Anterior chamber bleeding after laser peripheral iridotomy.
Golan S et al(Israel)
JAMA Ophthalmol 131(5): 626-629, 2013
・両眼のPACを疑われるPACSで、LPI後の前房出血について、抗血小板剤あるいは抗凝固剤を内服中の場合と、内服を一時中止した場合で、差があるかどうかを調べた。
・104例208眼で、最初に右眼を内服中にLPIを行い、内服中止2週間後に左眼のLPIを行った。
・LPIはNd:Yagレーザーで3.5-6mJ, 2-6発である。
・出血せずは右68眼-左66眼、軽度出血は右31眼-左35眼、隅角レンズで圧迫しただけでは止血しなかったが強い前房出血に迄は至らなかった例が右5眼-左1眼であった。
・抗凝固剤は前房出血には影響していなかった。
Forniceal Conjunctival Pedicle Flap for the Treatment of Complex Glaucoma Drainage Device Tube Erosion
DS. Grover et al. Texas, USA
JAMA Ophthalmol 131(5): 662-666, 2013
緑内障チューブインプラント術後のチューブ露出に対する円蓋部結膜有茎弁被覆
瘢痕化結膜を除去し保存角膜をパッチ、その上に円蓋部から長さ:幅=3:1の結膜有茎弁を縫合
14例15眼 平均観察期間49M(3-156)
スペースがない場合は眼瞼を切開して円蓋部を露出
全例再露出なく経過。(MM)
Antibiotic resistance fo ocular surface flora with repeated use of a topical antibiotic after intravitreal injection.
Yin VT et al(Canada)
JAMA Ophthalmol 131(4): 456-461, 2013
・硝子体内IVT注射後の眼内炎は稀であるが、失明の危険性がある。
・2病院で、65歳以上で新規にAMDと診断された178名を、毎月、合計3回の抗VEGFのIVT注射を行った後、3日間モキシフロキサシン点眼をした84例と、点眼をしなかった94例に分け、施行前、施行後3カ月まで毎月培養をとり、モキシフロキサシン(全グラム陽性菌)とセフタジジム(モダシン:腸球菌と緑膿菌)に対する感受性、MICを検査した。
・点眼群、非点眼群とも施行前後の培養陽性率には有意差はなかったが、点眼群では施行前後で、MIC50%は 0.64→1.00に、MIC90%は 0.94→4.00に、MICは1.04→1.25μg/ml(p=0.01)に上昇していた。
・非点眼群ではMIC、MIC50%、MIC90%ともに施行前後で有意差はなかった。
・IVT注射後のモキシフロキサシン点眼の繰り返し使用は有意に眼表面の抗生剤に対する耐性を上昇させるので、IVT注射後の予防的抗生剤使用は中止すべきと考える
Influence of multifocal intraocular lenses on standard automated perimetry test results.
