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Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology

2010
248巻

DMEに対するQスイッチレーザー治療

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 248巻 (9号) 2010

Selective retinal therapy (SRT) for clinically significant diabetic macular edema.
Roider J et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol, 248(9), 1263-72, 2010
・Selective retinal therapy(SRT)のphaseⅡ studyである。39例39眼の未治療の虚血性ではないDMEに対して、Qスイッチ Nd:YLFレーザー治療を行った。
・波長527nm、凝固時間1.7μs、最高出力400μJ(247±50で、200-325μJ)、1部位に対して100Hzで30パルス発射、照射時間300ms、サイズ210μm、発射数は35.2±24発(11-125発)。
・出力は、10-20のテストスポットを発射した1-2時間後にFAGを行い、決定した。
・このレーザーは選択的にRPEを凝固し、視細胞レベルには障害を来たさないと考えられる。
・凝固斑はFAGでは検出できるが検眼鏡的には観察不能である。
・6か月後のETDRS視力は、43.7±9.1文字→46.1±10.5文字に改善(p=0.02)。
・5文字を超えて改善あるいは5文字以内で不変であったものが84%。10文字以上改善が13%、5文字以上悪化が16%。15文字以上悪化例はなかった。
・視力改善は硬性白斑の減少(p=0.01)、中心網膜厚の減少(p=0.01)と相関していた。SRT治療は安全で有効な方法である。

2010
248巻

Trifocal回折型IOL

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 248巻 (9号) 2010

Initial results of trifocal diffractive IOL implantation.
Voskresenskaya A et al(Russia)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol, 248(9), 1299-1306, 2010
・回折型の3焦点眼内レンズ MIOL-Record を作成し、36眼に移植した。
・眼内レンズ形状はAcrySofとほぼ同じ。結果は良好。

2010
248巻

特発黄斑円孔と外傷性黄斑円孔との形態上の違いについて

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 248巻 (8号) 2010

Comparison of full-thickness traumatic macular holes and idiopathic macular holes by optical coherence tomography.
Huang J et al(China)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(8): 1071-5, 2010
・外傷性黄斑円孔(TMH)と特発性黄斑円孔(IMH)のOCT上の特徴を検討した。
・連続する73例のTMHと、片眼性のIMH 182例のうち、OCTを記録した60例について、OCT上で、先端径、底辺径、辺縁の網膜厚を測定した。
・IMHと比較すると、TMHでは、網膜厚は薄く(248.32±130.31 vs 408.76±64.40μm)、底辺径が大きく(1338.45±758.35 vs 958.57±290.57μm)、底辺面積が大きく(176.85±242.23 vs 77.92±44.07 x 10,000μm2)、円形みが少なく、視力が悪かった(logMAR 1.23±0.51(小数点0.059) vs 1.06±0.40(小数点0.087))。
・硝子体剥離はIMHでより多かった。
・IMHもTMHも縦径よりも横径が大きかった。
・IMHでは視力は円孔径と負の相関があったが、TMHでは何とも相関していなかった。

2010
248巻

術後2週間目の瀘過泡で半年後の瀘過泡機能が予測できるか

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 248巻 (8号) 2010

Early trabeculectomy bleb walls on anterior-segment optical coherence tomography.
Nakano N et al(京大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(8): 1173-82, 2010
・48眼のMMCを使用した線維柱帯切除後2週間目の瀘過泡の前眼部OCT(AS-OCT)所見と、6か月後の瀘過泡機能について検討した。
・2週間目の瀘過泡は単純型(10/48 20.8%)と複雑型(38/48 79.2%)に分類できた。
・2週間目に単純な反射率をもったものは有意に6か月後の機能が悪かった(p<0.001)。
・複雑型の瀘過泡壁は低反射領域がみられた。これは、緩く配置された結合織、結膜下の分離や微小なチストであった。
・6ヶ月目の瀘過泡機能は、良(30眼):点眼なしで14mmHg以下、並(6眼):点眼薬なしで15-18mmHg、不良(12眼):点眼なしで19mmHg以上か点眼薬使用)とすると、良群と不良群では単純型は0/30例(0%)と8/12(66.7%)、複雑型は30/30(100%)と4/12(33.3%)で、複雑型の内、多層構造は23/30(76.7%)と1/12(8.3%)、結膜下分離は5/30(16.7%)と1/12(8.3%)、微小チストは12/30(40.0%)と3/12(25.0%)であった。
・2週間目に瀘過泡に多層構造がみられる場合には有意に6ヶ月目の瀘過泡機能は良好であった(p=0.025)。
・2週間目の眼圧は6ヶ月目の瀘過泡機能と相関がなかった(p=0.471)。

