Management of retinal pigment epithelium tear during anti-vascular endothelial growth factor therapy.
Mitchell P et al(Australia)
Retina 41(4): 671-678, 2021
・抗VEGF治療後に発生した網膜色素上皮裂孔についてMEDLINE/PubMed databaseで調査した。
・推奨は1)多様な画像:眼底写真、OCT、近赤外写真、自発蛍光、OCT-A、FAが診断に有用であり、大きさと中心窩を含むかどうかで程度分けする。
・2)発症リスクの高い患者はモニターをしっかり行なうが、抗VEGF治療の中止か増強かの判別が必要。
・3)活動性のある場合は継続し、多房性の裂孔の場合は中止する。
・RPE裂孔のリスクファクターは、面積の拡大と傍中心窩PEDの径が大きい、PED径に対するCNV径が50%以下、希薄な血管性PED、放射状の高屈折線、最近のPED、RPEの小さな裂け目などである。(TY)
Long-term surgical outcomes of lens capsular flap transplantation in the management of refractory macular hole.
Peng J et al(China)
Retina 41(4): 726-734, 2021
・難治性黄斑円孔に対して自分のあるいは他人の水晶体前嚢片移植LCFT(lens capsular flap transplantation)を行った。
・連続する50眼で12眼が自己LCFT、38眼が他人のLCFTであり、15%perfluoropropaneタンポナーデを行ない、2週間のうつ伏せを行った。
・MH径は1102.0±561.6μmで、18.5±6.1ヶ月の経過観察である。
・48眼(96.0%)で完全閉鎖がえられた。
・水晶体嚢片はICGあるいはBBGで染色し、トリミングして使用した。(TY)
Photoreceptor outer segment is expanded in the fellow eye of patients with unilateral central serous chorioretinopathy.
Borrelli E et al(Italy)
Retina 41(2): 296-301, 2021
・160例の片眼性中心性網脈絡膜症CSCの僚眼160眼について、OCTで検討した。
・年齢は51.6±11.1(2080歳)、Ctrlは52.8±11.1(31-74歳)である。
・OCT像をNIHの開発したImageJソフトを利用して、中心窩約1度の水平断での視細胞外節の占める面積を測定すると、CSC僚眼では0.068±0.007mm2であったのに対し、Ctrlでは0.060±0.005で有意差があった(p<0.0001)。
・この面積はCSCの僚眼では脈絡膜厚と有意な相関があったが(R=0.166 p=0.016)、Ctrl眼では相関がなかった(p=0.864)。
・この結果は網膜と脈絡膜の変化は両眼に発生し、RPEや脈絡膜の機能低下によって、視細胞のturnoverが遅れると考えることもできる。(TY)
Intraretinal hyperreflective lines.
Amoroso F et al(France)
Retina 41(1): 82-92, 2021
・黄斑部のOCT上の高反射帯について検討した。
・垂直の高反射線が38眼、ヘンレ層に沿った曲線の高反射帯が11眼の、43例49眼(男16、女27)について検討した。
・24眼の成人卵黄様変性やpatternジストロフィは網膜上膜(6眼)や脈絡膜肥厚(9眼)を伴っており、その他、AMDや黄斑変性が9眼、部分的な網膜出血が5眼、特発性微小黄斑円孔が2眼、硝子体黄斑牽引が3眼、MEWDSが3眼、fundus flavimaculatus黄色眼底が2眼、pachychoroid網膜色素上皮症が1眼であった。
・高反射帯は、網膜出血やMEWDS、硝子体黄斑牽引が解除された症例では完全に消失したが、他の症例では徐々に薄くなっただけであった。
・黄斑部のOCT上の高反射帯はいろいろな炎症性、変性あるいは牽引性の要因で発症するが、原因は不明である。(TY)
Intraocular and interocular differences in parafoveal vascular density in diabetic patients without diabetic retinopathy.
Kim Y et al(Korea)
Retina 41(1): 170-180, 2021
・OCTAで求められた黄斑部の血管濃度VDの部位別と眼球別の差について網膜症のないtype2の糖尿病者94例について検討した。
・OCTAで中心の直径3mm内について血管濃度VDと、血管径を1ピクセルに置き換えて細くしたvessel skeleton濃度SDを、全毛細血管叢、表層毛細血管叢、深層毛細血管叢、脈絡膜層毎に測定した。
・部位別のVAは、上1/4部と下1/4部で比較し、眼球別は患者の左右眼で比較した。
・多変量解析では、糖尿病の罹患期間は全毛細血管叢と表層毛細血管叢と負の相関があり、表層毛細血管叢の左右差の大きさと正の相関があった。
・腎臓の糸球体濾過率は全毛細血管叢のSDの左右眼差、VDの左右眼差と負の相関があった。(TY)
Bilateral acute retinal necrosis. A case series.
