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JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology)

2020
138巻

オキシメタゾリン点眼と眼瞼下垂症の視野との関連性

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 138巻 (10号) 2020

Association of Oxymetazoline Hydrochloride, 0.1%, Solution Administration With Visual Field in Acquired Ptosis: 
A Pooled Analysis of 2 Randomized Clinical Trials. 
Slonim CB, Foster S, Jaros M, et al.
JAMA Ophthalmol. Published online October 01, 2020. doi:10.1001/jamaophthalmol.2020.3812
【目的】
・後天性眼瞼下垂症におけるオキシメタゾリン塩酸塩点眼液の有効性と安全性を検討
【対象と方法】
・無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同第 3 相臨床試験、
・後天性眼瞼下垂症と上方視野欠損を有する 9 歳以上の参加者を対象
・オキシメタゾリン0.1%、または溶媒を2:1で無作為割り付け
・1日1回、42日間、自己投与
・視野変化はLeicester Peripheral Field Test(LPFT)にて、1日目(注射後6時間)と14日目(注射後2時間)の点数で評価
・MRD-1は同じ時間帯に測定
【結果】
・304人の参加者が登録、平均年齢63.8±13.8歳、女性222人(73%)
・オキシメタゾリン点眼群の97.5%(198/203人)、溶媒点眼群の97.0%(98/101人)が試験終了
・オキシメタゾリン点眼は、LPFTにおける平均点数の有意な増加と関連
1日目:5. 9 [6.4] vs 1.8 [4.1];平均差、4.07 [95% CI、2.74-5.39];P<0.001
14日目:7.1 [5.9] vs 2.4 [5.5];平均差、4.74 [95% CI、3.43-6.04];P<0.001
・オキシメタゾリン点眼はまた、ベースラインからのMRD1の有意な増加とも関連
1日目:0.96[0.89]mm vs. 0.50[0.81]mm;平均差、0.47mm [95%CI、0.27-0.67];P < 0.001
14日目:1.16[0.87]mm vs 0.50[0.80]mm;平均差、0.67mm [95%CI、0.46-0.88];P < 0.001
・有害事象は、
0.1%オキシメタゾリン点眼群の31.0%(63/203例)、
溶媒投与群の35.6%(36/101例)で発生【Tab2】
【結論】
・オキシメタゾリン0.1%は、第3相試験において、1日目と14日目において良好な忍容性を示し、後天性眼瞼下垂症の治療に有望であることを示した
・これらの臨床的関連性を6週間以上にわたって解明するためにはさらなる研究を要する。(MK)

2020
138巻

眼科検査器機表面からのコロナウイルス成分の検出

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 138巻 (8号) 2020

Detection of Cornonavirus Disease 2019 Viral Material on Environmental Surfaces of an Ophthalmology Examination Room
Hasan Aytogan, et al(Turkey)
JAMA Ophthalmol.  Online ahead of print Aug 3,2020
COVID-19無症候の患者が外来診療を受けた際、検査・診察機器からウイルスが検出されることがありうるか調査。
29名の患者が眼科受診、7名はトリアージでCOVID-19の検査を受けるため診察室には入らず。22名の患者と9名の同伴者(小児と要介助の患者)、1名の医師が診察室に入った。
診察室の大きさ、LxWxH=6mx3mx2.5m
平均診察時間は9(5-13)分であった。
診察菓子日前の8:30と診察終了後の17:00の二回、スリットランプ、ブレスシールド、検眼器(Zone1),眼圧計(Zone2), デスク(Zone3、4)、ドアハンドル(Zone5)からスワブを用いちて検査
結果、各7検体のうち、診察終了後の7サンプル中、患者周囲1mのスリットランプシールドと検眼器があるZone1からの検体2サンプルでRT-PCRでウイルス成分が検出された。
ただし、感染性があるのかはわからない
PCR検査の限界、陽性率が30-60%と低いため、陰性であっても必ずしもウイルスがいないということにはならない(MM)

2020
138巻

近視性黄斑症:久山町スタディ

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 138巻 (8号) 2020

Five-Year Incidence of Myopic Maculopathy in a General Japanese Population
The Hisayama Study
JAMA Ophthalmol. 138(8):887-893, 2020
5 年間の住民調査で近視性黄斑症の累積発症率は1%
年齢上昇によりリスク増加(40 歳代1として70 歳以上は5.34)
眼軸長25mm 未満0.4%、27mm 以上12%
Laquer cracks、近視性CNV、Fuchs スポットは未評価(THY)

