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British Journal of Ophthalmology

2015
99巻

tPAとアイリーア・ルセンティスとの相性

British Journal of Ophthalmology 99巻 (6号) 2015

Compatibility of recombinant tissue plasminogen activator (rtPA) and aflibercept or ranibizumab coapplied for neovascular age-related macular degeneration with submacular haemorrhage.
Klettner A, Grotelüschen S, Treumer F, Roider J, Hillenkamp J. (Germany)
Br J Ophthalmol. 2015 ;99(6):864-9
【目的】
・AMDによる網膜下血腫の治療の際、tPAと抗VEGF剤とを同時投与する場合がある
・tPAおよびその産物であるプラスミンが抗VEGF剤を分解させないか、in vitroの環境で評価
【対象と方法】
①afliberceptおよびranibizumabをそれぞれtPAまたはプラスミンとともにインキュベートし電気泳動
②豚眼の網膜色素上皮細胞を用いたVEGF-ELISA法で抗VEGF活性を定量
【結果】
ranibizumab:電気泳動ではtPA・プラスミンのどちらと同時投与した場合も新たなバンドがみられず、抗VEGF効果も変化なし
aflibercept:tPAはafliberceptを分解しなかったが、プラスミンと同時投与すると電気泳動にて追加のバンドがみられた(=分解された)
・実臨床での濃度(800μg/mL)ではafliberceptの抗VEGF効果は減弱しなかったが、半分の濃度(400μg/mL)では抗VEGF効果が消失した
【結論】
・RanibizumabはtPAやプラスミンと混ぜても分解されず機能も低下しない
・Afliberceptはプラスミンと同時投与することで分解され機能が低下する
・臨床の場ではAMDによる網膜下血腫の治療の際にはtPAとranibizumabは同時投与可能である(MK)

2015
99巻

tPAとアイリーア・ルセンティスとの相性

British Journal of Ophthalmology 99巻 (6号) 2015

Compatibility of recombinant tissue plasminogen activator (rtPA) and aflibercept or ranibizumab coapplied for neovascular age-related macular degeneration with submacular haemorrhage.
Klettner A, Grotelüschen S, Treumer F, Roider J, Hillenkamp J. (Germany)
Br J Ophthalmol. 2015 ;99(6):864-9
【目的】
・AMDによる網膜下血腫の治療の際、tPAと抗VEGF剤とを同時投与する場合がある
・tPAおよびその産物であるプラスミンが抗VEGF剤を分解させないか、in vitroの環境で評価
【対象と方法】
①afliberceptおよびranibizumabをそれぞれtPAまたはプラスミンとともにインキュベートし電気泳動
②豚眼の網膜色素上皮細胞を用いたVEGF-ELISA法で抗VEGF活性を定量
【結果】
ranibizumab:電気泳動ではtPA・プラスミンのどちらと同時投与した場合も新たなバンドがみられず、抗VEGF効果も変化なし
aflibercept:tPAはafliberceptを分解しなかったが、プラスミンと同時投与すると電気泳動にて追加のバンドがみられた(=分解された)
・実臨床での濃度(800μg/mL)ではafliberceptの抗VEGF効果は減弱しなかったが、半分の濃度(400μg/mL)では抗VEGF効果が消失した
【結論】
・RanibizumabはtPAやプラスミンと混ぜても分解されず機能も低下しない
・Afliberceptはプラスミンと同時投与することで分解され機能が低下する
・臨床の場ではAMDによる網膜下血腫の治療の際にはtPAとranibizumabは同時投与可能である(MK)

2015
99巻

体位と脈絡膜厚

British Journal of Ophthalmology 99巻 (4号) 2015

Assessment of choroidal thickness before and after steep Trendelenburg position using swept-source optical coherence tomography.
Rim TH et al(Korea)
Brit J Ophthalmol 99(4): 493-499, 2015
・20名の健康ボランティアで、頭を40度下げた強いTrendelenburg体位(STP)を取った時の脈絡膜厚の変化について検討した。
・手術ベッドの頭を下げる方法で体位変更する前、STP直後, 5,10,15分後に血圧、脈拍と共に脈絡膜厚を測定した。
・脈絡膜厚はETDRS部位の平均値で求めた。
・体位変更前256.51±9.20μ→直後268.18±9.24(p<0.01)→5分後264.25±9.30(p=0.03)と有意に増加。
・ただ、10分後262.51±9.34(p=0.15)→15分後261.38±9.40(p=0.37)と戻ってきた(TY)

