眼科JOURNALトップ > Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology

2019
257巻

網膜ドルーゼンと脈絡膜循環

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 257巻 (10号) 2019

Choriocapillaris flow impairment predicts the development and enlargement of drusen.
Nassisi M et al(CA USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(10): 2079-2085, 2019
・初期あるいは中期のAMDで、網膜ドルーゼンが拡大あるいは新規に発生した部位での脈絡膜毛細血管の血流を評価した。
・46名の片眼のみで、初診時に3x3mmのOCTA検査と中心窩のmacular cube(512×128:6x6mm)を検査し、最低1年(平均1.47年)後に再検した。
・Macular cubeからDrusen mapを作り、drusen領域(DA)を算出し、変化量(⊿DA)を求めた。
・またOCTAから脈絡膜毛細血管の初診時と比較した血行不足量(FD)をdrusenのない部位(FD-DF)、拡大した部位(FD-EN)、新規発生部位(FD-ND)で算出した。
・変化量⊿DAが0.1mm2未満の12眼ではFD-DFは40.37±2.29%で、⊿DAが0.1mm2以上の34眼のFD-DF=40.25±4.37との間に有意差はなかった。
・一方、⊿DAが0.1mm2以上の眼だけで部位別に検討すると、FD-ED(43.61±4.36%)とFD-ND (44.16±2.38%)間には有意差はなかったが、いずれもFD-DF(40.25±4.37)よりは有意に大きかった(p=0.001,p<0.001)。
・2年の間にドルーゼンが拡大あるいは発生する場所のRPEの下の脈絡膜毛細血管の血流障害が存在していた事から、ドルーゼンの位置は脈絡膜毛細血管が局所的に不足している部位に発生すると考えられた。(TY)

2019
257巻

CRVOと視神経乳頭篩板厚

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 257巻 (10号) 2019

Evaluation of lamina cribrosa thickness in patients diagnosed with central retinal vein occlusion.
Altunel O et al(Turkey)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(10): 2087-2093, 2019
・38名の片眼性のCRVOと42名の健康者で両眼の篩板厚を比較した。
・篩板厚は視神経乳頭の中心部でのEDIをSD-OCTで求めた。
・CRVO眼では健常眼に比較して篩板厚は有意に薄かった(204.4±8.8:228.0±7.1 p<0.001)。
・CRVOの僚眼の篩板厚も205.3±9.3であり、健常眼より有意に薄く(p<0.001)、CRVO眼とその僚眼との間には有意差はなかった(p=0.669)。
・このことからCRVOの発生は篩板が薄いことが関与していると考えた。(TY)

2019
257巻

変性層状黄斑円孔に対する手術方法

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 257巻 (10号) 2019

Results of lamellar macular hole-associated epiretinal proliferation embedding technique for the treatment of degenerative lamellar macular hole.
Takahashi K et al(岡山大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(10): 2147-2154, 2019

・変性層状黄斑円孔に対する硝子体手術方法として、lamellar hole-associated epiretinal proliferatin (LHEP)を層状黄斑円孔の裂け目に埋め込む方法を行った34例について検討した。
・経過観察期間は30.0±17.7ヶ月、23眼(67.6%)では白内障同時手術を施行した。
・中心網膜厚CRTは123.2±42.6から191.2±42.6に改善し、外境界膜の欠損は17例(50.0%)のうち10例(58.8%)で改善し、ellipsoid zoneの欠損は15例(44.1%)のうち7例(46.7%)で改善した。
・全例のBCVAはlogMARで、0.31±0.25…(小数点0.49)から0.10±0.25…(0.79)(p<0.01)に改善。
・白内障同時群のBCVAはlogMARで、0.30±0.26…(0.50)から0.04±0.16…(0.91)(p<0.01)に改善。
・白内障非同時群のBCVAはlogMARで、0.32±0.26…(0.48)から0.21±0.35…(0.62)(p<0.05)に改善した(TY)

2019
257巻

重量物を持つことが眼圧と前眼部の構造に及ぼす影響

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 257巻 (10号) 2019

Influence of holding weights of different magnitudes on intraocular pressure and anterior eye biometrics
Jesus Vera et al (Spain)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(10):2233-2238, 2019
・体重の10%および20%のウェイトを5分間持つことによって眼圧の上昇程度と前眼部の構造変化を調査
・健常大学生18名に水の入った重りを持たせ、保持後30秒、2分、3分半、5分、その後30秒と2分でのIOPと前眼部構造を、反跳眼圧計(アイケア)とペンタカムを用いて測定
・コントロール、10%、20%で測定
・20%のWeight liftでコントロールに比べて有意な眼圧上昇と隅角の狭小化をみとめた。
・前房深度と角膜厚に変化はなかった
・緑内障患者あるいは緑内障のリスクのある者にとって、重量物を持ち上げたり運んだりすることは推奨できない(MM)

