Central corneal thickness in children.
Pediatric Eye Disease Investigator Group
Arch Ophthalmol 129(9): 1132-8, 2011
・807名の白人、474名のアフリカ系米国人、494名のヒスパニックなど、健康な0歳から17歳の小児、計2079名で、手持ち接触型パキメータで中心角膜厚を測定した。
・アフリカ系米国人では、白人やヒスパニックよりも20μm程度、有意に角膜厚が薄かった(p<0.001)。
・中心角膜厚は1歳から11歳までは連続的に増加していたが、毎年の変化はだんだんと少なくなり、11歳で上限に達した。
・白人、ヒスパニックでは573μm(CCT=556.3+1.5*age-0.1(age-7.7)^2)、アフリカ系米人では551μm(CCT=539.9+0.8*age-0.06(age-9.5)^2)であった。
・CCTが100μm増える毎に眼圧は平均1.5mmHg上昇していた(p<0.001)。
・近視が1D増える毎にCCTは平均1μm減少していた(p<0.001)。
Aqueous humor dynamics during the day and night in volunteers with ocular hypertension.
Fan S et al(NE USA)
Arch Ophthalmol 129(9): 1162-6, 2011
・年齢59.2±11.1歳の30人の高眼圧症で日中1回(9am~2pm)と夜間(10pm~2am)1回、検査を行った。
・測定項目は超音波での中心角膜厚、空気眼圧計での眼圧、fluorophotometryでの房水流入量、tonographyでの房水流出率、血圧を行った。
・ぶどう膜強膜流出量はGoldmann式を用いて算出した。
・日中の測定ではvenomanometryでの上強膜静脈圧、A-scanでの前房深度、Fluorophotometryでの房水流出率も測定した。
・座位での日中の眼圧21.3±3.5mmHgと比較すると、夜間座位眼圧17.2±3.7は有意に低く(p<0.001)、夜間臥位眼圧22.7±4.6は有意に高かった(p=0.03)。
・中心角膜厚は日中570±3.9よりも夜間585±46が有意に厚かった(p.001)。
・前房水流入量は日中の2.13±0.71μl/minより、夜間1.11±0.38は48%少なくなっていた(p<0.001)。
・ぶどう膜強膜流出量は夜間では0.61μl/min減少していた(p<0.03)。
Geographic and climatic factors associated with exfoliation syndrome.
Stein JD et al(MI USA)
Arch Ophthalmol 129(8): 1053-60, 2011
・2001~2007年の米国47州のeye care受給者626,901名から、3367名の落屑症侯群PEを抽出し、地域ごとの気象データ(温度、標高、日照時間)との関連を調べた。
・中間緯度の住民と比較して、42゚Nより北の住民では、ESの補正危険率はHR=2.14(95%CI=1.94-2.35)であった。
・緯度37゚N以下の南の住民では、ESの危険率はHR=0.83(95%CI=0.75-0.93)と低かった。
・白人を除いても、この関係は成り立っていた。
・7月の気温が1℃上昇すると、ESの危険率は3%減少(HR=0.97 95%CI=0.96-0.98)。
・年間の快晴日が1日増えると、ESの危険率は1.5%増加(HR=1.02 95%CI=1.01-1.02)した。
・環境温度と日照はES発症の重要な環境要因であろう。
The microperimetry of resolved cotton-wool spots in eyes of patients with hypertension and diabetes mellitus.
Kim JS et al(CA USA)
Arch Ophthalmol 129(7): 879-84, 2011
・網膜の綿花状白斑は高血圧HTNや糖尿病DMで重要な所見である。
・10から119カ月前(中間値51ヶ月)に消褪した綿花状白斑CWSについて、眼球運動に連動させて像を安定させ、CWS部とそのCWS部に近くて障害されていない部位で感度を測定した。
・DMあるいはHTNの16眼(消褪した34個のCWS)と正常者16名の34か所について感度測定を行った。
・消褪したCWSの平均感度はHTNでは11.67±3.88dB、DMでは7.21±5.48dBであり、CWS近傍のコントロール部の平均感度はHTNでは14.00±2.89dB、DMでは11.80±3.45dBであった。
・CWSが吸収された部位の感度はその周辺部の感度より有意に低く(HTNではp=0.01、DMではp<0.001)、DMのほうがHTNよりも暗点が深く、DMでのCWS近傍の感度は年齢を一致させた正常者よりも感度が低いことが分かった。
Risk factors for visual field progression in treated glaucoma.