Lei B et al(China)
Retina 40(1): 145-153, 2020
・両眼性急性網膜壊死の30例60眼につきその臨床症状を調査した。
・25例は5か月以内に他眼に発症したが、5例では2年以上の間隔後に他眼に発症している。
・180度以上に網膜壊死を発症する比率は、初発眼では21眼中14眼であったが、後発眼では22例中3眼であった。
・網膜剥離の発症は初発眼では27眼中23眼であったが、後発眼では27眼中5眼であった。
・最高logMARは初発眼では34.1±48.2ヶ月の経過で、2.0±1.1(指数弁)から2.2±1.0(指数弁)への低下であったが(p=0.529)、後発眼では21.2±23.3ヶ月の経過で、0.5±0.4(20/66)から0.3±0.4(20/40)と改善した(p=0.005)。
・後発眼の方が予後が良いことがわかった。(TY)
Risk of age-related macular degeneration in patients with periodontitis. A nationwide population-based cohort study.
Sun KT et al(Taiwan)
Retina 40(12): 2312-2318, 2020
・歯周病は結合織や骨欠損を来す炎症疾患であり、今回、歯周病とAMDとの関連をTaiwanの全国保険データベースを元に調査した。
・歯周病は2000-2012年に新規に診断されたものとし、対照として年齢性をマッチさせた41,661例とした。
・歯周病を持っている人は対照と比較して1000人当たりの発症率は5.95:3.41であり、調整危険率は1.58(95%CI 1.46-1.70)であった。
・年齢層毎にみると、65歳未満では調整危険率は1.48(1.34-1.64)、65歳以上では1.76(1.57-1.97)であり、性別では女性は1.40(1.26-1.55)、男性では1.82(1.63-2.04)であった。
・非滲出性AMDでは1000人当たりの発症率は5.43:3.13、滲出性AMDでは0.52:0.28であった。(TY)
Foveal sparing internal limiting membrane peeling for idiopathic macular holes. Effects on anatomical restoration of the fovea and visual function.
Murphy DC et al(UK)
Retina 40(11): 2127-2133, 2020
・Müller細胞はその足突起をILMに接着させて中心窩の構造を保つ働きをしているため、ILM剥離はMüller細胞に外的傷害を与えることになる。
・特発性黄斑円孔周囲のILMを剥離しないことは術後の中心窩の形状や視機能改善に役立つと考え、中心窩回避のILM剥離を行った34例34眼と、その結果を全面のILM剥離を行った34例34眼のCtrl群と比較した。
・中心窩回避のILM剥離方法は、中心窩を避けた6個程度の円形ILM剥離を連続させて行った。
・回避群では32/34で円孔閉鎖、Ctrl群では32/34で円孔閉鎖した。
・術後1年目の最高視力はETDRS視力で回避群が有意に良く(67.7:63.8 p=0.003)、中心窩厚が有意に厚かった(211:173μm p=0.002)。(TY)
A piolot clinical study of treating rhegmatogenous retinal detachment by silicone rubber balloon scleral buckling.
Zhang B et al(China)
Retina 40(10): 1918-1928, 2020
・強膜内嵌ができるシリコンゴム製の折り畳みカプセルで裂孔原性網膜剥離治療の効果と安全性について5眼で最低12週間、検討した。
・感染の発生、眼痛、複視、眼圧上昇などについて安全性を検討した。
・1例で一過性の複視と眼球運動障害があった以外には特に副作用はなかった。
・手術方法は輪部から5ミリの部位に結膜切開を行い、25G針で網膜下液を抜いた後、空にしたカプセルを挿入し、1mlの青色をカプセルに注入し、手術を終了した。
・全例、術中に経強膜冷凍凝固を行い、術後に光凝固治療を追加している。(TY)
En-face optical coherence tomography in patients with epiretinal membrane. Intuitive method for predictiong functional outcomes.
