Evaluation of topical cyclosporine for the treatment of dry eye disease.
Perry HD et al(NY USA)
Arch Ophthalmol 126(8): 1046-50, 2008
・0.05%シクロスポリン点眼を人工涙液治療に抵抗するドライアイ患者に使用した。
・軽症ドライアイの46/62眼(74.1%)、中等症の50/69眼(74.1%)、重症の18/27眼(66.7%)で改善した
Aqueous humor dynamics in exfoliation syndrome.
Johnson TV et al(OM USA)
Arch Ophthalmol 126(7): 914-20, 2008
・落屑症候群(XFS)の房水動態を80例で検討した。
・1群(25例):正常眼圧のXFS、2群(25例):正常眼圧のコントロール、3群(15例):眼圧上昇のあるXFS、4群(15例):XFSのない高眼圧症。
・緑内障薬をwash outした後、眼圧、上強膜静脈圧、房水動態、房水流出の程度、脈絡強膜路について検討した。
・脈絡強膜流出路はXFSでは眼圧に無関係に有意に減少していた。
・XFSの有無にかかわらず、高眼圧症では流出路障害があった。
Early predictors of traumatic glaucoma after closed globe injury.
Sihota R et al(India)
Arch Ophthalmol 126(7): 921-6, 2008
・閉鎖眼球外傷を受けた眼で6か月の経過観察中に外傷性緑内障を起こすことが予想できるかどうかを検討。
・3か月後以降に21mmHg以上の眼圧上昇をきたした40眼と、眼圧上昇をきたさなかった52眼とで比較。
・外傷性緑内障では隅角色素沈着の中間値は3であったが、非緑内障眼では2であった(p=0.001)。
・UBMでは非緑内障の18眼で毛様体解離があったのに対し、緑内障眼は7眼だけであった(p=0.001)。
・緑内障発症眼は有意に前房出血の頻度が高く、基礎眼圧が高く、180度以上の隅角解離があり、水晶体偏位があり、UBMで隅角が広かった。
Visual insignificance of the foveal pit.
Marmor MF et al(CA USA)
Arch Ophthalmol 126(7): 907-13, 2008
・中心窩の構造、機能を検討し、foveal hypoplasiaという言葉を再検討した
・視力20/20から20/50の中心窩のない4症例で検討した。
・OCT、multifocal ERGを4例で行い、2例ではadaptive optics flood-illuminated fundus cameraを撮影した。
・OCTでは全例で中心窩は検出されず、外顆粒層が広がり、錐体外節が延長していた。
・Adaptive opticsイメージでは中心1-2度の錐体直径は正常。中心のmultifocal ERGは正常であった。
・中心部の窩は解剖学的も機能的にも中心窩錐体の特殊化に必要ないと考えた。
・したがって、窩がなくても視力が良好でありうる。
・foveal hypoplasiaという言葉は機能的な意味合いでは否定的で、「foveal plana」と言った方が良い。
・Adaptive opticsイメージは中心部1度で光受容体のモザイクを2.5μmの水平解像度で撮影した
Subretinal fluid from anterior ischemic optic neuropathy demonstrated by optical coherence tomography.
Hedge TR et al(MA USA)
Arch Ophthalmol 126(6): 812-5, 2008
・AIONを発症した76例で、急激な視力低下の発症4週間以内に黄斑部OCTを行い、8例で網膜下液を検出した。
・8例はNonarteritic AIONで、視力低下の原因の一部はこの下液であると考えられ、下液吸収に伴って視力も改善した。
Infliximab theraphy for aggressive Mooren Ulceration.
Saw VPJ et al(England)
Arch Ophthalmol 126(5): 734-5, 2008
・重篤なMooren角膜潰瘍を腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factorα:TNFα)拮抗薬の infliximab投与で治癒した報告。
・Infliximab:商品名 Remicade J&J発売。クローン病、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、ベーチェット病に有効とされている
・14年前からのMooren潰瘍で右眼は角膜穿孔、左眼はdesmetoceleになっている37歳男性。
・矯正視力は右6/36、左手動弁。
・全身的なシクロスポリン 5mg/kg/d、プレドニゾロン 1mg/kg/d、2%シクロスポリン点眼、cyclophosphamide 100mg/dを使用していた。
・シクロスポリン内服に、infliximab 5mg/kgを追加して改善した症例報告
Open-angle glaucoma and mortality. The Barbados Eye Studies.
