Unsuccessful surgical excision of optic nerve drusen.
Pfriem M et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 249(10): 1583-5, 2011
・両眼の視神経乳頭ドルーゼン(OND)による進行性の視野欠損があり、左眼は光覚弁、右眼は20/25の53歳女性の左眼で、ONDが切除できるかどうかやってみたが、失敗した。
・その理由は、表層の単純なOND様に見えても、表層に多数の突起をもった一つの大きな塊であり、網膜血管もその中を貫通していた。
・剪刀、鑷子なども用いて除去しようと試みたが、視神経乳頭を完全に覆った石灰化した表面の、多数の小葉で構成されており、切除できなかった。
Occurrence of capsular delamination in the dislocated in-the-bag intraocular lens.
Hirata A et al(佐賀医大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 249(9): 1409-15, 2011
・嚢内に固定されたまま脱臼し、摘出された19例の眼内レンズを電顕で調査した。
・7例がPEX、高度近視が3例、外傷の既往が2例、硝子体術眼が2例、網膜色素変性症が1例、ぶどう膜炎が1例、既往歴なしが3例である。
・7例のPEX例では全例、嚢の収縮と嚢径の縮小、チン小帯繊維の断裂が見られた。
・PEX以外の12例では3例に軽度の嚢収縮があったが、嚢径の縮小はなく、嚢の赤道部に嚢の層間剥離があり、その部分のチン小体繊維は完全に消失していた。
・この嚢の層間剥離は慢性炎症、加齢、術中のストレスによるものと推測した。
・嚢内IOL脱臼は、PEXでみられるチン小体の弱体化と、非PEX眼でみられる嚢の層間剥離による嚢自体の弱体化の2つの原因があるだろう。
Pneumatic displacement of submacular hemorrhage with or without tissure plasminogen activator.
Mizutani T et al(名市大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 249(8): 1153-7, 2011
・39眼のAMDと14眼の網膜動脈瘤破裂による53眼の黄斑下出血に対し、硝子体内へSF6ガス注入を行った。
・SF6は純粋を0.3-0.6ml注入、tPAは40kIUを注入した。AMDでは36/39眼でtPA注入。
・網膜動脈瘤破裂では最初の4例のみtPA注入し、その後の10例は使用しなかった。
・注入前の経過観察期間は18.4±16.6(3-61)ヶ月、年齢は72.6±10.2(50-90)歳。
・視力改善が0.3 logMAR以上改善が34眼64.2%、0.3 logMAR以内のやや改善が15眼28.3%、悪化が4眼7.5%であった。
・注入後の硝子体出血を含んだ再出血は、AMDではtPA使用例では8/36(22.2%)、tPA未使用例では1/3(33.3%)であったが、網膜動脈瘤ではtPA使用例では4/4(100%)、未使用例では1/10(10%)であり、有意差があった(p<0.005)。
・AMDによる黄斑下出血にはtPAは有効であったが、動脈瘤破裂では硝子体出血を発生することが多く、推奨される治療ではない。
Is the peripheral retina an important site for myopic development? [Liu Y & Wildsoet C. The effect of two-zone concentric bifocal spectacles lenses on refractive error development and eye glowth in young chicks. [IOVS 52:1078,2011]
Chan HH(Hong Kong)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 249(7): 955-6, 2011
・同心円状の2焦点眼鏡を若いひよこにかけさせた。
・中心部の直径が2.5-6.5mmの5種類で、4種類の度数の以下の組み合わせ:中心が0Dで、周辺が-5D~+5D、周辺が0Dで、中心が-5D~+5Dの組み合わせとした。
・結果は中心のボケよりも、周辺のボケの方が近視にも遠視にも屈折の進展に影響があり、周辺のボケの影響は、単焦点レンズよりも大きかった。
・眼球発達にとって、周辺部のボケが中心部のボケの影響より大きいことが分かった。
・また、中心と周辺部との有効視野の相互効果が屈折異常を発症させるのに大きな影響があった。
・ひよこの網膜にはボケに効果的に反応する範囲があるだろう。
・人にも同じことがあるようで、Hoら(Vision Res 51:367,2011)は、電気生理的実験から、10~26゚の視野であろうと考えた。
Trans-lamina cribrosa pressure difference correlated with neuroretinal rim area in glaucoma.