Aychoua N et al(Netherlands)
JAMA Ophthalmol 131(4): 481-485, 2013
・6例16眼(中間値64歳)の回折型多焦点眼内レンズ眼で自動視野計のサイズⅢとⅤを使用して、30-2プログラムで感度を測定した。
・18例18眼の正常水晶体眼(中間値62歳)、12例12眼の単焦点偽水晶体眼(中間値64歳)をコントロールとした。
・サイズⅢのMD(mean deviation)は、MFIOLでは中間値-3.0(-5.4~-0.7)、有水晶体眼では中間値-0.5(-2.1~2.0)、単焦点IOL眼では中間値-1.0(-1.8~0.3)であり、MFIOLは有水晶体眼より平均-2.4dB感度が有意に低く(p<0.001)、単焦点IOLは有水晶体眼より平均-0.32dB感度が低かったが(p=0.52)有意差はなかった。
・サイズⅤのMS(mean sensitivity)は、MFIOLと有水晶体眼差は-1.61dB(p=0.002)、単焦点IOLと有水晶体眼差は-0.80dB(p=0.09)であった。
・この差は部位差ではなかった。多焦点IOL眼での感度の低下は、IOLのデザインによるものと考えられる。
・緑内障などの疾患あるいは加齢変化による感度低下をみるときに考慮すべき点である
Prospective study of inflammatory biomarkers and risk of diabetic retinopathy in the diabetes control and complications trial
Rajeev H. Muni (University of Toronto, Ontario, Canada)
JAMA Ophthalmol 131(4): 514-521, 2013
・これまでにDM網膜症は病理的に慢性な低グレードの炎症が存在しているという報告がいくつかある。DM黄斑浮腫に硝子体内へのステロイドや抗VEGF治療が有効である事もこれを支持する。DM黄斑浮腫は血液網膜関門の破壊に由来すると考えられており、そのため網膜内に液体が貯留する。ここに炎症の過程が存在する。炎症性生体マーカーとDMRの関連の報告では、hsCRP(high-sensitivity CRP)、ICAM-1(intracellular adhesion molecule-1)、VCAM-1(vascular cell adhesion molecule-1)、TNF-α(Tumor necrosis factor-α)が関連する可能性がある。
・USAとカナダの29病院での調査。13才から39才の1型糖尿病の1441名。hsCRPとICAM-1がDMRの進行、臨床上明瞭な黄斑浮腫(CSME)、硬性白斑、PDRと関連するかを調べる。
・結果として関連が認められたのは、 hsCRPとCSMEの相対危険度1.83(P=0.01)
hsCRPと硬性白斑の 〃 1.78(P=0.004)
ICAM-1と 〃 〃 1.50(P=0.05)
・hsCRPが高値であればCSMEと黄斑部硬性白斑の危険度は高くなる。ICAM-1の値もまた、硬性白斑の進行と関連する。(YM)
Outer retinal morphology and visual function in patients with idiopathic epiretinal membrane.
Watanabe K et al(東京医療センター)
JAMA Ophthalmol 131(2): 172-177, 2013
・45例52眼の特発性黄斑前膜ERMで、中心窩の形態をOCTで検索し、最高矯正視力BCVAとの関連をみた。
・OCTでは、中心窩厚、Cone outer segment tip(COST)線、視細胞IS/OS線、IS/OS線の中心窩隆起、外境界膜、内境界膜、中心の窪み、中心窩上のERMの8つで評価した。
・多変量解析では正常なCOST線、IS/OS線、外境界膜がそれぞれ独立して有意にBCVAに寄与していた。
・偏回帰係数βはCOST線=0.415(p<0.001)、IS/OS線=0.287(p=0.02)、外境界膜=0.247(0.03)であったが、他の因子はBCVAとは有意な関連はなかった。
・中心窩厚はBCVAと有意に相関していた(r2=0.274 p<0.01)。
・ERMの早期では視細胞の形態のみが有意にBCVAに相関しており、COST線の形状が最も関連していた。(TY)
Flashes, floaters, and oral fluoroquinolones. Is retinal detachment a worry?
Han DP et al(WI USA)
JAMA Ophthalmol 131(1): 91-93, 2013
・経口フルオロキノロンFLXを使用中の患者では、絶対リスクは低いものの、網膜剥離リスクが有意に上昇しているとの報告がEtminanらによってJAMA2012に発表された。
・FLXは腱炎や腱の断裂と関連することが明らかになっており、眼においても、FLXは投与後、急速に硝子体内へ浸透することから、コラーゲンの分解によって硝子体の液化や虚脱を来たし、後部硝子体剥離を発生させることによって網膜剥離の発生リスクが高まると考えられる。
・この事を頭に入れておくことが重要である。
(Etminan M et al. Oral fluoroquinolones and the risk of retinal detachment.JAMA 307:1414,2012 参照) (TY)
Analysis of anterior segment dynamics using anterior segment optical coherence tomography before and after laser peripheral iridotomy.