Wu SY et al(NY USA)
Arch Ophthalmol 126(3): 365-70, 2008
・開放隅角緑内障と9年間の経過観察中の死亡率を4092例の40-84歳の黒人で検討した。
・緑内障の診断は視野と視神経障害で行い、高眼圧症は眼圧21以上で緑内障性障害のないものとした。
・9年後に764名が死亡。死亡率は全OAGとは関連がなかったが、心血管障害による死亡率は以前から治療されていたOAGで多い傾向があった(n=141, relative risk=1.38 95%CI=0.97-1.98 p=0.07)。
・殊にtimolol maleateで治療されている人で有意に多かった(RR=1.91 95%CI=1.04-3.50 p=0.04)。
・OHでも心血管障害による死亡率は高かった(n=498 RR=1.28 95%CI=0.99-1.65 p=0.06)
Keratometry in pediatric eyes with cataract.
Trivedi RH et al(SC USA)
Arch Ophthalmol 126(1): 38-42, 2008
・18歳未満で白内障手術を受けた小児の術前の角膜曲率半径を299人299眼で調査。
・外傷、水晶体脱臼は除外した。
・平均値は 45.39±3.08D(39.25-63.5D)であった。
・女子は男子よりもsteep(p=0.03)で、片眼白内障では両眼白内障の例よりもsteep(p=0.07)であった。
・片眼白内障では、白内障眼は健眼よりも優位にsteep(0.02)であった
Displacement of retained subfoveal perfluorocarbon liquid after vitreoretinal surgery.
Tien VL et al(France)
Arch Ophthalmol 126(1): 98-101, 2008
・網膜剥離手術の硝子体手術後に、黄斑下にパーフルオロカーボン液(PFCL)が残存した3例で、その移動を試みた。
・下耳側血管近くで網膜下にBSSを注入し、黄斑部と下方網膜に網膜剥離を発生させ、空気置換とその後の短時間の立位で、全例 PFCL玉は下方周辺網膜下に移動し、視力も改善した。
・黄斑部から除去するよりも安全な方法である。
・例1:視力20/800、術後6週目に0.8mlBSSを網膜下に注入、1mlの空気注入、6ヶ月後視力20/32。
・例2:視力20/200、術後1ヶ月目に再手術、6ヶ月後の視力20/63。
・例3:視力20/400、3週間後再手術、5ヶ月後視力20/32。
Dietary carotenoids, vitamins C and E, and risk of cataract in women.
Christen WG et al(MA USA)
Arch Ophthalmol 126(1): 102-9, 2008
・39,876名の白内障のない女性医療従事者のうち、35,551名から、食事あるいはサプリメントからの抗酸化栄養素の摂取量を調査。
・10年の経過観察で 2,031例で視力20/30以下の白内障が発症。
・摂取量が最少の1/5群に入る女性を基準として最大の1/5群を比較すると、lutein/Zeaxantinでは白内障発症リスクは 0.82(95%CI=0.71-0.95, p=0.04)、ビタミンEでは 0.86(95%CI=0.74-1.00, p=0.03)となった。
Sterile endophthalmitis after benzyl alcoho-filterd triamcinolone acetonide injection.