2015
99巻

UKで行われた緑内障手術のトレンド

British Journal of Ophthalmology 99巻 (3号) 2015

Recent trends in glaucoma surgery in Scotland, England and Wales.
Murphy C et al(UK)
Brit J Ophthalmol 99(3): 308-312, 2015
・1993年から2012年の間にScotland,England,Walesで行われた線維柱帯切除、前房シャント手術、毛様体破壊術の人口10万人当たりの施行数を調べた。
・線維柱帯切除術は1995年をピークに減少し、2000年後は安定した。
・一方、シャント手術は2003から2012にかけて6倍になった。
・毛様体冷凍凝固は1/7に減少したが、毛様体光凝固は倍増した。
・2012年の施行数は線維柱帯切除 10.76、シャント手術 1.88(図)。

2015
99巻

冠動脈疾患の重症度は独立して早期加齢性黄斑変性の頻度と結び付けられる

British Journal of Ophthalmology 99巻 (3号) 2015

Severity of coronary artery disease is independently associated with the frequency of early age-related macular degeneration
Sarah B Wang, (Australia)
Br J Ophthalmol 99(3):365-370, 2015
目的:冠動脈造影(CAG)で評価された冠動脈疾患(CAD)の重症度とAMDの関連を調べた。
対象と方法:2009年6月〜2012年1月、冠動脈造影(CAG)を受けた1545人(表1)
AMDの査定は、すべての患者で散瞳下でデジタル眼底写真を撮り評価した。
早期AMD:境界不明瞭や網状軟性白斑、網膜の色素沈着や色素脱失
晩期AMD:新生血管AMD+萎縮性病変AMD
新生血管AMD:RPEや感覚網膜に漿液性または出血性の剝離、網膜下出血や網膜下線維増殖
萎縮性AMD:少なくとも175μm以上の境界明瞭で脈絡膜の血管が見える色素脱失
結果:全てのAMD有病率は6.9% (n=107)だった。
早期AMDの有病率 5.8% (n=86) 、晩期AMD1.4% (n=21)( 新生血管AMD 0.5%、萎縮性AMD 0.7%を含む)
50%以上の狭窄のある患者は、50%以下の患者と比べおよそ2倍の初期AMDの可能性があった。
3枝病変のある患者は2倍以上の初期AMDの可能性があった。
晩期AMDと冠動脈疾患と関連はなかった。
類似の結果が、男性のみを分析したときにも認められた。女性では認められなかった。
結論:初期AMDは、冠動脈疾患の狭窄病変と重症度と独立して関連していた。冠動脈疾患のある患者はAMDの検査を受ける事を提案する。(CH)

2015
99巻

上眼瞼吊り上げ術の際にまぶたを吊り上げる最適な位置

British Journal of Ophthalmology 99巻 (3号) 2015

Functional centre of the upper eyelid: the optimal point for eyelid lifting in ptosis surgery
Kim CY, et al. (Korea)
Br J Ophthalmol 99(3):10 346-349, 2015
【目的】眼瞼下垂に対する上眼瞼吊り上げ術の際、まぶたを吊り上げる最適な位置として「functional eyelid center」を提案
【対象と方法】先天性眼瞼下垂112例を前向きに解析。涙道プローブで上眼瞼を持ち上げ、もっとも外観がよいところを「functional eyelid center」と定義。吊り上げ術を施行した患者には、シリコンロッドを縫い付けた部位による術後の事象を評価。
【結果】瞼裂幅の平均21.88±2.33mm、内眼角から瞳孔中心までの距離10.05±1.49mm。Functional eyelid centerは瞳孔中心線より平均4.28mm耳側に位置した。
・上眼瞼吊り上げ術の際、functional eyelid centerより鼻側に4.4mm、耳側に3.9mmでシリコンロッドを固定すると良好な結果が得られた。(これは瞳孔中心線より鼻側に0.1mm、耳側に8.2mmに相当)
・上眼瞼吊り上げ術が施行された98眼のうち、93眼(94.9%)が術後1年経っても再発みられず良好な(自然で対称的な)外観を保っていた。
【結論】Functional eyelid centerは瞳孔中心線よりやや耳側に位置した。上眼瞼吊り上げ術の際、functional eyelid centerを中心として持ち上げるとより良い外観になった。(MK)

