EFFECT OF ANESTHESIA DURATION ON INTRAVITREAL INJECTION PAIN: A double-blinded, randomized, comparative study.
Ma, Xiubin, Liang, Qianqian, Xue, Shuyue, Ren, Qi, Du, Qing, Zhang, Zhichun, Li, Xinying, Liu, Xin, Gao, Yan , Li, Jun (China)
Retina 2023; 43(8):1386-1392. | DOI: 10.1097/IAE.0000000000003824
【目的】
局所麻酔の持続時間の違いが硝子体内注射(IVI)の疼痛に及ぼす影響を検討
【対象と方法】
二重盲検無作為化比較試験
IVIを受ける連続した312眼を、局所麻酔(0.5%塩酸プロパラカイン点眼)の持続時間に応じて6群に無作為に割り付け
Group1:点眼麻酔1-5分後にIVI、Group2:6-10分、Group3:11-15分、
Group4:16-20分、Group5:21-25分、Group6:26-30分
患者は注射15分後にvisual analog scaleとWong-Baker FACES scaleを用いて痛みを評価
【結果】
6群間の疼痛スコアは、visual analog scale(P = 0.013)とWong-Baker FACES scale(P = 0.024)で有意差があった。
Group4の平均疼痛スコアは1.97±1.04(visual analog scale)、2.02±1.08(Wong-Baker FACES scale)でありGroup1・2・5・6に比べ有意に低かった
【結論】
局所麻酔の持続時間はIVIの疼痛と有意な関連があった
IVI前の0.5%塩酸プロパラカイン滴下は、投与後11~20分でIVIの疼痛緩和に最も効果的であった(MK)
Anterior segment optical coherence tomography in determination of entry site for vitrectomy in highly myopic eyes.
Hirono K et al(横浜市大)
Retina 43(5): 733-738, 2023
・前眼部OCTで毛様体扁平部の長さを推測し、高度近視眼で、強膜刺入創の位置を決める補助になるかを検討した。
・23眼の眼軸長29.2±2.3mmの近視性牽引性黄斑症患者を対象とし、術前に前眼部OCT(CASIA)で測定し、術中にも測定しているが、輪部からの距離を比較検討した。
・AS-OCTと術中測定での輪部から毛様体扁平部の長さは耳上側では6710±459μと6671±202μ(p>0.05)、鼻上側では6340±321と6204±402(p>0.05)であり、刺入部の平均位置は輪部から6.2mmであり、硝子体攝子は17/23眼(77%)で28mmのものを使用するのが良さそう。(TY)
Inverted internal limiting membrane flap for small-sized (<250μm) full-thickness macular hole. Anatomical and functional outcome.
Iuliano L et al(Italy)
Retina 43(4): 547-554, 2023
・50例の小円孔(<250μm)と50例の中円孔(250-400μm)の黄斑円孔について、25例ずつILM翻転法(ILM-IF)と通常のILM剥離で手術を行ない、解剖学的ならびに機能的な術後結果を比較した。
・6か月後の視力BCVA、micro-perimetric感度、外境界膜ELMとellipsoid zone(EZ)の回復を指標とした。
・BCVAは両群間で有意差はなかったが、6か月後の網膜感度では小円孔ではILM-IF法では20.79±0.48dBで、通常法の21.51±0.79dBよりも有意に悪かった(p=0.0035)。
・また、1か月後のELMとEZの回復度でも、ILM-IF法では24%と24%で、通常法の56%(p=0.0420)と64%(p=0.0095)よりも悪かったが、6か月後ではILM-IF法では40%と56%で、通常法の68%と80%との間には有意差はみられなかった。
・小円孔ではILM-IF法よりも通常法の方が解剖学的にも網膜感度の面からみても良いことがわかった。(TY)
Biomarkers of maternal smoking and the risk of retinoblastoma in offspring.