Carrero JL el al(Spain)
Arch Ophthalmol 126(1): 142-3, 2008
・硝子体内TA注入後の無菌性眼内炎の発症率は 0.1-7%と報告されている。
・含有されているベンジルアルコールが通常の商品に含まれている0.1mlよりも多い時にrabbit眼で障害が発生することが知られ、これがBAが無菌性眼内炎の原因であろうと推測される根拠になっている。
・BAをフィルターで除去し約1/10量にして、0.1mlのTA(2.52±0.63mg)を57例に使用したが、このうち2例(3.5%)で無菌性眼内炎を発症した。
・このうち、1例は2週間後に裂孔原性網膜剥離を発症した。
・バイアルに付着していたエンドトキシンが原因である可能性がある。
・フィルターでバックフラッシュさせると、菌のpyrogensなどを増やす可能性があり、フィルター法以外の方法が良いと考えられる
Progression to severe retinopathy predicted by retinal vessel diameter between 31 and 34 weeks of postconception age.
Rabinowitz MP et al(USA)
Arch Ophthalmol 125(11): 1495-500, 2007
・重篤な未熟児網膜症(RP)の進展に対して、網膜血管径測定が予想因子になるかどうかを検討。
・ROPの危険性のある31から34週の幼児78眼の眼底写真を撮影し、4本の主要な上下耳側の網膜動脈、静脈の血管径を測定した。
・重篤なROPを発生したものと、治療が不要な軽症なROPあるいはROPを発生しなかったものとを比較した。
・重篤なROPを発生した群では、主要な耳側血管は4本とも有意に血管径が太く、治療を必要とするROPの発生の予想因子になることが分かった
Agreement between gonioscopy and ultrasound biomicroscopy in ditecting iridotrabecular apposition.
Barkana Y et al(Israel)
Arch Ophthalmol 125(10): 1331-5, 2007
・暗室での隅角検査と明所、暗所でのUBM検査との一致率を検討した。
・暗室で、1mmのスリット光を瞳孔に光をあてずに検査した隅角検査で、少なくとも1/4周の隅角は閉塞していた人18眼を選択した。
・隅角鏡での閉塞は上方18眼、下方11眼、耳側6眼、鼻側7眼。
・UBM検査は明室で行い、次に部屋の電気を消した状態で行った。
・隅角から500μの所での前房の深度を測定。
・暗所UBMでは18眼中17眼(94%)、明所UBMでは10眼(56%)で1/4周が閉塞。
・上方隅角では、暗所隅角検査では18眼が閉塞、暗所UBMでは16眼(89%)、明所UBMでは6眼(33%)が閉塞していた。
・暗所で行えば、隅角鏡とUBMの結果はほぼ一致する。通常の隅角鏡検査も暗所で行うほうが正確である
Loss of photoreceptor outer segment in acute zonal occult outer retinopathy.
Li D et al(群馬大)
Arch Ophthalmol 125(9): 1194-200, 2007
・AZOOR(平均年齢33.6歳)の5例の網膜機能と形態変化について、OCT、多局所ERG、全視野ERG、ゴールドマン視野を用いて検索した。
・GPでは両眼のマ暗点拡大が2例、片眼の拡大が3例、4例で片眼あるいは両眼の傍中心暗点、下方周辺部あるいは中心暗点が見られた。
・下方の周辺部のRPE萎縮、乳頭周囲の脱色素以外には網膜病変はなかった。
・mf-ERGでは暗点に一致した反応低下があった。
・OCTではmf-ERGの反応低下あるいは視野欠損のあった部位の内節、外節間の境界線の消失あるいは不整がみられた。外顆粒層の消失が2例で見られた。
・このことから、AZOORの原発病変は視細胞外節の機能不全あるいは変性と思われた。
Severe loss of central vision in patients with advanced glaucoma undergoing trabeculectomy.
Law SK(CA USA)
Arch Ophthalmol 125(8): 1044-50, 2007
・進行した視野欠損のある緑内障患者に対して、繊維柱帯切除術+MMCの術後視力について検討。
・重篤な視力低下とは、術後視力が0.1以下、or、術前視力が0.1以下の場合は術後視力が指数弁以下、or、4line以上の視力低下のあったものと定義。
・重篤な視力低下は7/117(6%)に発生。
・3例は低眼圧黄斑症、2例はコントロールできない眼圧上昇、1例は白内障の進行、1例は炎症反応によるものであった。
・重篤な視力低下者は、術前の眼圧がそうでないものに比較して有意に高かった(27.1±8.8 vs 19.7±8.1, p=0.04)。
・また手術合併症も優位に多かった(43% vs 4%, p=0.001)
Efffect of Ruboxistaurin in patients with diabetic macular edema. Thirty-month results of the randomized PKC-DMES clinical trial.
