SUBTHRESHOLD LASER TREATMENT FOR SEROUS RETINAL DETACHMENT IN DOME-SHAPED MACULA ASSOCIATED WITH PATHOLOGIC MYOPIA
Battaglia Parodi, Maurizio, Iacono, Pierluigi, ; Bandello, Francesco(Italy)
Retina 2018 38(2):359-363
・漿液性網膜剥離(SRD)が12M以上続くドーム状黄斑(DSM) 8例12眼
・ICGAにて透過性亢進がみられる範囲に閾値下光凝固(Iridex社810nmダイレーザー)を施行
・12Mフォローアップ
・視力(LogMAR):ベースライン時 0.8±0.2 → 12M後 0.48±0.1(P=0.001)
・中心窩網膜厚:320±52μm → 266±41μm(P=0.001)
・全例でSRDが減少、完全吸収は1眼(8.3%)
・FAおよびICGAでは透過性亢進の所見が治療後に消失(MK)
Pooled estimates of incidence of endophthalmitis after intravitreal injection of anti-vascular endothelial growth factor agents with and without topical antibiotic prophylaxis.
Reibaldi M et al(Italy)
Retina 38(1): 1-11, 2018
・抗VEGF薬の硝子体内注射後の眼内炎にたいする抗生剤点眼薬の効果について検討した。
・PubMed、Medline、Web of Science、Embase、Cochrane Libraryを2016年3月時点で検索し、抗VEGF薬投与後の眼内炎について調べた。
・4561論文のうち、基準に合った60論文、639,391注射での244症例の眼内炎を調査した。
・術後抗生剤使用群は9/10,000(95%CI=7-12/10000)、非使用群は3/10,000(95%CI=2-5/10000)であり、抗生剤使用群の方が3倍多かった。
・予防的抗生剤点眼を中止することで、眼内炎のリスクや医療費も減らすことができると結論した(TY)
Pooled estimates of incidence of endophthalmitis after intravitreal injection of anti-vascular endothelial growth factor agents with and without topical antibiotic prophylaxis
Michele Reibaldi, et al (Japan)
Retina 28(1): 1-11, 2018
・硝子体注射の眼内炎の発生率は0.02%-0.3%と言われているが、患者個人の累積発生率は最大1%と考えられている
・2016年3月までのPubMed, Medline, Web of Science, Embase , Cochrane Libraryより、抗VEGF薬の硝子体注射後の眼内炎に関する文献(4561文献中、60文献が有効であった)を調査し、プール解析した
・予防的抗生剤投与の有無による眼内炎の発生率を予測した
・244件/639391件で眼内炎発生:予防投与群9/10000、非投与群3/10000 と約3倍予防的抗生剤投与群で発生率が高かった(MM)
Increased intraocular pressure is a risk factor for unexplained visual loss during silicone oil endotamponade.
Marti M et al(Australia)
Retina 37(12): 2334-2340, 2017
・黄斑部を含んだ網膜剥離の初回手術でシリコンオイルを使用した44眼で原因不明の視力低下を発生した9眼(20%)について検討した。
・術後、眼圧が連続して2回21mmHg以上あるいは1回でも25mmHg以上であった場合はodd ratio=4.9(p=0.004)で有意に関連があった。
・SO注入する場合は術後眼圧に注意すべきだ(TY)
Pneumatic vitreolysis for relief of vitreomacular traction.
Chan CK et al(CA USA)
Retina 37(10): 1820-1831, 2017
・症状のある硝子体黄斑牽引症(VMT)でStage2の黄斑円孔(MH)があるものないものを合わせて、49例50眼についてC3F8ガスを硝子体内へ注入した効果をみた。
・方法は0.1-0.2mLの前房水をツベルクリンシリンジで抜き、最低0.2mL、通常は0.3mLのC3F8を注入し、ガスが消失するまで側臥位かうつ伏せ姿勢を取った。
・PVD発生は1回の注入で、中間値3か月で43眼(86.0%)に発生した。
・VMTのみの35眼中28眼(80.0%)と小さなStage2のMHを持った15眼全眼(100%)でPVDが発生し、MHの15眼中10眼(66.7%)でMHは閉鎖した。
・PVDの発生率はDMの存在(25%)、厚い黄斑前膜の存在(50%)で低下した。
・VMTのみの症例の内、1例はMHを形成し、1例は網膜剥離を発症し、硝子体手術を行った。
・硝子体手術をしにくい症例にはガス注入は有効である。(TY)
Inverted internal limiting membrane flap technique versus complete internal limiting membrane removal in myopic macular hole surgery. A comparative study.