He Di et al(CA USA)
Retina 43(3): 481-489, 2023
・母親の喫煙と網膜芽細胞腫(RB)のリスクを検討した以前の研究では、喫煙が自己申告であったこともあり、結論が出ていなかった。
・今回の研究では喫煙の生物指標化合物biomarkerを用いて検討した。
・1983年から2011年に生れた498名のRBを選び、895名のコントロール群と比較した。
・母親の妊娠に関連した喫煙は3つの基準で求めた。
・喫煙の自己申告と新生児の血中のcotinineとhydroxycotinine量を測定した。
・これらの基準での母親の妊娠後期と分娩後早期の喫煙は、RBの発生と関連していた(OR=1.44 95%CI= 1.00-2.09)。
・喫煙を確定するcotinineあるいはhydroxycotinineだけでの母親の喫煙と単眼性のRBは関連していた(OR=1.66 95%CI= 1.08-2.57)。
・ニコチンの代謝産物は容易に胎盤を通過し、突然変異やDNA鎖を切断するし、母乳にも含まれている。
・喫煙はfree radical産物を増やし、RBの発症に関与する可能性がある。(TY)
Syringe design and filling technique affect accuracy of anti-vascular endothelial growth factor intravitreal injections.
Krauthammer M et al(Israel)
Retina 43(3): 514-519, 2023
・3種類の注射器で、注入量を調査した。
・1mLのslit-tipと、1mLのLuer-lockと、ラニビズマブ既充填のシリンジを用いて、意図した50μLの量との誤差を300回の施行で調査した。
・Slit-tipでは61.99±4.18、Luer-lockでは57.43±4.95、既充填では51.06±4.74であった。
・既充填が一番正確であったが、50μL以下のものが12.3%あり、既充填のシリンジで最も多かった。(TY)
Epiretinal membrane with foveal herniation. Visual and surgical outcomes.
Shah SM et al(MA USA)
Retina 43(2): 182-190, 2023
・神経網膜組織が網膜上膜から突き出た時に発生する中心窩突出(foveal herniation)の59症例の臨床像について検討する。
・59例中58例に硝子体手術を行ない、53.5%で形態が回復した。
・平均最高視力は20/80から20/40に改善した(p<0.0001)。
・術後3ヶ月で、平均中心網膜厚は632から432μmに減少(p<0.0001)し、平均黄斑容積は11.3から9.5mm3に減少した(p<0.0001)。
・術前では突出高が高いほどBCVAは悪く(p=0.008)、中心網膜厚が厚く(p=0.01)、網膜分離、CME、中心窩剥離、ellipsoid zone異常、外境界膜異常がみられ(p<0.05)、いずれも術後に軽快した(TY)
Conventional internal limiting membrane peeling versus inverted flap for small-to-medium idiopathic macular hole. A randomized trial.
Vetre L et al(Italy)
Retina 42(12): 2251-2257, 2022
・円孔径が400μm以内の小~中の大きさの特発性黄斑円孔に対して、通常のILM剥離を行った25例とILM反転を行った25例との比較を12か月後に行った。
・指標は、MP1 microperimetry での黄斑感度(MS)、最高視力、円孔閉鎖率、OCT上の中心窩形状や外境界膜、ellipsoid zoneの形状である。
・黄斑感度MSは旧来のILM剥離群が16.6±2.3dB、ILM反転群が14.9±2.9dBで、ILM剥離群が有意に良かった(p=0.026)。
・矯正最高視力は通常のILM剥離群がlogMARで0.19±0.14(Snellenで20/31)、ILM反転群で0.22±0.11(Snellenで20/33)で有意差なく、OCT上でも差はみられなかった。
・以上から、小~中の大きさの特発性黄斑円孔では、通常のILM剥離を行った方がILM反転を行うよりも良い結果が得られると考えられた(TY)
Treatment of persistent macular holes with heavy silicone oil.
