能性(適応外)がある(THY)
Comparison of vitreomacular interface changes in myopic foveoschisis and idiopathic epiretinal membrane foveoschisis.
Vogt D et al(Germany)
Amer J Ophthalmol 217(9): 152-161, 2020
・黄斑部の硝子体接触面(vitreomacular interface:VMI)を近視性の中心窩網膜分離(mFS)と特発性網膜前膜網膜分離(iERM-FS)に分けて検討した。
・mFSとiERM-FS、それぞれ5例の網膜前膜とILM組織を取り、immunocytochemistryと透過電顕で調べた。
・mFSとiERM-FSの細胞とコラーゲンは殆ど同じであった。
・mFSの3例では、うねった網膜の薄いILMと断片的な網膜神経線維層がみられたが、iERM-FSではそのような所見はなかった。
・黄斑前膜の組織は両者ともよく似ているが、高度近視によるmFSではILMの病的な異常所見が特異的であるため、ILM剥離の際の網膜障害のリスクがある。(TY)
Macular Damage in Glaucoma is Associated With Deficits in Facial Recognition
Sitara H. Hirji et al (USA)
Am J Ophthalmol 217(9):1-9,2020
72名144眼(平均年齢67.0±11.6歳、68.1%がヨーロッパ人、56.9%が女性)を対象
視力、コントラスト感度、視野検査(SITA 10-2と24-2)、OCT、屈折値、レンズの状態、眼軸長を測定。OCTと一致する視野障害患者
中心10°の視野障害の程度でbetter eyeとworse eyeに分け、Cambridge Face Memory Test (CFMT)で顔の認識テストを行った。すべての患者に認知機能テストを実施。
<結果>
Better eye
44眼(61%)は黄斑部ダメージあり 28眼(39%)はダメージなし
視力、白内障の程度、眼軸、等価球面、乱視に差は無し
黄斑部にダメージがある群の方が無い群と比べて顔認識に有意な低下を認めた
多変量解析で10-2のMD、年齢、コントラスト感度、βブロッカーの使用が顔認識の低下と関連していた
Worse eye
63眼(87.50%)は黄斑部ダメージあり 9眼(12.50%)はダメージなし
視力、白内障の程度、眼軸、等価球面、乱視に差は無し
黄斑部にダメージがある群の方が無い群と比べて顔認識に有意な低下を認めた
多変量解析で10-2のMD、年齢が顔認識の低下と関連していた
緑内障性の黄斑部ダメージがあると、中心部の視力が良好であっても顔を認識する能力が低下している。これはコントラスト感度によって一部仲介されているようであるが、10-2のMDは重要な予測因子であった。(MM)