Late-onset ocular hypertension after vitrectomy. A multicenter study of 6,048 eyes.
Reibaldi M et al(Italy)
Retina 39(11): 2107-2115, 2019
・2010年1月から2015年12月の間に5施設で行われた6,048例の初回硝子体手術後の遅発性高眼圧LOHについて検討した。
・遅発性高眼圧LOHは手術2ヶ月以上後に21mmHgを超える眼圧が連続2回以上続いた症例と定義した。
・LOHは294例4.9%の術眼にみられ、他眼では87例1.4%であった(p<0.001)。
・多変量ロジスティック回帰分析では、LOHのリスクファクターは術中のtriamcinoloneの使用(OR=7.62 p<0.001)、長眼軸(25.9±1.6:25.1±1.8mm、OR=1.55 p<0.001)、術前の高眼圧(14.5±2.0:14.3±1.0mmHg、OR=1.81 p=0.003)、術後の無/偽水晶体(OR=2.04 p<0.001)であった。
・LOHの予想因子としては、1番はtriamcinolone使用(p<0.001)、2番はtriamcinolone使用眼で術前眼圧値が15mmHg以上(p<0.001)、3番目はtriamcinolone非使用眼で術後の無/偽水晶体であった。(TY)
Retinal arterial dilation is impaired in eyes with drusen and reticular pseudodrusen.
Rabiolo A et al(Italy)
Retina 39(11): 2205-2211, 2019
・中等度から大きな黄斑ドルーゼン23例28眼(77±6歳)とReticular偽ドルーゼン(RPD)患者16例22眼(76±6歳)でDynamic vessel analyzerを用いて網膜血管の動態を調べた。
・コントロールは22例22眼(75±6歳)である。
・この3群の網膜血管解析では中心網膜動脈、中心網膜静脈、動静脈比などには差はなかったが、Dynamic vessel analyzerでのフリッカー刺激光を用いた結果ではドルーゼン眼(p=0.0001)もRPD眼(p=0.0015)でも網膜血管拡張はCtrlに比して有意に少なかった。
・ドルーゼン眼とRPD眼間には有意差はなかった(p=0.32)。
・また、網膜静脈解析では3群に有意差はなかった(p=0.10)。
・この結果はAMD発症に関連している可能性がある。(TY)
preoperative vitreoretinal interface abnormalities on spectral domain optical coherence tomography as risk factor for pseudophakic cystoid macular edema after phacoemulsification.
Copete S et al(Spain)
Retina 39(11): 2225-2232, 2019
・白内障手術後の偽水晶体CME(PCME)の発生に術前の硝子体網膜境界状態が影響しているかどうかを検討した。
・112例112眼で術前1週間、術後1,3か月でOCT検査をおこなった。
・術後点眼はデキサメサゾン点眼とトブラマイシン点眼で、Nepafenac点眼は1ヶ月目でPCMEが見つかった時点で開始し、2か月間使用した。
・13眼11.6%で1ヶ月目でPCMEが発生したが、全例3ヶ月目には軽快していた。
・PCMEの唯一のリスクファクターは術前の網膜前膜で16眼中PCMEは5眼で発生していた(OR=4.53 95%CI=1.28-16.13)。
・術前にOCT検査を行うことは有用である。(TY)
Preoperative vitreoretinal interface abnormalities on spectral domain optical coherence tomography as risk factor for pseudophakic cystoid macular edema after phacoemulsification
Sergio Copete, et al.(Spain)
RETINA. 2019;39(11):2225-2232
・2016.1月~10月、白内障手術予定患者を前向きランダムに抽出
・手術1w前、術後1w・1M・3M後にSD-OCT施行
・112眼中13眼(11.6%)で術後CME出現、すべて術後1Mに同定
・うち7眼は術3M時点で消失
・術前ERMの存在のみが有意なリスク因子、5/16眼でCME出現(χ2=0.08、オッズ比4.53、95%CI 1.28-16.13)
・その他の因子(後部硝子体の付着、脈絡膜厚、糖尿病、高血圧症)は有意な関連みられず
・術前にSD-OCTでERMが見られる症例では術後にCMEが生じやすい。術前の眼底検査でERMの存在が見逃されやすく、SD-OCTを施行しておくことが望まれる。
・*術後点眼はdexamethasoneとtobramycinのみ、術後CME出現した時点でnepafenac追加(MK)
Effect of serial anterior chamber paracentesis on sustained intraocular pressure elevation in patients receiving intravitreal anti-vascular endothelial growth factor therapy.