2019
257巻

小数点視力からlogMARを計算する時の問題点

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 257巻 (7号) 2019

Is conversion of dicimal visual acuity measurements to logMAR values reliable?
Mataftsi A et al(Greece)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(7): 1513-1517, 2019
・74名の患者で5分間隔で4mの距離でのETDRSチャート(VAlog)、6mと4mの距離での小数点視力表(VA6m, VA4m)を測定して、結果を比較した。
・視力はヨーロッパでは小数点視力(1/2=0.5, 1/5=0.2)、米国では20での分子表示(1/2=20/40, 1/5=20/100)、英国では6での分子表示(1/2=6/12, 1/5=6/30)が標準である。
・指標の4/5をパスした最小ラインを視力とした。
・次のラインの正答した1-3文字も加味して、例えば0.4logMARの視力で、次が2文字正答していれば小数点では0.4+2、対数では0.36logMARとした。
・結果はVAlogはVA4mやVA6mよりも値が大きかった(視力が悪かった)。
・特に0.5logMAR(小数点0.32)当りでは0.2logMAR程、視力は悪く出た。
・小数点視力表で測定した視力をlogMARに換算することは、時に問題のあることがある。(TY)

2019
257巻

眼球運動視野計とFDT: 緑内障スクリーニングにおける臨床評価と患者嗜好

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 257巻 (6号) 2019

Eye Movement Perimetry and Frequency Doubling Perimetry: clinical performance and patient preference during glaucoma screening
Najiya Sundus Kadavath Meethal et al (India,Netherlands)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(6): 1277-1287, 2019

104名の正常者と73名の緑内障患者を対象
HFA SITA standard 24-2を測定した後、FDP C-20-1プログラムとEMPで測定
FDPとEMPの順序はランダムで最低15分開けて測定
EMPはアイトラッキングシステムを利用して26ポイントで測定し、中心を固視し周辺部に指標が見えたら指標を見る。その後また中心の固視目標に戻す
FDP: Robin Score 1:29 (正常:緑内障) (Table 3)
検査時間 50秒:113秒
EMP: Saccadic Reacton Time(SRT) 467:683秒
検査時間 88秒:151秒
診断能力:AU-ROC FDP:EMP=0.952:0.958(有意差なし) (Fig.5)
EMP:感度 87.7% 特異度 96.2%でFDPと遜色ない結果
40才以上の参加者、中等度から重度の緑内障患者はEMPを好んだ(Fig.6)
緑内障スクリーニングにおいては有用な方法と考えられる(MM)

2019
257巻

NVGに対する外科治療:レビュー

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 257巻 (6号) 2019

Surgical treatment of neovascular glaucoma: a systematic review and meta-analysis
Zakhar Shchomak et al (Portugal)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(6): 1079-1089, 2019
RCTはなく、7つのnonRCTがMEDLINEとEMBASEで見つかった
6ヶ月後の眼圧下降、不成功率と光覚喪失について調査
GDDとcyclophotocoagulationではIOP下降効果は有意差なし GDD群で不整効率と光覚喪失が少なかった
AGVとTrabeculectomyではIOP下降効果と光覚喪失は有意差なし、不成功率はAGVで高かった。
Non-RCTしか現在のところ存在しないので解釈には注意を要する。RCTが行われるのが望ましい。(MM)

2019
257巻

網膜剥離術後の多発網膜下ブレブ

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 257巻 (5号) 2019

Multiple subretinal fluid blebs after pars plana vitrectomy for rhegmatogenous retinal detachment repair
Otsuka Y, et al.(京都大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 2019;257(5):921-929
・網膜剥離に対し25Gまたは27G硝子体手術を受けた106例108眼
・8眼(7.4%)で術後に多発する網膜下液ブレブが見られた
・ロジスティック回帰分析では意図的ドレナージ裂孔の作成と27Gによる手術が有意なリスク因子
・ブレブの数や大きさは次第に吸収、術後1年で5眼(62.5%)が完全に消失
【結論】
・多発する網膜下液ブレブは小切開硝子体手術の後にもみられる
・このタイプの網膜下液は術後視力に影響せず、治療しなくても次第に消失する(MK)