2015
99巻

マイボーム腺機能不全(MGD)に対する経口アジスロマイシンとドキシサイクリンの二重盲検オープンラベル治験

British Journal of Ophthalmology 99巻 (2号) 2015

Oral azithromycin versus doxycycline in meibomian gland dysfunction: a randomised double-masked open-label clinical trial
Mohsen Bahmani Kashkouli
Br J Ophthalmol 99(2): 199-204, 2015
目的:MGDに対する経口アジスロマイシンとドキシサイクリンの有効性と安全性を検討する。
対象と方法:2013年2月から2013年7月、100人100眼(図2)
アジスロマイシングループ 50眼 5日間内服(1日目500mg、残り4日250mg)
ドキシサイクリングループ 50眼 1ヶ月内服(200mg)
全員に眼瞼の温罨法、洗浄、人工涙液を続けた。
5つの症状(掻痒、灼熱感、異物感、乾燥、眼瞼浮腫)と7つの所見(マイボーム腺分泌物、詰まった腺の数、結膜充血、眼瞼縁の赤さ、眼瞼縁の残渣物、BUT、フルオ染色のパターン)をスコア化し(4ポイントスケール(0〜3))、治療前、治療後1週、1ヶ月、2ヶ月で経過観察した。
結果:両グループで症状、所見とも改善した。所見はアジスロマイシングループでよりスコアが減ったが、その中でも球結膜充血、眼表面疾患が有意に改善した。
患者の印象ではアジスロマイシングループでexcellent 6%、good 46%、ドキシサイクリングループでexcellent 0%、good 32%だった。
副作用:軽い胃腸症状 2回目の受診時、ドキシサイクリングループに多かった。
結論:両グループともMGDに対する効果を認めた。しかし、アジスロマイシングループで症状と所見でより改善し、副作用も少なかった。内服期間が短くコストも抑えられる為、アジスロマイシンのほうがいいと思われた。(CH)

2015
99巻

水泳用ゴーグルは緑内障有病率の増加と結びつかない

British Journal of Ophthalmology 99巻 (2号) 2015

Swimming goggle wear is not associated with an increased prevalence of glaucoma
Maria Franchina, et al. (Australia)
Br J Ophthalmol 99(2): 255-257, 2015
目的:小さくてきつい水泳用ゴーグルを頻繁に付けていると眼圧が上昇するとの報告がある。
成人スイマーでの緑内障有病率が増加しているか検討した。
対象と方法:オーストラリア、パースで、4種類の一般的なスイミングゴーグルを使用している人にアンケート調査、icareでの眼圧測定、Humphrey SITA fast、OCTで神経線維層の厚さを測定した。
スイマー群 204人 平均年齢55.3歳 男性81人、女性123人、水泳回数平均週1回 3.5時間
83.8%がいつも装用 48.5%が10年以上装用
非スイマー群 99人 平均年齢58.56歳 男性66人、女性33人
結果: スイマー群 15.1±3.6 mm Hg、    非スイマー群 15.3±3.9 mm Hg
スイマー群 右94.0μm、左93.7μm  非スイマー群 右93.0μm、左93.7μm
スイマー群のなかで、ゴーグルのタイプやゴーグル装用期間での相違もなかった。
結論:水泳ゴーグルをつけることは、緑内障の危険がないことを示唆す。(CH)