2010
248巻

網膜剥離内陥手術前のデキサメタゾン結膜下注射の効果

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 248巻 (7号) 2010

The effect of a preoperative subconjunctival injection of dexamethasone on blood-retinal barrier breakdown following scleral buckling retinal detachment surgery: a prospective randomized placebo-controlled double blind clinical trial.
Bali E et al(Netherlands)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(7): 957-62, 2010
・網膜剥離手術後の血液網膜柵の破綻は増殖性硝子体網膜症(PVR)発症の要因である。
・術前のデキサメタゾンの結膜下注射で術後の血液網膜柵の破綻を阻止できるか検討した。
・34例の経強膜内陥手術を行う網膜剥離患者を、術前5-6時間前に0.5mlデキサメタゾン(10mg)と0.5mlのplacebo注射群に二重盲検で振り分けて、1,3,6週後にKOWAのlaser flare photometryで炎症程度を測定した。
・6例がdropout。
・術後1週目では、デキサメタゾン群はプラセボ群に比して48.3%(95%CI=-72.1%~-4.4% p=0.017)のフレア値の低下があった。
・3週目、6週目では有意差はなかった。
・デキサメタゾン(0.5%液:3.8mg/ml)。
・文献的には2.5mgデキサメタゾンを3-6時間前に結膜下注射すると、硝子体内には72.5ng/ml、網膜下には367ng/mlの濃度となるので、今回の方法では手術時に網膜下に700-1000ng/ml濃度となっており、PVR発症リスクを減らせたのではないかと考える。

2010
248巻

BRVOに対するケナコルトとアバスチン治療の比較

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 248巻 (7号) 2010

Intravitreal triamcinolone acetonide versus bevacizumab therapy for macular edema associated with branch retinal vein occlusion.
Byun YJ et al(Korea)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(7): 963-71, 2010
・BRVOに伴った黄斑浮腫に対し、硝子体内triamcinolone acetonide(IVTA)注射とbevacizumab(IVB)注射との優劣を連続する134例で比較した。
・視力、OCTを1,3,6,9,12か月後に測定し、治療後の黄斑浮腫再発時期について検討。
・12ヶ月後には視力logMARはITVAとIVB群で、0.87±0.14→0.49±0.33、0.91±0.13→0.45±0.36に上昇(p<0.001)。
・黄斑厚は491±135→242±75、477±213→245±103μmに改善(p<0.001)。
・両群間に視力、網膜厚変化には有意差はなかった。
・再発については、ITVA群では12.6ヶ月で7.6%が再発し、平均注射回数は1.08であったが、IVB群では5.3ヶ月で26.0%が再発し、平均注射回数は1.89であり、有意にIVB群で多かった(p<0.0001)。
・両者は効果では優劣はないが、IVTA群では治療効果が長く続き再発は少なかった。

2010
248巻

進行した緑内障患者のスタイルス・クラウフォード効果

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 248巻 (7号) 2010

Foveal cone phtorecetor involvement in primary open-angle glaucoma.
Kanis MJ et al(Netherlands)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(7): 999-1006, 2010
・中心視野欠損のある緑内障患者19名(中間値:60.1歳)と年齢を合わせたコントロール群34眼(中間値:55.1歳)で眼底反射率測定を行い、水晶体濃度、黄斑色素濃度、錐体の指方向性、内境界膜の反射率などを測定した。
・緑内障患者では、Rd(指方向性錐体反射率 p=0.003))とRILM(内境界膜の反射率 p<0.001)のみが有意に低かった。
・進行した中心視野欠損のある緑内障患者では、錐体の指方向性(Stiles-Crawford effect)が障害されていることが分かった