2020
138巻

カフェイン・βブロッカーと硝子体手術パフォーマンスとの関係

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 138巻 (8号) 2020

Association of Weight-Adjusted Caffeine and β-Blocker Use With Ophthalmology Fellow Performance During Simulated Vitreoretinal Microsurgery. 
Roizenblatt M, Dias Gomes Barrios Marin V, Grupenmacher AT, et al.(Brazil)
JAMA Ophthalmol. 2020;138(8):819–825. doi:10.1001/jamaophthalmol.2020.1971
【目的】
・カフェインおよびβ遮断薬(プロプラノロール)の摂取量の体重調整カットオフを確立し、初心者の網膜硝子体の手術成績との相互作用を決定
【対象と方法】
・手術経験が2年未満の網膜硝子体外科医15名
・ドライラボ施設で2日間、毎日5回のシミュレーション
1日目、プラセボ、低用量カフェイン(2.5mg/kg)、高用量カフェイン(5.0mg/kg)、および高用量プロプラノロール(0.6mg/kg)に順次曝露した後、パフォーマンスを評価
2日目、プラセボ、低用量プロプラノロール(0.2mg/kg)、高用量プロプラノロール(0.6mg/kg)、および高用量カフェイン(5.0mg/kg)に順次暴露した後、パフォーマンスを評価
・Eyesi手術シミュレータを使用して、手術スコア(範囲:0 [最悪]~700 [最高])、タスク完了時間、眼内軌跡、および振戦率(範囲:0 [最悪]~100 [最高])を評価
【結果】
・網膜硝子体外科医15名中、9名(60%)が男性、平均年齢29.6±1.4歳、平均BMI 23.15±2.9であった
・低用量プロプラノロールと比較して、低用量カフェインは、総手術スコアの悪化(557.0 vs 617.0;差、-53.0;95%CI、-99.3~-6.7;P = 0.009)、振戦率スコアの低下(55.0 vs 75.0;差、-12.0;95%CI、-21.2~-2.8;P = 0.009)、眼内軌跡の長さ(2298.6対2080.7mm;差、179.3mm;95%CI、1.2~357.3mm;P=0.048)、タスク完了時間の増加(14.9分対12.7分;差、2.3分;95%CI、0.8~3.8分;P=0.048)と有意に関連していた
・カフェイン摂取後にプロプラノロールを服用した場合、パフォーマンスの改善と関連していたが、手術成績は低用量プロプラノロール単独の場合と比較して劣ったままであった
総手術スコア(570.0 vs 617.0;差、-51.0。 0;95%CI、-77.6~-24.4;P = 0.01)、振戦率スコア(50.0 vs 75.0;差、-16.0;95%CI、-31.8~-0.2;P = 0.03)、眼内軌跡の長さ(2265.9mm vs 2080.7mm;差、166.8mm;95%CI、64.1~269.6mm;P = 0.03)
【結論】
・初心者の網膜硝子体外科医のパフォーマンスは、低用量カフェイン単独投与後には悪化したが、低用量プロプラノロール単独投与後には改善したことを示唆している。
・プロプラノロール単独投与後の成績は、プロプラノロールとカフェインの併用投与後よりも良好であった。
これらの結果は、初心者の網膜硝子体外科医にとって、マイクロ手術のパフォーマンスを向上させるために役立つかもしれない。(MK)

2020
138巻

大きな全層MH術後うつ伏せについての検討

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 138巻 (7号) 2020

Facedown Positioning Following Surgery for Large Full-Thickness Macular Hole A Multicenter Randomized Clinical Trial
Saruban Pasu, et al (England)
JAMA Ophthalmol 138(7): 725-730, 2020
イギリスで9つのサイトで行われた無作為ランダム化試験
少なくとも400μmのMHに対するVit+ILM off+C3F8(14%)注入
3か月毎フォローアップ 12か月未満の経過観察
ランダムに1日8時間下向きまたは前向きに5日間
主要評価項目:術後3か月のOCTで評価
副次評価項目:視力、ポジショニングの経験、生活の質
185名(平均69(64-73)歳)
閉鎖率:前向き群:77/90(85.6%)  下向き群:84/88(95.5%)  (P=0.08)
術後視力(logMAR)改善度合い:前向き群:0.34±0.69  下向き群:0.57±0.42  (P=0.01)
ポジショニングの容易さ(0-10):前向き群 9(7-10)、下向き群:6(4-8) (P<0.01)
NEI-VFQ-25スコア:前向き群 87(73-93)、下向き群:89(76-94) (P=0.41)
うつ伏せは円孔閉鎖という点ではあおむけ禁止の前向き群と有意差はないが、視力の改善という点では優れているようである(MM)