2015
99巻

ブロムフェナック点眼が網膜静脈分枝閉塞症患者のベバシズマブ硝子体注射の回数を減らす

British Journal of Ophthalmology 99巻 (2号) 2015

Topical bromfenac reduces the frequency of intravitreal bevacizumab in patients with branch retinal vein occlusion
Masahiko Shimura, et al. (NTT東日本東北病院)
Br J Ophthalmol 99(2): 215-219, 2015
目的:BRVOからの2次的なMEのためにベバシズマブ硝子体注射治療期間中のブロムフェナック点眼の効果を評価した。
対象と方法: 50歳以上で発症3ヶ月未満 BRVOによるMEで、視力logMAR 0.5〜1.0、中心窩厚(FT)400μm を認めた症例のうち、初回の硝子体注射から3ヶ月以内にFT300μm以下、視力改善が認められた40眼(表1)。
3ヶ月後、2回目のIVB受けた。2回目の注射の日から0.1%ブロムフェナック点眼を開始(20眼)、コントロールには人工涙液を使用した(20眼)。
2剤とも1日4回点眼とした。(基礎研究では点眼後2時間で濃度ピークになり、12時間後次第に減少していった。眼内濃度を維持する為に4回とした。)
FT400を超えたら繰り返しIVBを施行した。
初回の硝子体注射から56週間、4週毎に経過観察した。
結果:ブロムフェナック群       コントロール群 
     IVB回数   3.8±1.1回         4.8±1.2回 (p=0.014)
   最終FT    317.6±79.6μm       313.8±90.5μm
     最終視力   logMAR 0.353±0.206    logMAR 0.347±0.158
56週後もブロムフェナック群では5例、コントロール群では6例がFT400μm以上となり、追加のIVBを施行した。
副作用はなかった。
結論:BRVOによるMEに対し、ブロムフェナック点眼がIVBの回数を減らし、IVBの効果を維持する可能性がある。(CH)

2015
99巻

シリコンバンドを用いた近視性内斜視の手術方法

British Journal of Ophthalmology 99巻 (1号) 2015

Silicone band loop myopexy in the treatment of myopic strabismus fixus: surgical outcome of a novel modification
Bhamy Hariprasad Shenoy et al (India)
Br J Ophthalmol 99(1):36-40, 2015
・2008年1月から2012年12月に行われた近視性内斜視手術15名26眼でシリコンバンドを用いた 術後最低2か月の観察期間を経たもの
・眼球運動は1.最小限の制限から 4.まったく動かないまでの4段階に分けた
・輪部から10-12㎜で結膜切開 LRとSRを同定し、その間に強膜トンネルを作成
シリコンバンド240をSR-トンネル-LRと通して、スリーブで束ねて固定
必要に応じてMR recessionを追加
・11眼で両眼手術、4眼は片眼手術 10眼でMR recession(5-7.5mm)を追加
1眼では両眼のloopを行って1か月後にMR recessionを両眼に追加
1眼は両眼のloop後、LR5.5㎜resectionとMR7㎜ recessionを実施
・術前4眼で水平方向の複視 → 術後1眼で軽度の複視
・平均SE -16.3±6.3D(-6 ~ -27D)  AL 31.98±3.02mm(26.8-36.46)
・外転制限: -2.9±1.2 → -1.5±1.3 上転制限:-2.8±1.1 → -1.2±0.9
・斜視角: 水平 -79.3±32.3PD(30-130) → -16.9±17.4PD(0-50) 
73%で20PD以内の成功 53.3%で10PD以内の成功
下斜視 –8.9±10.1PD → -0.64±1.33PD(0-4)
・2眼で異物感のため摘出
・現在主流の方法は糸でSRとLRを縫合する方法だが、直筋の絞扼、前部毛様体循環の絞扼、そして不可逆的であるという欠点がある。
・この方法で最大約40PDの内斜視の矯正効果があった(MM)