Mete M et al(Italy)
Retina 37(10): 1923-1930, 2017
・近視性黄斑円孔(MMH)に対して、ILMを完全除去した36眼(Grp-1)と、ILMを折り返した34眼(Grp-2)の成績を比較した。
・MHの閉鎖はGrp1では22眼(61%)、Grp2では32眼(94%)で、ロジスティック回帰分析ではGrp2は解剖学的成功率は22倍であった。(TY)
Topical apraclonidine reduces pain after intravitreal injections. A double-blind randomized controlled trial.
Lagstein O et al(Israel)
Retina 37(8): 1575-1580, 2017
・硝子体注射時のアイオピジンの効果を検討した。
・39例で1.25mg/0.05mlのbevacizumabを1カ月おきに2回注射した。
・その30分前に0.5%アイオピジン(日本では1%)かplaceboを点眼した。
・疼痛スコアはテスト群で1.69±1.44、Ctrl群で3.28±2.27(p<0.001)であった。
・テスト群では有水晶体眼の方が疼痛が有意に軽減された(p<0.001)。
・結膜下出血はテスト群で41%、Ctrl群で51.3%(p=0.5)と有意差はなかったが、脈絡膜新生血管や高血圧群では結膜下出血の面積が有意に小さかった(それぞれ、p=0.003、p=0.044)。(図2)(TY)
CHOROIDAL THICKNESS OF CENTRAL SEROUS CHORIORETINOPATHY SECONDARY TO CORTICOSTEROID USE
Honda S, Miki A, Kusuhara S, Imai H, Nakamura M.(神戸大)
Retina. 2017 Aug;37(8):1562-1567.
・ステロイド全身投与に続発したCSC 25例25眼を後ろ向きに検討
・OCTで脈絡膜厚を測定、ICGAで脈絡膜血管の拡張と透過性亢進を評価
・性別・年齢をマッチさせた特発性CSCと比較
【結果】脈絡膜厚の平均;続発性294.8±95.0μmと、特発性(409.4±124.7μm)より有意に薄い
・脈絡膜血管の拡張;続発性(52%)特発性(64%)有意差なし
・脈絡膜血管の透過性亢進;続発性(62%)と、特発性(92%)より有意に少ない
【結論】ステロイド服用に続発した急性期CSCの脈絡膜の状態は、特発性CSCのそれと異なるかもしれず、CSCの複雑な病態を示唆する(MK)
DIFFERENT SURGICAL MODALITIES FOR MANAGEMENT OF PERSISTENT GLAUCOMA AFTER SILICONE OIL REMOVAL IN VITRECTOMIZED EYES: One Year Comparative Study
El-Saied HM, Abdelhakim MASE.(Egypt)
Retina. 2017 Aug;37(8):1535-1543.
・SO抜去後も持続する緑内障(>21mmHg, >1M)41例41眼を前向きに4群に割付け
・グループA:レクトミーwith MMC、グループB:deep sclerectomy with MMC、グループC:Ahmedバルブ、グループD:Ex-Press Minishunt with MMC
・術翌日・1w・1M・3M・6M後に眼圧および視機能・合併症を評価
【結果】
・すべての群で術後に眼圧は有意に下降
・眼圧下降度はAhmedバルブが最大、deep sclerectomyが最小
・Surgical success rate*はEx-Pressが100%、Ahmedバルブが80%、レクトミーとdeep sclerectomyは50%
・術後低眼圧;Ahmedバルブの50%、レクトミーの40%に出現
・追加手術;deep sclerectomyの50%、レクトミーの30%
【結論】SO抜去後に続く緑内障をコントロールするには、我々の症例ではEx-Press minishuntがもっとも成功率が高く、術後の合併症もみられなかった
*Surgical success rate; Complete success: 追加点眼・手術なくIOP≦21mmHgかつ≧20%下降、 Qualified success: 追加点眼のみでIOP≦21mmHgかつ≧20%下降、Failure: 点眼治療のみでIOPコントロール不可・追加手術要・または低眼圧が2M以上持続(MK)
The association of epiretinal membrane with macular hole formation after rhegmatogenous retinal detachment repair.