2020
138巻

COVID-19の状況下で緑内障外来受診予約を延期すべきかどうかの指標

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 138巻 (7号) 2020

Application of the Sight Outcomes Research Collaborative Ophthalmology Data Repository of Training Patients With Glaucoma and Clinic Appointments During Pandemics Such as COVID-19
Nikhil K. Bommakanti, et al; SOURCE Consortium (USA)
JAMA Ophthalmol Online ahead of print. July 17, 2020
新型コロナウイルス感染症の罹患・蔓延を防ぐため外出自粛を含めたソーシャルディスタンスが推奨され、AAOは急を要する患者以外は外来診療を行わないように勧告したが、どの患者が急を要し、受診した方がメリットがあるのか、予約を延期した方がいいのか判断する必要が生じた。緑内障は不可逆性の疾患で適切に治療しなければ視野障害の進行リスクがあるが、多くの患者は高齢で基礎疾患もありCOVID-19による罹患率・死亡率も高い。外来受診は他の患者への感染、クリニックの医師やスタッフの感染リスクを増加させ、PPEの消費にもつながる。
そのため、実装が簡単で、多くの患者に対して判断でき、急速に変化していく状況の変化に対応できる柔軟性を持つスケール化できるアルゴリズムを考案した
2020.3.16-2020.4.16までにSight Outcomes Research Collaborative(SOURSE) Ophthalmology Electronic Health Record Data Repositoryに登録されている大学の緑内障外来予約が予定されている患者を対象。
緑内障の重症度と進行のリスクスコアと、COVID-19の罹患リスクスコアを計算するリスク層別化ツールを開発し、各患者の合計スコアを決定した。
<COVID-19>(COCID-19 morbidity risk score(CS)) プラスでスコア
電子カルテからCOVID-19の罹患率、死亡率が高いのは高齢者、妊婦、慢性内科疾患を持つもので、65-79歳と比較し、80歳以上は統計学的に重みづけ。妊婦及び最近出産した女性で母乳育児をしていた可能性がある人も高リスクとした。内科合併症はCharlson Comorbidity Index(CCI)を用いて定量化した。
<緑内障>(Glaucoma severity and progression risk score(GS)) マイナスでスコア
重症度が高いか、進行のハイリスクを持つために頻繁な経過観察が必要な患者を抽出するため、臨床的特徴を決定。
過去3か月以内の観血的緑内障手術、1年間に高眼圧(>30mmHg)もしくは低眼圧(<6mmHg)、高度な視野障害やLast Eye(片眼0.5以上、反対眼0.25以下)の患者、HFAでMDが-12dB以下
合計スコア(Total core(TS)) GSとCSの合計 プラスであれば予約延期の方向、マイナスであれば予定通り受診の方向
閾値を0,25,50に分けてどの程度の患者が予約延期となるか決定
<検証>
緑内障部門で3/16-5/5まで電子カルテをチェックして3つのカテゴリーに分類
Tier 1(urgent) 既存の予約を維持する必要がある患者、または制限が部分解除後3週間以内に予約
Tier 2(semiurgent) 予約は延期、キャンセルされたが、3か月以内に予約
Tier 3(延期またはキャンセル) 制限解除後3か月以上して予約をするもの
TSが臨床医のTier割り振りとどの程度一致しているか評価
結果
ミシガン大学Kellogg Eye Centerで治療を受けていた1034名の患者が対象 平均(SD)年齢66.7(14.6)歳、女性575名(55.6%)、733名(71%)が白人、160名(15.5%)が黒人、90名(8.8%)がアジア環太平洋地域の人種。
緑内障の重症度及び進行スコア(GS)の平均(SD)は4.0(14.4)ポイント(-50から20ポイント
COVID-19の罹患リスクスコア(CS) 27.2(16.1)ポイント(0から55ポイント)
トータルスコア31.2(21.4)ポイント(-50から75ポイント)
パンデミック中での閾値を0,25,50とすると、970名(93.8%)、668名(64.6%)、275名(26.6%)が延期及び再スケジュールに該当。パンデミックからの回復期での優先順位決定にも役立った
外来受診を控えることで生じる緑内障の進行リスクと、COVID-19暴露による罹患リスクを検討するツールとして役に立つ
<検証>
3/16-5/8までの緑内障予約患者3030人の電子カルテから、TSが0以上のうち80.2%がTier 2 or 3の制限解除後3か月以降でも安全にフォローできると判断。
TSが25以上の82.5%、50以上の86.1%がTier 2 or 3と判断
TSが0未満は72名おり、55名(76.4%)が予定通りの予約もしくは制限解除後3週間以内の予約が必要なTier1と判断された。
<ディスカッション>
このツールは感染状況の急速な変化に応じ速やかに対応、修正、拡張ができるようになっている。制限が解除後、ソーシャルディスタンスの維持、クリニックでの待ち時間の最小化、優先順位の高い患者を安全にケアできるようにする臨床効率の向上などに役に立つ。
TSだけ絵はなく、トリアージにはGS,CSも同様に有用であった
全面的に信頼するのではなく、移動距離など別の要素も考慮が必要
緑内障以外の眼科疾患の場合は、TSよりもCSに基づいた方が良いし、たのアルゴリズムを検討した方が良いかもしれない(MM)