2010
248巻

睡眠時呼吸障害の改善による中心性網脈絡膜症の改善例について

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 248巻 (7号) 2010

Bilateral central serous chorioretinopathy resolving rapidly with treatment for obstructive sleep apnea.
Jain AK et al(CA USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(7): 1037-9, 2010
・45歳男性で、両眼性の中心性網脈絡膜症で、視力は右20/30、左20/40。
・CPAP(continuous positive airway pressure)治療を開始直後から視力改善を自覚し、治療1週間後には視力も右20/20、左20/25に戻り、OCT上、網膜剥離は消失し、2週間後には両眼とも視力は20/20、変視症もなくなった

2010
248巻

糖尿病性硝子体出血に対する硝子体手術時のアバスチンとケナコルトの効果

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 248巻 (5号) 2010

Intravitreal injection of bevacizumab and triamcinolone acetonide at the end of vitrectomy for diabetic vitreous hemorrhage: a comparative study.
Park DH et al(South Korea)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(5): 641-50, 2010
・糖尿病性硝子体出血に対する硝子体手術後の硝子体内注入で、bebacizumab(IVB:1.25mg/0.05ml)とTriamcinolone acertonide(IVT:4mg/0.1ml)注入とどちらが良いかの比較を行った。
・139例156眼で、60例66眼にはIVB、31例33眼にはIVTを行い、48例57眼は何も注入しなかった。
・視力(BCVA)、眼内圧(IOP)、術後VHの頻度、12ヶ月以内の再手術について検討。
・1ヶ月以内のVHの頻度は、IVBでは8眼(12.1%)、IVTでは3眼(9.1%)、コントロール眼では21眼(36.8%)であり、IVB群(p=0.002)とIVT群(p=0.006)では有意に少なかった。
・1ヶ月以降の晩期のVH頻度は、IVBでは11眼(16.7%)、IVTでは3眼(9.1%)、コントロール眼では12眼(21.1%)であり、3群間に有意差はなかった。
・IVT群では術1日目のIOPが有意に高かった(p=0.002)が、3群間でBCVA、再手術率には有意差がなかった。

2010
248巻

前房内への抗生剤投与は安全か?

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 248巻 (3号) 2010

Are cefuroxime and vancomycin really safe on the corneal endothelial cells?
Ozlem TY et al(Turkey)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(3): 415- 20, 2010
・角膜組織の酸化/抗酸化の生化学的な変化から、前房内への抗生剤投与の角膜内皮への毒性について検討した。
・New Zealand rabbitsを使用し、cefuroxime群、vancomycin群、コントロール群(生食)を各10頭で検討した。
・片眼のみ使用し、それぞれ、0.1mlづつ注入。前、3時間、6時間後に摘出し、角膜厚と透明度、酸化ストレスのパラメータとして、malondialdehyude(MDA)とtotal thiol(SH)のレベルを測定した。
・角膜厚、透明度は問題なかったが、cefuroxime群では、SHが有意に低下し(p=0.001)、MDAレベルが有意に増加(p<0.001)していたが、vancomycin群ではこの酸化ストレスのパラメータには有意な変化はなかった。
・殊にCefuroximeを使用するときは、濃度に注意すべきである

2010
248巻

BRVOに対する硝子体手術前後の黄斑部の毛細循環

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 248巻 (3号) 2010

Macular microcirculation before and after vitrectomy for macular edema with branch retinal vein occlusion.
Noma H et al(東京女子医大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(3): 443- 5, 2010
・6名6眼のBRVOに対し硝子体手術PPVを行い、術前、術6か月後に、傍中心窩毛細血管の血流速度(BFV)をscanning laser ophthalmoscopeを使ったFA蛍光眼底検査で測定し、logMAR視力、網膜厚も測定した。
・網膜厚は有意に減少(464±98→224±55μm p=0.0082)、BFVは有意に増加(1.14±0.14→1.46±0.21mm/sec p=0.0013)、logMAR視力は有意に低下(0.57±0.34→0.17±0.21 p=0.0036:小数点視力では0.27→0.68)。
・PPVは傍中心窩の毛細血管血流を改善し、視力も改善させることができる