Sisk RA et al(OH USA)
Retina 39(10): 1959-1964, 2019
・抗VEGF薬注入IVIを繰り返す患者の内、0.51%から11.6%において持続的な眼圧上昇が起こると報告されている。
・IVIは0.05mlの抗VEGF薬を30g針で注入し、前房穿刺の手法としては、その直後に30gか32g針の1ml注射器で0.03~0.05mlの前房水を抜き、眼圧を12mmHg以下にしている
・2010年から2013年の調査期間中に連続3回以上IVIを受けた419名の内、IVI後に前房穿刺を行ったことが連続3回以上あった17名(4.1%)を対象とした。
・前房穿刺の基準は、1)最初にIVIを行った直前のbaseline眼圧よりも注射前の眼圧が10mmHg以上高い、2)注射前の眼圧が25mmHg以上である、3)IVI期間中に視神経乳頭陥凹が拡大して開放隅角緑内障が伸展したものとし、一度、前房穿刺を行ったら、それ以降は常に前房穿刺を行うこととした。
・その17例23眼が平均26回(中央値26:4~47)、平均注射間隔は47日のIVIについて検討。
・各眼の前房穿刺回数の中央値は12回(平均値は13.5回)で、平均観察期間は36ヶ月(最初の前房穿刺の前19.6ヶ月、後16.4ヶ月)である。
・このなかにPOAG患者が4眼(17%)含まれている。
・平均眼圧上昇は16.3~21.1(p=0.004)で、平均C/D比増加は0.37から0.47(p=0.0002)であった。
・前房穿刺により平均眼圧は注入前の16.0に戻り、最高眼圧は26.8から23.0に低下した(p=0.05)。
・19眼(82.6%)では緑内障薬の追加が必要となり、13眼(56.5%)は追加治療が必要で、そのうち5眼(38.5%)はLTP(2眼)やLPT+濾過手術(3眼)が必要となった。
・IVI後の眼圧上昇には薬剤の線維柱帯に対する毒性、線維柱帯炎などの様々なメカニズムが考えられているが、真相は不明である。(TY)
PEDIATRIC RETINAL DETACHMENT IN AN ASIAN POPULATION WITH HIGH PREVALENCE OF MYOPIA
Clinical Characteristics, Surgical Outcomes, and Prognostic Factors
ANDREW S. H. TSAI, et al. (Singapore)
RETINA 39(9):1751-1760, 2019
目的:近視の発生率が高いアジア人の集団における小児の裂孔原性網膜剥離(RD)の臨床的特徴、術後結果、予後因子、および合併症について検討した。
方法:20年(1994-2014)の間、RDのため手術を受けた18歳以下の小児患者152人171眼。
結果:平均追跡期間は37.8ヶ月(範囲1〜123ヶ月)、患者の多くは男性だった(75.7%)。平均年齢14.2歳(範囲3.1〜18.7歳)、平均SE -6.75±5.63 D。少なくとも6か月経過観察ができたのは158眼。
最終視力は74眼(46.8%)が20/40以上だった。 122眼(81.6%)は20/200以上だった。105眼(66.5%)は術前視力からの改善があった。
小児RDの最も一般的な危険因子は近視であり、73眼(40.9%)に存在していた。続いて、25眼(14.6%)に外傷、20眼(11.7%)に内眼手術既往があった。症状の発現から発症までの平均期間は43±96.6日。
1回目の手術では大部分は強膜内陥術(SB)で治療され(124眼、72.5%)、 32眼(18.7%)はSB + 硝子体術(PPV)だった。最初の手術では、2眼に空気、24眼にガス、18眼にシリコーンオイルが注入された。13眼は平均5.3±2.6か月でシリコーンオイルを除去した。1回の手術後の解剖学的成功は96眼(60.7%)だった。全体で137眼(86.7%)の眼が解剖学的に成功し、平均手術回数1.22±0.53回だった。