2019
257巻

DMRのない小児DMにおけるOCTA

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 257巻 (4号) 2019

Enlargement of the foveal avascular zone detected by optical coherence tomography angiography in diabetic children without diabetic retinopathy.
Niestrata-Ortiz et al(UK)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(4): 689-697, 2019
・網膜症のない6~18歳のDMの小児112名と、年齢をマッチさせたCtrlの30名について、Topcon OCTAで表層superficial(SCP)と深層の毛細血管叢deep capillary plexus(DCP)のFAZを測定した。
・DM群をDM罹病期間により、Grp1:<5年(n=40)、Grp2:5-10年(n=42)、Grp3:>10年(n=30)に分けた。
・平均DCP FAZはDM罹病期間とともに拡大していた。
・Grp1:503.3±137.9mm2、Grp2:523.9±159.4、Grp3:543.5±190.4で、いずれもCtrl:409.8±116.6より有意に大きかった(全てp<0.001)。
・平均SCP FAZもGrp1:314.6±109.9mm2、Grp2:293.3±116.3、Grp3:307.7±140.4で、いずれもCtrl:286.4±126.6より有意に大きかったが、両者の差はGrp1:188.7±94.8mm2、Grp2:230.6±99.4、Grp3:235.8±105.1で、罹病期間が長いほど、Ctrl:123.3±73.1との差が大きくなっていた。
・DMRの進行に深層の毛細血管叢が関与している可能性を示唆しており、また、OCTAは小児DM患者の有効な診断手段になりうる(TY)

2019
257巻

ドライアイおよび涙液サイトカインに対するボツリヌス毒素Aの効果

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 257巻 (2号) 2019

Effects of botulinum toxin type A on the treatment of dry eye disease and tear cytokines
Min Gyu Choi, Joon Hyung Yeo, Jeong Woo Kang, Yeoun Sook Chun, Jeong Kyu Lee, Jae Chan Kim(Korea)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol
2019;257(2):331-338

【対象と方法】
・難治性ドライアイ患者*(眼瞼けいれん患者は除外)を前向きランダムに割付け;BTX-A注入群**およびコントロール群***
・注入前・2w後・1M後・2M後・4M後にドライアイ所見・症状を評価、注入前・1M後に涙液サイトカインを測定
*2M以上ドライアイ点眼およびステロイドを点眼も症状が残存する患者、眼瞼けいれん患者は除外
**NABOTA®、2.5IU/0.05mLを上・下眼瞼に五か所ずつ皮下注入
***生食を同部位に同量注入
【結果】
・26例52眼(平均57.7歳)
・BTX-A群では2w・1M後において涙液層破壊時間(TBUT)が有意に増加、2M後までシルマーⅠ法・眼表面疾患インデックス(OSDI)が良好な値
・角膜染色スコア(CFS)はBTX-A群で4M後まで有意に低値
・Repeat measures ANOVAでは、シルマーⅠ法、CFS、OSDI、点眼回数において両群に有意差あり
・涙液中MMP-9が活性型→不活型に変わった割合:BTX-A群で76.92%、コントロール群で38.46%(P=0.005)
・涙液セロトニン値:BTX-A群で2.76→1.73ng/mL(P<0.001)
・流涙・眼瞼後退・角結膜炎などの合併症なし
【結論】眼瞼へのBTX-A注入は、ドライアイの徴候と症状、および涙液サイトカインのレベルを低下させる。BTX-Aは難治性ドライアイ患者への治療オプションとなりうる。(MK)