2010
248巻

白内障、緑内障同時手術、2step手術の角膜内皮への影響について

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 248巻 (2号) 2010

Corneal endothelial cell loss after trabeculectomy or after phacoemulsification, IOL implantation and trabeculectomy in 1 or 2 steps.
Soro-Martinez MI et al(Spain)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(2): 249-56, 2010
・2段階手術での角膜内皮細胞障害について検討した。
・60歳から83歳の62例80眼を手術を受けないコントロール群(n=21)、線維柱帯切除群(Group 1; n=21)、線維柱帯切除+IOL手術併用one step(Group 2; n=21)、two step(Group 3;n=17)に分けて検討。
・手術は6ヶ月から5年前に施行されており、two stepの場合、間は3カ月以上離れている。
・角膜内皮密度と%cell lossは、それぞれ、2619±319、2447±425(6.35%)、1968±342(24.85%)、1551±323cells/mm2(40.78%)で、併用手術は有意に低下していた。
・Hexagonalityの%は、51.10±8.41、51.4±6.88、45.13±8.40、42.37±9.53であったが、有意差はなかった。

2010
248巻

正常眼圧緑内障での眼圧測定の問題点

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 248巻 (1号) 2010

Intraocular pressure measured by dynamic contour tonometer and ocular response analyzer in normal tension glaucoma.
Morita T(北里大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(1): 73-7, 2010
・健康人16人30眼と正常眼圧緑内障16人30眼で、Goldmann applanation眼圧計(GAT)、Pascal dynamic contour眼圧計(DCT)、Reichert ocular response analyzer(ORA:角膜hysteresisを考慮した眼圧測定)で、測定した。
・解析はGAT-IOP、DCT-IOP、ORAからの2つの出力値:角膜補正した眼圧 IOPccとGoldmann補正した眼圧 IOPgと、中心角膜厚CCCである。
・正常者では GAT=13.2±1.4、DCT=13.0±1.6、IOPcc=13.6±2.0、IOPg=12.4±2.0、CCT=524.6±27.3μmで、眼圧値に有意差はなかった。
・正常眼圧緑内障では、GAT=13.1±1.3、DCT=13.7±1.3、IOPcc=15.2±2.0、IOPg=12.7±2.0で、この4つの測定値には有意差があり(p<0.01)、IOPccが有意に他の3つの値より高かった。
・CCT=515.4±32.9で正常者と有意差はなかった。
・このことから、NTGでは眼圧は低く査定されている可能性があると考えた。

2009
247巻

シリコンオイルによる眼圧上昇機序

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 247巻 (12号) 2009

Silicone oil induced glaucoma: A review
Ichhpujani P et al(PA USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol  247(12): 1585  93, 2009
・シリコンオイル注入後の眼圧上昇、視神経症のメカニズムと対策をまとめたreview。
・眼圧上昇の機序は4つあるので、これを考慮して対処するのがよい
・1)前房にSOが満たされ、器械的な流出路閉塞による開放隅角緑内障
・2)SOによる瞳孔閉鎖による閉塞隅角緑内障
・3)SOが変性して微小滴になり線維柱帯を覆うことによる続発性開放隅角緑内障
・4)炎症あるいは前から存在した緑内障の悪化

2009
247巻

角膜移植時のアバスチンの有効性

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 247巻 (12号) 2009

Avastin use in high risk corneal transplantation.
Vassileva PI et al(Bulgaria)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol  247(12): 1701  6, 2009
・ハイリスクな角膜新生血管のある全層角膜移植PKP後の14例14眼(平均年齢63.4歳:30-83歳)に対して、Avastinの結膜下、傍輪部、実質内注射(Graft failure例のみ)の効果を検討した。
・対象は角膜ヘルペスあるいは角膜火傷、進行した表面と深層に新生血管のある偽水晶体性水疱性角膜症、円錐角膜、遺伝性角膜変性での重症な角膜感染、角膜移植後の角膜症で新生血管のある角膜白斑である。
・1/4象限に対して 2.5mg/0.1mlのアバスチンを注入。
・graft failureの2例は移植前に新生血管部に、10例は移植直後に、そして、4例には経過観察中に注射した。
・2-8ヶ月(平均7.1ヵ月の経過観察で、新生血管消失は11例(78.6%)で、high riskであったにも拘わらず、12眼(85.7%)で観察終了時に角膜は透明であり、視力も良好であった。合併症はなかった