Moraes CGVD et al(NY USA)
Arch Ophthalmol 129(5): 562-8, 2011
・緑内障治療中の視野進行のファクターについて検討した。
・両眼ともに8回以上のハンフリー視野計での24-2 SITA-Standardで再現性の良い視野欠損をもった連続587例587眼について1999/1~2009/9までを検討した。
・年齢は64.9±13.0歳、経過観察期間は6.4±1.7年、視野測定回数は11.1±3.1回である。
・単変数解析では、視野狭窄の進展と関連していたのは、高齢(OR=1.19/10年 p=0.01)、落屑症侯群(OR=1.79 p=0.01)、角膜厚薄い(OR=1.38/40μm薄い p<0.01)、乳頭出血(OR=2.31 p<0.01)、傍乳頭網脈絡膜萎縮PPA(OR=2.17 p<0.01)、全ての眼圧パラメータ(平均、最高、変動 p<0.01)であった。
・多変量解析では、最高眼圧(OR=1.13 p<0.01)、角膜厚薄い(OR=1.45/40μm薄い p<0.01)、乳頭出血(OR=2.59 p<0.01)、傍乳頭網脈絡膜萎縮(OR=2.38 p<0.01)であった。
Complete blood cell count and retinal vessel diameters.
Klein BEK et al(WI USA)
Arch Ophthalmol 129(4): 490-7, 2011
・1998~1990に行われたBeaver Dam Eye Study cohort(n=4730)のデータを再調査し、血球数と網膜血管径について検討した。
・血圧、喫煙歴、視神経乳頭中心の眼底写真を解析。
・網膜動脈、静脈の血管径は乳頭縁から0.5-1.0DD内のものを計測し、年齢、性で調整して解析。
・赤血球数、白血球数、ヘモグロビン値、ヘマトクリット値は全て中心部の網膜静脈径、動脈径と有意に正の相関があった(赤血球と動脈径のみp<0.004で、他はいずれもp<0.001)。
・血小板数は網膜静脈径のみと正の相関があった(p<0.001)。
Effect of measurement order between right and left eyes on intraocular pressure measuerment.
Pekmezci M et al(CA USA)
Arch Ophthalmol 129(3): 276-81, 2011
・左右眼圧の測定順がゴールドマンアプラネーション眼圧計での眼圧測定に影響があるかどうかを検討した。
・105名の正常者を2群に分けた。
・G1は右眼から開始し、右2回、左2回、右2回測定、G2は左眼から開始し、同様に行った。
・2週間後に左右の順を代えて測定した。
・解析は1)最初の眼と後の眼、2)初回と2回目の測定、3)左右の差、4)眼をギュット閉じたかどうかで検討した。
・最初に測定した眼の方が有意に高かった(最初14.5±2.3、後測定14.2±2.3 p=0.02)。
・初回検査が2回目検査よりも有意に高かった(初回14.7±2.4、次回検査13.9±2.1 p=0.001)。
・眼を中等度以上に強く閉じた場合は有意に眼圧が高かった(軽度14.2±2.3、強め14.9±2.4 p=0.001)。
Myocardial infarction and cerebrovascular accident in patients with retinal vein occlusion.
Werther W et al(CA USA)
Arch Ophthalmol 129(3): 326-31, 2011
・分枝あるいは中心網膜静脈閉塞症(RVO)があったかなかったかで、心筋梗塞(MI)と脳血管障害(CVA)の発生比率をUS population-based health care claims databaseを用いて検討した。
・MIの比率は、RVOの4500名(年齢64.0±13.4)では0.87/100名、コントロールの13500名(年齢64.0±13.3)では0.67/100名であり、MIの調整RRは 1.03(95%CI=0.75-1.42 p=0.85)で有意差なし。
・CVAは、RVOでは1.16/100名、コントロールでは0.52/100名で、CVAの調整RRは 1.72(95%CI=1.27-2.34 p=0.001)であり、RVO患者がCVAを発症する比率はコントロール群の約2倍であることが分かった。
Prevalence of and risk factors for cornea guttata in a population-based study in a southwestern island of Japan. The Kumejima Study.