Bae K et al(Korea)
Retina 40(10): 1972-1979, 2020
・80例80眼の特発性黄斑前膜手術で、en-face OCT結果と視力、M-スコアなどの機能との関連を検討した。
・接着帯(A-zone)の面積、網膜趨壁の数、網膜内層変化を反映するen-face OCT結果を検討した。
・外境界膜やellipsoid帯やinterdigitation帯の欠損面積は術前、術後6ヶ月目の視力と有意に相関していた(全てp<0.05)。
・中心窩厚、A-zone面積、辺縁の網膜趨壁数、中心窩がA-zoneに含まれているかは術前と術6ヶ月目のM-scoreと有意に相関していた(全てp<0.05)。
・多変量解析では、A-zone面積は術前、術後のM-scoreと有意に相関していた(p<0.001とp=0.008)。
・辺縁の網膜趨壁数は術前のM-scoreと有意に相関していた(p<0.001)。(TY)
Dark adaptaioin in macular telangiectasia type 2.
Tzaridis S et al(Germany)
Retina 40(10): 2018-2025, 2020
・59例59眼の2型黄斑部毛細血管拡張症患者で暗順応検査を行ない、18例18眼の正常者と比較した。
・中心窩から5度の耳側網膜で、4×4°範囲で83%bleachを行い、視角2度のテスト光で暗順応検査を行った。
・暗順応のパラメータは病態の進行状態やellipsoid帯の欠損状況とは関係が少なかった。
・杆体系の回復機能の遅れと黄斑色素の欠損との間に強い相関があった。(TY)
Patients wearing face masks during intravitreal injections may be at a high risk of endophthalmitis.
Hadayer A et al(Israel)
Retina 40(9): 1651-1656, 2020
・硝子体内注入時のフェイスマスクの安全性を検討した。マスクは3種類使用。
・1)4本の紐のついたsurgical mask、2)耳掛けゴムのついたsurgical fask、3)結核専用の2200 N95マスクである。
・10名の正常者で通常呼吸時、会話時、深呼吸時の空気の漏れを2種類のthermal camera(FLIRとOPGAL)で合計90回計測した。
・マスクの上端からの空気の噴出は全体で81%(73/90)、FLIRカメラでは71%(32/45)、OPGALカメラでは91%(41/45)でみられた。
・空気の噴出は全てのタイプのマスクでみられた。
・このことから硝子体注入時のマスクは眼内炎のリスクを高めると考えられる。
・マスクの上端をテープで止めるとか、処置眼の周囲をドレープで覆うとかの処置が有効と考えた。(TY)
Relative quiescence of exudative age-related macular degeneration after resolution of postinjection endophthalmitis.
Arnett JJ et al(PA USA)
Retina 40(9): 1719-1723, 2020
・滲出性AMDに対する抗VEGF薬の硝子体注入後に発生した眼内炎21例について、その後の経過について検討した。
・2006年11月から2018年4月の間に眼内炎の発症は34例で起こったが、13例が除外された。
・理由は1か月以内の通院中止、眼内炎発症前の併存疾患のための強い視機能低下、眼内炎による重症の眼球障害(眼球摘出や光覚弁消失など)、硝子体注入によるものではないと考えられる眼内炎などである。
・除外されなかった21例の平均年齢は81.4(63-97)歳で、抗VEGF注射後平均3.7日(1-13日)後に眼内炎を発症していた。
・抗菌剤治療の他に11例ではステロイドの硝子体内注入、2例では硝子体手術を行っている。
・経過を調査すると、7例(33%)は有意(p>0.05)な視力低下はなく、滲出性AMDが軽快したために12か月後も抗VEGF治療は行っていない。
・抗VEGF治療を開始した人でも、眼内炎後は抗VEGF治療回数が32%減(12か月後)、38%減(24か月後)となった(いずれもp<0.05)。
・眼内炎後の最初のOCTでは、10例は黄斑厚の変化はなかったが(p>0.05)、脈絡膜新生血管の活動性は低下していた。
・眼内炎の発症と軽快は脈絡膜新生血管の活動性を低下させ、抗VEGF治療回数が減ることがわかった。(TY)
PATIENTS WEARING FACE MASKS DURING INTRAVITREAL INJECTIONS MAY BE AT A HIGHER RISK OF ENDOPHTHALMITIS
Hadayer, Amir; Zahavi, Alon ; Livny, Eitan; Gal-Or, Orly; Gershoni, Assaf; Mimouni, Karin Ehrlich, Rita (Israel)
Retina: September 2020 – Volume 40 – Issue 9 – p 1651-1656
doi: 10.1097/IAE.0000000000002919
【目的】
・硝子体注射の際に患者が着用するフェイスマスクの安全性を調査
【対象と方法】
・健康なボランティアに3種類のマスクを着用してもらい、目の周りの空気漏れをモニター
1)4本のストリップで結束するサージカルフェイスマスク、
2)耳ループがゴム製のサージカルフェイスマスク、
3)結核用の2200 N95マスク
・各セッションごとに、正常呼吸、発声、深呼吸時の眼周囲の空気漏れを検査
・空気漏れの検出には2つの業務用赤外線カメラを使用;
FLIR A310サーモグラフィとEyeCGas 2.0(工業用ガスの微少な排気ガスの検出に使用される超高感度赤外線カメラ)
【結果】
・5人のボランティアに対して、マスク3種類ごとに3回、カメラごとに45回、合計90回施行
・FLIR A310サーモグラフィでは71%(32/45)、EyeCGas 2.0カメラでは91%(41/45)で、マスクの上端から目に向かって放射状に噴出しているエアジェットが検出
・調査したすべてのタイプのマスクで空気漏れが検出
【結論】
・硝子体内注射中にフェイスマスクを着用している患者は、眼内炎のリスクが高いかもしれない
・さらなるデータが得られるまでは、適切なフェイスマスクの装着を確認し、フェイスマスクの上端を医療用粘着テープでテーピングするか、または注入された目の周りに外科用粘着ドレープを使用することを推奨する(MK)
Effect of lubricants on corneal thickness after vitrectomy.