Ren R et al(China)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 249(7): 1057-63, 2011
・篩板前後の圧差と、緑内障性視神経障害を示唆する視神経乳頭リムの面積とが相関するかどうかを検討した。
・眼圧の高い緑内障22名、正常眼圧緑内障13名、高眼圧症17名で、乳頭解析、脳脊髄圧CSF圧などを測定し、篩板前後圧差は<眼圧-CSF圧>とした。
・篩板前後圧差は、乳頭リム面積(r=-0.38 p=0.006)、視野欠損のMD値(r=0.38 p=0.008)と、有意に相関していた。
・このことから、篩板前後圧差は緑内障性視神経障害に関与していると考えた。
・高眼圧症:POAGで比較すると、中心角膜厚 581±27:546±31μm(p<0.001)、脳脊髄圧 16±3:11±3mmHg(p<0.001)、篩板前後圧差 6.5±2.5:10.5±5mmHg(p<0.001~p=0.006)、リム面積 1.65±0.3:1.25±0.4(p<0.001~p=0.001)
Postural changes in intraocular pressure are associated with asymmetrical retinal nerve fiber thinning in treated patients with primary open-angle glaucoma.
Mizokami J et al(神戸大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 249(6): 879-85, 2011
・66名132眼のPOAG(年齢55.2±13.4)で、TonoPenで眼圧を最初は座位で測定し、その後、10分おきに仰臥位で60分間測定し、最後に座位で測定した。
・ハンフリー視野30-2、OCTでのRNFL厚みも測定し、視野のMean deviation(MD)とRNFL厚を座位と仰臥位での眼圧差の大きい群と小さい群とで比較した。
・MD値は眼圧差の大きい群(6.21±3.18mmHg)は-1.2±7.63dB、小さい群(3.02±0.37)では-9.67±6.80dBで有意差があり(p=0.018)、RNFL厚みは、それぞれ、64.33±17.83μmと68.56±15.10で有意差があった(p=0.049)。
・座位眼圧は13.59±4.38と、14.02±3.28で有意差がなかったが、最高眼圧は19.80±5.01と、18.02±3.64で有意差があった(p<0.0001)。
・中心角膜厚には有意差がなかった。
・MD値もRNFL厚みも、座位での高眼圧群、低眼圧群との間には有意差がなかった。
・このことから、姿勢変化による眼圧上昇量は機能的、構造的な障害量と比例することが分かった。
Comparison between Pascal dynamic contour tonometer and Goldmann applanation tonometer after different types fo refractive surgery.
Aristeidou AP et al(Greece)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 249(5): 767-73, 2011
・PRK、LASIK後のパスカル眼圧計(PDCT)とゴールドマン眼圧計(GAT)のデータを比較した。
・近視矯正PRK患者84例(CCT減少は-61.3±28.1μm)、近視矯正LASIK患者182例(-71.7±28.6μm)、遠視矯正LASIK患者43例(-16.4±23.9μm)について、眼圧を術1日前、1, 3, 6, 12ヶ月後に測定した。
・超音波眼軸長測定は術後1ヶ月で行った。
・術前、術後とも、GAT値はPDCTよりも全群で低かった(p<0.05)。
・術後はPRK群ではGATでは 1,3,6,12M後の変化は-1.4, -1.7, -1.7, -1.9mmHgであった(全部 p<0.05)。
・近視LASIK群でのGAT変化は、-3.6, -3.6, -3.6, -3.5mmHg(全部 p<0.05)、遠視LASIK群では、-1.1, -0.7, -1.1, -0.9mmHg(全部 p<0.05)。
・12ヶ月後のGATとPDCTの差(GAT-PDCT)は、近視PRKで-3.8、近視LASIKで-4.1、遠視LASIKで-1.5mmHgであった。
・PDCTでは、どの群でも有意な変化はなく、角膜屈折手術後の眼圧測定には有効であった
Decreased retinal nerve fiber layer thickness in patients with obstructive sleep apnea/hypopnea syndrome.
Lin PW et al(Taiwan)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 249(4): 585-93, 2011
・睡眠時無呼吸症候群OSAHS患者で、程度判定も行った105人と、正常者22名について、RNFL、視神経乳頭形状解析、早期緑内障診断の為の黄斑部のRNFL厚みを測定した。
・正常:軽度OSAHS:中等度:重度で、OCTでのRNFL厚みは、平均値では、109.0±7.7:107.5±8.1:105.0±8.1:101.8±9.6でp<0.0001で有意差があり、上方ではp=0.0007、耳側ではp=0.036で有意差があった。
・正常者と軽度OSAHSを合わせたG1群(AHI<15)と、中等度・重度を合わせたG2群(AHI≧15)で比較すると、RNFL厚みは平均値で、G1:G2では、108.1±7.9:103.1±9.1(p<0.0001)、上方でp=0.0001、耳側でp=0.007、下方でp=0.029で有意差があった。
・Polysomnography(睡眠ポリグラフ計PSG)での最低酸素飽和度とRNFL厚みとは、平均でr=0.26、上方でr=0.200、鼻側でr=0.156で、正の相関関係があった。
・このことから、中等度あるいは重度のOSAHSは、緑内障のリスクが高いことが分かった。
Visual atuity as measured with Landolt C chart and Early Treatment of Diabetic Retinopathy Study(ETDRS) chart.