Higa A et al(琉球大)
Arch Ophthalmol 129(3): 332-6, 2011
・久米島の40歳以上の住民4632名のうち3762名(81.2%)を調査した。
・非接触角膜内皮像で黒点の全面積によって滴状角膜を0から4に分類した。
・検査適格者3060名の内、124名(4.1% 95%CI=3.4%-4.8%)に少なくとも片眼に滴状角膜があった。
・年齢が高いほど(62.8±12.9:59.1±12.9 調整p<0.008)、女性(OR=2.38 95%CI=1.61-3.53 p<0.001)、中心角膜厚薄いほど(0.504±0.038:0.514±0.034 調整p=0.046)、滴状角膜が多かった。
Retinal venular diameter as an early indicator of progression to proliferative diabetic retinopathy with and without high-risk characteristics in African American with type 1 diabetic mellitus.
Roy MS et al(NJ USA)
Arch Ophthalmol 129(1): 8-15, 2011
・TypeⅠの糖尿病をもったAfrican American 468名で、網膜動脈径、網膜静脈径と糖尿病網膜症の6年間の進行具合との関連を検討した。
・ETDRS Airlie House分類を用いて、7枚の眼底写真を撮り、視神経乳頭から半乳頭径から1乳頭径までの中にある全ての網膜動脈、網膜静脈の平均血管径(CRAEとCRVE)を求めた。
・CRAEは168.8±16.0μm、CRVEは254.2±25.2で、眼ごとにこの両者には関連があった(p<0.001)。
・多変量解析では、CRVEが太いと、6年後にPDRに進展することと関連していた。
・これは、DMRのないあるいは中等度の非増殖性DMRがPDRに進行したり、DMRのないあるいは非増殖性DMRがPDRに進行することに有意に関連があった。
・網膜静脈径が大きいことはPDRに進展することの目安になりうる。
Refraction in adults with diabetes.
Klein BEK et al(WI USA)
Arch Ophthalmol 129(1): 56-62, 2011
・Wisconsin Epidemiologic Study of Diabetic Retinopatyで、10,135のDM者のうち、30歳未満でインスリン治療を始めた群(T1D)996名と、30歳以上で診断された群(T2D)1370名を対象として調査した。
・TypeⅠ、TypeⅡが含まれており、10年間、屈折の変化を経過観察。
・両群とも年齢、教育レベルはほぼ同じであった。
・T1Dでは-1.24±2.02Dで、T2Dでは0.69±2.05Dで、T1Dで近視が強かった。
・10年間の屈折度の変化はT1Dでは-0.28±1.08Dで、T2Dでは+0.48±0.89Dの変化があった。
Cryotherapy vs laser photocoagulation in scleral buckle surgery.
Lira RPC et al(Brazil)
Arch Ophthalmol 128(12): 1519-22, 2010
・86名の裂孔原性網膜剥離患者に強膜内陥手術を行った際、術中の冷凍凝固を行った群(43例)と、手術の1ヶ月後にレーザー凝固を行った群(43例)とで、1週間、1,6か月後の復位率、最良矯正視力、再手術率、術後合併症について検討した。
・1W、1,6M後の復位率は冷凍凝固群では93%, 100%, 100%で、光凝固群では 95%, 100%, 100%であった。
・冷凍群の1例、レーザー群の2例が1週間目時点で追加の網膜剥離手術(硝子体手術)が必要であった。
・術後合併症は眼瞼浮腫以外には両群間で差はなかった。
・視力改善スピードは冷凍凝固群で遅かったが、6か月後には差はなくなっていた。
・1ヶ月目のlogMARは冷凍凝固で0.69(小数点0.20)、レーザー群で0.46(0.35)であった(p<0.03)。
・レーザー凝固群は手術が2回になること、費用が余計にかかる事が欠点であるが、視力改善、術後合併症ともに少なく、脈絡膜網膜癒着の目的の為には冷凍凝固に替りうるものである
Obstructive sleep apnea among patients with retinal vein occlusion.