Khurana RN et al(CA USA)
Retina 37(6): 1073-1078, 2017
・裂孔原性網膜剥離の手術が成功した後に発生した黄斑円孔25例(年齢54~80歳)について検討した。
・6例(24%)はpneumatic retinopexy後、5例(20%)は強膜バックル後、8例(32%)は硝子体単独手術、6例(24%)は強膜内嵌と硝子体手術併用である。
・網膜剥離が黄斑に掛かっていた症例は19例(76%)。
・黄斑円孔発生迄の日数は中間値で63日(4~4080日)で、8例(32%)は30日以内、7例(28%)が31-90日に発生した。
・全例で網膜前膜が発生していたが、網膜剥離術後に黄斑円孔が発生する比率は0.5%~1.9%と低い。
・2例(8%)は自然治癒したが、残りは全例、1回の手術で軽快した。(TY)
SCLEROTOMY LEAKAGE IN TRANSCONJUNCTIVAL SMALL-GAUGE PARS PLANA VITRECTOMY: Effect of Removing the Cannula Over the Light Pipe
Javey, Golnaz; Rigi, Mohammed; Barkmeier, Andrew J.; Heffez, Jordan L.; Carvounis, Petros E. (US-TX)
Retina . 2017 Jun ;37(6):1079-1083
・23Gまたは25G硝子体手術のカニューラを抜去する際、ライトパイプを刺しながら抜去した群(L群、21眼)と何も刺さずにそのまま抜去した群(N群、27眼)の創口からのリークや創縫合の頻度、低眼圧の有無を比較
・上方の強膜創からのリーク;L群で28/42(67%)に対しN群で23/54(43%)と有意に低頻度(P=0.024)
・上方の強膜創で縫合要;L群で14/42(33%)に対しN群で7/54(13%)と有意に低頻度(P=0.024)
・カニューラ抜去後の低眼圧;L群で11/21(52%)に対しN群で5/27(19%)と有意に低頻度(P=0.03)
・液体で満たされた眼と気体で満たされた眼との間に創口リーク(56% vs. 50%)および低眼圧(31% vs. 36%)の差は見られず
【結論】上記の方法では創からのリーク、創縫合の必要性、低眼圧の頻度が増加する、硝子体陥頓がプラグの役割をして自己閉鎖を助ける(MK)
Diabetes alters the magnitude of vitreomacular adhesion.
Nesmith BLW et al(NY USA)
Retina 37(4): 749-752, 2017
・加齢とともに発生する黄斑部の網膜硝子体癒着が糖尿病者で変化があるかどうかを検討した。
・CMEのない141例の糖尿病患者で黄斑部のSD-OCTを水平方向に25本撮影し、硝子体黄斑癒着の発生している面積をmm2で求め、年齢をマッチさせて正常者と比較した。
・年齢を10歳きざみにし、20歳までから90歳までの8世代の糖尿病者の癒着面積は、35.5±0、35.0±3、34.0±3、33.9±5、33.7±6、29.0±11、23.0±15、13.0±15であり、完全な癒着の頻度は双曲線状に低下した。
・非糖尿病者では50代からS字状に急速に低下しており、60、70、80代では有意差があった(p<0.05)。
・50%に後部硝子体剥離が発生するのは糖尿病者では平均72歳であったが、正常者では56歳であった(p<0.05)。
・糖尿病者では硝子体が黄斑部に癒着するのはより強く、より長期にわたっていた。(TY)
RANIBIZUMAB FOR MACULAR EDEMA AFTER BRANCH RETINAL VEIN OCCLUSION
One Initial Injection Versus Three Monthly Injections
YUKO MIWA, et al. (京都大学)
RETINA 37(4):702-709, 2017
目的:BRVOからのMEに対し、ラニビズマブ硝子体内注射を初回1回+PRN又は初回1ヶ月毎3回+PRNで治療し、12ヶ月間経過観察し評価した。
対象と方法: 81眼(1回+PRN 42眼、3回+PRN 39眼)、中心窩網膜厚(CFT)250μm以上、症状持続時間6ヶ月以下の症例。
毎月経過観察し、中心窩の滲出性変化が明らかに増えたときに硝子体注射を追加した。
ラニビズマブ硝子体内注射以外の治療はしていない。
結果:注射回数は 1回+PRN 3.8 ± 1.8回、3回+PRN 4.6 ± 1.4回。