Kuo HK et al(Taiwan)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 249(4): 601-5, 2011
・正常者、白内障者、黄斑症患者(黄斑円孔、AMD、近視性黄斑症、RVO黄斑症)で、ランドルト環とETDRSチャートで、視力測定を行った。
・正常者、白内障者では両者間に差はなかった
・黄斑症患者ではLogMARでは、有意差はなかったが、ランドルトC視力よりETDRS視力の方が良かった。0.845(小数点0.14)±0.579:0.714(小数点0.19)±0.393。
・ただ、視力0.1未満と0.1以上の2群に分けてみると、0.1未満群では、1.419(小数点0.038)±0.385:1.014(小数点0.097)±0.319で、有意差があり(p<0.001)、平均視力差は4ラインであった。
Determination of absolute size of fundus objects.
Dawczynski J et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 249(3): 381-7, 2011
・Retina fringe projector(RFP)を用いて干渉縞を網膜に写し込み、眼底像の大きさを実測する方法を考案した。
・モデル眼でチェックした後、様々な屈折度の52例の患者眼で、Zeiss FF450眼底カメラで計測した。
・大きさの分かったものをモデル眼で計測した場合、平均1-2%以内の誤差で、全て3%以内には入っていた。
・臨床的にも偏位は2.5%であった。
Differential diameter responses in macular and peripheral retinal arterioles may contribute to the regional distribution of diabetic retinopathy lesions.
Jensen PS et al(Denmark)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 249(3): 407-12, 2011
・糖尿病網膜症は網膜の自動制御機構(圧と代謝)が破綻したと考えられている。
・糖尿病網膜症には部位的な差があり、黄斑部では過灌流があり、周辺部では網膜虚血を伴った毛細管の閉塞が見られる。
・このような網膜症の差は網膜動脈径の自動制御機構に差があるためであろうと考えている。
・正常者、糖尿病黄斑症(DM)、増殖性糖尿病網膜症(PDR)、それぞれ17名づつで検討した。
・2Kgの錘を腕で持ち上げた刺激による動脈血圧の上昇、あるいは、8Hzのフリッカー光を与えた時の網膜代謝の増加、あるいは両方で刺激している時の黄斑部と網膜周辺部網膜動脈径の変化を、dynamic vessel analyzer(DVA)を用いて測定した。
・網膜動脈圧の上昇%は、3群で有意差はなく、運動時は18.8-19.77%、光刺激では0.7-1.6%、両刺激では17.3-19.8%であった。
・運動刺激では、正常者とDMでは黄斑部、周辺部ともに網膜動脈径は減少したが、PDRではやや増加しており(N:-2~-3%、DM:-1%、PDR:+1%)、PDRは他の2群と有意に異なっていた(p=0.03)。
・光刺激での網膜動脈径の増加は正常者、DMに比して、PDRでは有意に少なかった(p=0.01)(N:+3~+4%、DM:+2%、DMR:+0.5~+1.0%)。これらは黄斑部と周辺部に有意差はなかった。
・両刺激では、黄斑部では3群間に有意差はなかったが(N:+1.3%、DM:1.5%、PDR:+2.9%)、周辺部ではN:+3.3%、DM:+0.5%、DMR:+0.5%とDM、DMRでは正常者よりも有意に少なく(p=0.01)、黄斑部と周辺部を比較すると、正常者では有意に周辺部で大きく(p=0.02)、PDRでは有意に黄斑部で大きかった(p=0.049)。
・これらのことは、黄斑部では虚血から守るような自動制御機構が働いているが、周辺部では働いていないと考えられる。
・これらの検討は、DMの病態を考える上で有益である。
The effect of caffeine on intraocular pressure: a systematic review and meta-analysis.