2020
138巻

全色盲の遺伝子治療

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 138巻 (6号) 2020

Safety and vision outcomes of subretinal gene therapy targeting cone photoreceptors in achromatopsia. A nonrandomized controlled trial.
Fischer MD et al(Germany)
JAMA Ophthalmol 138(6): 643-651, 2020
・CNGA3遺伝子が関連する全色盲の遺伝子治療について報告する。
・CNGA3(AAV8.CNGA3)をコードしたadeno-associated virus(AAV)を使用した。
・CNGA3を持った9名を対象にして、単一センターで網膜下に遺伝子治療vectorを注入し、安全性と効果を調査した。
・年齢は39.6±11.9歳(24-59歳)で、2015/11から2016/9に治療を開始し、12ヶ月の経過観察を行った。
・眼科的、全身的な副作用をチェックし、空間時間的分解能、色、輝度、コントラスト感度などをチェックした。
・9名全員で軽度の機能改善がみられた。(TY)

2020
324巻

小児近視に対する高加入度数コンタクトレンズの近視進行抑制効果

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 324巻 (6号) 2020

Effect of High Add Power, Medium Add Power, or Single-Vision Contact Lenses on Myopia Progression in ChildrenThe BLINK Randomized Clinical Trial

Walline JJ, Walker MK et al

JAMA 324(6):571-580., 2020

目的;高加入度(+2.50D)ソフト多焦点コンタクトレンズは、中加入度(+1.50D)または単焦点コンタクトレンズよりも、子供の近視の進行を遅らせることができるか検証した。

 

方法;-0.75 Dから-5.00Dの近視で、乱視が1.00 D未満の7〜11歳の合計294人のアメリカ人児童を対象とした。 高加入度(+2.5D)群(n = 98)、中加入度(+1.5D)群(n = 98)、単焦点群(n = 98)のいずれかに無作為に割り当て、3年後の近視の変化を比較した。麻痺下等価球面屈折度数を10回の自動屈折測定値の平均値で比較した。

結果: 3年間の近視の進行は、高加入度群では-0.60 D、中加入度群では-0.89 D、単焦点群では-1.05Dであった。

平均眼軸長伸展は、高加入度数群が0.42mm、中加入度数群が0.58mm、単焦点群は0.66mmであった。

結論:近視に対する高加入度多焦点コンタクトレンズによる治療は、中加入度多焦点および単焦点コンタクトレンズ装用と比較して、3年間で近視の進行率を大幅に低下させた。(HK)

2020
138巻

手術時の手洗い Waterless法のコストと効果

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 138巻 (4号) 2020

Association Between Elimination Water From Surgical Hand Antisepsis at a Large Ophthalmic Surgical Hospital and Cost
Matthew J. Javitt et al (USA)
JAMA Ophthalmol 138(4): 382-386, 2020
・手術前に石けんを使用し水で洗い流す従来型の手洗い方法と、アルコールベースのWaterless法のコストと節約できる時間を比較
・WHOの推奨するモデルでそれぞれ比較
・従来法(5ないし6分):1回あたり2分間液体消毒薬で洗い、片腕1分合計2分間水を流す(15.9L)
・1回の手術あたり平均3回手洗いをするため、47.7Lの水を使用
・ディスペンサーを用いた手洗いとクロルヘキシジン含有ブラシを用いた手洗い
・それに伴う液体消毒薬、ブラシ、クロルヘキシジン含有ブラシ、ネイルピック等のコストも検討
・Waterless法(40-70秒):通常の液体石けんで手洗いした後に、アルコールベース消毒薬をすり込む 
・1回の刷り込みあたり6ml使用。液体石けんは14ml使用がメーカー推奨
・スタッフ一人あたりの年間コスト
・従来法 
・ディスペンサー 9190ドル((消毒薬0.330$+水0.071$+ブラシとネイルピック)/回)
・消毒含有ブラシ6470ドル((ブラシのコスト0.43$+水0.071$)/回)
・Waterless法 4650ドル(消毒薬 0.36ドル/回)
・USでの1分あたりの人件費 $37-62
・ウォーターレス法のほうが、従来の手洗い方法よりも年間コスト、消費時間が少なかった。
・環境保護の観点からもWaterless法が優れている。(MM)