視力 baseline時 1回+PRN 0.321±0.242(20/42)、3回+PRN 0.317± 0.244(20/41)
12ヶ月後 1回+PRN 0.075±0.235(20/24)、3回+PRN 0.029± 0.140(20/21)
両群間で有意差はなかった。
baseline時、視力が20/40以上とそれ以下の症例に分けて検討すると、
baseline時 20/40以上 0.129±0.091 (20/27)、20/40以下 0.481±0.210 (20/61)
12ヶ月後 20/40以上 0.036±0.115 (20/18)、20/40以下 0.135±0.221 (20/27)
12ヶ月後20/40以上の症例と20/40以下の症例では同等の有意な改善を示した(P < 0.001)。
12ヶ月後の良好な視力は、若い年齢、ベースライン時の良い視力、中心窩厚が薄い事と関連していた(P = 0.003、<0.001、<0.001)。
両群で、初回注射からPRN治療までの期間が短いことは、PRNでの注射回数の多さと関連していた。
81眼中、たった19眼(23.5%)のみPRNでの硝子体注射を必要としなかった。
結論:1回+PRNと3回+PRNで12ヶ月間治療後、視力、中心窩厚とも改善したが類似した結果だった。初回からPRNまでの期間が短い症例は注射回数が多くなった。(CH)
Complete subretinal fluid drainage is not necessary during vitrectomy surgery for macula-off rhegmatogenous retinal detachment with peripheral breaks. A prospective, nonrandomized comparative interventional study.
Chen X et al(China)
Retina 37(3): 487-493, 2017
・54例54眼の黄斑部の剥がれた裂孔原性網膜剥離に対する硝子体手術で下液排出を完全に行ったもの(Complete subretinal fluid drainage:CSFD)と一部残したもの(PSFD)で結果を検討した。
・いずれも14%C3F8ガス注入を行っている。
・1回の手術で成功した率はCSFDは16/18(88.9%)、PSFDは33/36(91.6%)で有意差はなかった(p=1.00)。
・術後6か月目の最高視力もETDRSで26.50±15.43:22.64±15.43で有意差はなかった(p=0.43)。
・このことから、下液を完全に抜く必要はないと考えた。
・PSFDでは術中に1.81±0.71象限に下液が残存していた。
・手術時間はCSFDが61.17±5.56分、PSFDでは47.97±4.98分であった。(TY)
The effect of photopigment bleaching on fundus autofluorescence in acute central serous chorioretinopathy.
Choi K et al(Korea)
Retina 37(3): 568-577, 2017
・41例41眼の中心性脈絡網脈症CSCにおいて、眼底自発蛍光FAFに対する視色素褪色効果をOptomap 200Txを用いて検討した。
・褪色はHeidelberg Retina Angiograph 2を用いて行ない、褪色程度はOptomap画像のgrayscale値を用いた。
・褪色後に正常の自発蛍光に変わるが、褪色前には過AF部をもつType1、褪色後も自発蛍光の変わらないType2に分けた。
・FAFのタイプも”diffuse”と”mottled”に分けた。
・初診時視力、最終視力はType1、Type2で、20/23:20/41(p<0.0001)と20/21:20/32(p=0.001)でいずれも有意にType1で良く、剥離持続期間も19.68±12.98:51.55±44.98日とType1で有意に短かった(p=0.043)。
・また、diffuseなType2では、Type1に比して初診時視力、最終視力とも20/45:20/23、20/36:20/21と有意に悪かった(p<0.0001)。
・視色素の褪色状態を知ることはCSCの病状を知るうえで有用である(TY)
Peripapillary arterial ring of Zinn-Haller in highly myopic eyes as detected by optical coherence tomography angiography.