2019
257巻

培養陽性ドナー角膜の症状と臨床結果への影響

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 257巻 (1号) 2019

A presentation of culture-positive corneal donors and the effect on clinical outcomes
Aida Hajjar Sese, et al. (UK)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol (2019)(1) 257:135-141.
目的:ドナー角膜強膜縁の細菌汚染率は12〜39%、真菌汚染率0〜12%と言われている。培養陽性ドナー角膜で細菌性角膜炎および眼内炎を引き起こすことはめったにないが、真菌汚染はその後の真菌感染症の発症リスクを有意に増加させると報告されている。
汚染されたドナー組織を使用して角膜移植を受けた11眼の報告。
対象と方法:2013年1月から2014年4月の間に実施されたPKまたはDSAEK を受けた360眼。
ドナー角強膜縁および保存液の培養は全ての症例で行った。
結果:PK 3眼、DSAEK 8眼の全11眼が培養陽性であった。
A群:真菌6眼(Candida 6眼、PK 1眼、DSAEK 5眼)、B群:グラム陽性菌3眼(Enterococcus faecium 2眼、MRSA 1眼、PK 2眼、DSAEK 1眼)、C群:グラム陰性菌2眼(E.coli、PK 0眼、DSAEK 2眼)。
A群では5%ナタマイシン点眼液で治療したが、6眼のうち3眼は角膜炎を発症し再DSAEKを施行した。2眼ではグラフト – ホスト接続部に浸潤物が存在し、1眼では重度の持続性前部ブドウ膜炎が認められた。
B群ではクロラムフェニコール点眼薬1日6回で治療し、全例角膜炎は発症しなかった。
C群では0.3%シプロフロキサシン軟膏および1時間毎の0.3%シプロフロキサシン点眼で治療した。早期追跡調査中に感染の臨床徴候は発症しなかった。
結論:11人の患者のうち3眼(27%)が感染性角膜炎の臨床徴候を示した。これらの症例のうちの3つすべてCandida陽性でDSAEKの症例だった。
ドナー組織の追加の操作を必要とするDSAEKが感染の危険性の増加と関連しているかもしれない。(CH)

2018
256巻

翼状片の切除後は圧迫眼帯と治療用CLどちらが良いか

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 256巻 (11号) 2018

Therapeutic contact lenses vs. tight bandage patching and pain following pterygium excision: a prospective randomized controlled study

Daphna Prat, Ofira Zloto, Elad Ben Artsi, Guy J. Ben Simon(Israel)

Graefe’s Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology 2018;256(11):2143-2148

【目的】

翼状片の術後に、従来のガーゼによる圧迫眼帯の代わりに治療用CL(TCL)を用いた場合の効果を比較

【対象と方法】

・60名の翼状片手術患者を前向きに2群に割付け;TCL群と圧迫眼帯群

・翼状片手術は結膜有茎弁を10-0バイクリルで移植縫着、MMC使用なし

【結果】

・疼痛スコアおよび疼痛を感じた時間はTCL群で有意に高値(P=0.034、P=0.04)

・睡眠の質はTCL群で優位に悪かった(P=0.004)

・術翌日の視力は両群間に有意差みられず

【結論】

・翼状片術後にTCLを用いると、圧迫眼帯に比べて術後24hでの痛み・不快感とも強く睡眠の質も下がった

・単眼視やガーゼ眼帯に問題がなければ、翼状片術後にはTCLよりも圧迫眼帯を用いたほうが痛みは緩和される(MK)

2018
256巻

黄斑部硝子体牽引眼における牽引面積

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 256巻 (10号) 2018

Comparison of horizontal diameter to modeled area of traction in eyes with vitreomacular traction: is the diameter close enough to the truth?
Paul C et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(10): 1817-1822, 2018
・硝子体黄斑牽引(VMT)において、黄斑部の接着面積は通常、その水平面直径から求められた円の面積A(circular)が用いられることが多いが、6経線で求められた面積A(measured)との違いを検討した。
・37例37眼(72.8±8.2歳)の平均A(circular)値は400.8±230.5mm2で、A(measured)の平均値との間に有意差はなかったが(p=0.93)、両者の間に30%以上の違いがあったものが16眼(43.2%)、100%以上の違いがあったものが7眼(18.9%)あった。
・接着面積を正確に測定することは大切である。(TY)

2018
256巻

近視性CNVの活動性をOCTで評価する

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 256巻 (10号) 2018

Retinal pigmental epithelium elevation and external limiting membrane interruption in myopic choroidal neovascularization: correlation with activity

Xiaoyan Ding, Zongyi Zhan, Limei Sun, Yu Yang, Songshan Li, Aiyuan Zhang, Xiaoling Luo, Lin Lu(China)

Graefe’s Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology 2018;256(10):1831-1837

【目的】

近視性脈絡膜新生血管(mCNV)の活動性をSD-OCTで評価する新しいストラテジーを提唱

【対象と方法】

活動性のあるmCNV患者52眼、ranibizumab治療前後にSD-OCTとFAを撮影し比較

【結果】

・OCT所見と(FAを基にした)mCNV活動性との比較【Tab.3】;