The PKC-DMES Study Group
Arch Ophthalmol 125(3): 318-24, 2007
・糖尿病黄斑浮腫に対するRuboxistaurin(RBX)内服の有用性を検討した。
・686名の患者がRBX(4,16,or 32mg/d)か、placeboを30日間内服(multicenter, double-masked, randomized, placebo-control study)。
・RBXはDMEをsight-threatening stageへの進行を抑止する効果はあった(p=0.54)。
Cigarette smoking, CFH, APOE, ELOVL4, and risk of neovascular age-related macular degeneration.
DeAngelis MM et al(USA)
Arch Ophthalmol 125(1): 49-54, 2007
・少なくとも1名の黄斑部の綺麗な兄弟のいる103名の無関係の103名について検討。
・10箱以上の年余にわたる喫煙歴があり、CFH CC genotypeを持った人は、10箱未満の喫煙歴でCTあるいはTT genotypeを持った人より144倍、新生血管AMDのリスクが増加することが分かった
Diurnal variation in retinal thickening measurement by optical coherence tomography in ceter-involved diabetic macular edema.
Diabetic Retinopathy Clinical Research Network
Arch Ophthalmol 124(12): 1701-7, 2006
・臨床的に糖尿病黄斑浮腫と診断され、午前8時に中心部6点の平均網膜厚が225μ以上の96例156眼をOCT3で検討した。
・午前8時には中心部網膜厚は368μでETDRS視力は66 letter(20/50)であったが、午後4時には、13μ(6%)減少(95%CI -17~-8μ、95%CI -9~-3%)、ETDRS視力は平均 1.0letters上昇(95%CI -0.05~2.1 letters)
・網膜厚変化と視力変化とには相関がなかった
Ranibizumab combined with verteprfin photodynamic therapy in neovascular age-related macular degeneration. Year 1 results of the FOCUS study.
Heier JS et al(CA USA)
Arch Ophthalmol 124(11): 1532-42, 2006
・AMDによる脈絡膜新生血管(predominantly classic)に対し、硝子体内ranibizumab(Lucentis)注入と、PDTを併用した治療の効果を検討。
・PhaseⅠ/Ⅱであり、毎月ranibizumab(0.5mg)注入した106例と、プラセボー注入した56例である。
・PDTは最初の注入の7日前に行ない、必要であれば3ヶ月に1回行なった。
・視力はETDRS chartsを用いて測定した。
・12ヵ月後に15文字以内の視力低下で収まった人は、ranibizumab治療群では90.5%、shamでは67.9%(p<0.001)であった。
・ranibizumabによる合併症は眼内炎症(11.4%)、眼内炎(1.9%, 疑い例含めば4.8%)あった
What we don’t know about avastin might hurt us(Editorial)
Gillies MC(Australia)
Arch Ophthalmol 124(10): 1478-9, 2006
・抗VEGFとしてはMacugen(pegaptanib)が最初に出されたが、Lucentis(ranibizumab)はもっと効果がある。
・Avastin(bevacizumab)もlucentisと同様の作用でVEGF-Aに接合する抗体である。
・Avastinは2004年に転移大腸癌に対し認可されたものである。
・Lucentisはavastinから作られたものであるが、分子量は1/3で、網膜浸透は良く、抗VEGF作用も100倍ある筈。
・AvastinとLucentisの半減期は硝子体内(5.6日:3.2日)、血清内では(21日:15時間)でAvastinは過剰投与されると残存する可能性がある。
・VEGFの作用は創傷治癒、心血管虚血の際の側副血管路形成に必要で、神経ニューロンの発達や障害からの保護に役立っているので、抗VEGFの過剰投与は危険である。
・Avastinを使用する場合は局所ならびに全身的な安全性に関するデータを集積すべきだ