2020
138巻

黄斑部を含むRDのVitでうつ伏せが良いか、裂孔部位をサポートする姿勢が良いか

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 138巻 (4号) 2020

Effect of Face-Down Positioning vs Support-the-Break Positioning After Macula-Involving Retinal Detachment Repair
The PostRD Randomized Clinical Trial
Edward J. Casswell, et al(UK)
JAMA Ophthalmol Online ahead of print, Apr 16 2020
2016/5/16-2018/5/1まで多施設の3次紹介病院で黄斑部の剥離を含むRDに対して14日以内にVit+gasタンポナーデを行った18歳以上の患者 239名(60.8±9.8歳)
シングルマスク無作為前向き試験
再剥離になったものは除外
ランダムに1:1にうつ伏せ(FD)と裂孔部位をサポートする体制(SB)を24時間とらせた。
コンプライアンスはモニターしていない
眼底自発傾向にて2,6か月の変位を比較
変位の程度:黄斑部周囲のずれのある象限、平均ずれ幅(垂直距離)、
客観的な歪みスコア、生活の質を評価

<結果>
Primary Outcome
術後6Mでの網膜のずれ:FD群 42/100(42%) SB群58/103(56%) P=0.04 OR=1.77
Secondary Outcome
8W(2M)での変位の程度はFD群でより少なかった OR=1.94
2M: FD群 0.5度 SB群0.8度 6M:  FD群 0.3度 SB群0.9度
矯正視力、ゆがみの程度、QOLは2,6Mで同程度であった。
偏位の振幅がゆがみの程度と6ヶ月後の矯正視力低下に関連していた P<0.001
網膜の皺はFD群5.3%、SB群13.5%でFD群で少なかった P=0.03 OR=2.8
自覚的な両眼複視 FD群1.5% SB群7.6% P=0.03 OR=5.3
25mmHg以上の眼圧上昇はFD群で多かった 30.5% vs 17.6% P=0.02 OR=0.5
網膜剥離術後はうつ伏せが良い結果であった。(MM)

2020
138巻

女性の視覚障害と認知症発症リスク

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 138巻 (4号) 2020

Association of Visual Impairment With Risk of Incident Dementia in a Women’s Health Initiative Population
Elaine M. Tran et al (USA)
JAMA Ophthalmol Online ahead of print, Apr 16 2020
Women’s Health Initiative (WHI)に付属するスタディとして、認知症と視機能障害の関係を調査
WHIの視力検査(2000-2002年)と記憶検査(1996-1998)に登録されている66-84歳の女性
1061人(平均(SD)73.8(3.7)歳) 
206人(19.4%)自己申告で視覚障害あり、183名(17.2%)客観的な視覚障害(20/40以下)
42名(4%) 認知症の疑い、 28名(2.6%) 認知症までは進んでいないMCI(認知機能低下)
検査後のフォローアップは3.8(1.8)[0-7]年
結果
ベースラインで客観的な視機能障害がある人の方が認知症発症の可能性が高かった。
認知症のリスク因子は、ベースラインの視力が20/100以下(HR 5.66)、20/80以下(HR5.2)、20/40(HR2.14)であった。MCIについても同様で、20/100以下でリスクが最大であった(HR6.43)
自己申告の視覚障害とは関係が無かった。聴覚障害が視覚障害と重なると認知症リスクは高かった。
メカニズムの特定は困難だが仮説として、認知機能と視覚機能の低下は中枢神経系の変性であるという考え、視覚刺激の低下が神経刺激の低下をもたらすという考え、視覚機能の低下は活動を行う際に認知機能に過剰な負荷をかけて悪化させるという考えがあるが、その関係性は双方向多元的なものである。
この研究で、視覚障害が認知機能障害の発症に先行していることから、中枢神経系の変性の初期症状として視力低下をきたしている、視機能低下が認知負荷の増加を通じて機能低下に寄与していると考えられる。
視力改善が可能な介入(白内障手術など)は認知機能障害の軌道修正に役立つかもしれない。(MM)