Glacet-Bernard A et al(France)
Arch Ophthalmol 128(12): 1533-8, 2010
・連続する63名のRVOのうち、閉塞性睡眠時無呼吸OSAの以下の3つのリスクファクターのうち2つを持っている30例につき、心血管障害、いびき、日中の傾眠傾向について検討した。
・30例のうち、23例(77%)はOSAであり、OSAの有病率は37%であった。
・OSA23例の平均無呼吸低呼吸指数(AHI 1時間当たりの無呼吸、低呼吸発症回数)は21であった。
・AHI<15の軽症は13例、AHI 15-30の中等症は5例、AHI>30の重症例は5例であり、AHIはBMI(body mass index)と有意に相関していた(p=0.02)。
・RVOの患者の中に通常の有病率より高いOSA患者が含まれており、OSAはRVO病態の追加のリスクファクターの重要な役割を果たしているか、あるいは、誘因となっているだろう。
・このことは多くのRVO患者が朝起きた時に視力低下を自覚していることを説明できるし、OSAの治療がRVO治療に有効であろうことを示唆している
Rhegmatogenous retinal detachment due to paravascular linear retinal breaks over patchy chorioretinal atrophy in pathologic myopia.
Chen L et al(China)
Arch Ophthalmol 128(12): 1551-4, 2010
・病的近視の網膜剥離の原因として、後極部の近視性網脈絡膜萎縮上にある血管に沿った線状網膜裂孔が誘因になった10例(2008/1~2009/7)を報告する。
・裂孔は多くの場合下耳側血管で、次に上耳側に多かった。
・裂孔の長さは0.25~1DDであり、乳頭からは1~5DD離れていた。
・裂孔の特徴は脈絡網膜萎縮上に存在し、形状は近くの網膜血管に並行した線状で、進行性網膜剥離を発症していた。
・全例に硝子体手術(ガス注入)を行い、9例は1回の手術で復位した。
・術前にはこの裂孔は見つけられにくく、術中に注意深く後極部の網膜血管周囲を観察する必要がある。
Silicone oil retention sutures in aphakic eyes with iris loss.
Gentile RC et al(NY USA)
Arch Ophthalmol 128(12): 1596-9, 2010
・無水晶体眼で虹彩が正常な場合には下方の周辺虹彩切除が前房へのSO脱出を予防し、緑内障や角膜障害を予防することができるが、無虹彩眼で無水晶体眼の場合にSOが前房へ脱出することを予防する方法を考案したので報告する。
・10-0プロリン縫合(SO保持縫合)を前房に通し、虹彩隔膜にすると、この縫合がSOと房水のバリアとなって、SOと角膜の接触を予防してくれる。
ubbasal nerve density and corneal sensitivity after laser in situ keratomileusis.
Patel SV et al(MN USA)
Arch Ophthalmol 128(11): 1413-9, 2010
・Femtosecond laserと機械的microkeratomeで行ったLASIK後の神経密度と角膜知覚を比較した。
・近視LASICを受ける21例で、1眼はfemtosecond laserで、他眼はmicrokeratomeで行い、1,3,6,12,36ヶ月後に調査した。
・中心部のsubbasal神経密度を共焦点confocal microscopyで、角膜知覚はgas esthesiometer知覚計で測定。
・角膜神経密度、角膜知覚は両方法でいずれの時点でも差がなかった。
・術前、1ヶ月目の角膜神経密度は、Femotosecond laserでは、10883±5083→974±2453、microkeratomeでは12464±6683→1308±2881μm/mm2で、有意に減少していたが両者間に有意差はなし。
・12ヶ月目も減少していたが、36ヶ月目では両方法とも術前と有意差がなくなった。
・Femotosecond laserで神経の治癒機転が早まる訳ではなかった
Peripapillary retinal nerve fiber layer thickness determined by spectral-domain optical coherence tomography in ophthalmologically normal eyes.