Li M et al(Shanghai)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 249(3): 435-42, 2011
・カフェイン摂取の正常者、緑内障者、高眼圧者に対する影響についての、6つの無作為比較試験を文献的に検討した。
・対象は合計144名(正常:103名、緑内障か高眼圧症:41名)である。
・カフェイン摂取後、0.5h、1h、1.5hの眼圧上昇(平均、95%CI)は、正常者では -0.740(-2.45~0.97)、0.522(-0.57~1.61)、0.580(-1.524~2.68)であったが、緑内障かOHでは、0.347(0.08~0.62)、2.395(1.74~3.05)、1.998(1.52~2.47)であり、高くなっていた。
Levels of plasma homocysteine in pseudoexfoliation glaucoma.
Tranchina L et al(Italy)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 249(3): 443-8, 2011
・36名の落屑緑内障(PEXG)、40名のPOAG、40名の正常コントロールで血清のホモシスチン(Hcy)、ビタミンB12、葉酸を調べた。
・PEXGでは血清のホモシスチン量が16.55±7.23μm/Lで、POAG:13.91±3.61、コントロール:13.12±5.13に比較し、有意に高かった(それぞれ、p=0.03, p=0.0007)。
・血清ビタミンB12、葉酸には有意差がなかった。
Intravitreal bevacizumab vs. sham treatment in acute branch retinal vein occlusion with macular edema: results at 3 months (Report 1).
Moradian S et al(Iran)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 249(2): 193-200, 2011
・81例81眼のBRVOをIVB群(6週間おきに1.25mgを2回注射の42眼)とsham群(39眼)に分けて、6週間後、12週間後に検討した。
・IVB群では視力、中心網膜厚CMTともに改善しており、6週目での最良視力はIVB群ではsham群より有意に改善していた。
・しかし、12週目ではlogMARでの改善は、IVB群 0.74±0.38(小数点:0.18)→0.42±0.33(小数点:0.38)で、-0.33±0.3の改善、sham群0.8±0.38(小数点:0.16)→0.66±0.56(小数点:0.22)で、-0.15±0.3の改善と、両群間に有意差はなくなっていた。
・IVBは視力の初期改善を加速させるが、12週目では有意な効果はなくなっていた。
Intravitreal bevacizumab injection for persistent serous retinal detachment associated with Vogt-Koyanagi-Harada disease.
Park HS et al(Korea)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 249(1): 133-6, 2011
・全身的なステロイド治療に抵抗し、網膜剥離が持続した原田氏病の42歳女性に、Bevacizumabの硝子体注射を行ったら、短期間で軽快した症例の報告。
・視力は両眼とも30cm指数弁で、OCT上では中心窩の網膜剥離高は右1119μm、左1161μmあり、3日間のステロイドパルス療法と、50mg(1mg/Kg)→40mg predonisolone内服治療 5週間で、全身状態は軽快、左眼の視力は0.6まで改善したが、右眼は網膜剥離高は884μmと軽快せず、視力も0.1であった。
・1.25mg Avastin注入で、1週間後にRDは消失し、網膜厚は189μmに改善。視力も0.7まで改善した。
Choroidal imaging in inherited retinal disease using the technique of enhandced depth imaging optical coherence tomography.
Yeoh J et al(UK)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(12): 1719-28, 2010
・Enhanced depth imaging (EDI) OCTで、脈絡膜変化、視力、ERGなどとの関連を検討した。
・Stargardt黄斑ジストロフィー、原因遺伝子が分かった遺伝性黄斑ジストロフィー、原因不明の黄斑ジストロフィー、ベスト病、脈絡網膜萎縮、Bietti crystallin網膜ジストロフィー、コロイデレミアの20例で検討した。
・いずれの症例も両眼のEDI-OCT所見は近似していた。
・10例では脈絡膜菲薄化はなく、5例は軽度から中等度の菲薄化、3例は限局性の高度の菲薄化、Bietti病とコロイデレミアの2例は瀰漫性の高度な脈絡膜菲薄化がみられた。
・脈絡膜菲薄化と視力やERGとの間には相関はなかったが、眼底所見で十分に予想可能であり、Stargardt病などで菲薄化が進行状態と相関する場合もあるが、そうでない場合は遺伝子変化によるものであった。
・限局性の軽度から中等度の菲薄化はRPE細胞の死を現わしているが、より高度の菲薄化は太い脈絡膜血管の萎縮を来たす遺伝子要因によるものであろう。
Alterd temporal peripapillary retinal flow in patients with disc hemorrhages.