18眼で復位が得られず、大半(88.9%)はPVRによるものだった。これらの平均手術回数2.06±1.47回。
術中、術後合併症はほとんどなく、10眼(6%)で一時的な眼圧上昇、10眼(6%)で術後緑内障、8眼(5%)で白内障を認めた。
9人18眼は、両側RRDだった。 4人は発症時に近視があり(平均SE-5D)、1人はアトピーがあった。
RDでは、中程度の近視(-2D)の患者と比較して、高度近視(-6D)患者の剖学的成功率は低かった(P = 0.03)。年齢の高さおよび増殖性硝子体網膜症ではない事は、復位および視力改善と関連していた。PPVは、解剖学的成功のオッズの減少と関連していた。より長い期間の症状、白内障、およびより大きなRD範囲は、より悪い視力結果と関連していた。
結論:近視が最も一般的な危険因子だった。高度近視と中等度近視との手術結果には明確な違いがあった。大部分の症例で良好な手術結果を達成できる。発症時の年齢の高さとPVRの欠如は予後良好な要因だった。(CH)
Hemi-temporal internal limiting membrane peeling is as effective and safe as conventional full peeling for macular hole surgery
Akira Shiono, Jiro Kogo, et al.(聖マリアンナ)
RETINA. 2019;39(9):1779-1785
・42眼のMH手術眼をILM剥離方法で2群に分けretrospectiveに解析;360°群(27眼、2015-2016、MHの全周のILM剥離)およびhemi群(15眼、2016-2017、耳側のみILM剥離)
・両群とも2-3乳頭径ILM剥離、Room Airにて終了、3日間俯き姿勢
・初回手術での閉鎖率は両群に有意差なし(hemi群93.3%、360°群92.5%、P=0.92)
・術後1wでの耳側血管の偏位:hemi群で120.5±102.0μm乳頭方向へ、360°群で136.1±106.1μm乳頭方向へ(P=0.107)
・術後1wでの鼻側血管の偏位:hemi群(42.4±42.9μm乳頭方向へ)は360°群(90.1±77.3μm乳頭方向へ)に比べて優位に少ない(P=0.040)
・耳側半分のILM剥離は、360°ILM剥離と比べて網膜の偏位が少なく好ましい術式である(MK)
Focal disruptions in ellipsoid zone and interdigitation zone on spectral-domain optical coherence tomography in pachychoroid pigment epitheliopathy.
Lee JH et al(Korea)
Retina 39(8): 1562-1570, 2019
・Pachychoroid pigment epitheliopathyで過去に網膜下液の既往のない20例21眼27部位について、ellipsoid zone(EZ)やinterdigitaton zone(IZ)の崩壊について検討した。
・中心窩下の脈絡膜厚は平均450μm。過去のOCTデータのある7眼のうち6眼では、EZ/IZ崩壊の発生する前に、脈絡膜厚が厚い部位にドルーゼン様病巣がみられた。
・24/27部位(88.9%)に、拡大した外脈絡膜血管がEZ/IZ崩壊部にみられ、18/27部位(66.7%)に、脈絡膜毛細血管の衰退がみられたが、全例で外境界膜は正常であった。
・3例を除いた全例で黄斑部の形態変化はみられず、視力も0.8以上を維持していた。
・Pachychoroidにみられる部分的なEZ/IZ崩壊は、多分、ドルーゼン様病巣が伸展したものであろう。(TY)
Posterior staphylomas in eyes with retinitis pigmentosa without high myopia.