Zheng C et al(China)
JAMA Ophthalmol 131(1): 44-49, 2013
・レーザー虹彩切開(LPI)後の縮瞳スピードを、前眼部OCTに取り付けたビデオを用いて検討した。
・測定したのは縮瞳スピード、虹彩厚(強膜棘から750μm部、瞳孔縁から750μmの括約筋部)などである。
・LPI後、対光反応における縮瞳スピードは1.094±0.251mm/sから1.336±0.309に上昇(p<0.005)、虹彩厚の変化スピードは、強膜棘から750μm部では -0.04±0.03mm/sから -0.06±0.04(p<0.05)、括約筋部では -0.00±0.03から0.03±0.05(p<0.05)と有意に増加していた。(TY)
Continuous 24-hour monitoring of intraocular pressure patterns with a contact lens sensor.
Mansouri K et al(CA USA)
Arch Ophthalmol 130(12): 1534-1539, 2012
・SCLに装着したContact lens sonsorを用いて24時間持続眼圧測定を行い、安全性、認容性、再現性を調べた。
・SCLは3種類のベースカーブ(8.4、8.7、9.0mm)があり、直径は14.1mm、厚みは中心で585μm、周辺で260μmである。
・眼圧測定原理は、角膜曲率半径などの変化が眼圧変動と相関することを応用している。
・緑内障疑者21例と緑内障者19例の40例(年齢55.5±15.7、男性が60%)で、1週間の間隔をおいて2回(Session 1/2)行った。
・測定中は日内活動、睡眠状態をチェックした。
・主な副作用は霧視82%、結膜充血80%、点状角膜糜爛15%であった。
・眼圧日内変動の再現性はかなり良く、緑内障患者の眼圧モニターに有効であると考えられた
参考:Continuous intraocular pressure monitoring with a wireless ocular telemetry sensor: initial clinical experience in patients with open angle glaucoma. Mansouri K et al(Switzerland) Brit J Ophthalmol 95(5): 627-9, 2011
Relationship between Fuchs entothelial corneal dystrophy severity and glaucoma and/or ocular hypertension.
Nagarsheth M et al(IL USA)
Arch Ophthalmol 130(11): 1384-1388, 2012
・Fuchs角膜内皮ジストロフィ(FECD)の重症度が緑内障あるいは高眼圧症(G/OHTN)と関連があるかどうかを検討した。
・症例はFECD Genetic Multi-Center Studyに登録された1610眼で、重症度は滴状の集合状況によってGrade 0-6に分類した。
・0:滴状なし、1:集合していない1-12個の滴状、2:集合していない13個以上の滴状、3:1-2mmの集合、4:2mmを越え5mm迄の集合、5:5mmを超える集合、6:5mmを越える集合があり実質あるいは上皮に浮腫があるもの。
・FECDの107眼(6.6%)にG/OHTNがあった(コントロール群ではG/OHTNは6.0%)。
・FECEのgrade1-3では0.0%、grade0-3の家族では2.1%と低かった。
・Grade4-6あるいはその家族ではFECDではない群と比較して、11.2%、8.5%と高かった。共変動で補正すると、Grade4-6では、コントロール群と比較して、OR=2.1(p=0.04)、家族でFECDのない群と比較して、ORは7.06(p<0.01)であり、G/OHTNの率が高かった。
・加齢では1年毎のG/OHTNの増加率(OR=1.06 p<0.001)、眼圧は1mmHg上昇毎のG/OHTNの増加率(OR=1.15 p<0.001)で、いずれも増加していた。
Changes in retinal vessel diameter and incidence and progression of diabetic retinopathy.