2014
98巻

Ranibizumab, Bevacizumab, Afliberceptの血中動態について

British Journal of Ophthalmology 98巻 (12号) 2014

Systemic pharmakinetics following intravitreal injections of ranibizumab, bevacizumab or aflibercept in patients with neovascular AMD(日本の眼科85:1713,2014)
Avery RL et al(CA USA)
Brit J Ophthalmol 98(12): 1636-1641, 2014
・Ranibizumab(RA)やbevacizumab(BE), aflibercept(AF)硝子体注射後の血中薬物動態、VEGF濃度について検討した。
・56眼の滲出性AMDに対して、RA(0.5mg)、BE(1.25mg)、AF(2.0mg)を1か月毎に硝子体内注入し、血清内動態を1回目と3回目の注入後に検討した。
・第1回目の注射後の最高血中薬物濃度、28日間の累積面積はAFではRAの5倍と9倍で高かったが、BEではRAの9倍、35倍と高かった。
・3回目投与時の結果から、BEとAFでは血中薬物濃度の蓄積があったが、RAではなかった。
・AFは血漿のVEGFを大きく抑制するが、RAでは変化は少なかった。
・3種とも硝子体注射後に急速に血中に入るが、その後の動態は違う。
・RAは血中半減期は2時間で、すぐに消えるが、BEは血中半減期は20日、AFは5-6日であり、長期間全身暴露があり、血漿中freeのVEGFを著明に抑制していることから、RAが動脈血栓症に関する事象が一番少ないと考えた(図)。(TY)

2014
98巻

角膜新生血管のジアテルミー治療

British Journal of Ophthalmology 98巻 (9号) 2014

Fine needle diathermy occlusion of corneal vessels.
Faraj LA et al(Egypt)
Brit J Ophthalmol 98(9): 1287-1290, 2014
・2004~2012に極小針ジアテルミー(FND)を行った40例42眼について報告する。
・使用した針は10-0ナイロンの3/8側面カット針であり、単極ジアテルミーで最少パワーにして、針に触れ、角膜が軽く白色化するまで凝固した。
・症例は角膜脂肪変性、角膜移植前処置、血管を伴った難治性角膜移植後の拒否反応などである。
・角膜脂肪変性では14/17(82.3%)で有効。
・血管を伴ったハイリスクの角膜移植の術後1年目の生着率は84.6%。
・14眼では2-5回のFND再治療が必要であった。
・そのうち9眼は角膜脂肪変性、5眼は角膜移植の術前処置であった。(TY)

2014
98巻

強膜バックルに少量のガス注入を施行した患者の航空機での旅行の安全性を評価する

British Journal of Ophthalmology 98巻 (9号) 2014

Evaluating the safety of air travel for patients with scleral buckles and small volumes of intraocular gas
Jason Noble et al. (Department of ophthalmology and vision sciences, University of Toronto, Toronto, Ontario, Canada)
Br J Ophthalmol  98(9): 1226-1229, 2014
・12名12眼のうち、強膜バックルあり6名、無し6名。15%C3F8ガス置換を伴うPPV手術後約1ヶ月で航空機旅行を想定した室内で評価した。
・室内は毎分300フィートの割合で最高高度8000フィートまで徐々に減圧される。
・開始前と開始後5分ごとに眼圧を計測した。開始前平均13±3㎜Hgから8000フィートでの26±9㎜Hgまで上昇した。
・バックルありの患者は無しの患者に比し、頂点が低かった。(20±5㎜Hg対32±8㎜Hg、P=0.013)
・眼圧上昇も少なく(7±1㎜Hg対19±7㎜Hg、P=0.001)、基準からの上昇割合も低かった(62±25%対140±40%)。
・少量の硝子体内ガス注入眼では模擬飛行による減圧状態で明確な眼圧の変化を示したが強膜バックル施行の患者には変動が少なく、このような患者は危険な眼圧上昇なしに航空機での旅行に耐えられると思われた。
・強膜バックルを施行の患者はシリコンバックル自体で眼球が硬くなっていることと、その形状の変形も眼圧上昇を防いでいると思われる。
・しかしながら基準の眼圧が高い場合は離陸直後に疼痛を訴え、旅行後に緑内障性視神経症が認められた症例もある。(YM)