Xu X et al(東京医科歯科)
Retina 39(7): 1299-1304, 2019
・眼軸長が26.5mm未満(24.90±0.69mm)で、高度近視ではない網膜色素変性症7例13眼(40.9±17.9歳)にみられる後部ぶどう腫について報告する。
・ぶどう腫の辺縁は眼底周辺部の萎縮領域と後極部の正常網膜の縁と一致していた。
・OCTの垂直断ではぶどう腫の縁では強膜が少し内方に突出し、脈絡膜がその部分だけ薄くなっていた。
・RPの高度近視ではない眼にみられる狭い範囲にみられる黄斑部のぶどう腫は、高度近視にみられるぶどう腫とは異なり、中心窩下脈絡膜厚がそれほど薄くならないのが特徴である。(TY)
COMBINATION THERAPY OF INTRAVITREAL RANIBIZUMAB AND SUBTHRESHOLD MICROPULSE PHOTOCOAGULATION FOR MACULAR EDEMA SECONDARY TO BRANCH RETINAL VEIN OCCLUSION
HIROKO TERASHIMA, et al. (新潟大学)
RETINA 39(7):1377-1384,2019
目的:網膜静脈分枝閉塞性からの黄斑浮腫に対する、ラニビズマブ硝子体内注射(lVR)と577 nmイエローレーザー閾値下マイクロパルスレーザー光凝固術(SMLP)の併用療法の有効性を判定する。
対象と方法:未治療のBRVO-CME患者46人46眼。
IVRと577-nm SMLPの併用療法が22眼(IVR + SMLPグループ)
IVR単独療法24眼(IVRグループ)
治療前に、すべての患者は病気の発症後少なくとも2ヶ月間経過観察され、CMEおよび/またはSRDは持続していた。
すべての眼科検査は、治療前および治療後1、2、3、4、5、6か月に実施された。
IVR + SMLPグループでは、IVRの1か月後にSMLPが行われた。
結果:年齢、性別、視力、CRT、発症からの症状の持続期間、静脈閉塞の位置、および閉塞タイプの2つのグループ間で差は認められなかった。 IVRおよびSMLPに関連する重大な合併症は認められなかった。
IVR + SMLPおよびIVR群では、6ヵ月後に矯正視力と網膜中心厚が大幅に改善した。矯正視力と網膜中心部の厚さは、どの時点でも2つのグループ間で有意な差はなかった。 IVRグループの最初の6か月間のIVR注射の回数(2.3±0.9)は、IVR + SMLPグループの回数(1.9±0.8)よりも有意に多かった(P = 0.034)。
結論:IVRとSMLPの併用療法は、良好な視力を維持しながらIVR注射の頻度を減らすことにより、網膜分岐静脈閉塞嚢胞様黄斑浮腫を効果的に治療することができる。(CH)
Use of the ischemic index on widefield fluorescein angiography to characterize a central retinal vein occlusion as ischemic or nonischemic
AS Thomas, rt al. (Swizerland)
RETINA. 2019;39(6):1033-1038
【対象と方法】
・未治療のCRVO患者60例60眼、1年以上フォローアップ
・オプトスで広角FA施行、Ischemic index(IsI)を計測
IsI:FA中期画像をPhotoshopに取り込み、画像全体を100%としたときの無血管野の範囲の割合、出血によりブロックされた部は解析より除外
虚血性CRVO:RAPD陽性、視力が指数弁以下、前眼部または眼底に新生血管の存在、のどれかひとつを満たすものと定義
【結果】
・IsI≧35%の症例で1年以内に虚血性CRVOへの移行が有意に高い(83.3 vs. 13.9%, OR111, P<0.0001)
・視力はベースライン時・最終時ともIsI≧35%の症例で有意に悪い(LogMAR;ベースライン時 1.18 vs. 0.46, 最終1.26 vs. 0.45, P<0.001)
・IsI≧35%の症例は最終視力が20/200以下になる割合が有意に高い(47.6% vs. 12.8%, OR6.2, P=0.004)【Fig.3】【Tab.1】
・網膜厚および硝子体注射の回数は両群で有意差なし
【結論】
広角FAで計測したIsIが35%以上の症例は、最初の一年間で虚血性CRVOになりやすい(MK)
Intravitreal anti-vascular endothelial growth factor injections for exudative retinal arterial macroaneurysms
AM Mansour, et al. (Lebanon)
RETINA. 2019;39(6):1133-1141
【対象と方法】
・32例32眼
・症状のある網膜細動脈瘤(RAM)に対し抗VEGF薬を硝子体注射
・他施設・後ろ向き調査
【結果】
・平均16.6か月のフォローアップ期間中、平均2.7回の注射
・ベースライン時の視力はRAMの大きさ及び黄斑との距離と有意に関連
・最初の注射により、中心部網膜厚は1・2・3M後に有意に低下
・初回注射後2・3Mで有意な視力改善(Snellenで20/198→20/153→20/104→20/76)
・抗VEGF薬への反応は、RAMの大きさおよび黄斑との距離と有意に関連
【結論】
症候性RAMは抗VEGF薬の投与により黄斑浮腫の減少がもたらされ有効に治療された(MK)
硝子体術後の眼内炎頻度
Incidence of endophthalmitis after vitrectomy. A systematic review and meta-analysis.