2009
247巻

黄斑円孔手術時のSF6ガスと空気の効果は同じか

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 247巻 (11号) 2009

Equivalent tamponade by room air as compared with SF6 after macular hole surgery.
Hasegawa Y et al(九州大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol  247(11): 1455  9, 2009
・35歳から88歳(平均65.1歳)の151例156眼の黄斑円孔に対し、ILM剥離を併用した硝子体手術を行った。
・ガス群(91眼)では20%SF6ガスを注入、空気群(65眼)では部屋の空気を注入した。
・術前円孔直径はガス群は352μ空気群は370μで有意差なし。
・初回閉鎖率はガス群90.1%(うつぶせ期間7.44±1.66日)、空気群92.3%(うつぶせ期間3.83±0.97日)で期間には有意差があったが(p<0.0001)、初回閉鎖率には有意差はなかった(p=0.132)。

2009
247巻

小口氏病の病態

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 247巻 (11号) 2009

Shortening of the rod outer segment in Oguchi disease.
Hashimoto H et al(群馬大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol  247(11): 1561  3, 2009
・31歳の小口病の網膜をOCTで調査した。
・黄斑部は正常であったが、中央から3ミリ離れたところでは、IS/OSとRPEとの間隔が突然狭くなり、IS/OSラインが検出できなくなっていた。
・そこでは外顆粒層(ONL)の厚みが薄くなっていた。
・6mm程離れると、IS/OSラインは検出されるようになるが、IS/OSとRPEとの間隔はまだ狭くなっていた。
・周辺部の網膜厚は正常。この間隔の減少は視細胞外節が短くなっていることを示しており、それが、金箔様反射となっているのだろう。

2009
247巻

角膜新生血管に対するアバスチンの効果と安全性

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 247巻 (10号) 2009

Short- and long-term safety profile and efficacy of topical bevacizumab (Avastin) eye drops against corneal neovascularization.
Koenig Y et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 247(10): 1375-82, 2009
・27例30眼の通常の抗炎症治療に反応しなかった各種の進行性角膜新生血管眼に対し、bevacizumab点眼(5mg/ml)を1日5回, 0.5-12ヵ月使用し、角膜デジタル写真を解析した。
・5例5眼では新しい角膜上皮障害が発生、全例で薬剤に関連する眼局所、全身合併症はなかった。
・19例21眼で写真判定ができ、治療中の平均新生血管面積の減少は61%であり、血管径は24%減少した

2009
247巻

脳脊髄圧と緑内障との関連についての論点

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 247巻 (9号) 2009

Cerebrospinal fluid pressure and glaucomatous optic disc cupping.
Berdaho JP et al(MN USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol  247(9): 1289  90, 2009
・本誌247(6号)のHayreh SS論文:[Editorial: Cerebrospinal fluid and glaucomatous optic disc dupping]が載っている。
・Hayrehは「脳脊髄圧CSFPが下がることによる、IOPとCSFPとのバランスのくずれが、篩板を後ろに下げ、緑内障性の視神経症を発症させるという理論には妥当性がない」と結論しているが、これにたいして、私は異議がある。
・Hayreyの結論は急性の変化だけを考えており、慢性の変化は考慮していない

2009
247巻

脳脊髄圧と緑内障との関連には科学的根拠が少ない

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 247巻 (9号) 2009

Cerebrospinal fluid pressure and glaucomatous optic disc cupping (response to Berdahl and colleagues)
Hayreh SS(IA USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol  247(9): 1291  4, 2009
・私の結論は「CSFPは緑内障による視神経乳頭陥凹に関与していない」というものであるが、それに対する Berdahlらの「低CSFPが篩板の後退と陥凹をつくる」という意見にはいくつかの根本的な欠陥がある。
・それは、緑内障性陥凹は脳圧亢進の時の乳頭浮腫の反対であるとの憶測から始まっていることだが、これはaxoplasmic flowの欝滞であり、無関係だ。低CSFPが視神経乳頭陥凹を来たすとの科学的根拠は何もない。

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