Lohmann T et al(Germany)
Retina 42(12): 2258-2266, 2022
・初回のILM剥離手術で閉鎖が得られなかった黄斑円孔をheavy silicon oilで治療した63眼について報告する
・63眼中50眼(79.4%)で解剖学的な復位が得られた。
・初回の黄斑円孔手術前の視力はこれらの成功例では、logMARで0.77±0.24(Snellenで20/125)となり、円孔非閉鎖例の0.88±0.17(Snellenで20/160)より良好であった(p=0.044)。
・黄斑円孔の最小径は成功例で有意に小さかった。初回手術では403.4±128.7:568.1±209.1(p=0.009)、再手術では464.1±215.0:663.3±228.5(p=0.010)。
・黄斑円孔の初回手術例での成功率は85.0%~96.0%、2回目の手術では71.0%~81.0%との報告がある。
・Heavy SOの報告は2006年から報告されている。
・今回はDensiron 68(53眼)とOxan-HD(10眼)を使用した。
・Densironの濃度は 1.06g/cm3(25℃)で粘度は1,400mPas(ミリパスカル秒, 25℃)、Oxan-HDの濃度は 1.06g/cm3(25℃)で粘度は3,300mPas(25℃)
・SILIKON 1000(眼科用)ポリジメチルシロキサン:動粘度:980~1350 mm2/s、平均分子量:31,000~44,500。
・動粘度とは粘度をその液体の同一条件下(温度、圧力)における密度で除した値をいい、その単位 はセンチストークスをもちいる〔1cSt=1mm2/s〕。
・粘度とは液体内にずれ速度がある時、その速度の方向に単位面積において生ずるずり応力の大きさによって示される流体の内部抵抗(TY)
Internal limiting membrane peeling distorts the retinal layers and induces scotoma formatin in the perifoeal temporal macula.
Atao J et al(China)
Retina 42(12): 2276-2283, 2022
・黄斑円孔患者でのILM剥離が網膜機能に影響を及ぼすかどうかを検討した。
・45例55眼で全例、黄斑円孔は閉鎖しており、最低6カ月の経過を追えた患者で検討した。
・中心20度で、MP3でのmicroperimetryと中心6x6mmでのOCTAで検査した。
・網膜感度は傍中心窩耳側のETDRS領域では有意に低下していたが(24.97±2.67から19.98±5.68 p=0.001)、他の領域では低下していなかった。
・6例(13%)では24個の暗点が見つかり、そのうち62.6%では傍中心窩耳側であった。
・解剖学的には網膜外層の隆起がみつかり、同部位の網膜内層の窪みが傍中心窩の耳側部位に多く見つかった(76.8%)。
・この網膜外層の隆起の発生頻度は暗点のある群ではない群よりも有意に多かった(83%:18% p=0.014)。
・ILM剥離は網膜層の変形を来し、傍中心窩耳側の機能低下、暗点を来すことがわかった。
・Muller細胞はILMからOLMまで続いており、中心窩ではZ型をしているが、中心窩以外では直線的で器械的な力に対して弱くなっているため、ILM剥離が行われるとその足部分が障害され、gliosisが始まり、内境界膜の窪みに引っ張られた形でONLの凸が発生し、感度低下が起こるのであろう(TY)
Nasal crowding and nasal tilting of the macula after epiretinal membrane surgery.
Jin KW et al(Korea)
Retina 42(12): 2284-2293, 2022
・特発性網膜前膜に対する硝子体手術後の黄斑部の偏位について、102眼、平均経過観察21.14ヶ月で検討した。
・視神経乳頭縁から中心窩までの距離、中心窩の角度、網膜厚の非対称性や容積を調べた。
・乳頭縁から中心窩までの距離や中心窩の角度は時間とともに減少し、水平面での網膜厚や容積の非対称性は増加し、鼻側へ偏位して集中してきていた。
・これらの変化は最高視力と関連していたが、Mスコアとは関連がなかった(TY)
Effect of physician face mask use on postinjection endophthalmitis.