Chen G et al(China)
Retina 39(5): 844-852, 2019
・文献的に硝子体手術後の眼内炎の頻度を調査した。
・最近の小切開硝子体手術MIVSと20G硝子体手術を比較した。
・363,544例の硝子体手術のうち、眼内炎を発症した199例(0.05%)を報告した31の文献を解析した。
・20G硝子体手術は88/229,435例(0.04%)、23Gは8/27,326例(0.03%)、25Gは33/29,676例(0.11%)であり、23G,25GのMIVSは20G硝子体手術よりも眼内炎の頻度が高かった(OR=3.39 95%CI=1.39-8.23)。
・25Gと20GではOR=4.09(95%CI=2.33-7.18)で25Gが多かったが、23Gと20GではOR=1.14(95%CI=0.47-2.78)で有意差はなかった。(TY)
Effect of optic disk-fovea distance on measurements of individual macular intraretinal layers in normal subjects.
Qiu K et al(China)
Retina 39(5): 999-1008, 2019
・視神経乳頭ー中心窩間距離(DFD)と黄斑部の網膜厚について正常者182名182眼で検討した。
・DFDは神経節細胞層と視細胞層をのぞく全ての網膜内層厚と負の相関があった(r≦-0.17、全てでp≦0.025)。
・多変量解析ではDFDが長ければ視神経線維層が薄く(6.78μ薄/DFDの1mm大 p<0.001)、節細胞ー内網状層厚(2.16μ薄/DFDの1mm大 p=0.039)、GCC厚(8.94μ薄/DFDの1mm大 p<0.001)、中心黄斑厚(18.16μ薄/DFDの1mm大 p<0.001)、全黄斑厚(15.94μ薄/DFDの1mm大 p<0.001)。
・黄斑疾患で黄斑厚を解析する時に注意すべき点である。(TY)
Prospective randomized trial assessing the impact of feedback mechanisms on patient positioning.
Dimopoulos S et al(Germany)
Retina 39(4); 727-735, 2019
・黄斑円孔手術や網膜剥離手術後の体位を保持するための患者の頭に固定するfeedbackセンサ-の効果を検討した。
・Feedbackは「なし」、音声、振動の3種類である。体位は500ms毎に24時間記録した。
・黄斑円孔術後の下向き(Grp1)、網膜剥離後の横向き(Grp2)で検討した。
・体位保持時間はGrp1では463(61-1168)分(7.7時間)から1257(1024-1327)分(21.0時間)に改善し、Grp2では1032(520-1165)分(17.2時間)から1284(1231-1437)分(21.4時間)に改善した。(TY)
Macular hoke hydrodissection. Surgical technique for the treatment of persistent, chronic, and large macular holes.
Felfeli T et al(Canada)
Retina 39(4): 743-752, 2019
・Macular hole hydrodissection法について述べた。
・特発性Stage3と4のMHで、初回手術で未閉鎖、慢性のもの(視力低下が2年以上か診断後1年以上)、開口径が400μ以上の39例39眼について検討した。
・この方法はMHに液を注入し、網膜とRPEの接着を促すものである。
・症例の平均MH開口径は549.1±159.47μで、MH底の開口径は941.97±344.14μである。
・完全な解剖学的復位は34/39(87.2%)、視力改善は37/39(94.9%)、2 line以上は31/39(79.5%)でえられた。
・ICG染色下でILM剥離し、シリコンsoft-tip針で液をMH内へ能動的に灌流させ、MH縁の全周をRPEから剥離させて[hydrodissect]した。
・次に同じsoft-tip針でMHの剥離縁を受動的に軽く一緒に触れ、一見、ほぼ閉鎖させた。
・SF6かC3F8で完全置換し、術後5日間うつ伏せ姿勢を取らせた(TY)
Effect of intraocular pressure–lowering medications on neovascular age-related macular degeneration treatment outcomes in the comparison of age-related macular degeneration treatment trials
Rahimy, Ehsan, Ying Gui-shuang, Pan Wei, Hsu Jason(USA-CA)
RETINA. 2019;39(4):636-647
【対象と方法】
・CATT試験(ranibizumabとbevacizumabの有効性・安全性を比較した2年試験)のサブ解析