Siegel DT et al(GA USA)
Retina 40(8): 1616-1622, 2020
・硝子体手術中の角膜保護剤の使用が角膜浮腫に影響するかを調べた。
・角膜疾患のない18歳以上の41名について術前術後に角膜厚をpachymetryとAS-OCTで測定した。
・術後測定はほぼ24時間以内に行った。
・Pachymetryでは、23名のSHCS(3%sodium hyaluronate 4%chondroitin sulfate:Viscot)群では29.9μmの角膜厚の増加、18名のHPMC(2.5%hydroxyprophyl-methylcellulose)群では58.1μmの増加がみられ、SHCS群で有意に増加が少なかった(p=0.02)。
・AC-OCTでの測定ではSHCSでは0.04mm、HPMCでは0.06mmで、SHCS群で増加が少なかったが、有意差は出なかった(p=0.09)。
・なお、手術時間はSHCSでは62.2±34.0分、HPMC群では65.4±26.4分であった。(TY)
BLOOD CHROMIUM-COBALT LEVELS IN PATIENTS AFTER TOTAL KNEE ARTHROPLASTY AND THEIR EFFECT ON THE RETINAL NERVE FIBER LAYER AND MACULAR GANGLION CELL COMPLEX,
Oğurel, Tevfik MD*; Serbest, Sancar MD†; Oğurel, Reyhan MD‡; Tiftikçi, Uğur MD†; Ölmez, Yaşar MD§ (Turkey)
Retina 40(6): 1200-1206, 2020
【目的】
膝関節全置換術(TKA)を受けた患者の血中コバルト(Co)およびクロム(Cr)濃度と網膜神経線維層および黄斑神経節細胞複合体への影響を調べる
【方法】
TKAを受けた患者100人と、人工関節手術を受けていない健常者50人を対象
人工関節を埋入してからの経過年数に基づいて2つのグループに分けられた(グループ1:1~5年、グループ2:5~10年)
完全な眼科検査の後、患者の網膜神経線維層および黄斑神経節細胞複合体を、散瞳下で実施したOCTで評価
各患者から静脈血を採取し、金属イオンレベルを評価
【結果】
平均年齢は、第1群64.72±6.26歳、第2群67.80±8.07歳、対照群63.42±7.90歳、群間に有意差なし
CoとCrの濃度は、対照群と比較して、グループ1とグループ2で統計的に高かった(P<0.001)
網膜神経線維層の平均厚および黄斑神経節細胞複合体の平均厚は、グループ1およびグループ2では対照群に比べて統計的に低かった
【結論】
TKAを受けた患者では健常者よりもCoとCrのレベルが高く、これらの高いレベルは網膜神経線維層と黄斑神経節細胞複合体の変化と関連していた(MK)
THE TEXAS TACO TECHNIQUE FOR INTERNAL LIMITING MEMBRANE FLAP IN LARGE FULL-THICKNESS MACULAR HOLES,
Major, James C. Jr; Lampen, Shaun I. R. et al
Retina 40(3) : 552-556, 2020
【目的】
大きな全層黄斑円孔(FTMH)の閉鎖において、追加の外科的アジュバントを必要としない外科的内境界膜(ILM)フラップ術の有効性を評価
【方法】
“Texas Taco “法で修復された400μmを超える大型FTMHを有する患者(n = 8)の電子カルテをレトロスペクティブにレビュー
【結果】
手術患者の平均年齢63.8±19.2歳(19~80歳)
Phakicが5例(62.5%)、pseudophakicが3例(37.5%)
平均追跡期間は9.1±4.7(1.5-14.5)ヶ月
最短幅と最大幅の平均MH径はそれぞれ529±101(404-661)、1,189±290(829-1,656)μm
最良矯正視力の平均(LogMAR)は、術前1.3±0.23(Snellen視力で約20/400)、術後0.66±0.40(Snellen視力で約20/100)であった(P < 0.001)
すべてのFTMHは術後すべての受診時で閉鎖されたままであった
【結論】
Texas Taco法は、大きなFTMHの困難な症例において、追加の外科的アジュバントを必要とせずに解剖学的および機能的な改善をもたらした