Klein R et al(WI USA)
Arch Ophthalmol 130(6): 749-55, 2012
・6年間の経過観察で、糖尿病網膜症(DR)の発症や進行、増殖性DR(PDR)の発生、黄斑浮腫(ME)の発生と網膜血管径の変化とを1098名の糖尿病者で比較検討した。
・眼底写真でDRの程度を判定し、網膜動脈と静脈径は、視神経乳頭縁から半乳頭~1乳頭内の血管をコンピュータで検出し、太い方から6本までの血管径を平均したものを、網膜動脈径(CRAE)、網膜静脈径(CRVE)とした。
・4年間でのCRAEとCRVEの変化は-0.37と+2.54μmであった。
・6年間でのDR発症は56%、DR進行は39%、PDR発症は15%、ME発症は11%であった。
・4年間でのCRVEの10μmの増加毎に、6年間での網膜症の変化をORでみると、DR発症は1.26(1.10-1.43 p<0.001)、DR進展は1.21(1.12-1.30 p<0.001)、PDR発症は1.19(1.07-1.32 p<0.001)、ME発症は1.16(1.03-1.31 p=0.004)であった。
・CRAEの変化は網膜症の変化と関連がなかった。
・このことから、CRVEはDRの進展についての情報の一つになりうると考えた。
Level of vascular endotehlial growth factor in tenon tissue and results of glaucoma surgery.
Park HYL et al(Korea)
Arch Ophthalmol 130(6): 685-9, 2012
・POAG患者の前房水とテノン嚢組織内の血管内皮増殖因子(VEGF)のレベルを調べ、VEGFと緑内障手術の成績を比較検討した。
・眼圧のコントロールが不良で緑内障手術を予定している19名のPOAGと、白内障手術を予定している17名のコントロール群とで検討した。
・手術時に前房水0.1mlと、テノン組織4x4mmを採取し、VEGF濃度を測定した。
・POAG群ではCTRL群より、前房内、テノン組織内のVEGFレベルは高く、テノン組織内では有意差がみられた(p=0.001)。
・POAG手術1年後の成功例、不成功例で検討すると、テノン組織では、CTRLでは95.62±15.54pg/mlで、不成功例は146.82±24.66pg/ml(p<0.001)、成功例では107.11±19.65pg/ml(p=0.014)で有意差があった。
・前房水では、CTRLは33.26±11.54で、不成功例63.99±25.02、成功例56.96±31.22であったが、有意差は出なかった。
・テノン組織内のVEGFレベルと手術後の最終眼圧との間には有意な相関がみられた(r=0.677 p=0.003)。
・前房水内のVEGFレベルでは有意差はなく、創の治癒機転にはテノン内のVEGFに依存する機序が大きく働いていることを示唆する。
Resolution of Congenital Nasolacrimal Duct Obstruction With Nonsurgical Management
Pediatric Eye Disease Investigator Group
Arch Ophthalmology 130(6):730-734,2012
・生後6〜10カ月以下の幼児で、6カ月の非観血的処置で涙鼻管閉塞(NLDO)がどれぐらいの頻度で治癒するのかを調べた。
・107人の子供たちの133眼(平均年齢7.8カ月、男児54人、女児53人)片眼NLDO81人(76%)両眼NLDO26人(24%)
・1日2回の涙嚢マッサージ、眼脂があるときは抗生剤点眼1日4回施行。NLDO(流涙、粘性の高い涙、粘液眼脂)のサインがなくなることを治癒と定義した。6ヶ月後、117眼のうち77眼(66%)治癒していた。
・治癒した77眼について、さらに18カ月経過観察した。63眼(82%)が治癒したまま、12眼(16%)症状が再発し、2眼(3%)が手術を受けていた。
・生後6〜10カ月以下子供で、NLDOのある眼の半分以上が6カ月以内に非観血的治療で治癒することがわかった。手術をしないNLDO治癒率の知識が臨床医と親が効果的に治療オプションを議論するのを助けると思われる。(CH)
Botulinum toxin injection for the management of refractory filamentary keratitis.