Fortes BH et al(FL USA)
Retina 42(11): 2120-2127, 2022
・抗VEGF薬の硝子体内注射後の眼内炎について、術者のマスク使用の効果について2か所のMayo Clinic(Mayo Clinic Rochester:MCRとMayo Clinic Health System:MCHS)での症例を基に検討した。
・マスク未使用での66,098注射例と、マスク使用での98,726注射例の合計165,824例をretrospectiveに調査した。
・全体で検討すると、全眼内炎については無マスクが20例(0.0303%)、有マスクが41例(0.0415%)で有意差はなく(p=0.24)、感染性眼内炎についても無マスクが12例(0.018%)、有マスクが13例(0.0132%)で有意差はなかった(p=0.42)。
・MCHSだけの症例をみると、眼内炎は有マスクでの症例で有意に多かったが、MCRだけの症例をみると感染性眼内炎は無マスクが9例0.0297%)、有マスクが2例(0.003%)で有意差がみられた(p<0.001)(TY)
Combination of vitrectomy and intentional macular detachment is associated with a faster edematous regression than vitrectomy alone in the treatment of refractory diabetic macular edema.
Yan Y et al(China)
Retina 42(10): 1859-1866, 2022
・糖尿病黄斑浮腫で、少なくとも5回の毎月の抗VEGF治療に反応が少なく、少なくとも2回は治療方法を変えた症例41眼を対象として硝子体手術でILM剥離を行った。
・この内、21眼は意図的な黄斑剥離IMDを行なったが(IMD群)、20眼ではIMDを行なわなわず(nMD群)、最低24週間(平均29.7:24-56週間)経過を追った。
・中心網膜厚の減少はIMD群で有意に大きく、1週目(p=0.001)、2週目(p=0.008)、4間目(p=0.004)であったが、12週目(p=0.051)、24週目(p=0.056)では有意差はなかった。
・また、最高視力の改善も両群間で有意差はなかった(p=0.83)。(TY)
Detection and characteristics of unruptured retinal arterial macroaneurysms.
Sakaguchi S et al(京大)
Retina 42(10): 1909-1914, 2022
・片眼性の網膜動脈瘤破裂を来した50例で(2014/4~2020/4)、未破裂網膜動脈瘤(RAMs)の僚眼をretrospectiveに調査した。
・調査期間は発症後、最低6カ月である。
・RAMsは50眼中6眼でみつかり、この6例中、8眼では合計12個(1眼に1個~4個)の未破裂RAMsが見つかった。
・このうち、8個では経過観察中に動脈瘤径が拡大し、6個は経過観察中に破裂した。(TY)
EFFECT OF ORAL CARBONIC ANHYDRASE INHIBITOR ON CYSTOID MACULAR EDEMA ASSOCIATED WITH RETINITIS PIGMENTOSA
An OCT and OCT Angiography Study
Yeo, Joon Hyung, et al. (Korea)
Retina 42(9):p 1796-1804, 2022
・目的:網膜色素変性症に関連した嚢胞様黄斑浮腫 (RP-CME)に対する経口炭酸脱水酵素阻害薬 (CAI) の効果に関連する要因を調査する。
・対象と方法:3か月以上の経口 CAI 治療(125 ~ 500 mg/日)を受けた RP-CME 患者 39 例の 59 眼(両眼20 人、片眼 19 人)。 治療に対する反応グループと非反応グループに分け、 OCTおよびOCTAを使用して、治療の前後を評価した。
・結果:33 眼 (55.9%) が治療に対して反応を示し、26眼 (44.1%) が反応しなかった。
・非反応グループと比較して、反応グループは有意に高齢 (49.3 ± 17.1 対 38.9 ± 16.0、P = 0.024) で、治療前最良矯正視力(BCVA)が悪かった (0.35 ± 0.27 logMAR [20/45] 対 0.19 ± 0.17 logMAR [20/31]、P = 0.009)。さらに内顆粒層に限定されたCMEよりも多層にわたるCMEの頻度が有意に多かった (P = 0.016)。
・反応グループのサブグループ解析では、傍中心窩と中心窩CMEとベースラインの ELM および EZ 幅が広い症例は、BCVA の改善を示す傾向にあった。
・OCTAでは有意差は認められなかった。
・視力は平均 BCVA は、反応グループで 0.35 ± 0.27 logMAR (20/45) から 0.31 ± 0.29 logMAR (20/41; P = 0.047) に改善した。非反応グループでは、BCVA は 0.19 ± 0.17 logMAR (20/31) から 0.22 ± 0.15 logMAR (20/33) に悪化する傾向にあった。
・結論: CME はRP における数少ない治療可能な原因の1つなので、中心窩病変を伴う多層 CME の早期治療は、不可逆的な光受容体の損傷を防ぐ上で重要であると思われる。(CH)
Surgical outcomes of vitreomacular traction treated with foveal-sparing peeling of the internal limiting membrane.