・参加者1185名のうち、房水排出促進作用(PG剤)点眼薬使用をA群、房水産生抑制作用(βブロッカーまたはCAI)点眼薬使用をB群、どちらの点眼なしをコントロール群に割り付け(両剤使用例は除外)
【結果】
・A群28例、B群19例、コントロール群857例
・2年後の平均視力改善:コントロール群+6.3文字、A群+3.5文字(P=0.38)、B群+13.8文字(P=0.052)
・網膜厚の平均変化:コントロール群-54.9μm、A群-80.6μm(P=0.26)、B群-96.8μm(P=0.13)
・Total thickness(網膜+網膜下の病変)の平均変化:コントロール群-163μm、A群-180μm(P=0.63)、B群-238μm(P=0.08)
・多変量の縦断解析では、B群はコントロール群に比べて、より視力改善(2.6文字)、より網膜厚の減少(-17.9μm)、よりtotal thicknessの減少(-54.7μm)がみられた
【結論】新生血管AMDに対する抗VEGF療法中の患者において、房水産生抑制薬を同時に使用すると網膜・病変部の厚みがより減少し視力がより改善する。房水排出促進薬では同様の効果は見られなかった。サンプル数が少なくサブ解析であることより、これらの知見は更なる前向き試験の結果が出るまで解釈には注意すべきである。(MK)
MACULAR HOLE HYDRODISSECTION
Surgical Technique for the Treatment of Persistent, Chronic, and Large Macular Holes
Felfeli Tina, Mandelcorn Efrem D.(Canada)
RETINA. 2019;39(4):743-752
【目的】多くのリスク因子をもつ難治性の黄斑円孔(MH)症例に対する新しい手技を紹介
【対象と方法】2014-2017年、難治性MH*に対する連続症例に対し、円孔へのハイドロディゼクションテクニック**を施行
*Stage3-4の特発性MHで手術不成功例、経過長い例(視力低下>2年or診断後>1年)、サイズ大(>400μm)
**硝子体・ILM切除後、シリコンチップのエクストルージョンカニューラを用い、能動水流でMH縁とRPEとの癒着を解除、その後受動吸引を用いてMH縁をこすり、縁同士を寄せる、SF6またはC3F8タンポナーデ
【結果】
・39例39眼、MH径の平均は開口部549.1μm、MH底941.97μm、経過観察320.33日
・完全閉鎖34眼(87.2%)、視力改善37眼(94.9%)、二段階以上の視力改善31眼(79.5%)
【結論】MHに対するハイドロディゼクションテクニックは、遷延例・手術不成功例・大きなサイズのMHに対して解剖学的・機能的改善を示した(MK)
Evaluation of obstructive sleep apnea syndrome as a risk factor for diabetic macular edema in patients with type Ⅱ diabetes.
Vié A et al(France)
Retina 39(2): 274-280, 2019
・閉塞性無呼吸と糖尿病黄斑症との関連を99例の2型糖尿病者で検討した。
・38例のDME(+)群と61例のDME(-)群で検討した。
・年齢は68.8歳:66.3歳(p=0.27)、平均body mass indexは29.7:30.9(p=0.16)で有意差はなかったが、平均無呼吸低呼吸指数apnea-hypopnea index(AHI)は43.95[13.5-87.3]:36.18[3.55-90.7]と有意差があった(p=0.034)。
・DME(+)群ではapnea-hypopnea indexが30を超える強い閉塞性無呼吸者が71%であり、DME(-)群の50.8%より有意に多かった(p=0.049)。
・SPO2が90%を下回った積算時間(CT90%)はDMEと相関していたが(p=0.0007)、oxygen desaturation indexや最小酸素飽和度は相関がなかった(TY)
Arterial oxygen saturation in neovascularizations in proliferative diabetic retinopathy.
Bek T(Denmark)
Retina 38(12): 2301-2308, 2018
・増殖性糖尿病網膜症における網膜新生血管は太い網膜静脈から発生すると考えられていた。
・しかし、血管撮影像からは新しい血管は動脈と静脈の両方に起源があり、新生血管に近い部位の静脈の酸素分圧は動脈の酸素分圧に近いことが分ってきた。
・今回、40名40眼の増殖性糖尿病網膜症の動脈、静脈、網膜新生血管の酸素分圧を同時に測定した。
・網膜静脈の酸素分圧は動脈よりも有意に低く(p<0.0001)、網膜血管径で補正した後の網膜動脈と新生血管の酸素分圧には有意差はなかった(p=0.71)。
・網膜静脈の酸素分圧は糖尿病の発症時期や期間に相関していたが、動脈と新生血管の酸素分圧は何とも関連がなかった。
・新生血管は無血管野でのバイパスとして働いているのであろう(TY)