Gumus K et al(TX USA)
Arch Ophthalmol 130(4): 446-50, 2012
・難治性の糸状角膜症治療に対するボツリヌス毒注射の効果を検討した。
・17例33眼の通常の治療には抵抗性の糸状角膜症患者に対し眼瞼皮下にボツリヌス毒注射(10U/0.1ml)を行った。
・最初の注射で29/33(88%)で緩解:20/29眼で完全緩解、9/29眼で角膜糜爛が残存。
・残りの3/33眼で部分寛解。
・残りの1/33眼では初回、2回目治療で寛解したが、8週間後に再発した。
・初回治療で14/33(42%)が寛解したが、19/33(58%)で複数回治療が必要であった。
・糸状角膜症の原因は不明だが、何らかの原因で基底膜の剥離が部分的に発生し、眼瞼の動きによりここの上皮が持ち上げられ、これがムチン糸や変性した上皮細胞に絡み、長いフィラメントができると考えられる。
・このフィラメントは下の上皮に強く接着しているため、瞬きが上皮の亀裂を作り、痛みや慢性炎症を起こす。
・この刺激がまた瞬きを引き起こすという悪循環になるので、この悪循環を断つのが良いだろう
Corticosteroids for bacterial keratitis. The steroids for corneal ulcers trial(SCUT)
Srinivasan M et al(India et al)
Arch Ophthalmol 130(2): 143-50, 2012
・培養陽性の細菌性角膜潰瘍に対して、ステロイド点眼の追加治療について検討した。
・少なくとも48時間前からモキシフロキサシン点眼開始した後、1%プレドニゾロン点眼あるいはプラセボー点眼を開始して比較した。
・開始後3ヶ月目の矯正視力、浸潤や瘢痕の大きさ、角膜穿孔の有無について調査した。
・調査期間は2006/9~2010/2であり、1769名の患者から500名を登録した。
・点眼は最初1週間は1日4回、次の1週間は2回、次の1週間は1回点眼として中止。
・モキシフロキサシン点眼は最初48時間は覚醒時は1時間おき、その後、上皮再生する迄は2時間おき、その後は1日4回とした。
・全体では3ヶ月後の矯正視力、浸潤や瘢痕の大きさ、角膜穿孔の有無、再上皮化までの時間には有意差がなかったが、開始時の視力が指数弁以下の群では、ステロイド群の方がlogMARで0.17良かった(95%CI=-0.31~-0.02 p=0.03)し、開始時に潰瘍が中心4mmを完全に含んでいた場合には、ステロイド群の方がlogMARで0.20良かった(95%CI=-.37~0.04 p=0.02)。
・ただ、結論的にはステロイド点眼治療の追加は、3ヶ月後の視力に影響していなかった。
Cataract surgery after trabeculectomy.
Husain R et al(Singapore)
Arch Ophthalmol 130(2): 165-70, 2012
・線維柱帯手術後の白内障手術時期が、線維柱帯手術の効果に影響するかどうかを検討。
・235名の線維柱帯切除者のうち、124名(52.7%)がその後、白内障手術を受けたが、27名は白内障手術前に眼圧上昇を来たしたため、非白内障手術群にいれてある。
・経過観察期間の中央値は白内障手術群97例が60ヶ月(28-84)、非白内障手術群138例が48(12-84)ヶ月である。
・両手術の間隔の中央値は21.7ヶ月(4.6-81.9ヶ月)で、6ヶ月以内が2例、6-12ヶ月が19例、12ヶ月以上が76例である。
・白内障手術を受けなかった群に比較して、間隔が6ヶ月、1年、2年のHazard ratioは、それぞれ、3.00(95%CI=1.10-8.14)、1.73(95%CI=1.05-2.85)、1.32(95%CI=1.02-1.69)であった。
Gene therapy for Leber congenital amaurosis caused by RPE65 mutations. Safety and efficacy in 15 children and adults followed up to 3 years.