・網膜下液の存在:感度23.9%、特異度97.5%

・EZの断裂:感度82.1%、特異度19.8%

・ELM断裂:感度97.0%と高いが特異度55.6%とやや低い

・RPE隆起(CNVを取り囲む):93.2%がFAで活動性なし

・ELM断裂とRPE隆起を組み合わせた新しい2ステップ法では、感度92.5%・特異度95.1%と非常に良好

【結論】

上記の新しい2ステップ法は、mCNVの診断や活動性モニタリングに対する有用な指標と考えられる(MK)

2018
256巻

カフェイン摂取による視神経乳頭血流の変化

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 256巻 (9号) 2018

Pulse waveform analysis on temporal changes in ocular blood flow due to caffeine intake: a comparative study between habitual and non-habitual groups
Aishah Ismail, et al. (Singapore)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(9):1711-1721, 2018
1杯のコー日には約100mgのカフェインが含まれる。240mlのコーヒーは72-130mgの、エスプレッソショットには58-76mgのカフェインが含まれるとされる。カフェインは血管抵抗を上げ、視神経乳頭の血流を低下させ、200mgのカフェイン摂取1時間で網膜血管径の収縮が見られるとの報告がある
LSFGの
MBR:血流速度の指標 高いほど赤血球の動きが大きい
BOT:MBRが波形全体でどの程度平均よりもずれていたか
心拍の平均MBRは、毎秒30フレームでMBRを4秒間撮影し、付属のソフトで心拍と同期し、pulse waveform parameterとheartbeat mapとして表示する
対象:21-30歳の健常人19名(8名はコーヒーや紅茶などを日常的に摂取しない群、11名は1日3杯以上のコーヒー摂取を毎日する群)
1週間前からアルコール、エナジードリンク、炭酸摂取をやめ、24時間前からカフェイン摂取と激しい運動を禁止。180mgのカフェイン(カプセル2個)と200mlの水を摂取して20分ごとにLSFGを測定
視神経乳頭全体(O)、血管(V)、組織(T)の3つの領域で10個のpulse waveformパラメーターをそれぞれ測定
MBR, fluctuation, skew, blowout score (BOS), blowout time (BOT), rising rate, falling rate, flow acceleration index (FAI), acceleration time index (ATI), and resistive index (RI)
両郡間で有意差有:MBR(O,V,T), BOT(O), rising rate(O), falling rate(V) p<0.05
カフェイン非常用群で変化有り:MBR(O), skew(T), BOS(T), BOT(T)
結論:年齢、性別、BMI、症例数の問題はあるが、非常用群はカフェイン摂取により、視神経乳頭血流の変化が常用群よりも大きいと考えられる(MM)

2018
256巻

Peters奇形での虹彩切除の結果

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 256巻 (9号) 2018

Outcome of optical iridectomy in Peters anomaly
Oriel Spierer, et al. (USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(9):1679-1683, 2018
2004年1月から2014年12月までにBascom Palmer Eye Instituteで行った、TypeⅠPeters anomalyに対してOptical Iridectomy22名29眼をretrospectiveに調査
4名は片眼性、18名は両眼性(うち11眼は片眼のみ手術)
手術時の平均年齢15.6M(1-7.7歳) 平均観察期間41.6M(2-118M)
28眼(96.6%)は初回手術で眼底の反射を確認 1眼は6Mで追加切除
視力:LogMAR 2.5±0.3→1.8±0.6 
21眼(72.4%)で改善、5眼で変化なし、3眼で低下
角膜に透明な部分が残存している場合の選択肢となり得る(MM)

2018
256巻

3つの組織染色によるILM剥離での違い

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 256巻 (9号) 2018

Macular peeling-induced retinal damage: clinical and histopathological evaluation after using different dyes
Mario R. Romano, et al. (Italy)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(9):1573-1580, 2018
特発性ERMに対して、3つの組織染色によるILM剥離を行い、視力、網膜感度、組織のGFAP、NFを免疫組織科学的に評価
Prospective, randomized, comparative, interventional, and immunohistochemical study
ERM:組織学的には単純型と複合型の二つに分類
単純型:グリア細胞、laminocyteの単層からなり、GFAP(glial fibrillary acidic protein)抗体陽性で、ILMの上に直接増殖する。
複合型:PVD後の網膜表面にできたILMのわずかな欠損部を通して多層の細胞が侵入する。ERMは網膜表面だけではなく、網膜内外層の神経ダメージ、macroglia/microgliaの変化、Müller細胞内のGFAPの産生増加を生じる
GFAPは網膜のレセプター、cytoskeleton、glial extracellular matrixと相互作用し、細胞の癒着を生じる
GFAPがあるとMüller細胞とILM/ERMとの接着が強くなり、剥離を行った際の網膜ダメージが強くなるリスクがある。Neurofilament protein (NF)とともに、間接的に網膜障害の免疫組織化学マーカーとして使われる。
2016年6月と7月に行われた45例の手術において、ランダムに3つの染色によるオペを行った(30秒間染色) 各15例、全例air-fluid exchangeしている
Group1: Trypan blue (TB) 0.15%+ brilliant blue (BBG) 0.05%+lutein 2%
                            (Doubledyne, Kemin Pharma, Oeiras, Portugal)
Group2: TB 0.15%+ BBG 0.025%+ polyethylene glycol (PEG) 3350 4%
                            (Membraneblue-Dual, DORC International, Zuidland, The Netherlands)
Group3: indocyanine green (ICG) 0.05%
                            (Diagnostic Green Aschheim-Dornach Germany)
3群をStudent t testで2群ずつ比較している:
(*ANOVAや反復測定分散分析など3群の比較検定や比率の検定を使わないといけないのでは?)