2019
137巻

ダークチョコレートと視機能との関連についての再調査

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 137巻 (12号) 2019

Effects of flavanol-rich dark chocolate on visual function and retinal perfusion measured with optical coherence tomography angiography. A randomized clinical trial.
Siedlecki J et al(Germany)
JAMA Ophthalmol 137(12): 1373-1379, 2019
・血管拡張作用のあるダークチョコレートに含まれるflavanolは視機能に良い影響があるとされているが、この点についてOCTAを用いて調査した。
・400mgのflavanolを含んだ20gのダークチョコレート、あるいは7.5gのミルクチョコレートを摂取した2時間後に視機能とOCTAでの黄斑部の血管密度を指標とした網膜灌流を検査した。
・視機能は自覚的な検査で、ETDRS視力、Pelli-Robson chart、Mars chart contrast sensitivityである。
・22名を被験者(27.3±11.1歳)とした。チョコ摂取前後のOCTAの血管密度は表叢では48.0%:47.5%で、ダークチョコの効果は-0.59(95%CI=-2.68~1.50 p=0.56)、深叢では54.1%:54.0%で、効果は-1.14(95%CI=-4.0~1.73 p=0.42)であり、自覚的な視機能でも効果はなかった。
・Rabin JC et al.JAMA Ophthalmol 136(6):678,2018参照
ーーーーーlogMARでの視力測定とlogCS最小コントラスト認知はブラックチョコレート群で良かった(TY)

2019
137巻

小児の受動喫煙と脈絡膜厚

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 137巻 (12号) 2019

Association of secondhand smoking exposure with choroidal thinning in children aged 6 to 8 years. The Hong Kong Children Eye Study.
Yuan N et al(Hong Kong)
JAMA Ophthalmol 137(12): 1406-1414, 2019
・6歳から8歳の小児1400名の脈絡膜厚をSS-OCTの自動解析ソフトを用いて測定した。
・受動喫煙がない群941名(67.2% 7.65±1.09歳)と受動喫煙群459名(32.8% 7.54±1.11歳)で比較した。
・測定部は直径が中心1mm円、1-3mmの内1/4円(上下耳鼻)、3-6mmの外1/4円(上下耳鼻)とした。
・受動喫煙群の脈絡膜厚は中心円で8.3μ、内下円で7.2μ、外下円で6.4μ、内耳円で6.4μ、外耳円で7.3μ薄くなっていた。
・家族内の喫煙者数とも関連し、1名増えるごとに中心円で7.86μ、外上円で4.51μ、内下円で6.23μ、外下円で5.59μ、内鼻円で6.06μ、外鼻円で6.55μずつ薄くなっていた。
・また1日当たりの副流煙1本増えるごとに中心円で0.54μ、内耳円で0.42μ、外耳円で0.47μずつ薄くなっていた。
・小児の受動喫煙の影響は副流煙の量依存性であった。(TY)

2019
137巻

Choroideremiaの遺伝子治療

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 137巻 (11号) 2019

Efficacy and safety of retinal gene therapy usion adeno-associatted virus vector for patients with chroideremia. A randomized clinical trial.
Fischer MD et al(Germany)
JAMA Ophthalmol 137(11): 1247-1255, 2019
・Choroideremia(CHM)はCHM geneの変異によって発生する遺伝性の網膜疾患である。
・Adeno-associated virus vector(AAV2)を用いた網膜遺伝子治療の安全性と効果について検討した。
・このTübingen Choroideremia Gene Therapy(THOR)は単一施設のPhase2のopen-label randomized clinical trialであり、2016/1~2018/2までの6名の男性(54.9±4.1歳)のデータである。
・単眼だけ硝子体手術により網膜下に0.1mlのAAV2-REP1を注入し、視力の改善あるいは維持ができた。
・参照:Pennesi ME et al, Choroideremia. Retinal degeneration with an unmet need. Retina 39(11): 2059-2069,2019(TY)

2019
137巻

糖尿病と傍乳頭網膜神経線維層厚

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 137巻 (10号) 2019

Longitudinal changes in the peripapillary retinal nerve fiber layer thickness of patients with type 2 diabetes.
Lim HB et al(Korea)
JAMA Ophthalmol 137(10): 1125-1132, 2019
・加齢による傍乳頭網膜神経線維層(pRNFL)の欠損について、正常者63例(56.5±9.3歳)、2型糖尿病で網膜症のない49例(non-DR 59.1±9.4歳)と軽度から中等度の非増殖網膜症52例(NPDR 59.4±11.0歳)の計164例(58.2±8.7歳)の片眼を3年間経過観察した。
・経過開始時のpRNFL厚はそれぞれ、96.2±11.0:93.5±6.4、90.4±7.9で、3年後のpRNFL厚はそれぞれ、95.0±9.2、90.3±6.4、86.6±7.9μであった。
・減少予測速度はそれぞれ、-0.35μ/y、-0.92μ/y(p<0.001)、-1.16μ/y(p<0.001)であり、DM群では正常群よりそれぞれ2.9倍(95%CI=1.1-14.8 p=0.003)、3.3倍(95%CI=1.4-18.0 p<0.001)早かった。(TY)