Kurvinen L et al(Finland)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(12): 1771-5, 2010
・神経乳頭辺縁出血のみられた21例21眼(うち14眼は緑内障)で、出血がみつかった時と、その6か月後に傍乳頭部の血流を scanning laser Doppler flowmetry(Heidelberg Retinal Flowmeter)で測定した。
・測定は視神経耳側の上下で、視神経縁を含む2.8×0.7mmの矩形域2か所とそれに接する矩形域2か所の計4か所である。
・MF(平均血流量)、SF(収縮期最大血流量)、DF(拡張期最小血流量)、pulsation index:PI=(SF-DF)/SFの4項目を測定。
・6か月後の変化は、4か所の平均ではMF:229→339(p=0.008)、SF:299→407(p=0.014)、DF:154→228(p=0.011)、PI:0.50→0.44(p=0.007)といずれも有意に増加していたが、辺縁出血のあった部位では、MF:221→309(p=0.043)、SF:299→399(p=0.070)、DF:142→182(p=0.134)、PI:0.50→0.49(p=0.623)と、MFのみで有意に改善するだけにとどまっていた。
・このことから、辺縁出血が発生した時点では血流が有意に減少し、出血の吸収と共に血流が改善していくことが分かった
Subconjunctival reflux and need for paracentesis after intravitreal injection of 0.1 ml bevacizumab: comarison between 27-gauge and 30-gauge needel.
Lorenz K et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(11): 1573-7, 2010
・0.1ml(1.25mg)のアバスチン硝子体注入後に眼圧上昇を来たし、前房穿刺が必要になる状況を調べた。
・14ヶ月間に144例145眼に対して行われた合計234例の注射について、使用した針(27Gか30G)、水晶体の状態、硝子体逆流量を検討した。
・78例(33%)で眼圧下降の為に前房穿刺が行われた。
・27G群では26%(25/96)、30G群では38%(53/138)で両群間に有意差があった(p=0.05)。・逆流量をGrade0~Grade4に分けると、27G群の中間値はG2で、30G群ではG1であった(p<0.001)。
・30G針を使用すると逆流は少ないが、眼圧上昇による前房穿刺の頻度が増えた。
Posterior optic buttonholing prevents intraocular pressure peaks after cataract surgery with primary posterior capsulorhexis.
Stifter E et al(Austria)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(11): 1595-1600, 2010
・両眼を同日に行った連続30例60眼で、1眼にprimary posterior capsulorhexis(PPC)を行いposterior optic bottonholing(POBH、前嚢キャプチャー固定)、片眼にPPCは施行しPOBHはせず、両群間で術後の眼圧を比較した。
・眼圧は術前、術後1, 2, 4, 6, 8, 24時間後,1週間後,1ヶ月後に測定した。
・使用した眼内レンズはHOYA AF-1 YA-60BB。
・PPCは、Healon使用下で周辺部の前嚢を押して後嚢と一体にして、30G針で中心に穴を開け、4.5mm経迄1辺ができた時点で前硝子体膜をHealonで下げたのちにPPCを完成させた。
・最初の24時間は眼圧はPPC/POBH群(17.5, 16.4, 15.9, 15.0, 14.5, 13.9mmHg)でPPC群(24.0, 22.3, 21.0, 20.1, 18.4, 17.1mmHg)よりいずれの時間でも有意に眼圧が低かった(p<0.001)。
・PPC/POBH群では眼圧が27を超えたものはいなかったが、PPC群では7例で眼圧が27を超え、4眼で30を超えていた。
・1週間後、1ヶ月後では両群間に眼圧差は見られなかった。
Impact of injection techniques on intraocular pressure (IOP) increase after intravitreal ranibuzumab application.
Hohn F et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(10): 1371-5, 2010
・緑内障のないAMDに対して 0.05ml ranibizumab(Lucentis)を注入後の眼圧変動を検討した。
・45例45眼(平均年齢 78歳)に対し、Lucentisを通常の方法で垂直に強膜を穿孔する方法で31眼、強膜をトンネル貫通する方法で14眼に行った。使用したのは30G注射針
・シェッツ眼圧計で注射前後に眼圧測定し、結膜下への逆流量も半定量的に求めた。
・仰臥位での術前眼圧は22.4±5.5mmHgで、術直後の眼圧は47.9±15.1(23~82)で、前後の差は25.5±13.6mmHgであった。
・垂直穿孔群では22.5±5.9→43.4±15.6(23~82)、トンネル穿孔群では21.2±4.1→54.7±10.0(40~72)で、その差は、垂直群では22.3±14.3、トンネル群では34.8±7.3であり、有意に差があった(p=0.001)。
・逆流は、垂直群では19/31(61.2%)で大量の逆流、12/31(38.8%)で逆流なし、トンネル群では1/14(7.1%)で軽度逆流、13/14(92.9%)で逆流なしであった。