結果:Lutein含有のGroup1が他のグループに比較して術後1,3ヶ月の視力と網膜感度の改善が早く、GFAPとNP発現量が少なかった
Luteinにより組織の癒着が減少したのか、あるいはLuteinによる抗酸化作用が、手術中のライトによる光毒性に対して保護的に作用したのか。(MM)

2018
256巻

高度近視性の黄斑円孔手術における内境界膜翻転の効果

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 256巻 (8号) 2018

Inverted internal limiting membrane insertion versus standard internal limiting membrane peeling for macular hole retinal detachment in high myopia: one-year study.
Wakabayashi T et al(阪大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(8): 1387-1893, 2018
・高度近視眼の黄斑円孔網膜剥離でILMを反転挿入した13眼と、反転しなかった36眼を比較した。
・MH閉鎖率は反転ILM群で有意に良かった(92 vs 39% p=0.003)。
・網膜剥離の復位率は初回は92 vs 86%、最終は全例復位した。
・術後12か月後の視力はILM反転群がlogMAR 0.71±0.56(小数点 0.19:0.02-0.9)、非反転群はlogMAR 1.01±0.41(少数点 0.10:0.01-0.7)で有意に良かった(p=0.059)。
・12か月後の視力の3行以上改善率は反転群85%、非反転群47%で有意差があった(p=0.045)。(TY)

2018
256巻

緑内障眼での黄斑部血管濃度

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 256巻 (8号) 2018

OCTA vessel density changes in the macular zone in glaucomatous eyes.
Lommatzsch C et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(8): 1499-1508, 2018
・85眼の緑内障と50眼のCtrl眼で黄斑部の血管濃度VDを測定した。
・OCTAはZeissのAngioPlexとOptoVueのAngioVueの2種を使用した。
・黄斑のVDは6x6mmの表層(SL)と深層(DL)の網膜血管叢を測定した。
・黄斑部のVDは緑内障眼でSLもDLも有意に少なかった(P=0.009)が、SLとDLの間には有意差はなかった。
・緑内障眼のVDの最大の低下は下方黄斑部領域で見られた。
・VDは年齢や屈折度には関連はなかったが、眼圧、緑内障罹病期間、視野のMD、OCTのGCC厚、視神経乳頭周囲のRNFL厚、視神経乳頭のCD比、リム領域などに強い相関があった。(図2)(TY)

2018
256巻

イベント解析は早く進行するタイプの緑内障変化を見逃すことがある

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 256巻 (7号) 2018

Event-based analysis of visual field change can miss fast glaucoma progression detected by a combined structure and function index
Chunwei Zhan, et al. (USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(7):1227-1234, 2018
97名135眼を平均3.5年観察し、SAPとRNFLを調べた
SAPとRNFLの結果から予測されるRGC数を用いてRGC indexをコントロール群と比較した
135眼のうち、15眼(11%)はGPA,21眼(16%)はSDOCT,31眼(23%)はRGC indexで進行を確認した。
GPAで進行と判断された群の減少数:-30812cell/year、
GPAで進行無しと判断された群:-6902cell/year
健常人:-6207cell/year
21眼ではGPAでは見逃しており、これら(RGC indexで進行と判断された群)の平均RGC減少数は-28910cell/yearと正常の加齢による減少より2-9倍速かった
これらの群のRNFL厚の変化は-1.39μm/year(0.21 to -3.76)であった。
構造と機能両方で進行を把握することが重要である。(MM)

過去のアーカイブ