Jacobson SG et al(PA USA 多施設)
Arch Ophthalmol 130(1): 9-24, 2012
・常染色体劣性の網膜ジストロフィであるLeber先天黒内障のRPE65型において、矯正RPE65遺伝子を注入された遺伝子組み換えを行ったadeno関連ウイルス(rAAV2)を用いて治療した。
・15例(11歳から30歳)のPhaseⅠ研究で、rAAV2-RPE65ベクターを機能の悪い方の眼の網膜下に注入し、正常なDNAを網膜に伝達させた。
・1か月から36カ月経過観察し、安全性や機能を評価した。
・機能は暗順応、ETDRSチャートを用いた視力、視野、瞳孔反応測定、運動能力やOCT検査を行った。
・全身的な毒性はなく、機能改善は程度の差はあるが、治療部位に限定して、全例でみられた。
・瞳孔対光反射は上昇し、錐体桿体感度は有意に上昇した。
Bacterial dispersal associated with speech in the setting of intravitreous injections.
Wen JC et al(CA USA)
Arch Ophthalmol 129(12): 1551-4, 2011
・硝子体内注入を想定して、発話中の細菌散布量を検討した。
・15名のボランティアで、口の46cm下に血液寒天培地を置き、5分間原稿を読んで貰った。
・マスク装着、マスクなし、顔を90゚横に向けてマスクなし、あるいは、静かに5分間過ごす。
・次に、全員、マスクなしで検査用リクライニングチェアに横になり、前額部に培地を置き、5分間原稿を読んでもらった。
・細菌コロニー数は、マスク装着:4個、マスクなし:157個、横向き:27個、無言:5個、前額部:22個、部屋コントロール:4個であった。
・検出菌の内、口内連鎖球菌は66.7~82.6%を占めていた。
・患者が横になって喋っているだけでも、有意に菌が増えることが分かった(p=0.02)。
・処置中に患者にできるだけ話さないよう、指示することも大切である。
Acute retinal necrosis after herpes zoster vaccination.
Charkoudian LD et al(GA USA)
Arch Ophthalmol 129(11): 1495-7, 2011
・急性網膜壊死ARNは水痘帯状疱疹(varicella-zoster virus,VZV)あるいは単純ヘルペスウイルスが原因と考えられているが、多くの場合はVZVが原因となっている。
・水痘ワクチンは小児に使用されるVarivax(低濃度接種を2回行う)のと、再活性化の2次予防として使用されるZostavax(高濃度接種を1回行う)の2種類がある。
・Zostavax接種後にARNを発症した2例を報告する。
・1例は77歳女性で、接種後6日目で左眼が光覚弁に低下した。
・初診後5日目に硝子体手術(シリコンオイル注入)を行った。
・2例目は80歳男性の腎移植を受け、免疫抑制剤、ステロイド内服中の人で、接種後2カ月目に両眼の視力低下(手動弁と20/150)を来たし、両眼の硝子体手術(シリコンオイル注入)を行った。
Anterior chamber depth, iridocorneal angle width, and intraocular pressure changes after phacoemulsification.
Huang G et al(CA USA)
Arch Ophthalmol 129(10): 1283-90, 2011
・超音波乳化吸引術後の前房深度の変化と眼圧下降について検討した。
・前房深度が3/4象限以上でShaffer分類で2度以下のものを狭隅角(NA)と定義した。
・前眼部OCTで前房深度ACDと、強膜峡の前方500μmの前房深度AOD500を術前、術後10日、1,3,6ヶ月後に測定した。
・63眼中26眼は狭隅角NAであった。
・NA者での術前→術6ヶ月後のAOD500とACDは0.179±0.014mm→(0.196±0.023増加)と、2.23mm±0.07→(1.48±0.04増加)であり、開放隅角(OA)眼では、AOD500とACDは0.297±0.019mm→(0.155±0.021増加)と、2.76±0.08mm→(1.20±0.06増加)であった。
・眼圧変化はNA者では術前→6ヶ月後で、15.78±0.70mmHg→(2.75±0.60低下)、OA者では14.68±0.55mmHg→(1.55±0.47低下)であり、両群とも有意に低下していた。
・AOD500の0.1mm増加は、NA者では0.42±0.18mmHg(p<0.001)、OA者では0.32±0.16mmHg(p=0.047)低下させ、NA者で著明であった。