Morescalchi F et al(Italy)
Retina 41(10): 2026-2034, 2021
・硝子体黄斑牽引症候群に対して、完全なILM剥離を行った群と、中心窩回避のILM剥離を行った群(FS群)とで比較した。
・主な検査項目は網膜感度、視力、中心黄斑厚である。
・傍中心窩の網膜感度は両群とも有意に上昇したが有意差が見られた(FS群 +2.43±0.63dB:完全群 +1.79±1.00dB p=0.03)。
・術前視力は両者で有意差はなかったが、術後視力はFS群 20/27:完全群 20/37で、logMARでの改善度は0.27±0.07:0.42±0.05 p<0.001で有意差がみられた。(TY)
“Iris shelf” technique for management of posterior segment intraocular foreing bodies.
Soliman W et al(Egypt)
Retina 41(10): 2041-2047, 2021
・硝子体内の眼内異物除去方法として、虹彩を棚として扱う方法を考案した。
・水晶体の超音波乳化吸引後に前房を粘弾物質で満たした虹彩上に眼内異物を乗せてから除去した。
・33例33眼で全例が男性で、ハンマーでの外傷が24眼、銃外傷が9眼であった。
・眼内異物の大きさの平均は8.5±5.5mm3、最長は3.45mm(1-8mm)であった。(TY)
Changes in the choroidal thickness after macular buckling in highly myopic eyes.
Tang N et al(China)
Retina 41(9): 1858-1866, 2021
・高度近視眼に黄斑バックルを行った41眼について脈絡膜厚CTについて検討した。
・黄斑バックル後の1,3,6,12,18か月後に中心窩下と中心窩下から耳鼻上下に750μ離れた部位のCTを調べた。
・中心窩下のCTは術前の49.85±31.23から、術1か月後は75.74±37.89μmに変化したが、徐々に薄くなり、中心窩下のCTは6か月後には元に戻った。
・術後はバックルが微細循環の灌流を阻害したためにCTが増えたものと考えた(TY)
With or without internal limiting membrane peeling for idiopathic epiretinal membrane. A meta-analysis of randomized controlled trials.
Sun Y et al(China)
Retina 41(8): 1644-1651, 2021
・特発性黄斑前膜に対して内境界膜(ILM)剥離がより良い結果が得られるかどうかを、Embase、PubMed、Web of Science、Cochrane Library、CNKIの2020年4月までの文献から考察した。
・無作為対照化試験である8文献422眼を検討した。
・ILM剥離をした場合の最終視力は、しなかった場合に比較して、ETDRSでは1.5文字良く(95%CI=-0.04~2文字 p=0.4)、再発率は1/178(0.06%): 8/184(4.3%)で、OR=0.21 (95%CI=0.04-1.05 p=0.06)であった。
・中心黄斑厚はILM剥離群では3ヶ月で16.36μm(1.26-3.46 p=0.03)薄くなり、6ヶ月で22.64(10.29-34.98 p=0.0003)、最終観察時は25.87(13.96-37.79 p<0.0001)薄くなっていた。
・以上のようなことから、ILM剥離は不必要ではないかと考えた。(TY)
Microcystic macular edema and cystoid macular edema before and after epiretinal membrane surgery.