Hirasawa H et al(東大)
Arch Ophthalmol 128(11): 1420-6, 2010
・7つの施設で251名の正常者で、視神経周囲の網膜神経線維層厚(RNFLT)を直径2.2-4.0mmの7つの同心円で測定した。
・RNFLTは同心円が大きくなるほど直線的に薄くなった(125→89μm p<0.001)。
・全同心円でRNFLTは加齢とともに減少(偏相関係数 -0.40~-0.32 p<0.001)。
・乳頭面積とは、内側の小さな2つの同心円では負の相関があり(-0.30~-0.22 p<0.005)、外の3つの同心円では正の相関があった(0.17~0.20 p<0.005)。
・性、眼軸長は相関がなかった。
Effect of corneal arcus on central corneal thickness, intraocular pressure, and primary open-angle glaucoma. The Singapore Malay Eye Study.
Wu R et al(Singapore)
Arch Ophthalmol 128(11): 1455-61, 2010
・40歳から80歳のシンガポール在住のマレー人3015名で、CCT、IOP、角膜曲率半径と細隙灯での老人環(透明部で辺縁から分離されている)を検討。
・老人環は1747名(57.9%)でみられ、年齢、性、全身状態で補正すると、IOPは高く(15.87:14.86mmHg p<0.001)、CCTは薄かった(540.6:543.4μm p=0.03)。
・多変量直線回帰モデルでは、老人環があるとIOPは平均1.14mmHg高かった。
・高眼圧症で緑内障ではない人の有病率は老人環があると有意に高くなっていた(p=0.02)。
Frequent loss of nyctohemeral rhythm of intraocular pressure restored by nCPAP treatment in patients with severe apnea.
Pepin JL et al(France)
Arch Ophthalmol 128(10): 1257-63, 2010
・18例の閉塞性睡眠時無呼吸患者に対して、経鼻持続陽圧空気治療(nCPAP:nasal continuous positive airway pressure)前後のTonopenを使用した眼圧と携帯血圧計で24時間血圧を測定し、眼灌流圧の日内リズムを検討した。
・眼圧は治療前は28%の患者で夜間ピーク、22%で昼間ピーク、50%で日内変動は見られなかった。
・眼灌流圧は78%で夜間ピーク、22%で変動がみられなかった。
・nCPAPを使用すると、夜間眼圧は14.8±0.8→18.3±1.2mmHgに有意に上昇した(p<0.03)。
・使用前に異常な日内変動(昼間ピーク、日内変動なし)を示した患者の内、治療後に67%は正常の日内変動に変わっていた。
・重度の睡眠時無呼吸患者では正常な眼圧日内変動がなくなるが、多くの患者ではnCPAP治療後に正常日内変動に修復される。
Aqueous humor dynamics in pigment dispersion syndrome.
Toris CB et al(NE USA)
Arch Ophthalmol 128(9): 1115-8, 2010
・色素散布症候群(PDS)の前房水の動きを検討した。
・17眼の眼圧が高いPDS(PDS-OHT)、18眼の正常眼圧PDS(PDS-ONT)、コントロールとして、18眼のPDSのないOHT、18眼のPDSのないONTで検討した。
・空気眼圧計での眼圧測定、venomanometryによる上強膜静脈圧、fluorophotometryによる房水の流れと流出機能、pachymetryによる角膜厚と前房深度、計算による脈絡膜強膜流出量を求めた。
・PDS-OHT群はONT群よりも上強膜静脈圧が高く(p=0.04)、房水流出機能が低かった(p=0.01)。
・PDS-OHT群では他の3群よりも前房容積が大きかった(p<0.05)。
・PDSにおける高眼圧は房水流出機能の低下によるものと考えられた。
・PDSのないOHTでは脈絡膜強膜流出量と房水流出機能の低下によるものであり、この点が異なっていた。