2014
98巻

AMDでないCNVに対する陽子線照射:無作為臨床試験2年の結果

British Journal of Ophthalmology 98巻 (9号) 2014

Proton beam irradiation for non-AMD CNV: 2-year results of a randomised clinical trial
Ling Ghen et al. ( Retina service, Massachusetts eye and ear infirmary, department of ophthalomlogy, harvard medical school, Boston, Massachusetts, USA)
Br J Ophthalmol  98(9): 1212-1217, 2014
・AMD以外の原因で二次的に発生したCNVに対する陽子線照射(PBI)治療後の安全性と視力結果を評価する。
・AMDではなく二次的にCNVが発生し、視力が20/320以上の患者46名。PBIを16又は24CGE(cobalt gray equivalents)で照射に無作為に分類し、FAGを含む全眼科的検査を術前と術後6,12,18,24か月に施行した。
・術後1年で16CGEと24CGE群で視力低下が1.5ライン以下であった症例は各々82%と72%、2年後は各々77%と64%であった。
・軽度の合併症として放射線血管炎が17.6%で進行した。CNVはAMD以外でも病的近視、眼ヒストプラズマ症、angioid streaks、などのブルッフ膜の異常で発生しうる。
・自然経過は悪く、治療効果も様々である。中心窩外にはLKも有効であるが中心窩下には行なえない。
・PDTは近視由来の中心窩下CNVには有効であるが、効果は2年は続かない。抗VEGF治療はAMD由来のCNVほど効果が無い。
・その上抗VEGFとPDTは頻回に再治療を要し、患者には危険や不便が加わる。
・放射線治療は一度で済み、選択性から正常組織への損傷も少ない利点がある。
・当初はAMDの二次的CNVのための治療とされ、血管内皮細胞の増殖を妨げCNV複合体内のサイトカイン産生炎症細胞を防ぎ、繊維芽細胞の増殖を減らして、瘢痕形成をすすめる原理である。
・正常組織への放射線照射の合併症は正常組織への照射が主因だが、陽子線治療(PBI)は線量は90%以上が標的に照射されるため損傷は最小となる。(YM)

2014
98巻

成人小眼球における白内障手術

British Journal of Ophthalmology 98巻 (9号) 2014

Cataract surgery in small adult eyes
Gianluca Carifi et al. (Moorfields eye hospital, London, UK)
Br J Ophthalmol  98(9): 1261-1265, 2014
・眼軸20.9㎜未満で高屈折IOL度数(前房固定で30D、後房固定で35D以上)、眼手術の既往の無い症例にPEA-IOL手術を行ない、術中、術後合併症を観察した。
・5年の観察期間で22,093眼中39眼が相当したが術中に重篤な合併症は無かった。
・術後、重篤な合併症(網膜剥離や慢性術後ぶどう膜炎)は2例に認めた。
・術後視力は24眼(62%)で㏒MAR0.30より良好であったが、3眼のみは不良であった。
・10眼(26%)は先天性又は遺伝性の小眼球で視力は低下した(P<0.0001)。
・高屈折IOL度数が必要な小眼球はまれだが、他の先天性又は後天性眼合併症を有しやすい。しかしながら結果は満足のいくものであり、手術の合併症は少ない。(YM)

2014
98巻

加齢性黄斑変性症におけるIVR治療に無反応の要因

British Journal of Ophthalmology 98巻 (9号) 2014

Predictive factors for non-response to intravitreal ranibizumab treatment in age-related macular degeneration
Misa Suzuki et al.(Keio university school of Medicine)
Br J ophthalmol  98(9): 1186-1191, 2014
・AMDの初回治療として3か月毎月のIVR後9か月までPRN治療を行なったAMD患者141名141眼は12か月目でIVR後、浸出が増悪する眼底所見と100㎛以上の中心網膜厚の増加で視力が悪化したが、㏒MAR0.2以上の悪化をIVR無反応症例と判断した。
・視力の評価では14.9%、眼底所見では17.0%が無効であった。
・視力で評価すると線維血管性PEDと漿液性PEDが、眼底所見で評価すると線維血管性PEDとI型CNVが無反応と関連していた。
・Yamashiroらの報告ではPCVの14.3%と、典型的AMDの14.3%はIVRの効果が無い為PDTを開始し、Krugerらの報告では血管新生AMDの15%は、無効だったとある。
・今回もこれらの報告に類似する。線維血管性PEDは視力でも眼底所見からでも共に無効例の危険因子であるが、原因を推測すると、RPE直下の線維組織が脈絡膜毛細血管からの酸素拡散を減少させ、結果としてRPEからの漏出液の能動輸送を妨害することとなる。
・微細な環境を維持するRPEの能力が減少し、光受容体機能がそこなわれる。Type1CNVではRPEバリア機能が保たれていて薬剤の浸透が不充分なため眼底所見では無効に見えてもRPEバリア機能のためAMD領域の急速な進行が無く、視力では無効例の危険因子とならなかったと考えられる。(YM)