Lee DH et al(Koera)
Retina 41(8): 1652-1659, 2021
・網膜前膜に付随した網膜内チストの種類を検討し、術後の経過への影響について検討した。
・術前の蛍光眼底検査施行例で2014/2ー2019/5までの症例を対象として、網膜内チストは、FAでの漏出のみられるCMEと、漏出のないMicrocystic macular edema(MME)にわけて検討した。
・100例100眼のうち、網膜内浮腫は術前に54例(MME:27例、CME:18例、CME+MME:9例)であったが、術後は網膜内チストは29例で消失し、3例で発生し、術後はCMEは4例、MMEは22例、CME+MMEは2例となり、CMEが有意に減ったが(p<0.001)、MMEには有意差はなかった(p=0.302)。
・術前にMMEがないこと(p=0.035)、術前視力が悪い事(p=0.033)、中心黄斑厚が厚い事(p=0.018)、ellipsoidal zoneが正常であること(p=0.035)が術後視力改善に関与していた。(TY)
ANGIOGRAPHIC RISK FACTORS FOR RECURRENCE OF MACULAR EDEMA ASSOCIATED WITH BRANCH RETINAL VEIN OCCLUSION
TAKAHIRO KOGO, et al. (京都大学)
RETINA 41:1219–1226, 2021(6)
・目的:網膜静脈分枝閉塞(BRVO)に伴う黄斑部浮腫(ME)の再発リスクとなる血管形状を検討する。
・対象と方法:黄斑部を含む未治療のBRVOで、発症から初診までの期間が 2 ヶ月未満の患者の51人51眼。平均ベースライン時BCVA 0.25 ± 0.26 logMAR (20/200–20/13)、平均網膜中心窩厚は 532.9 ± 154.7 µm。
・初診時、全例黄斑部に嚢胞様黄斑部浮腫および/または漿液性網膜剥離を認めた。全例毎月3回ラニビズマブ硝子体内注射+PRN法で治療した。毎月検査を受け、明らかな浮腫の再発、および中心窩厚が350μm以上になった場合は追加の硝子体内注射を受けた。他の治療はしていない。
・治療開始3か月目(注射によりMEが収まっている状態)の傍中心窩VDI(血管密度と血管径拡張度)を患側・健側・耳側・鼻側の領域別にOCTAで測定し、3か月目から5か月目の傍中心窩および中心窩の縦方向の網膜厚の変化との関連を調べた。
・結果:3回注射後5か月目に、15眼 (29.4%) にME の再発を認めた。
・患側、鼻側、および耳側の傍中心窩 VDI は、同領域の傍中心窩厚と有意に関連していた (それぞれ P = 0.020、0.010、<0.001)。特に、耳側の傍中心窩 VDI は、中心窩厚とも有意に関連していた (それぞれ P = 0.037 と 0.026)。
・治療1年間のラニビズマブ注射回数は、4.4 ± 1.2 (3 ~ 回だった。注射回数は、3 ヶ月目の耳側の傍中心窩VDI と有意に関連していた (P = 0.040)。
・結論: 耳側の傍中心窩 VDI は、耳側縫線の側副血管の状態を適切に反映している可能性がある。側副血管は、耳側 BRVO のある眼で優先的に形成され、血管外漏出液を血液循環または健側に排出する。
・より高い VDI は、健側への排出が不十分であることを表しているかもしれない。
・傍中心窩 VDI 、特に、耳側の VDIは BRVOに関連するMEの再発やラニビズマブ注射回数の予測因子になる可能性がある。(CH)