2019
322巻

N95マスクのインフルエンザ予防効果

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 322巻 (9号) 2019

N95 Respirators vs Medical Masks for Preventing Influenza Among Health Care Personnel. A Randomized Clinical Trial
・Lewis J. Radonovich Jr,  et al.(US-NY)
JAMA. 2019;322(9):824-833
・医療従事者における、インフルエンザおよび他の呼吸器感染症の予防効果をN95マスクと通常のサージカルマスクとで比較
・2011.9月-2015.5月、ウイルス性呼吸器感染の多い12週間×4シーズン
・137の医療機関をランダムに振り分け;N95マスクor通常のマスク
・気道症状のある患者の6フィート以内に近づくときはマスク着用、他に手指消毒
・2862名、平均43歳、82.8%女性、看護師・看護学生が最多
・インフルエンザワクチン摂取率7-8割、群間に差なし
・RT-PCR検査で確定したインフルエンザ感染;N95群で8.2%、通常マスク群で7.2%(P=0.18)
・急性呼吸器症状;N95群で619.4/1000医療者・シーズン、通常マスク群で641.3/1000医療者・シーズン(P=0.10)
・外来の医療従事者に対しては、N95マスクと通常マスクではインフルエンザの予防効果に有意差はみられなかった(MK)

2019
137巻

Clear IOLはCircadian rhythm、認知力、睡眠の質の向上に役立つか?

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 137巻 (8号) 2019

Association of intraocular catract lens replacement with circadian rhythms, cognitive function, and sleep in older adults.
Chellappa SL et al(MA USA)
JAMA Ophthalmol 137(8): 878-885, 2019
・メラトニンは良い睡眠に不可欠で、夜になると徐々に分泌が増え、夜中に最大となる。
・青色光を遮断するBB-IOLと紫外光を遮断するUV-IOL移植を行った高齢者で概日リズムcircadian rhythm、認知力、睡眠との関連を検討した
・BB-IOL、UV-IOLの波長特性はここには記載されていない。
・Crtl(63.6±5.6歳)16名、IOL群(69.9±5.2歳)のUV-IOL 5名、BB-IOL 8名である。
・IOL群の13名は、55〜80歳。
・ボディマス指数が18から28、女性では19から29など、厳しく制御した基準により約1200名のIOL患者から60人に絞り、更に睡眠状況や3週間の実験期間などから16名に絞り込み、最終的には13名を選択した。
・この3種類の光照射実験は、1週間の介在期間を置いて、約3週間の間、睡眠と覚醒サイクルを規則正しく保って行った。
・3.5時間の薄明順応後の夜10時に2時間の光を浴び、30分の薄明順応後に8時間の睡眠時間を取り、その後、2時間の薄明順応を行った。
・3回の光照射実験で、異なるものは、光源となる蛍光灯(6500 K、2500 K、3000 K)だけであり、照射順序はランダム化されている。
・最初に求めたものは、睡眠恒常性調節の特徴である活動の尺度となる、内因性メラトニンレベルが光曝露によって抑制されたかどうかである
・夜10時から行った光照射時の唾液のメラトニンレベルはBB-IOLでは23.3±2.6%、UV-IOLでは19.2±2.1%で、Ctrlの48.8±5.2%より有意に少なく(p<0.001)、光照射により抑制されていた。
・光照射時と睡眠後の注意力で測定した認知能の反応時間はUV-IOLでは276.9±11.1msec、BB-IOLでは348.3±17.8msecで両者間に有意差があり(p=0.002)、パフォーマンスの大幅な改善が観察された。
・最初の睡眠サイクルでの徐波の増加率はUV-IOLでは13.0±3.4%でCtrlの5.2±0.8%より有意に増加していた(p=0.02)。
・IOL手術だけでも睡眠の質は上がるが、殊に青い光(400ー530、peak 479nm)に反応するMelanopsinを含有する網膜神経節細胞によって刺激される概日リズムを最大限に生かせるUV-IOLを使用すればBB IOLよりも認知障害が改善される可能性がある。
・BB-IOLはUV-IOLの青色光の危険性に対する懸念と青視症修正のために開発されたものであるが、UV-IOLは非視覚機能の改善に役立つ可能性がある。(TY)