2014
98巻

片頭痛発作時の脈絡膜厚

British Journal of Ophthalmology 98巻 (7号) 2014

Enhanced depth imaging optical coherence tomography of the choroid in migraine patients: implications for the association of migraine and glaucoma.
Dadaci Z et al(Turkey)
Brit J Ophthalmol 98(7): 972-975, 2014
・Auraがあるかどうかは不問として、29名の頭痛患者で、発作時と緩解期で脈絡膜厚を測定した(58眼)。
・測定部位は中心窩と、中心窩から500μm間隔で鼻側と耳側の3か所である。
・片側の頭痛患者では発作時には全か所で脈絡膜厚が有意に増加していた。
・例えば中心窩では頭痛側眼では、発作時:緩解時は、408.8±77.7:373.5±76.5(p<0.001)、対側眼では、386.6±81.8:386.0±82.0(p=0.427)。
・両側の頭痛患者では右眼では5/7か所で、左眼では7/7か所で発作時に肥厚していた。
・頭痛と緑内障はいずれも三叉神経支配であることで、神経炎症として関連があると考えている。(TY)

2014
98巻

線維柱帯切除後の眼軸長の変化

British Journal of Ophthalmology 98巻 (7号) 2014

Change in choroidal thickness and axial length with change in intraocular pressure after trabeculectomy.
Saeedi O et al(MD USA)
Brit J Ophthalmol 98(7): 976-979, 2014
・20例21眼の線維柱帯切除眼で術前と術後1W,1,3,6Mで脈絡膜厚を測定した。
・脈絡膜厚は中心窩周囲6mmの平均とした。
・全例で脈絡膜厚は術後眼圧下降とともに肥厚しており、1mmHg下降で3.4μm(95%CI=2.5-4.3 p<0.0001)、眼圧1mmHg下降で、1.7%増加(95%CI=1.3-2.0% p<0.0001)の肥厚であった。
・眼軸長は1mmHg下降で6.8μm短縮(95%CI=4.9-8.6 p<0.0001)であった。(TY)

2014
98巻

網膜光障害

British Journal of Ophthalmology 98巻 (7号) 2014

Evidence of early ultrastructural photoreceptor abnormalities in light-induced retinal degeneration using spectral domain optical coherence tomography.
Aziz MK et al(NC USA)
Brit J Ophthalmol 98(7): 984-989, 2014
・5000 luxを3時間照射した後のOCT像を、3h、24h、3D, 1W, 1M後に調査した。
・照射中の1h、2hでも調べた(TY)

2014
98巻

角膜新生血管に対するジアテルミー治療

British Journal of Ophthalmology 98巻 (4号) 2014

Long-term outcomes of fine needle diathermy for established corneal neovascularisation.
Trikha S et al(UK)
Brit J Ophthalmol 98(4): 454-458, 2014
・角膜新生血管は視力低下をきたすし、外見上も悪い。
・52例56眼に対して微小針でのジアテルミー(FND)での治療を行い、その安全性と経過(平均18.9か月:1-56か月)を報告する。
・角膜新生血管の原因は単純ヘルペス25例53%などである。
・術中合併症は角膜実質あるいは結膜下出血(2%)であった。
・結果は、68.1%では平均6.9週の初期経過で軽快した。
・最終的に89.3%は2回、3回で全例が軽快した。
・角膜ヘルペス後のものでは、視力は術前0.82±0.69(小数点0.15)→0.62±0.65(0.23)に改善した。
・方法は10-0ナイロン糸を新生血管の角膜侵入部のすぐ傍の角膜半層(輪部では500μ深)に通し、ナイロンの針に単極ジアテルミーを2-3秒作用させた。
・術後は2週間デキサメサゾン0.1%を1日4回、単純ヘルペスの時は抗ヘルペス内服も同時に使用した。
・この方法は安全で有効な方法であると考えた。(TY)

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