Ishida T et al(東京医科歯科大)
Retina 37(2): 299-304, 2017
・OCT-Aを用いて高度近視眼のZinn-Haller動脈輪(ZHAC)を可視化した。
・対象は眼軸長が26.5mm以上の146例253眼で視神経乳頭部のOCT-Aを調べた。
・ZHACが傍乳頭近視性コーヌス内に見られたのは26/253眼(10%)で、そのうち、ZHACが輪状だったのは18眼(69%)、三角状と不規則形がいずれも4眼(15%)であった。
・ZHACは視神経篩板の主たる栄養血管であり、OCT-Aでの詳細な観察は緑内障性視神経症の解明に有力な手掛かりになる(TY)
COMPARATIVE ANALYSIS OF OUTCOMES WITH VARIABLE DIAMETER INTERNAL LIMITING MEMBRANE PEELING IN SURGERY FOR IDIOPATHIC MACULAR HOLE REPAIR
Aditya M et al (India)
Retina 37(2) :265-273, 2017
50例50眼のMHを25例ずつ直径G1:3mm(2乳頭径)とG2:5mm(3乳頭径)のILM剥離で比較
年齢、性別、左右、発症からの期間、術前視力、術前眼圧やレンズの状態、OCTによるMHの各パラメータ(Staging, 最小円孔径(MD), 高さ, 円孔底径(BD), MH index (MH height/BD, tractional hole index (MH height/MD)は両群で有意差なし
平均観察期間:約150日と短い
23/25G 3port Vit ILM peeling w/ BBG 2min 20%SF6
うつ伏せ:各施設ごとで異なるが、5日間のうつ伏せ
施設によっては45分のうつ伏せと15分の休憩 夜間はうつ伏せまたは側臥位で睡眠のところもあり
閉鎖率:G1 80.0% G2 64.0% (P=0.20)
RNFL: G1>G2 GCL : G1<G2 視力回復: G1>G2
GCLがG1で薄かったのは術後観察期間が短く一時的な炎症によるものなのか、ILM剥離時のエッジのためが考えられるが、正しくはわからない
少ない症例で短期間の観察期間ではあるが、ILM剥離の範囲を大きくすることは、解剖学的にも機能的にもプラスになるわけではなさそうで、必要最小限の剥離にとどめるべきと考えられる(MM)
EFFECT OF BROMFENAC ON PAIN RELATED TO INTRAVITREAL INJECTIONS: A Randomized Crossover Study
Georgakopoulos, Constantine D.; Tsapardoni, Foteini; Makri, Olga E.(Greece)
Retina . 2017 Feb; 37(2):388-395
・65例65眼、抗VEGF硝子体注射の30-45分前にブロムフェナクまたはプラセボを点眼(前向き・ランダム・二重盲検)
注射直後および6時間後の痛み・症状をvisual analog scale(VAS)とMcGill Pain Questionareのshort form(SF-MPQ)、およびPresent Pain Intensity Index(PPI)の3つで評価
・注射直後はブロムフェナク群でVASとSF-MPQが有意に低値(P=0.002, P=0.001)
・注射6時間後はブロムフェナク群でVAS・SF-MPQ・PPIのすべてが有意に低値(P<0.001, P<0.001, P=0.001)
・多変量解析では、注射直後のVASスコアは高齢者・女性・硝子体注射の経験多い群が有意に低値であった
・またブロムフェナクは硝子体注射の経験多い若年者に対してより効果があるようにみられた
【結論】ブロムフェナクの術前点眼は硝子体注射直後と6時間後の疼痛を有意に減少させた(MK)
RELATIONSHIP BETWEEN METAMORPHOPSIA AND INTRARETINAL CYSTS WITHIN THE FLUID CUFF AFTER SURGERY FOR IDIOPATHIC MACULAR HOLE