FTMHを有するすべての患者は、ILMフラップ手術法の新規適用による介入後、視力の改善と完全な円孔閉鎖を経験した。(MK)
OPTICAL COHERENCE TOMOGRAPHY ANGIOGRAPHY FEATURES OF SUBRETINAL FIBROSIS AFTER MYOPIC NEOVASCULARIZATION,
Milani, Paolo MD*; Pellegrini, Marco MD et al
Retina 40(2): 249-256, 2020
【目的】
近視性脈絡膜新生血管(mCNV)における、自然進行または抗VEGF治療後の網膜下線維症の光干渉断層計血管造影(OCTA)の特徴を説明
【方法】
全眼にフルオレセイン血管造影、SD-OCT、OCTA、en face OCTを含むMultimodal画像検査を行い、レトロスペクティブに評価
【結果】
25眼、平均年齢56.4±14.9歳
網膜下線維症は、評価前に平均30(範囲6-116)か月で診断
OCTAでは異常な血管網が20/25(80%)眼で観察され、典型的には網膜外側(18/20、90%)またはchoriocapillaris(14/20、70%)の区分に位置。高頻度の形状は、”丸い絡み “と “先細りの絡み “であった。
En face OCTでは、網膜下線維症は24/25(96%)の眼に認められ、最も多いのは外側網膜(21/25、84%)とchoriocapillaris(18/25、72%)で、主な特徴は白色高反射(20/21、95%)と暗色低反射(17/18、94%)であった
En face OCTで網膜下線維症を示す所見では、61%の症例で同じ層にOCTAでも異常血管網が認められ、正の相関があった(P = 0.005)。
【結論】
近視的CNVに続発した網膜下線維症は、OCTAで評価された持続的な異常な血管網の中に血流を含むことが多い(MK)
Changes in optical coherence tomography findings in patients with chronic renal failure undergoing dialysis for the first time.
Hwang H et al(Korea)
Retina 39(12): 2360-2368, 2019
・15例26眼の糖尿病腎症で、最初の透析前後の黄斑浮腫の変化を観察した。
・14例が血液透析、1例が腹膜透析である。
・透析開始により黄斑浮腫の比率は69.2%(18/26)から26.9%(7/26)に減少した(p=0.001)。
・半径500μの中心部厚は317.92±91.41:287.77±57.55μ(p=0.006)。中心部の脈絡膜厚は313.31±85.89:288.81±92.02(p=0.024)。
・中心部網膜厚の減少量と透析による血漿尿素窒素量の減少量は有意な正の相関があった(R=0.481 p=0.013)。(TY)
Pars plana vitrectomy for the treatment of tractional and degenerative lamellar macular holes. Functional and anatomical results.
Figueroa MS et al(Spain)
Retina 39(11): 2090-2098, 2019
・硝子体手術で黄斑前膜除去を行った場合の牽引性の偽黄斑円孔(LMH)あるいは黄斑偽円孔(MPH)77例とLMHに付随したepiretinal proliferation(LHEP)を持った変性LMH26例について、その最低6か月の経過を比較検討した。
・術前の最高視力は牽引性LMH/MPH(logMAR=0.38±0.2…20/50)の方が変性LMH(logMAR=0.56±0.2…20/66)よりも有意に良かった。
・解剖学的な成功は97/103例(94.2%)で、中心窩の回復は変性LMHの方が早かった(1.6±2.3:3.3±3.6ヶ月 p=0.025)。
・視力改善は両者ともに得られたが、牽引性LMH/MPHの方が良く(logMAR=0.18±0.17…20/30:logMAR=0.39±0.28…20/50 p<0.001)、変性LMHでは中心窩の構造の完全な回復は得られない例が多かった(TY)