2019
137巻

デスメ膜内皮厚さ比較試験(DETECT)における片眼角膜内皮移植の生活の質に対する効果

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 137巻 (7号) 2019

Effect of Unilateral Endothelial Keratoplasty on Vision-Related Quality-of-Life Outcomes in the Descemet Endothelial Thickness Comparison Trial (DETECT)
Michael J. Ang.et al. (CA,USA)
JAMA Ophthalmol. 2019:137(7):747-754.
目的:UT-DSAEKおよびDMEKの生活の質への影響を判断する。
対象と方法:ベースラインおよび術後3か月および12か月に行われたNational Eye Institute(NEI)Visual Function Questionnaire-39(VFQ-39)の複合スコアを使用して分析された。
フックス角膜内皮変性症または偽水晶体水疱性角膜症のため内皮機能障害を有する患者は、DMEKまたはUT-DSAEKに対して1:1の方法でブロック無作為化された。
結果:DMEK 19眼(フックス角膜内皮変性症18眼、偽水晶体眼からの水疱性角膜症1眼)、UT-DSAEK 19眼(フックス角膜内皮変性症18眼、偽水晶体眼からの水疱性角膜症1眼)。
両群に女性が多かった(UT-DSAEK。12 [63%]; DMEK。11 [58%])。平均年齢UT-DSAEK群で68(11)歳、DMEK群で68(4)歳。研究参加者全体では、NEI VFQ-39複合スコアがベースライン時(N = 38; 95%O. 4.9-13.3; P <.001)と比較して術後3か月で9.1ポイント改善し、術後12か月で11.6ポイント改善した。ベースラインと比較した月数(n = 26; 95%CI。6.8-16.4; P <0.001)。 DMEK ではUT-DSAEKと比較して術後3か月でNEI VFQ-39複合スコアが0.9ポイント多く改善したが(P = 0.80)、有意差はなかった。
結論:生活の質は、UT-DSAEKまたはDMEKのいずれかで片側手術を経験している患者で改善した。UT-DSAEKと比較してDMEKの患者のQOLの改善の増加は見られなかった。(CH)

2019
15巻

青少年におけるスクリーンタイムと鬱の関係

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 15巻 (7号) 2019

Association of Screen Time and Depression in Adolescence
Elroy Boers, et al(Canada)
JAMA Pediatr. 2019 Jul 15. [Epub ahead of print]
鬱はすべての年齢で生じる精神疾患であるが、青少年の発達期の鬱は学問的、精神社会的、認知機能的な問題と関係する。また薬物使用、希薄な対人関係や自殺との関連も指摘されている。
薬物とアルコール予防プログラムの効果を評価する4年のRCTデータから、スクリーンタイム(Social media、Video gaming、Television、Computer use)と鬱病に関するデータを調査
7つの鬱症状に対して0-4で回答するBrief Symptoms Inventory、自己評価、運動時間、社会経済状態を調査
31の学校から2012年9月より2018年9月までデータ集計
3826名(1798名女性、平均年齢12.7歳)のうち、3659名から有効回答
結果
女性と低い社会経済状態は鬱症状と関係
Social media:4年の経過(Between-person)でも特定年の解析(Within-person)でも関係あり
Computer:Between-personで関係あり
Television:Within-personで関係あり
Video gamingは関係なし
スクリーンタイムと運動、自己評価から、VDT視聴によって健康的な活動が奪われることではなく、それらから受けるupward social comparisonとreinforcing spiralの仮説が考えられる
Upward social comparison: メディア上の好ましいあり方と現実の自分とを比較してしまう
Reinforcing spiral: 過去に閲覧/検索した内容を元に同種の内容が表示されるため、考えが強化されやすくなる(MM)

2019
137巻

傍乳頭脈絡血管密度と将来の視野障害進行の関係

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 137巻 (6号) 2019

Association Between Parapapillary Choroidal Vessel Density Measured With Optical Coherence Tomography Angiography and Future Visual Field Progressionin Patients With Glaucoma
Hae Young-Lopilly Park et al (Korea)
JAMA 137(6): 681-688, 2019
108眼の緑内障患者でベースラインの傍乳頭脈絡血管密度が将来の緑内障進行と関係あるかβPPA領域でのOCTAを計測した
平均2.6年の観察期間で、視野障害と関係したのはDH(OR 5.57)、ベースラインMD(0.83)、傍乳頭脈絡血管密度(1.18)であったが、OCTでの進行は関連がなかった
βPPA領域での傍乳頭脈絡血管密度は進行といくらか関係ある可能性があり、注意深いモニターが必要(MM)

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