YOSHIMI SUGIURA, et al.(筑波大学)
RETINA 37(1):70-75,2017
目的:特発性黄斑円孔(MH)のために硝子体切除術を経験している患者に変視症を数量化して、そして変視症と中心窩微細構造の関係を調査する。
対象と方法:51眼(男性25眼、女性26眼、平均年齢65.1 ± 6.6歳)
変視症をM-CHARTSを使用して定量化した。術前SD-OCTにて最小円孔径、円孔低径、黄斑部厚、外境界膜、ellipsoid zone、interdigitation zone(いわゆる錐体外節先端ライン;COST ライン)の欠損長、fluid cuff内のcystsの範囲を測定した。
術後3、6ヶ月に、黄斑部厚、外境界膜の欠損長、ellipsoid zone、interdigitation zoneの欠損長を測定した。
結果:術前に比べ、術後3ヶ月、6ヶ月で平均変視スコアがそれぞれ有意に改善した。術前0.82 ± 0.53、術後0.44 ± 0.36( P < 0.0005)、術後3ヶ月と6ヶ月の間には有意差はなかった。
視力も有意に改善した。
術前、術後3ヶ月では縦方向の変視スコアが横方向より高かったが、術後6ヶ月では相違はなかった。
術後の縦方向の変視スコアがfluid cuff内のcystsの範囲と関連した。術後の横方向の変視スコアは、円孔低径、外境界膜の欠損長、fluid cuffの中のcystsの範囲と関連した。
重回帰分析で、手術後横方向の変視症スコアがfluid cuffの中のcystsの範囲と有意に関連した(P <0.05)。
術後視力は術前の最小円孔径、円孔低径、黄斑部厚、外境界膜、ellipsoid zone、interdigitation zoneの欠損長、術後の外境界膜の欠損長、ellipsoid zone、interdigitation zoneと重要な関連を示した。重回帰分析では視力はellipsoid zone の欠損長と関連していた(P < 005)。
結論:MHに対する硝子体切除術で変視が改善したが、ゼロにならない事が判明した。
術前も術後も縦方向のほうが横方向の変視スコアがより高かった。それは、以前の研究で黄斑円孔が起こるとき鼻側方向への牽引力が強い事が判明している。それで水平方向の網膜の偏位が縦方向の変視がより大きかったと推測した。
また、fluid cuffの中のcystsの範囲は術後の変視の前兆となる要因の1つである。(CH)
NONSUPINE POSITIONING IN MACULAR HOLE SURGERY
A Noninferiority Randomized Clinical Trial
Alberti M. Cour M (Denmark)
Retina 36(11):2072-2079, 2016
2013.8~2014.8にIOL患者に対してPPV+ILM peeling+C3F8(15%)を行ったMH患者をランダムにうつ伏せ(FDP)と仰向け以外の体位(NSP)を比較
Single-center, noninferiority, open-label, RCT
術後4D,5W,3Mで視力、眼底、眼圧、OCT
3か月後の視力と術後4日目のガスの充満度を調査
24M以内の原発性FTMHで-8D以下の屈折のうつ伏せ可能な患者で過去にVitや視力に影響するようなDRや黄斑変性のない患者
FDP:1日10時間 x 3日間(最初の72時間のうち30時間)うつ伏せ
NSP:正面、あるいは少し下方視
すべての患者に上方視や夜間の仰向けを避けるように指導
72時間後以降は制限なし
結果:期間中の167例のうち68眼を解析対象(その後プラスミン投与のため4例除外)
閉鎖率は両群とも同じであった(両群とも1例ずつ閉鎖せず)
NSP群で4日目に閉鎖していなかったため、その後4-7日で30時間のFDを指示して閉鎖(不成功にカウント)FDP群4日目にOCTで分からず、その後閉鎖していないと判明
術後4日目でOCT撮影できたものは61眼
両群とも眼内のガス充満率は差がないが、非閉鎖の2例と閉鎖群では差があった(59% vs 77%)
結論:術後4日目に65%以上のガス充満率があれば必ずしもうつ伏せは必要ないと考えられる
手術時のガス交換不足や強膜層からのリークがないように(MM)